専属モデル造形計画「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」終了に伴う経緯と覚書

「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」と勝手に名付けた専属モデル造形計画は先般第5弾で終了を迎えた。無論まだまだ微調整したい箇所はあるが当初の目的であるポートレイト撮影時に両手と首が稼働し、なるべく自然で等身大の女性モデルを作ろうとやってきたことが3年目でやっとまずまずの結果となったからである。


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※ELIZAと名付けた造形モデルが完成。笑顔は FaceApp で処理した


なぜ私がこんな事を始めたのかについては「当研究所に専属モデルが配属...Macテクノロジー研究所もファッション業界進出か?!」に詳しいので繰り返さないが、はじめたのは3年ほど前のことになる。
ともかく仕事の一環で偶然手に入れたヘッドマネキンにWigを被せたその姿を気に入ってしまったのが直接の原因だった。

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※マネキンの材質を確認するため手に入れたヘッドマネキンがそもそもの発端となった。購入は2015年11月


世の中にはマネキンやらいわゆるラブ・ドールといった類の等身大女性の人型は多々あるが、私が目指したのは気に入った頭部(顔)を使ってせめてバストアップの写真を撮れる等身大専属モデルを作ってみようということだった。したがって最初から敷居は高く、経験もなければ専門の道具も揃っていない環境では実現するのは難しいと覚悟していたが、まあ趣味としては面白い目標だと考えた。

これまでのいくつかのアーティクルにも書いたが、いい歳したジジイが等身大の人型、それもうら若き女性を作ろうとしていることを知った友人知人達の中には「おいおい、大丈夫か」と心配してくれる奴もいた(笑)。
「それほど等身大女性の人形(ひとがた)が欲しければラブ・ドールでも買った方が簡単だぜ」とストレースに言う友人もいた。

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※eBayで購入した白色プラスチック製トルソー。2016年4月入手


確かに振り返って見るとある意味こうしたバカげた?ことを成し遂げようとする熱意はある種の狂気を含んでいるのかも知れない。
ただし一応お断りしておくが、私はラブ・ドールを欲しい訳でも作ろうとしたわけではない。いや別にラブ・ドールだと思われても一向にかまわないが、私の目指す等身大人型女性モデルはトルソーのボディにお気に入りのヘッドマネキンを組合せ、別途両腕を自作し、ある程度のポーズを取れるように造形することだった。
他人から見れば危なく可笑しな行動かも知れないが、私にとっては彫刻でもするような高揚感を持って事に当たった。

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※前記トルソーにヘッドマネキンを強引に組み合わせてみた…。2016年5月


したがってトルソーだからしてそもそも太腿までしかなく足先まで揃えるつもりはなかった。
くどいようだが、たまたま手に入れたヘッドマネキンに見せられ、腰から上を造形してみようと思い立ったわけだが、途中で挫折し飽きたら放り出しても誰も文句は言わないし投下した金も微々たるものだろうから惜しげも無いと考えてもいた。しかし取り急ぎイメージを膨らませ発泡スチロールと紙粘土で作ったトルソーにヘッドマネキンをはめ込み、Wigを被せてシャツを着せたところ自分でも可笑しな程惚れ込んでしまった。まるでピグマリオンのように…。

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※こうした写真ではなんとか様になったが、ボディがホワイトのためヘッドとの接着部が目立ち胸や肩は出せず、また首も動かなかった


途中で等身大の女性の姿・造形をリアルに把握しようと安価な全身像のマネキンを手に入れたりもした。腕や首は動かないがこれなら頭から足先までが揃っているから適切な衣裳を着せれば目的の撮影には使えるかも知れない。しかし「人形は顔が命」のとおりそもそもが気に入った顔で無ければ私自身が満足できない。

とはいえボディとなる適切なトルソーを探し出すこと自体が当初は難しかった。国内のウェブサイトは勿論eBayなども探しまくったが頭部と合いそうな肌色のトルソーというもの自体がなかなか見つからなかった。
現在では苦も無く探し出せるのに当時はeBayでさえ思ったトルソーが見つからなかったのだ。5か月ほど後、仕方がなく肌色は諦め形だけをまず試作しようとホワイト色の樹脂製トルソーをeBayで手に入れ、それを前後すなわち前身ごろと後ろ身ごろに切り裂いてヘッドマネキンを組み込むという荒技を試みた。

そしてそれに簡素な両腕骨格を自作することに…。その結果は長袖を着せればボリューム感はないにしてもまずまずそれらしく見えたもののどうにも満足できない。
この3年を振り返ってみるとたった3年なのに現在は随分とマーケット(大げさ)というかマネキントルソーの種類が増えたことに驚く。

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※やっと肌色のトルソー入手。首も動かせるようになり関節を持った両腕も試作。しかし腕は見せられず相変わらず衣裳は長袖に留まった。2016年6月


もともと存在しなかったのか、あるいは存在したものの一般的ではないからとネットには出て来なかったのかは不明だが、当初は肌色のトルソー自体が見つからなかったし例えば女性の手にしても右手だけはあっても同じ仕様で左手はなかったりと挫折しそうになるほど思ったものが入手できなかった。

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※両手もなるべく自然にしたいと多くのものを手に入れた


今年になって3Dプリンターを手にしたのも「無いなら自分で作るしかない」という発想が原点にあったからだ。
結局先般太腿から首までのトルソーボディは理想的なものが見つかった為に両腕を自作することは断念したが、首と頭部を繋ぐジョイント部分などには3Dプリンターによるオリジナル造形が生きている。

造形目的は写真撮影向けのモデルとしてだが、その過程でいくつかの企画に採用されたこともある。しかし最大の効用はひとつの目的を持ち "作ってみよう" という意欲が3年も続いたことだと思っている。そして絵画や彫刻といったものを飾るより気に入った女性のリアルな姿が "いつもそこにある" ということにある種の癒やしを感じている。
そもそも芸術として高く評価されている作品の多くは絵画にしろ彫刻にしろ女性の美をテーマにした作品が多いのだ…。

3年という長い時間と結局バカにはならない費用をかけて造形を模索した結果、ELIZA(イライザ)と名付けた専属モデルは「造形中」だけでなく「造形後」も興味を失わない希有なアイテムとなった。

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※完成形モデルは肩を出すこともできるようになった


それに新しいことに挑戦すると連鎖的に新しいことを多々知ることになる。今回一連の作業の中で多くの情報を集めたが、これまでまったく知らなかった材質の知識や新しい接着剤の存在、多々工具や道具を知ることとなった。
人の評価はともかく私の「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」はそれまで未知の世界だった多くのことを知る良い機会となった...。
一番の収穫は3Dプリンターに出会い、手に入れる気になったことかも知れない。



ラテ飼育格闘日記(612)

二三日気温が低い日が続いただけに34℃の外気温が応える。本来なら最低でも30分はラテを歩かせたいと思ってはいるが、この季節はまずは暑さで体調を崩さないように注意するのが最優先と考えざるを得ない。それはラテも同感のようで長く時間のかかるような方面には歩かない…。


この日記がアップされるのは8月18日(土曜日)だ。したがって夏休みも後半月を切ったことになる。
子供たち当人にとってはいつまでも夏休みでいたいと思うかも知れないし、残っている宿題で頭が痛いという時期だろうが、ラテとオトーサンの勝手な思いとしては早く学校が始まって欲しいと思っている(笑)。

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※どうして皆いないのだろう?


こんなことをあからさまにいえばきっと子供たちから嫌われるだろうが一日も早く夏休みが終わりそして秋になって欲しいと思うのが正直な気持ちだ。
激暑や台風の影響といった天候的なこともあるが、夏休みに入ってから知り合いの子供たちに出会ったのはこれまでたったの3度しかない。

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※今日は誰かに会えるかなあ…


1度目は7月21日、すなわち夏休みに入った翌日に馴染みの公園で小学3年生の女子に出会った。ラテにオヤツを見せて「お手!」をさせるのが楽しみな女の子だった(笑)。
次はオトーサンがコンビニからの帰りだったからラテは連れていなかったが、4年生の女子と「こんにちは」と言いながらすれ違った。そして3番目はラテが日陰で座り込んでいるとき、3か月ぶりになるが今年中学生になったこれまた女子に久しぶりに出会ったというだけである。

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※勇んで出たけどやはりここが気持ちいいよ


そもそもこの猛暑・激暑で気温が30℃を越え、路面にしても所々で40℃を越えるという時間帯に外で遊び回っては危険だから子供たちの姿自体が見えないのだ。
あれほど熱心なサッカー少年たちの姿もない。
したがってそうしたことが続けばラテも炎天下の公園に向かう意欲もなくなり、日陰の場所で腹ばいになって散歩は終わりということになりがちなのだ。

そんなラテだったが数日前、気温が少し低かったからかラテは公園の方に向かった。一応見馴れた場所を一回りして公園に入り、誰も人がいないのを確認するとそそくさと公園から出ていく。そして慣れている道とは言えすぐ側にあるマンションのエントランスに座り込み、人が出てくるのを待つ気配を見せた。

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※大好きなAちゃんの住むマンションのエントランスに座り込む


オトーサンは思わず「もうしばらくAちゃんたちは帰ってこないよ」と言いながら頭を撫でてやったが、可愛がってくださるファミリーも学校の夏休み直後からご実家に行かれているのでお会い出来ていないのだ。勿論そのマンションはファミリーがいらっしゃるマンションでありラテはよく知っているからこそ、待てば会えるかも知れないと思ったのだろうか。

無論ラテには夏休みだとか帰省といった理屈は分からない。だからなぜこれまで毎日のようにAちゃんやそのオカーサンと会えていたのに会えないのかが不思議なのかも知れないし、ここでしばらく待てば自動ドアが開いて「ラテちゃん!」とAちゃんが駆けてくる…と考えているのかも知れない。

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※遅い時間に帰宅し夕食をとる女房の脇にぴたりと貼り付くラテ(笑)


オトーサンがリードを引こうとするとラテは抵抗しまだここにいたいという意志を示す。無理矢理引いて帰路につこうと思ったが、ラテのキラキラした表情を見ると些か気の毒になってしばし人様のマンションのエントランスで一休みしていたオトーサンとラテなのだった。




顔写真を笑顔にする iOSアプリ「FaceApp」を検証

笑顔は何物にも代え難いものだ。生きていくだけで大変な時代だからか思えば人々から笑顔が少なくなったように思うのは私だけだろうか。と随分高尚な物言いからはじめたが、自身で造形した等身大女性モデルの笑顔を見たいと「FaceApp」という iOS アプリを使ってみたのでその感想を…。


なにしろ我が専属モデルは美しいが微笑んでも笑ってもくれない。しかしもともと写真撮影の小道具として考え造形を進めてきたものでもあり、時には笑顔の一端をフレームに入れたいと常々考えてきた。無論それはフォトレタッチに頼ることになる。
私が常用しているデジタルコスメチックソフト、例えば「PortraitPro」とか「FaceFilter3 Pro」といったツールにも表情を変える機能が備わっている。しかしそれらは化粧を施す、眉の上下、目を細める、唇の両端を上げるといった程度もので精々表情を柔らかくし微笑を加えるといった程度の機能に留まる。

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※「FaceApp」は気に入ったのでアプリ内課金を実行しPro版にした


先日ネットで顔写真を笑顔にできる「FaceApp」というアプリを知り早速確認してみた。これまで知らなかったのはそれが iOSアプリだったからだ。私はiOSでフォトレタッチはもとより具体的ななにかを創造したり加工したりは興味は無くどうしてもMacで作業したい派だから…。

ともかく出来が素晴らしいと聞きそれならひとつの手順として使ってみようとiPhoneにインストールしてみた。
「FaceApp」は写真の顔を笑顔に変換してくれるがそれだけのものではない。若くしたり反対に年寄りの顔にすることや男性化や女性化も可能だし、サングラスやメガネを加えたり髭面にすることもできる。しかしやはり秀悦なのは笑顔にする機能だ。

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※写真のライブラリから一枚を選んだりその場でリアルタイムに撮った写真も使える


これは2種類の機能に分類されている。「FaceApp」は「Fun」と「Style」に機能が大別されているが、「Fun」の「笑顔」は歯を見せた笑いで「Style」の「Tight smile」は歯を見せない笑顔になる。
早速専属モデルの写真で試してみたが「Fun」にしろ「Tight smile」もその自然さに驚いた。

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※左がオリジナル。中央が「Style」の「Tight smile」で右が「Fun」の「笑顔」


それは単に唇の形を変えるという単純なことだけではなく、口元はもとより目尻や頬の筋肉も自然な形にレタッチしてくれる。そして「Fun」は口元を閉じている写真でも歯を見せた笑顔を形成してくれる。
私の目的は笑顔だけだから後の機能には興味は無いがこれまでになかったほど自然な笑顔が気に入りアプリ内課金も支払った。

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※もう少し大きなサイズでご覧いただこう。これはオリジナル写真


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※「Style」の「Tight smile」による笑顔


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※「Fun」の「笑顔」による笑顔


しかしすべて満足かといえば贅沢なもので不満というか出来ることなら実現して欲しい機能がいくつかある。
まずは笑顔に変換した写真を保存するもその解像度は一律1280×1706ピクセルになってしまうことだ。
これはiOSのアプリとして使いやすい事を考慮していることや画像変換をネット経由の専用サーバーで行っている関係からの仕様だと思うが是非高解像の写真もサポートして欲しい。

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※このような写真でも顔部位をきちんと認識してくれる


そしてそもそもMac版が欲しい…。さらに笑顔も前記の2種に留まらず、またその程度・過程もスライドバーなどで可変でき調整が可能なら個人的には2万円程度でも買う(笑)。
というわけで次の有力候補が見つかるまで「FaceApp」は有効利用させてもらうつもりだが、もし別途こうしたアプリのMac版が存在しご存じの方がいらっしゃれば是非お教えいただきたい。

FaceApp: Neural Face Magic


ラテ飼育格闘日記(611)

激暑が続いたと思ったら今度は台風、まったく異常気象といってしまえばお終いだが気象も政府に同調して異常続きだ(笑)。なんとかまともな夏に戻って欲しい。こうした時期はラテとの散歩もままならないし日記に残すような印象的な出来事もあるはずもない。


気温が高いし夏休みだ。公園ならずともそもそも人の姿が少ないから出会いもなくただただサウナのような中を少しでも早く排泄を終えさせて戻ることを考えなければならない。
それはオトーサンだけの考えではなくラテも一緒のようで、外には出たいがこの蒸し暑さには耐えられないからだろう、そうそうにUターンして戻ろうとする。

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※暑いし、雨は多いし、人は居ないし,夏休みは嫌いだぁ!


しかし短時間でもこの暑さは堪えるのだろう玄関にはいっても「ハアハア…」と呼吸が激しい。オトーサンは冷蔵庫で冷やした水でタオルを浸して絞り、それでラテの頭全体を包んであげるとラテは目を瞑りながらじっとしている。
本当ならオトーサンだってシャワーを浴びたいし、そこまではともかく水で顔を洗いたいがまずはラテが最優先だ。

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※えへっ,極楽極楽


そうしたオトーサンの心遣いがあってもラテ自身、散歩に不満が募っていくようで機嫌が悪い。
散歩したくても暑すぎる。腹ばいになっても冷たくない。子供たちにもほとんど会えない…といったあれこれがラテなりに積もり積もっているのかも知れない。
だからだろうか、時に玄関に伏せているラテを拭きやすいように立たせようと「ラテ、立て」と命じてもなかなか動かない。

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※台風の影響でどゃぶりの雨、濡れてしまいました


オトーサンの口調も次第に強くなり「起きやがれこのタコ!」と心の中で叫びながらボディランゲージで立たせようとするとラテはオトーサンの心を読んだのか、歯を向き出し「ガウッ」と威嚇する(笑)。
無論実際に噛まれたことは一度もないがたまたま歯が当たっただけでも痛いもののその程度の脅しに負けていてはリーダーシップは取れない。

やはりここはオトーサンも怒っていることを示す必要がある。お前はオトーサンに「ガウッ」といってはいけないのだ…ということも示さなければならない。
ということでオトーサンは手加減しながらラテの頬を平手打ち!
ラテの反撃はない(笑)。
と共にラテをそのままにして無言で立ち上がり、その場を一端離れる。無視も時に効果があるからだ。

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※久しぶりにご近所さんから「ラテ!」と声をかけていただきました


約5分後にオトーサンは再びラテの前に陣取り何ごとも無かったかのように「ラテ、立って」というと今度は素直に立ち上がった。
別にオトーサンが怒ったからというより瞬間瞬間でラテも虫の居所が悪いときもあるのだろう。
暑いところから戻り、冷房が効いている場所にやっと腹ばいになったというのに立つのは面倒だと思ってもそれは当然かも知れない。なにしろお年寄りなのだ…。

しかし人に対してポーズだけとはいえ「ガウッ」という行為は穏やかでは無いが実はオトーサンと女房、それも自宅内に限ったことで外でやったこともないし子供を含めて外で出会う人間に向かってそうした威嚇をしたことは一度もないのだ。したがって身内だからこそ見せる我が儘と捉えているが実に生意気な娘には違いない。

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※こんな日はオトーサンとボール遊びが一番(笑)


そんなオトーサンに今日も夕食後ボール遊びの要求があった。
オトーサンは面倒だなと思いつつ、数個のオヤツとラテがお気に入りのボールを取りだして和室に入るとすでにラテは嬉々とした表情で遊びのポーズで迎えてくれる。
ボールを高く放ったり、壁にぶつけたり、時にはそこいらにある物の下に隠して探させたりするが実に楽しそうである。
ほんの10分程度ではあるが一通りのメニューを終えるとラテは納得して静かになる。
いつもの定位置で寝始めたり、女房の部屋に行きそこで横になったりするがその寝顔を眺めると「先ほどの平手打ちはごめんな」と心の中で謝ってしまうオトーサンであった。



フィラメントを繋ぐツール「EasyWelder kit」レポート

いま頭の中に常駐しているあれこれの中で3Dプリンターに関わることが大きい。まだまだ勉強しなければならないし知りたいことも多いしやってみたいことも多々ある。ともあれ当初は3Dプリンターそのものだけに目が向いていたが、よい結果を生むには相応の準備というか地味な努力もしなければならないことが分かってきた。


過日レポートしたフィラメント乾燥機「PrintDry」もそうした一例だ。
今回ご紹介する「EasyWelder kit」も私にとって今後より大切なツールになっていくのではないかという予感もあって購入したアイテムである。

「EasyWelder kit」とは何なのか。それはフィラメントを繋ぐツールなのだ…。
そもそもフィラメントを繋ぐ必要などあるのか?という疑問を持つ方が居るかも知れない。「使用中のフィラメントが折れた際の修理」という意味で捉えるとすれば間違いではないが正確ではない。

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※「EasyWelder kit」はヒーティングクランプ(上)とフィラメント保持プレート(下)で構成される


MDF方式の3Dプリンターにはフィラメントが必須だが、それは通常スプールと呼ばれる一昔前のフィルムロールみたいなものに巻かれている。その巻かれた一端を3Dプリンターがエクストルーダーに送り込みながら溶解しヘッドから抽出するわけだ。そのフイラメントの太さも数種あるものの一般的になったのは直径1.75mmのものだ。
材質にもよるがフィラメントは細いため、折り癖が付いたり時には完全に折れてしまうこともある。

それ以前にフィラメントの使用は無駄が多いという現実がある。どういうことかといえば、フィラメントにもPLAやABS等など様々な樹脂があるしカラーも多様だ。したがって特別な場合はともかく一種類同一カラーのフィラメントばかりを使い続けることはあまりない。
「今回はクリアなフィラメントを使おう」「今回はブラックで」といったように目的によって使うフィラメントは違ってくるのが一般的だ。

一方、市販されているフィラメントは通常1Kgとか600gといった単位で販売される。PLAの場合、大まかになるが1Kgだと長さは約330mほどになるようだ。これを一度のプリントで使い切るような造形はあまりないのではないだろうか。したがって何分の1を使い次は別のフィラメントを…というケースは多い。
結局この繰り返しとなれば後数メートル、10数メートルといった少量残ったフィラメントが増えてくる。
同種同色のフィラメントがこうして複数できあがる理屈だが、これらをつなぎ合わせることができればスプールに巻き直してまともな造形に使える理屈だ。

また意図的にカラーの違うフィラメントを繋いでカラフルな造形をということもありだ。
3Dプリンターによってはプリント途中でフィラメントが無くなった場合や意図的に一時停止させにて新たなフィラメント供給を待ってプリント再開できる機種もあるが、フィラメントを効率よく合理的にそしてユニークな使い方をと考えれば「EasyWelder kit」の出番は決して少なくないはずだ…と考えた次第。

ということで前置きが長くなったが「EasyWelder kit」の概要をご紹介しよう。
製品構成はEasyWelder本体であるヒーティングクランプ(USとEUプラグが選べるがUSプラグを選択)、フィラメント保持プレート、接着を防ぐパーチメントペーパー(硫酸紙)だ。

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※まずはヒーティングクランプのスイッチを入れ温度設定して加熱


使い方だが、まずヒーティングクランプを加熱する(100℃~200℃)。そして繋げる2本のフィラメント先端を綺麗にし相互の両端を鋭角にカットする。

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※つなぎ合わせるフィラメントの両端をこんな感じにカット


フィラメント保持プレートの両端にフィラメントをセットし切断面方向を合わせつつ2mmか3mm重ね合わせる。ちなみに写真では分かりやすいようにとフィラメント保持プレートに対して2本が平行に置いたが、実際には上下に重ねると具合が良い。なお扱えるフィラメント径は1.75、2.85そして3mmだ。

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※フィラメントを保持プレートの左右にセットしフィラメント先端を少し重ね合わせる


フィラメントの両端を合わせたらパーチメントペーパーを適度なサイズにカットしフィラメント接着部位を巻くようにする。これは加熱した「EasyWelder kit」とフィラメントが溶けて融合しないための剥離紙だ。

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※パーチメントペーパーで重ね合わせたフィラメントを巻く


最後に加熱してある「EasyWelder」クランプの溝にパーチメントペーパーのままのフィラメントを挟み込む。勿論このとき、フィラメント径に合わせた溝を使う。そして1.75mmのPLAフィラメントなら約7秒間ほど圧着する。

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※フィラメントを保持プレートとクランプの位置を合わせて圧着


クランプを外したら冷却をするため30秒間ほど待ち、その後パーチメントペーパーを剥がす。
基本的なミスがなければこれで両端は溶接されているので結果を確認後はバリを取る…。

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※冷えるまで待ってパーチメントペーパーを外す


とまあ手順はこんな感じだ。
ただし正直言うとこうして整然と文章にできるほど実際は簡単ではないのだ。いや確かに前記の要領で繋がることは間違いない。しかし実際問題 "使える" フィラメントをと考えるとなかなかに難しいあれこれが立ちはだかる。

まずフィラメントによって多少温度や圧着時間を変える必要があること。なぜなら時間を掛けすぎると圧着部位はかなり潰れてしまうし足りなければ繋がらない。

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※慎重過ぎるとこんな感じになりがち。後でバリを綺麗に取るのはなかなか大変


この辺の要領は実際自分で何度もテストを繰り返した上で感触を掴むしかない。
そしてなによりも理屈はともかく実際にフィラメント同士をフィラメント保持プレートにセットするのも使い勝手がよくないしいざ始めようとすると気づくことがある。

今回のようにテストは左右それぞれのフィラメントはせいぜい10cm程度の短いものでやったから良いものの、実際に数メートルとか十数メートルのフリーになったフィラメントを繋ごうとするとフィラメント保持プレートの周りに巻き癖がついたフィラメントが左右共に手元に集中し巻き込んでしまい圧着する邪魔になってしまう。

第一まずまず繋がったとしてもそのまま使うことはできない。熱で圧着した訳だから当然バリが目立つからそれを取り除く必要がある。無造作に使えば詰まりの原因ともなってしまうに違いない。特にPLAフィラメントは扱いにくくなかなか思ったように仕上がらないことも多い。
イメージとしてはもっと簡単容易に繋ぐことができると考えたのが甘かったのだろうが、個人的には気軽に使う気がしない。
慣れやコツといったあれこれを克服すればイメージも変わるのかも知れないが個人的には期待しただけに「何だかなあ」の製品であった。



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プロフィール

appletechlab

Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員