「J&T 3Dプリンター DIYキット JT-28-004」初のノズル交換記

組立式「J&T 3Dプリンター DIYキット JT-28-004」を気に入って本格的な利用をと考えた矢先にノズルが詰まった。一応最低限のメンテツールを所持していたので応急処理をと試みたが駄目で、結局メーカーから交換用ノズルを送って貰うことになった。国内で同種のものを入手できるには違いないが何しろノズル交換は初めてでもあり大事を取った。


「J&T 3Dプリンター DIYキット JT-28-004」(以後J&T 3Dプリンター)は私にとって3台目の3Dプリンターだがこれは初めて組立式の製品だからして勝手が違う。またこれまで使ってきた3Dプリンターはノズルが詰まったことはなく、したがって交換云々の経験もまったくなかった。
ともあれこの種の製品ではノズル交換程度はユーザー側で直すのが鉄則のようだし、そもそもが3Dプリンターのより詳しい仕組みやらを知りたいからとわざわざ選んだDIY製品なので覚悟して事に及んだ。

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※交換用ノズル


さて、メーカー(広東省深圳)から発送連絡後、到着までには二十日かかった。EMSで送ってくれたがどうやら彼の地も気象状況が悪く通常より遅くなるかも知れないと言われていたが、こればかりは仕方がないものの二十日間当該3Dプリンターが使えないのは傷手だった。
別途写真入りの交換手順のPDFを提供いただいたので何度もそれを読み頭に叩き込んだ。

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※ノズルユニットを含むエクストルーダー全体


無論経験がある人にとっては大した作業ではないかも知れないが3Dプリンターの重要な部位でもあるエクストルーダーを分解し、ノズルユニットを取り出さなければならないのだから緊張する。
取り急ぎ必要であろう道具一式を用意し事に臨んだ。

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※必要であろう道具類を準備する


まずはエクストルーダーが乗っている受板下方にある二つのネジを外し押し出しユニットを浮かせ、続いてエクストルーダー上部の配線のうち押し出しユニットから繋がっている配線を外す。

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※エクストルーダーが乗っている受板下方にある二つのネジを外し押し出しユニットを浮かせ、続いてエクストルーダー上部の配線のうち押し出しユニットから繋がっている配線を外す


次に六角レンチでファンユニット2箇所のネジを外して取り外す。

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※ファンユニットを外す


これでファンダクトなどが分離でき、ノズルユニットだけを取り外すことができる。

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※ノズルユニットを取り外した


ともかくケーブルを切断したりユニットに大きなダメージを与えてはノズル交換だけでは済まなくなるので慎重にも慎重を期す。
そしてそのノズルユニットをパーツ毎に分解した…。

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※ノズルユニットをパーツ毎に分解


さて問題はフィラメントが通過するパイプとノズルの確認をしてみたがやはりノズルは完全に詰まっている。またパイプの内部も掃除を試みると直径約2.5mm程度のフィラメントの塊が出て来た。どうやらこれが新たなフィラメントの挿入を拒んでいた原因だろう。

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※押出パイプ内に2.5mm程度のフィラメントの塊があった


専用のツールでパイプの通りを確認した後に新品のノズルを用いて組立直すことに。組立は当然のことながら分解の逆となり要領が分かっているのでスムーズにできた。
問題はこのノズル交換が問題なくできたかどうかは実際にプリントしてみなければ分からない。

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※交換した新しいノズル


しかしこのまま闇雲にプリントを行っては新しいトラブルの元を作ることになってしまうかも知れないという程度の経験はあるのでまずはプラットフォームやZ軸を上下するX軸ユニットが平行であるかの調整とホットベッドの水平出しを念入りに行うことにする。

その後、購入時にSDカードに入っていたテストデータをプリントしてみることに…。
正直恐る恐るといった感じだったが、強化ガラスのホットベッドにシート類も糊も使わず綺麗なプリント結果が得られた。

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※ノイズ交換後のプリントも綺麗に出来た


前記したとおり、二十日間使えなかったことは傷手だがこれでノズル交換の自信もついた。
問題はなぜノズルが詰まったかという理由だ。
これには使ったフィラメントの問題、あるいは電源を切るまでの後処理の問題などが考えられるがこれからも注視していこう。

ただし交換時に重要なことにも気がついた。それは今回述べたような手順で幸いにもノズルの詰まりをメンテできたが、本格的に?詰まった際にはヘッド部を昇温させておかないと固まり炭化したフィラメントは容易に取り除けないしノズルも簡単に取り外せないことだ。

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※詰まったノズルと新品


今回みたいにノズルユニット全体を交換する場合には電源を切ることになるが(配線も外すから)ノズルだけを交換したい場合などはその部位の温度を上げておく必要がある。
火傷をせずに安全に交換するためには正しい手順を知ることは勿論、適切な道具類も必要だ。まだまだ知らねばならないこと、勉強しなければなないことが多いことを思い知らされる…。



デュアルヘッドの3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」で多色印刷の考察

デュアルヘッドの3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」は良い意味でもっと知られてよい製品だと思う。というかメーカーのウェブサイトにはどちらかというと控えめな機能紹介しかなく、それがどのような意味・効果・利便性を生むのかといった点には踏み込んでいないために損をしている。


今回はその「FLASHFORGE Inventor」による多色プリントの可能性について簡単に考察してみたい。
もともと「FLASHFORGE Inventor」はデュアルヘッドの3Dプリンターであるからしてモデリングおよびスライサーの工夫により二色プリントを可能にしている。

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※デュアルヘッドの3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」


シビアな意味において完成度の高い二色プリントは容易ではないが、ヘッドが2つあるわけで物理的に二色のプリントをサポートしているわけだ。

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※理想的な仕上がりにはほど遠いが二色プリントの実験結果。しかしデュアルヘッドならではの技だ


しかし今回はデュアルヘッドではなくシングルヘッドを使い、プリント途中でフィラメントを交換することで多色のプリントができることを実証したのでその報告をしてみたい。
まずFlashforge JapanサイトのINVENTORのページで確認しても多色プリント云々だけでなくプリント途中でフィラメントを交換できるとは明記されていない。

そもそも「FLASHFORGE Inventor」にはフィラメント検出機能はなく万一フィラメントの供給が切れてもプリントが自動でストップする機能はないようだ。しかし自動はともかく現実にフィラメントがプリント途中でスプールから無くなる可能性はあるわけだ。
ではそうした場合にはどうするか。
マニュアルによれば「樹脂交換:プリント途中にフィラメントの交換が必要な場合は一時停止してから作業を行う」とだけ実に簡素な説明があるだけだ。
ということで多色プリントはともかく、プリント途中でフィラメントが切れそうな場合にどのような手順で交換が可能なのかと実際に試してみた。

まずはプリント途中でポーズボタンを押す。これで当然だがプリントは中断しエクストルーダーがホットベットから離れた状態となる。
その後、ポーズボタンの右にあるツールボタンを押すと「樹脂交換」「カメラ」「キャンセル」というメニューが表示する。ここで文字通り「樹脂交換」を押すとフィラメントの交換ができるわけだ。

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※プリント中断させツールボタンを押すとこのようなメニューが表示


このフィラメント交換も実用的なもので左右フィラメントの取り出しと引き込みが安全に出来る。したがってこれまで使っていたフィラメントの取り出しを実行し、新しいフィラメントの引き込みを行ってフィラメント交換を済ます。 

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※「FLASHFORGE Inventor」はフィラメントの引き込みや取り出しは簡単容易に行える


交換が終わったらグリーンの戻るボタンを押しプリント再開をするとエクストルーダーが中断位置へ正確に移動しプリントが再開される仕組みだ。

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※プリントの再開


ということはフィラメント切れの時だけで無く意図的にフィラメントを変えることができる理屈であり、例えばレッドのフィラメント使用中に途中からブルーのフィラメントに変更し、しばらくプリントした後に今度はホワイトに変える…といったことも可能になる理屈だ。

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※プリント途中で3回、プリント中断しフィラメントを交換した結果、4色のオブジェが出来上がった


実際に簡単なテストをしてみたが確実にフィラメント交換が出来、4色カラーのプリントが出来た。ただし冒頭にご紹介したデュアルヘッドの利点を生かした二色プリントとは違い、複雑な混合プリントは無理でありあくまで積層方向に色を重ねることに限定される。
したがって現実的にどれほど実用面で利点があるかについては異論もあろうが、裏技で済ませてしまうにはもったいない気がするのだが…。



専属モデル造形計画「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」終了に伴う経緯と覚書

「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」と勝手に名付けた専属モデル造形計画は先般第5弾で終了を迎えた。無論まだまだ微調整したい箇所はあるが当初の目的であるポートレイト撮影時に両手と首が稼働し、なるべく自然で等身大の女性モデルを作ろうとやってきたことが3年目でやっとまずまずの結果となったからである。


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※ELIZAと名付けた造形モデルが完成。笑顔は FaceApp で処理した


なぜ私がこんな事を始めたのかについては「当研究所に専属モデルが配属...Macテクノロジー研究所もファッション業界進出か?!」に詳しいので繰り返さないが、はじめたのは3年ほど前のことになる。
ともかく仕事の一環で偶然手に入れたヘッドマネキンにWigを被せたその姿を気に入ってしまったのが直接の原因だった。

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※マネキンの材質を確認するため手に入れたヘッドマネキンがそもそもの発端となった。購入は2015年11月


世の中にはマネキンやらいわゆるラブ・ドールといった類の等身大女性の人型は多々あるが、私が目指したのは気に入った頭部(顔)を使ってせめてバストアップの写真を撮れる等身大専属モデルを作ってみようということだった。したがって最初から敷居は高く、経験もなければ専門の道具も揃っていない環境では実現するのは難しいと覚悟していたが、まあ趣味としては面白い目標だと考えた。

これまでのいくつかのアーティクルにも書いたが、いい歳したジジイが等身大の人型、それもうら若き女性を作ろうとしていることを知った友人知人達の中には「おいおい、大丈夫か」と心配してくれる奴もいた(笑)。
「それほど等身大女性の人形(ひとがた)が欲しければラブ・ドールでも買った方が簡単だぜ」とストレースに言う友人もいた。

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※eBayで購入した白色プラスチック製トルソー。2016年4月入手


確かに振り返って見るとある意味こうしたバカげた?ことを成し遂げようとする熱意はある種の狂気を含んでいるのかも知れない。
ただし一応お断りしておくが、私はラブ・ドールを欲しい訳でも作ろうとしたわけではない。いや別にラブ・ドールだと思われても一向にかまわないが、私の目指す等身大人型女性モデルはトルソーのボディにお気に入りのヘッドマネキンを組合せ、別途両腕を自作し、ある程度のポーズを取れるように造形することだった。
他人から見れば危なく可笑しな行動かも知れないが、私にとっては彫刻でもするような高揚感を持って事に当たった。

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※前記トルソーにヘッドマネキンを強引に組み合わせてみた…。2016年5月


したがってトルソーだからしてそもそも太腿までしかなく足先まで揃えるつもりはなかった。
くどいようだが、たまたま手に入れたヘッドマネキンに見せられ、腰から上を造形してみようと思い立ったわけだが、途中で挫折し飽きたら放り出しても誰も文句は言わないし投下した金も微々たるものだろうから惜しげも無いと考えてもいた。しかし取り急ぎイメージを膨らませ発泡スチロールと紙粘土で作ったトルソーにヘッドマネキンをはめ込み、Wigを被せてシャツを着せたところ自分でも可笑しな程惚れ込んでしまった。まるでピグマリオンのように…。

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※こうした写真ではなんとか様になったが、ボディがホワイトのためヘッドとの接着部が目立ち胸や肩は出せず、また首も動かなかった


途中で等身大の女性の姿・造形をリアルに把握しようと安価な全身像のマネキンを手に入れたりもした。腕や首は動かないがこれなら頭から足先までが揃っているから適切な衣裳を着せれば目的の撮影には使えるかも知れない。しかし「人形は顔が命」のとおりそもそもが気に入った顔で無ければ私自身が満足できない。

とはいえボディとなる適切なトルソーを探し出すこと自体が当初は難しかった。国内のウェブサイトは勿論eBayなども探しまくったが頭部と合いそうな肌色のトルソーというもの自体がなかなか見つからなかった。
現在では苦も無く探し出せるのに当時はeBayでさえ思ったトルソーが見つからなかったのだ。5か月ほど後、仕方がなく肌色は諦め形だけをまず試作しようとホワイト色の樹脂製トルソーをeBayで手に入れ、それを前後すなわち前身ごろと後ろ身ごろに切り裂いてヘッドマネキンを組み込むという荒技を試みた。

そしてそれに簡素な両腕骨格を自作することに…。その結果は長袖を着せればボリューム感はないにしてもまずまずそれらしく見えたもののどうにも満足できない。
この3年を振り返ってみるとたった3年なのに現在は随分とマーケット(大げさ)というかマネキントルソーの種類が増えたことに驚く。

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※やっと肌色のトルソー入手。首も動かせるようになり関節を持った両腕も試作。しかし腕は見せられず相変わらず衣裳は長袖に留まった。2016年6月


もともと存在しなかったのか、あるいは存在したものの一般的ではないからとネットには出て来なかったのかは不明だが、当初は肌色のトルソー自体が見つからなかったし例えば女性の手にしても右手だけはあっても同じ仕様で左手はなかったりと挫折しそうになるほど思ったものが入手できなかった。

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※両手もなるべく自然にしたいと多くのものを手に入れた


今年になって3Dプリンターを手にしたのも「無いなら自分で作るしかない」という発想が原点にあったからだ。
結局先般太腿から首までのトルソーボディは理想的なものが見つかった為に両腕を自作することは断念したが、首と頭部を繋ぐジョイント部分などには3Dプリンターによるオリジナル造形が生きている。

造形目的は写真撮影向けのモデルとしてだが、その過程でいくつかの企画に採用されたこともある。しかし最大の効用はひとつの目的を持ち "作ってみよう" という意欲が3年も続いたことだと思っている。そして絵画や彫刻といったものを飾るより気に入った女性のリアルな姿が "いつもそこにある" ということにある種の癒やしを感じている。
そもそも芸術として高く評価されている作品の多くは絵画にしろ彫刻にしろ女性の美をテーマにした作品が多いのだ…。

3年という長い時間と結局バカにはならない費用をかけて造形を模索した結果、ELIZA(イライザ)と名付けた専属モデルは「造形中」だけでなく「造形後」も興味を失わない希有なアイテムとなった。

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※完成形モデルは肩を出すこともできるようになった


それに新しいことに挑戦すると連鎖的に新しいことを多々知ることになる。今回一連の作業の中で多くの情報を集めたが、これまでまったく知らなかった材質の知識や新しい接着剤の存在、多々工具や道具を知ることとなった。
人の評価はともかく私の「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」はそれまで未知の世界だった多くのことを知る良い機会となった...。
一番の収穫は3Dプリンターに出会い、手に入れる気になったことかも知れない。



3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」で多様なフィラメントを使うには

3Dプリンターの製品にもよるが「FLASHFORGE Inventor」はPLAやABSはもとより様々な樹脂フィラメントを使うことが出来る。とはいえ「使える」ことと実際に「使う」ことの間には距離があり、ネットで手に入れられる様々なフィラメントを手にしたところで困惑するに違いない。


MDF型3Dプリンターにフィラメントは不可欠だが、「FLASHFORGE Inventor」はフィラメントをスプール(リール)ごと本体左右に内蔵して使う仕様になっている。その為だろうが一般的に販売されているものが1kgであるのに対して「FLASHFORGE Inventor」用として販売されているフィラメントは600gでありスプルーの直径も小型になっている。

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※「FLASHFORGE Inventor」は庫内左右にフィラメントを装着して使うのが基本


例えばPLAフィラメントをと考えるとFLASHFORGE Japanで「FLASHFORGE Inventor」用として販売しているものはホワイト/レッド/オレンジ/グリーン/ブルーそしてブラックの6色でしかない。
しかしネットで販売されているものにはそれこそ多色なフィラメントが販売されているわけで、用途や目的にもよるがそうしたカラーを使ってみたいと考えても当然だろう。
またデュアルヘッドの利点を生かし、溶解性のフィラメントを使おうと考えるのもまた自然なことだと思う。

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※問題はフィラメントスプールのサイズおよびスプールホールサイズがメーカーによって様々なこと


粗悪品は別にして「FLASHFORGE Inventor」でもそれらの多くのフィラメントを使うことは可能だが、問題は1kgのものはスプルーのサイズが大きいため「FLASHFORGE Inventor」のラウンジトラフに納まらないことなのだ。
ラウンジトラフに余裕を持ってセットでき、エクストルーダー内に引っ張られるスプルーがスプルーごとスムーズに回転してくれないと困る。

調べるまでもなく、そもそも3Dプリンター業界にフィラメント・スプールの規格がないことだ。フィラメントの太さは通常1.75mmのものが標準とされているが、スプールの直径や幅そしてスプールの軸穴直径もまちまちだ。
なぜかといえばこれまで登場したコンシューマ向け3Dプリンターの多くがフィラメントスプールを3Dプリンター本体の外(頭上とか脇)に置いたりぶら下げたりして使う設計が多く、為に多少の違いは何の問題にもならなかったわけだ。

さて「FLASHFORGE Inventor」だが多種多様なフィラメントをどう使うか…。そろそろ業界もなんらかの統一規格を作ってほしいものだが、それを待ってはいられないので何らかの工夫をしなければならない。
まずスプルーの直径と幅が「FLASHFORGE Inventor」のラウンジトラフに納まるがスプルー軸穴のサイズが違う場合は付属の軸受けに合うよう、アダプターを作るのが一番だ。

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※スプールと軸穴サイズを自作のアダプターで対処できるフィラメントもある。また自作したスプールや空になったスプールにフィラメントを巻き付けようとしたが大変なので挫折


問題はスプルーの直径や幅が明らかにラウンジトラフに入らないフィラメントの対処は二つしか選択肢はない。
ひとつはラウンジトラフに入る空いたスプール、あるいは自作のスプールにフィラメントを巻いて使うことだが、試みてはみたもののとてもではないが簡単ではないことが分かって挫折。

後はシンプルに「FLASHFORGE Inventor」の外にフィラメントを何らかのホルダーを使って設置し、フィラメントを「FLASHFORGE Inventor」のサイドパネルのスリットからガイドチューブに誘う方法だ。これはスリットの場所選びを間違えなければ現実的な方法であり、何度か試みてみたがフィラメントホルダーの置き場所、置き位置が安定していれば問題は生じない。
ただし左側のサイドパネルのスリットはよいが、右側はエクストルーダーを前後に動かす際に配線がスリット前を行き来するので好ましくない。

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※スプールホルダーをプリンターの外側に設置し、フィラメントをサイドパネルのスリットからガイドチューブに誘う方法が現実的


ということで取り急ぎ左ヘッドに限るが外部から好きなフィラメントを引き入れれば改造も必要なく多様なフィラメントが使えること分かった。
くどいようだがその際に大切なのはフィラメントが滞りなくスムーズに供給できるようなスリットの位置やフィラメントの置き位置に注視しなければならない。



3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」のサポート材にPVAフィラメントを使ってみた

3Dプリンター「FLASHFORGE Inventor」 による造形能力の全容を少しずつだが検証し続けている。かなりの時間がかかることになるが、何ができて何ができないのか、どうやったら上手くいくのか、あるいは難しいのかを知らなければ実用にならない。とにかく一番厄介なのはサポート材の処理だ。これを上手くコントロールできなければ複雑なモデルはプリントできないことになる。


私にとってFLASHFORGE Inventorは2台目の3Dプリンターだが、これまで大小のオブジェクトを多々プリントしてきた。しかし造形の仕上がりの良さはいつもサポート材をいかに綺麗に除去しその痕を消すかにかかっている。
皆が皆シンプルな形のプリントならいざ知らず、入り組んだ複雑なモデルをプリントすることを考えるとサポート材のあり方をいかに制御できるかがプリント成功の鍵となることは間違いない。

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※FLASHFORGE Inventor


私が2台目の3DプリンターにFLASHFORGE Inventorを選んだ大きな理由の一つが本機がデュアルヘッドを持つ製品だからだ。
普通は当然ヘッドは一つであるが、2つあればできることが拡がってくる。勿論ヘッドが1つより2つあれば全てが2倍良いことができるかといえば功罪相半ばといった部分もあるから単純にはお勧めできない。
ともあれ理屈からすればヘッドが2つあれば2色のプリントが可能となるが、私が拘ったのは一方のヘッドに溶解性フィラメントを使ってそちらをサポート材専用とすることでプリント後の処理が格段に簡単となり、かつ綺麗な造形結果となる理屈だからであった。

FDM方式の3Dプリンターで使える溶解性フィラメントには大別してHIPSとPVAの2種があるようだ。
HIPSは主にABS樹脂向けのサポート材らしいが、プリント後にリモネンという柑橘系溶剤に浸すことで溶かすことができるフィラメントである。ただしリモネンという溶剤は取扱が面倒なだけでなく価格も高いという欠点があり、主にPLAフィラメントを使っている私としては好んで使おうと思うアイテムではない。
一方PVAは水に溶解する(実際にはお湯が効果的)ので取扱も簡便だ。ただし一般的なABSとかPLAフィラメントと比較すると価格は3倍近くするものの背に腹は代えられずPVAフィラメントを2種購入してテストを始めた次第。

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※用意した2種類のPVAフィラメント。結局今回はESUNの方で造形した


無論サポート材を溶解性フィラメントに担当させることが可能なのはFLASHFORGE Inventor がデュアルヘッドの3Dプリンターだからだ。一般的なヘッドがひとつの製品では逆立ちしてもできない…。
とにかく簡単なモデルではPVAの神髄は分からないだろうとあえて難しいモデルに挑戦してみた。
それは大英博物館サイトで公開していた「水月観音像」である。オリジナルは12世紀の作品だというが、岩の上に座し、リラックスした独特のポーズで水面に写っている月を眺めている姿だという。

■サポートの設定
 早速スライサー「FlashPrint」にSTLファルを読み込み、サポート材を枝形で試みてみたものの自動サポートで進めたテストプリントは水月観音像の右手先が不出来に終わった。サポートをもっと追加しなければならなかったようだ。
ちなみに「FlashPrint」の場合、サポートは前記した枝形とライン形が指定できる。

一般的な道理からいえば、今回のモデルには枝形が適しているはずだが、どうにも不安定に思え、サポートを手動で多々加するに至って「どうせ、サポートは溶解できる」という前提で考えるなら造形には安定していると思われるライン形をあえて使おうと考えた。

いずれにせよスライサー上でのシミュレーションを確認すると枝形にしろライン形にしろ、フィラメント一種ではプリントした結果は目に見えている。旨く行くはずがない(笑)。
ボディはPLAを使ったが、もしこの複雑怪奇なサポート材をボディと同様PLAでプリントした場合、プリント後にサポートを綺麗に剥離するのはまず不可能だと思われた。

■デュアルヘッドの利点と欠点
 これから行うことはデュアルヘッドならではだが、サポート材をPVAフィラメントに指定し、なるべく左右のフィラメントが混ざらないようにとオプションの「壁」をONにした。なぜならデュアルヘッドで2種のフィラメントを扱う事は思ったほど簡単ではないことが分かってくる。

詳しい解説をするとそれだけで当該ページが埋まってしまうが、要はデュアルヘッドを生かして両方を使うとなれば、右のヘッドで積層しているとき左のヘッドも生きていることを忘れてはならない。
特にPLA樹脂はプリント中にホットエンドの熱でプリントされてないヘッドからも余分に樹脂が垂れてくる。極端に言えば右のPLAフィラメントでサークルを描いたとすれば左ヘッドのPVAフィラメントも同時にサークルを描く。フィラメントを熔解しノズルから押し出すことを厳密にON・OFFできないのだから仕方がない。

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※別の造形失敗例。右側の青い円形をPLAで積層するとPVA指定した左ヘッドも連動する時がある


結果どうなるか…。お互いの積層上にお互いのフィラメントを引きずり、混ざってしまうことが起こりうる。この問題を少しでも軽減しょうとする機能が「壁」オプションなのだ。
「壁」をONにすると文字通りオブジェクトを囲むような壁型のオブジェクトを同時にプリントすることでその壁で移動中のノズルから垂れた樹脂をブロックする感じでプリント中のヘッドクリーニングが可能になる。これによって2色プリントで左右ヘッドから押し出されるフィラメントカラーが混じったりするトラブルを回避できる理屈だが、完璧ではない。

■スライス
 スライサー「FlashPrint」によるスライス設定はどのような状態でプリントされるかビジュアルで確認出来る。なおオブジェクトは通常の座像のままスライスしてテストを繰り返したが、やはり下げた右手の先が綺麗にプリントできないことが多かった。
全体的にはこの座像のままの位置でプリントした方が積層が綺麗だと経験で理解しているが、そうした理由もあって今回はあえて像を寝かした形でスライスすることにした。

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※スライサーFlashPrintによるスライスシミュレーション


さらにこうすると後でサポート材が綺麗に溶けてくれる "はず" だとしても微小な顔にサポート材が不要になるからでもある。
そしてサイズを高さ13センチに設定し最後にプリント時間を短縮するため、像の背面を一部切断した…(あくまでテストプリントなので)。
こうしてGコードに出力したデータはプリント推定時間15時間と表示された。
データの準備はできたので今度はプリントする準備だ。

■PVAフィラメントのセッティング
 手に入れたPVAフィラメントはそのままでは純正品の600gフィラメントよりスプールおよびスプール穴の直径が大きく本体内のラウンジトラフに納まらない。

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※スプール穴のアダプターを3Dプリンターで自作しPVAフィラメントのスプールをセッティング


ウェブでググってみたら同じフィラメントを使うためにラウンジトラフを10mm上に位置させるアダプターを3Dプリンターで作ったという素敵な記事を見つけたので真似してみた。このアダプターをかまして補助用軸で取り付けると回転もスムーズだ。
今回の物よりもスプールの直径サイズや幅が大きなフィラメントは内蔵できないので何らかの工夫をし、外から引っぱり込む工夫をする必要があるが、それはまた後の楽しみとしよう。

■プリント開始
 今回2種類のPVAフィラメントを手に入れ、指定温度でサポート材の造形をやってみたが両方共にビルドシートに定着しない。当初はラフトもサポートも全部溶かしてしまえとばかり贅沢にもPVAに設定したが、ラフト造形の時点で端から剥がれてくる。

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※PVAによるラフトがビルドシートに定着しない。次の機会にはプラットフオームの温度を工夫してみよう


仕方がないのでラフトはPLAとし、前記した理由で横にしたオブジェクトをプラットフォームより数ミリ浮かしてスライスし直した。無論その隙間はサポートで埋まることになるがこれはラフトとモデル本体が造形後剥がれなくなることを避ける意味で有効なのだ。

結果、ラフトはPLAなのでビルドシートにしっかりと馴染み、その上にPVAサポートが造られ、さらにその上にオブジェクトが積層されるということになる。本来サポートは少ないほどよいが今回はPVAを使ったことで溶解できることを信じてふんだんに使ってみた。
またデュアルヘッドを使う訳で、2種のフィラメントが混じり合うことを極力避けるため、解像度設定のオプションである「壁」をONにしてある。なお「壁」の効用は前記「デュアルヘッドの利点と欠点」の通りだ。

■プリント結果
 これまで何度か2色プリントのテストをしてきたが思ったように仕上がったことはなかったから期待はしていなかった。ただただPVAがどれほど綺麗に溶解してくれるかの確認の方が期待値のウエイトが高かった。
さて、予想の15時間を軽く超えプリントが終了した結果を見て「これは大変だ」と思った。何しろ出来上がった姿は鳥の巣みたいでゴチャゴチャだったからだ。
いくらPVAとはいえ、これだけ複雑怪奇に絡み合った積層の中から「水月観音」だけ綺麗に取り出すのは無理かも知れないと絶望感一杯…。

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※プリント終了後の様子。絶望感一杯(笑)


ともあれ気を取り直しまずは手やニッパーで本体を傷つけないよう壁やバリ、ラフトを剥がしていくと思ったより綺麗なオブジェが現れたではないか。しかし当然とは言えPVAによるサポート材が複雑に絡んでおり、もしこれがオブジェと同じPLAなら綺麗に仕上げるのは到底無理だと諦めざるを得ない状況だった。

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※壁やバリ、ラフトを剥がしていくと思ったより綺麗なオブジェが現れた


早速洗面器に60℃程度の熱めの湯を用意してその中に造形したオブジェを浸した。
30分程度経ってから覗いて驚いた。ほぼPVAによるサポート材が溶けているのだ。後は歯ブラシを使い、残っているサポート材を丁寧に擦りとったところ想像していた以上に綺麗な結果となった。

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※PVAによるサポートが綺麗に溶解した【クリックで拡大】


■総括
 高さ13cmと小さな像だし使ったフィラメントがクリアという半透明な樹脂なので光の具合でディテールが見えにくいのが難点だが、目鼻立ちもきちんと出来ているし心配した右手指も問題なかった。

オブジェを横にしてのプリントは顔にサポート材を作らないために取った策でもあったが、本体の積層は立てて造形するより些か粗い感じになった。しかし一番の目的だったPVAフィラメントをサポート材として使うというテストは上首尾に終わった。

無論まだまだ検証すべき点は残っている。PVAフィラメントをビルドシートにいかに定着させるかも探りたいし、PLAとPVAをどちらのヘッドに割り振ったらより良くなるのか、あるいは同じなのか等など多々確かめてみたいと思っている。



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員