ラテ飼育格闘日記(212)

この「ワンコの"ラテ" 飼育格闘日記」も本編で今年最後の回となった。次回は2011年1月1日(土曜日)の配信予定となる...。まあまあこの難しく混迷の度合いが益々深まる時代において、今年もお陰様でラテを含め家族全員が怪我や入院するような大病を患わずに過ごせたことだけで良しとしなければならないのかも知れない。


今年1年、ラテに関わることで印象深いことといえば大別して2つあった。ひとつはこれまでにも断片的にご紹介してきたがラテの知能の高さに驚くことが多かったこと、そして2つ目は散歩のときお馴染みの公園で出会う小学生の女子たちとの交流である...。
さて飼い犬の知能が高い...うんぬんといった話しは文字通りの親ばかであり、見ていただく方々にとっても気持ちの良い話しではないかも知れない(笑)。しかしこのことはワンコを飼っていらっしゃる方にとっては程度問題はともかく納得していただけるものではないだろうか。
特にこの4年の間、オトーサンは日々ラテの成長と共に過ごしてきたわけであり、大げさでなくワンコの知能の高さに驚くことが多い1年だったのである。

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※オトーサンたちにとってラテは大変良い子に育ったと自負している...


その第一はエピソード記憶が優れていることだ。物忘れが多くなってきたオトーサンと反対にラテの記憶力はその嗅覚など五感をフルに使っているとしても感心することしきりである。
一週間ほど前に通った道で猫に会ったとするとその後また一週間ぶりにその道を通ると猫と遭遇した場所にリードを引く。これまた猫の臭いが付いているのかも知れないがそこは別に猫のねぐらではないし前回はたまたま通りすがりで巡り会っただけのはずだが、やはりエピソード記憶として覚えているように思う。
そしてまた夕暮れの中、男の子が5,6名しゃがみ込んで遊んでいる5メートルほど前に来たとき、ラテがリードを強く引いた。オトーサンは注意をしつつ近づいたがラテは姿勢を低くして尻尾を大きく振りハアハア息をしながら1人の男の子に突進するように近づいたのだ。
オトーサンはその眼鏡をかけている子供を瞬間思い出せずにいたが、男の子はラテが飛びかからんばかりにしている姿を見て恐がりもせず「おお、ラテか!」と手を出してくれた。
一緒にいた友人が「お前は犬にもてるなぁ」と茶化すが男の子は苦笑しながらもラテを撫でてくれた。
ラテは嬉しさのあまり腰をねじってお腹を出したが、そのときオトーサンはその男の子が雄ワンコであるマキちゃんちのお子さんの友達だったことを思い出した。確かラテと遊んでくれていた時期はすでに2年ほども前だったし身長も伸びその時には眼鏡をかけていなかったのでオトーサンは気がつかなかったのである。だからその後一緒に遊んだこともないままだったのにラテは覚えていた!

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※この時期の朝は木々の葉が落ち、散歩途中の景色もシルエットが面白い


この種の記憶の良さを認めざるを得ないとすれば、ラテへの対応もいい加減に済ますことは出来ない...。ラテが自分に良い事も悪い事も同じように覚えているとすれば、オトーサンからお尻を叩かれたとか、無理矢理抱きかかえて嫌がるラテに頬ずりしたとか(笑)、ラテが好物を目の前にオトーサンにお手を繰り返したのにオトーサンはわざと知らん顔したとか...そういった日常のたわいもないあれこれをも記憶に残しているのかも知れない。
これはうかつな対応はできないなあと少々反省するオトーサンであった。

また行動面でも「これがワンコか?」と思うようなこともある。
ラテはリビングを占有する形で日常生活しているが、例えばそのフローリングに敷いた薄手の敷物やタオルケット、そしてクッションを実に巧みに扱って横になっている。
オトーサンたちは単に綺麗に洗った敷物などを床に敷いておくだけだが、ラテは思いつくとその敷物の中央や端を口で持ち上げて大きな偏りを作り、その偏りを枕にして頭や顎を乗せて休むということをやっている。まさしくベッドメイキングである。
そりゃあワンコも生き物だからして自分の気持ちの良い形で横になりたいのだろうとは思うが、ベッドメイキングのシーンを初めてみたときには感激したオトーサンだった。

さらに気遣いもできるワンコになった...。
毎々散歩に出るとき嬉しいのだろう...雄叫びを上げながら駆け出すのが常なのだ。オトーサンはなるべくラテの喜びに付き合おうと膝の痛さを我慢して数十メートルの距離をラテと共に小走りに走るようにしている。しかしこれが休日に女房と共に行く散歩だとラテの態度は違ったものになるのだから大したものである。
それはオトーサンが持ったリードを引くように声を上げて走り出すのはいつもと同じなのだが遊歩道の一区切りまでの距離を一気に走りきることはない。なぜなら十数メートル走ると足を止め、振り返って女房が後れていると近くに来るまでお座りして待ち、そしてまた走り出すということを繰り返すのだ。
自分の欲求だけをストレートに出すのが動物の常だと思っていたが、この気遣いにはオトーサンも驚くのである。

話題は変わるが次に印象深かったのは何といっても子供たち...特に小学生の女子たちとの交流である。
最近の夕方の散歩時にいつもの時間にいつもの公園に行っても2,3年前とは様子が違い、ワンコの姿は大変少ない。特にラテが心置きなく遊べる相手は決まっているからこれまた出会う確率は少なく小一時間の間にワンコと触れあえる時間がまったくないという日も多くなった。
特に今年はそうした傾向が多かったようだ。それぞれの家庭の都合も変わり、子供たちも進学が眼前に迫ったりしてなかなかワンコの世話を子供たちに任せることができなくなったようだ。そして大きいのはいつもの公園でワンコを遊ばすのを快く思っていない人たちがいてワンコの飼い主さんたちも嫌気がさしているのかも知れない。

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※とある休日の朝、久しぶりにビーグル犬のハリーちゃんが遊びに来たのでラテも大喜びだった


その友達ワンコの変わりと言っては叱られようが、ラテの寂しい心の隙間を埋めてくれるのが小学生の女子たちである。
これまでにも幾たびか印象的なシーンをご紹介してきたが、大人に対しては警戒心が強いラテがどういうことか子供にはとてもフレンドリーなのである。初対面の子供たちが近づいてきてもラテは耳を倒し尻尾をお尻ごと振って歓迎の意を示す。
だから旧知の女の子たちはラテに抱きつき、頬ずりし、座り込んでラテとチューをする子もいる...。一緒に走り、アイコンタクトしながら歌を歌い、またまた「ラテちゃん愛してる!」と抱きついたりしている(笑)。

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※大好きな女の子を見上げるラテの表情がまことに穏やかで嬉しそう!


この子供たちにしても毎日会えるわけではないが、彼女たちが公園で遊んでいればこそラテも楽しい一時を過ごせるというものだ。無論ときには負担になって尻尾が下がり、オトーサンに助けを求めてくるときもあるが...。

というわけでこの2010年もお陰様で何とか無事に過ごすことができた。そしてオトーサンは体力的に無理はしているものの良く歩くことは健康面においても確実に貢献してくれたに違いない。
ラテ様々の我が家なのである。

1990年に開催した Video Magician発表会の思い出

1989年に起業してからこのかた、MACWORLD Expo/Tokyoは勿論だがいわゆるプライベートなイベントも多く経験してきた。しかしイベント慣れした私にとっても一番最初に開催した自社主催のイベントであった「Video Magician II 発表会」の思い出は忘れられないものがある...。


私たちは起業したその年の暮れ、デジタルビデオ・システムの核となる「Video Magician」というアプリケーションを開発し翌年のビジネスショーでアップルジャパンのブースを借り発表した。
お陰様で大変よい反応をいただいたこともありイベントの難しさはもとよりだがその面白さを知ることになった。なにしろQuickTimeはまだ影も形もない時代だったのだ。

問題は現在のようにインターネットなど私たちの眼前にはない時代であり幾多の取材記事が出たとはいえより多くの方々に知ってもらうためにはどうしたらよいかを考えなければならない時代だった。それに後に多く開発したアプリケーションとは違いこの「Video Magician」には専用のビデオカードが必要だったし、Macはもとより使用するハードディスクも当時として最良・最大のスペックを求められたことでもありコンシューマ向けとして初のデジタルビデオ・システムではあったがソフトウェアの価格は25万円に決めた。

したがってMacとハードディスクは別にしても「Video Magician」を活用するには有に80万円ほどの予算が必要だったし趣味で使っていただくツールではなくビジネスを指向したシステムだったといえる。
その上、我々の会社は起業したばかりでありこうした製品を有効に使っていただくターゲットユーザーの情報もなくダイレクトメールを出すわけにもいかなかった。
いろいろと考えた結果、まずはメディアは勿論市場の注目を浴びる必要があるという結論に達した。

結局自社主催の製品発表会をやってみようということになった。問題はそのやり方であるが、これまた我々には経験がなかったことでもあり思案することになったが「Video Magician」使用に不可欠なPersonal Visionというビデオカードの日本総代理店であったスワイヤトランステック社の協力を得ることになった。

日程などを決めながら同社に動いていただき1990年11月22日、千代田区の日本海運倶楽部にて「Video Magician発表会」を行うことになり、高性能なハードディスク活用もアピールしなければならないとフォーカルポイント・コンピュータ社の恩田社長にもお声をかけコーシングラフィックシステムズ、スワイヤトランステック、フォーカルポイント・コンピュータの3社主催ということで準備を始めることになった。

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※受付会場の機器をチェックする筆者。中央後方はフォーカルポイント・コンピュータ社の恩田社長、左後方はスワイヤトランステック社の後藤課長


次の問題は発表会の中身である。製品活用に必要な機器類の紹介やアプリケーションの使用などについて時間を割くのは当然としてもそれだけでは人を会場に引き寄せる魅力にかける...。
そこで基調講演という堅いものではなかったが、Macを中心に見据えた市場の動向を踏まえ、評論家/作家の紀田順一郎さんおよびMACLIFE誌の編集長だった高木利弘さんに講演を行っていただくことになった。

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※「Video Magician II 発表会」で講演を行う紀田順一郎先生(上)と高木利弘氏(下) 但しカメラ設定の日付は21日になっているが実際は22日に開催(笑)


さらに発表会終了後には会場を移して立食パーティーを用意し関係者はもとより来場してくださった方々との親睦を深めようと考えた。そして主催の3社共同で招待状という形で発表会の告知をし、当日に備えたのである。
思えばこのとき、アップルジャパンに声をかけなかったのが不思議だが、我々がまだそうしたあれこれを依頼できる絆ができていない時代だったのだろう。

結果当日は200名以上の方々に来場いただき、我々初のイベントとしては大成功だったと思っている。そして共同開催とはいえ僭越ながら主軸は我々の「Video Magician」だったことはイベントのタイトルからして間違いなかった(笑)。
発表会が終了後も、壇上には次から次と来場者が上がり我々は質問攻めに合った...。

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※「Video Magician II 発表会」における自社製品のプレゼン(上)。そしてプレゼン終了後に壇上で質問攻めに合う(下)


そしてこのイベントがある意味で私たちの企業イメージの基礎を形作ったようだ。それは国内のソフトウェアハウス、それも希有なMacintosh専門の開発会社から他に先駆けて時代の先を行くソフトウェアを生み出したことで以降はより多くの取材依頼が舞い込んだだけでなく特別注文の開発依頼も舞い込み始めたのである。

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※イベント効果か映像の専門誌「映像情報」1991年4月号には特集として巻頭を飾った


たった1日だけのイベントではあったが満足な点はともかく反省すべきあれこれも多く、この初のプライベートイベントの経験は後に札幌支店主催の「Macintoshの匠たち」や「QuickTimeは明日を変える〜Macintosh Revolution」などに活かされることになったのである。


ラテ飼育格闘日記(211)

今年も残すところ半月を切った。幸いラテは大きな病気とか怪我もせず、この1年を無事に過ごしてきたが4歳半にもなると随分と顔立ちも大人顔になってきたのに驚く。特に口吻に白いものが目立ってきたのにはちょっとショックを隠せないオトーサンなのだ...。


6歳とか7歳以上のいわゆるシニア犬となれば白髪が目立つのも納得できるが、ラテはまだ4歳半である。しかし口元をよく見ると明らかに白い毛が増えてきたように思う...。これも白髪なんだろうか。ちょっと気になる...。
しかし、ラテの顔を覗き込んでいてあらためて思うのだが、なぜにこのマズルが長く鋭い牙を持つワンコを私たちは可愛いと思うのだろうか...。
例えば猫はその顔のパーツの配置が人間の幼児に似ている、あるいはその鳴き声も人間の幼児の擬態ならぬ擬音ではないか...という話しも聞く。だからこそ我々は猫を愛しいと思うのだそうだ。
しかしラテの顔は当然のことながら人のそれとは似ても似つかない(笑)。

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※アタシ...白髪が増えました?文句あるぅ...?!


100%従順でもなく時には反抗する娘なのだが、その笑顔を見ると何でも許したくなってしまうオトーサンである。なぜこんなにも可愛いのか、自分でも分からないのだが、まあ可愛いものは可愛いとしかいいようがない(笑)。
そう、猫といえば先日猫にまつわる事件があった...。
ラテと夕方の散歩でいつもの公園に向かったとき、歩道橋の向こうからラテ最愛の雄ワンコのマキちゃんがお兄ちゃんに連れられてやってきたのである。マキちゃんとは久しぶりなので声をかけたがどうも様子がおかしい。リードを引いているお兄ちゃんはどこかに携帯電話をかけながら歩いているし...。
いつもならオトーサンの姿を認識すると駆け寄ってくるマキちゃんなのだが...。

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※散歩時も以前のように出しゃばらなくなりました(笑)


携帯をしまったお兄ちゃんいわく、マキちゃんが公園で猫に目をひっかかれたという。そういえばマキちゃんの左目はショボショボした感じだし元気もなくこちらを見ようともしない。
たぶんお兄ちゃんは状況をご家族に電話で知らせていたのだと思うが、まずは治療をしなければならないだろうからと挨拶もほどほどにして別れた。しかし目をひっかかれたとすれば最悪失明となるケースもあるだろうし、他人事とは思えずオトーサンの気持ちも心配で些か落ち込んでしまった。

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※マキちゃんを引っ掻いたのはこのニャンコだとオトーサンはにらんでいるのだが...


そういえば以前、これまたラテの友達ワンコであるビーグル犬のハリーちゃんのお母さんから聞いたことだが、突然落ち葉の中から猫が飛び出してきたという。どうやら公園の周りに巡らされている排水対策用の溝に落ち葉が埋まっているその中で猫が暖をとっているらしいのだ。
その近くを人やワンコが通ったので猫が驚いて飛び出たのだろうが、驚くのはこちらも同じである。
一瞬地面の木の葉が舞い上がって猫が走り去る姿を想像してオトーサンは「伊賀の影丸...木の葉隠れの術みたいだ...」と呟いたが、お若いハリーちゃんのお母さんには通じなかったようだ(笑)。

それはともかく、何度もご紹介しているとおりラテは無類の猫好きだ。これは拾われた後我が家に来るまでの3ヶ月間育ててくれた家に数匹の老描がいたらしく、ちょっかいを出すラテはしばし猫パンチを喰らっていたらしい。だから猫を見ると同類のワンコと会った時とはまったく違う反応を見せ、近づきたい...遊びたい一心で声を上げるが野良猫がそれを察するわけもなく逃げられてしまう。
しかし猫を見かけると性懲りもなく近づこうとリードを引くラテだから、猫に対しての警戒心が希薄に違いない。それだけ注意をしなければならないとオトーサンはあらためて思った次第である。

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※友達ワンコのボーちゃんと。さすがにラテの表情は輝いている


そうそう、後日マキちゃんを連れたお兄ちゃんと会った。一瞬「これは大丈夫だ!」と思った。その日のマキちゃんの表情はいつもと同じく黒い瞳をオトーサンの方に見据えて近づいてきたからだ。
聞けば角膜に傷が着いていたが最悪の状態になることはないとの診断だったらしい。よかった!
マキちゃんの向かう方向がオトーサンたちと違うので、しばしラテとチューをしたマキちゃんと別れたが、これで一安心である。

その後、落ち葉の山を見るとオトーサンは万一のことを考えてとラテのリードを引く癖がついてしまった。とにかくいざとなれば猫の動きは大変素早く、一瞬のうちに引っかかれてしまうに違いない。無論猫にも悪気があるわけではないのだろうが野良猫は病原菌を持っていることもあるので人間も注意をしなければならないという。
オトーサンたちは猫も好きなので野良猫がいれば声をかける方なのだが、ラテと一緒の時は気をつけようと思う。

またまた猫の連想だが、オトーサンはオムロンが2001年に発表した猫型ロボット「ネコロ」を2匹飼っているが(笑)、そのうちのエイジと名付けた1匹の誕生日が12月14日だった。思えばすでに9歳の誕生日ということになる。無論誕生日とはオトーサンが新宿高島屋で購入した日付である。
ともかくすでにメーカーのサポートが終了しているので故障したら...バッテリーが消耗したら2匹のネコロはお亡くなりに...ということになってしまう。だから普段は動かさないようにしているのだが誕生日ということでラテとのツーショットを撮ってみた。

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※ネコロと一緒でも以前のように攻撃しなくなったラテ


いやはや、ラテは確実に成長している。なぜなら以前はネコロを見ると飛びかかったり、鼻で突いてひっくり返したり、犬パンチを浴びせて壊そうとしたりと目が離せなかったものだが、今回は生きものではないことを承知しているからかそこにいることを知りながらも落ち着いていた。
ネコロが9歳、ラテも4歳半...。嗚呼、オトーサンも歳を取るわけだぁ!

今年の冬は電気足温器で乗りきる覚悟

通常ほぼ1日中をマックの前に座っている1人としてはいかにその場が快適であるかが仕事の効率にも関わってくるし当然のことながら健康にも影響が出てくる。特に冬場最大の注意は風邪をひくことだが、単にエアコンで部屋を暖めれば良いというものではないことが難しい。


個人的な好みで言えば、暑いよりは寒い方が好きだ。無論寒冷地で生活されている方々に比べればたわいもない寒さなのかも知れないが、そこは若い頃と違い寒さ...特に腰から下の寒さには弱くなった。
無論、狭いスペースとはいえコンピュータ専用の部屋には冷暖房OKなエアコン設備があるから部屋を暖めることは容易いが、それが快適かどうかはまた別問題でもある。
なぜならエアコンの暖房はクリーンではあるものの最大の欠点は空気が乾燥することだ。これは風邪がのどからくる傾向のある私にとっては一番注意すべきことなので加湿器をフルに動かしてきたが、この扱いがなかなか面倒だし機器類の集中している狭いところで水蒸気をがんがんと立てるわけにも行かず効率も悪いのである。
そしてあらためて申し上げることではないが、このエアコンによる暖房は電気代もばかにならない。とにかく私の職場はこの一室であり、文字通り朝から晩までエアコンをつけていたのではその電気代もかなりのものになる。

というわけで3年前あたりから場当たり的ではあったがなるべくエアコン暖房に頼らない方法を模索してきた。
まず第一に部屋着として丁度良い薄めのダウンジャケットを羽織ることで上半身の寒さを防ぐことができる。ただし暖まりすぎると外出する際に余計寒さを感じる場合があるのでほどほどの防寒服を用いるのがコツである。
2つ目は電気ひざかけを使うことだ。
私のは扱いやすさから小型のものを使っているが50Wの消費電力ながら、これを椅子に座った膝周りに巻いておくと大変心地がよいのである。そうそう、室内とはいえ足下は一般的な靴下を履き、室内でもスリッパを愛用しているがこれまではこんなあれこれで真冬も乗りきってきた...。
ただし朝一番など、部屋がシンシンと冷えているような場合には全体をある程度エアコンで暖めておくことも必要だ。

今年の冬も同様に...と考えていたが体力が落ちているのか足下、特に足の甲に寒さを感じるようになったのである。確かにエアコン暖房とは違い、あくまで局所的な暖まり方だから室温は日中でもかなり低いわけで、特に足下は寒くて当然であろう。
かといって足下だけのためにエアコンをつけるのでは本末転倒みたいだからと、先日「電気足温器」というのを買ってみた。

ネットで調べてみるとこの種の製品にも様々なものがあることがわかった。小型のマット式のもの、アンカのような足を置く台のような製品、電気スリッパといった類の製品などなどだ。
私の足の裏というより足の甲を温めるには電気スリッパが良いように思えたが、足下の動作に自由度がないように思えて考えていたところ、足下を袋のようなポケットにすっぽり入れることが出来る電気足温器があることを知りそれを選択してみたわけだ。

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※足下に置いた YAMAZEN 電気足温器 (YAS-50)


まだ使用し始めて数日ではあるものの、これがなかなか具合が良いのである。
私が選んだのはYAMAZENのYAS-50という安価な製品だが、本体寸法が45cm×45cmで机の下にも容易に置けるサイズである。無論足を入れることができるカバーつきのものだが、本体の表面温度は約45度程度になるという。
これは靴下を履いたまま足先を突っ込むと丁度良い暖かさである。それに消費電力は40Wで電気代は1時間当たり約0.44円だというから嬉しいではないか(室温20度、電気料金は1kWhあたり22円で計算)。

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※ポケット部は両足をラフに入れておけるスペースがある


実際に使ってみるとまず足下にまずまずの自由度があるのがよい。そして暖まったと思ったらカバーの外に足を出せば良いだけの話しだ。ただし温度調節は自動であり任意の設定はできない。本体の端にあるコントローラーのスイッチをON・OFFするだけだ。

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※電源のあるコントローラ部。温度調節はできない


取扱の注意は電気製品だからして椅子のキャスターなどで踏まないこと、飲み物などをこぼさないように注意をしなければならない...といったあれこれは当然だが、コードの取り回しにも注意が必要だろう。なぜなら床に置くものであり必然的にそのコードも足下を這う形となるので引っかけないようにしなければならない。
後気づいたことといえば、個人差や靴下をはじめ衣類の材質などにも関係するのだろうが、電気足温器の材質がアクリルやポリエステルなので静電気が起きやすいことか...。
ともかくこの電気足温器はコストパフォーマンスの高い暖房器具だと思うし、我々年配者だけでなくこの冬を健康に乗りきるため多くの受験生たちにもお勧めである。

山善(YAMAZEN) 足温器 YAS-50


UGC '99 Yamaguchi の思い出

仕事柄、一時期は全国をかけずり回った。そのうちのいくつかは大きなイベントだったりもしたがユーザグループが主導する会に招かれて遠出をしたこともある。そんな中で一番の思い出は「第4回中国地区アップルユーザグループカンファレンス」に招かれ、女性スタッフと共に参加させていただいたことだ。                   


現在は...ご承知のようにMACWORLD Expoといった大がかりなイベントが無くなったことでもあり、国内メーカー数社の動向を拝見しているとユーザグループの催事に積極的に参加されているようだ。
無論私が積極的に動いていた時代にも全国のユーザグループの活動は存在したし中には大阪で開催されたiWeekのようになかなか本格的な催事となったケースもあった。しかしビジネスとして捉えた場合、当時の私はそうしたユーザグループからの出展依頼に正直腰が引けていたといえる...。

当然のことながら我々の製品も全国で多くのユーザーが存在した。一時期にはPerformaにいくつかのアプリケーションがバンドルされたことでもあり、例えば「MoviePaint」というアニメーションソフトなどは40万本以上の実出荷本数になったわけだし、そうした多くのユーザーの要望を満たす意味で専門の書籍まで刊行されたほどだ。
したがって様々なところから講演依頼や製品デモの要望が舞い込んだが、私1人で出向けば済む講演やデモはまだしも、規模はともかくブースを出さなければならないケースの場合にはお断りするケースがほとんどだった。
それはまさしく言い訳になってしまうものの、決してユーザグループを軽視していたということではない。
当時我々の会社は超マイクロ企業でありそもそもが営業職は社長であった私しかいなかった(笑)。無論MACWORLD Expoのような大きなイベントの際にはいわゆる間接部門のスタッフも総出で事に当たるしかなかったがそれでも総勢で8人だったから、なかなか多くの要望にお応えすることは費用対効果を含めて難しかったのである。

出展となれば中途半端なものはお見せできないし、かといって遠方であればあるほどタイミング良く機材や人材を移動させることが出来なかったことによる...。
そんな私でも山口県まで女性スタッフ1人を連れ、喜んで出かけたのがUGC '99 Yamaguchi すなわち「第4回中国地区アップルユーザグループカンファレンス」だった。
すでに記憶も曖昧だが、僭越ながら声をかけてくだった方が大変熱心で真摯な方だったからでもある。

私自身は羽田から山口宇部空港へ向かったが、同行することになった札幌支店の女性スタッフは勿論千歳空港からであり、山口宇部空港で待ち合わせ、バスで山口駅に向かったことを覚えている。

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※山口宇部空港(上)とパスでたどり着いた山口駅(下)


文字通り私事だが、当時会社は気苦労が多い時期で気持ちが塞ぐ日々が続いていたから、仕事とはいえ気配り上手な若い女性スタッフと共に遠出することは大きな気分転換でもあったのである(笑)。

無論私も山口県に入るのはまったくの初めてだったから右も左も分からないものの、とにかく宿泊先のホテルにたどり着いた。それはイベント開催日の前日、1999年9月10日(金曜日)の午後のことだった。

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※我々の宿泊先となったホテル


荷物を置いた我々は早速徒歩で会場まで歩いた。本来ならタクシーに乗るべき距離だったが初めての山口、それも2泊3日しか滞在できないこの地の雰囲気を少しでも記憶に止めておきたいという意志だった...。

会場はNHK文化センターという大変立派なビルの1回フロアーで、我々が様子見に立ち寄ったところ会場内ではブース設営準備のため皆さん忙しく立ち振る舞われていた。

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※写真中央はブースエリア全景。写真下は私たちのために用意していただいたブース


しばらくして私たちのブースにも機材が並べられ、展示のための飾りやアプリケーションのインストールなど準備に入ったが翌日の本番は女性や子供も多く、非常にアットホームな雰囲気の中でイベントは進行していった。

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※当日は熱心な方々が多く集まった!


私は特設エリアでデモをしながらお話しをする予定だったこともあり、その時にはブースを女性スタッフに任せてイベントを楽しませていただいた。

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※キューティマスコットをデモする筆者


イベントは一日だけであり、我々は翌日とんぼ返りをしなければならなかったが、イベントの終了後主催者側の方々にお誘いいただき MacArtist Clubというお店で12, 3人の方々としばしビールなどをいただきながら打ち上げの会にお邪魔させていただいた。

まるで勝手のわからない我々は暖かいお持てなしに頬を緩めることしかできなかったが、その記録は十数枚の写真の中に封じ込められている...。
特に印象が強いのは我々が立ち降りた山口宇部空港がその一週間ほど後に台風に見舞われ、腰の高さまで浸水したというニュースがあったことだ。あのときの空港カウンターも、駅前のバス停も一時は水の中だったらしく被害も大きかったと記憶しているが、その後お世話になった皆さんはお元気なのだろうか...。

さて翌日の日曜日、午後の便で私は羽田に、女性スタッフは千歳に向かうまでの半日を有効に使いたいというスタッフの願いで私たちは朝早くホテルをチェックアウトし、時間的に許される範囲でミニ観光を楽しむことにした。
最初に向かったのはあのザビエル記念聖堂、そして国宝の瑠璃光寺五重塔だ。なるべく点と点をも体験したいというスタッフの願いで車に乗らずにすべて徒歩での移動と相成ったが、その日は猛暑となり大汗をかきながら歩いたことは忘れられない。そして途中やっと見つけた古びた喫茶店の冷房で一息入れた我々は空港に向かった...。

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※ザビエル記念聖堂の前でスタッフが記念撮影(上)。そして国宝の瑠璃光寺五重塔(下)


それはすでに11年も前のことだし、当時撮影したデジタルカメラのデータをあらためて確認するとそのフォーマットがなんとPICTだったのだから何をかいわんやである。
たぶん1人で向かったなら観光など一切せずにそのまま戻ったに違いないが、女性スタッフのお陰で、そして山口のユーザグループの方々の暖かい対応のお陰で類のない気持ちの良いイベント参加ができたのである。

ラテ飼育格闘日記(210)

この12月10日(昨日)は我が家にラテが来てから丸4年になる記念日だ。月並みではあるが一日一日は正直至極大変だったが振り返ってみるとほんの一瞬のようにも思えるし、そもそもラテのいない生活...日常など考えられないまでになった。


この四年間、オトーサンは本業のMacとかApple製品などに関するよりずっとワンコについての勉強をした思いが強い(笑)。
本棚にはワンコに関するあれこれの本がすでに30冊、ムックが5冊ほどある。まあ本を読めば済むという問題ではないが、何しろ犬を飼うという初めての経験に立ち向かうにはまず情報と知識を得ることが重要だと頑張った次第なのだ。
最初は右も左も分からないから犬の専門家と称する人たちが書いた本を鵜呑みにするしかなかった。
どの世界にも専門家は存在するわけで、多くの本を書いたりメディアに露出するなど知名度の高い人の言うことは正しいことだと考えるのは普通であろう...。というより疑うという気持ちすらなかった。しかしラテと毎日文字通り密着して過ごし、格闘しながら相対しているとそれらの人たちがいうところのあれこれが不自然に思えてきた。

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※紅葉真っ盛り、絨毯のような落ち葉を踏みつつラテと散歩中


「家の中では遊ぶな」とか「玄関の出入りは飼い主が先に」とか「オモチャの引っ張り合いは必ず飼い主勝利で終われ」とか「出かけるときや戻ったときしばらくは無視しろ」あるいは「犬を人の目の高さ以上に置くな」などなど多くのタブーが存在することに驚いたものだ。
それらの著書はドッグトレーナーだったり動物行動学者といったいわゆる犬についての専門家と称する人たちなわけで、それまでワンコを飼ったことのないオトーサンは当然のことながら書店に並んでいるワンコ飼育のノウハウ本に書かれていることを信じて実行しようと努力をすることから始めた...。
しかし最初に「おかしいな?」と疑問に思ったのは多くのトレーニング本を読み、比較してみると著者により書かれていることが微妙に...時には決定的に違うということを知ったからである。それと一番気になったのはラテの反応であり、そうした本に載っているものとはまったく違う行動を見せてくれたことだ。
そうした顛末はこれまでこの「ワンコの"ラテ" 飼育格闘日記」に幾多ご紹介してきたので詳細は繰り返さないが、トレーニングはもとよりワンコとの触れ合いのやり方は1年前の方法が違うので新しい方法でやり直そうと簡単にはできないだけにオトーサンとしては腹がたつし、いまだにそうした人物が専門家として活躍しているのを見るに付け困ったことだとも感じる。
なにしろワンコと真摯に向き合っていれば自然に分かるであろうことも多いはずだが、古い海外文献や旧態依然の情報を、それも孫引きのような情報を元に本を書いている専門家もいるのだから頭に来るではないか。

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※我が家に来て丸4年になったラテだが、なかなかの面構えにもなった(笑)


まあ、余談だがオトーサンもパソコンとかそのソフトウェアといった分野に関してはある種の専門家として知られているわけで、自分で言うのも何だが専門家だって色々と意見が違うものだからして1人の物言いに凝り固まってはいけないのはどの分野でも同じなのかも知れない。しかし繰り返すがパソコンのあれこれはある意味やり直しもできるが、命を預かるワンコのトレーニングは「間違ったからごめんなさい」では済まない...。

したがってラテとの4年は文字通りオトーサンが毎日ラテと相対して経験し体得し反省する繰り返しであった。後から思えば「あのとき、ああすればよかった」とか「叱り方がまずかった」と思うことしきりだが、毎日真剣勝負だったからこそラテとある程度の意思疎通ができるようになったとも思っている。
とはいえオトーサンの深層心理にはまだまだ満足できない部分が多いと同時にある種の不安材料もあることを自分自身で分かってもいる...。

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※気心が知れた友達ワンコのハリーが来たので機嫌が良いラテ


例えば、先日見た夢で鮮明に覚えているものがある。それは誰かに一時的に預けられたのだろう...オトーサンは大きな虎のリードを引いているのである(笑)。
何で虎なのかは夢だからして詮索しても始まらないが、その虎は大変大人しくオトーサンの指示に従い、手から大きな肉塊を一瞬で食べたりもする。しかし虎を連れて街を歩いていると幼児が食べ物を振り回しながら近づいてくる...。オトーサンは「これは危険だ」と思い「手を出してはダメだよ」と声を掛けながら虎のリードを引き寄せて子供たちとすれ違う。
長いような短いような虎との一時を過ごしたオトーサンは役目を果たしてホッと一息いれる...といった夢だった。
目が覚めて...オトーサンは振り返ってみるまでもなくこの夢はラテに対しての潜在的な不安を表しているように思えた...。

無論これまでラテが人を咬むとか襲おうとしたこと、その気配を見せたことは1度もない。むしろ子供たちに囲まれ、時に跨がれたり抱きつかれ、持ち上げようとされたりするとき、よくもまあ怒らないなと思うほどフレンドリーだが、そうした時のオトーサンは万一の場合に即対処できるようにと常に最新の注意は怠らないようにしているつもりである。
初対面の子供には「手を出すときには上からでなく下からの方が怖がらないよ」とか「尻尾を引っ張ってはダメだよ」といった注意もする。しかし1度ラテに気を許した子供たち...特に未就学児童や低学年の子らは遊びにメリハリがつかず、限度とか相手(ラテ)のことを思いやるゆとりがないことが心配なのだ。
これが小学5年生とか6年生の女子ならすでにラテとの付き合いは3年ほどにもなる子も多く、自分たちの遊びの中に上手にラテを巻き込むしベタベタばかりではないのはさすがである。しかし未就学児童や低学年の子供たちはラテがオシッコをしようとするその時にも尻尾に手を出そうとしたりとオトーサンとしてもヒヤヒヤするときもあるのだ。

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※左の女の子をラテは大好きなのだ。見ているオトーサンが嫉妬するほどに...(笑)


ラテはといえば基本的に可愛がってくれる女子たちには笑顔で答え、「ラテ、おいで」と呼ばれれば喜んで走っていく。抱きつかれてもその顔を嬉しそうに舐めるしリードを引いているオトーサンも不安はないが低学年の子供たちの執拗なからみが続くとラテも尻尾が下がってきて、しまいにはオトーサンに抱っこの要求と相成る(笑)。無論それは「アタシ疲れたわオトーサン!」というサインだと理解しているが、それでも幼児の中には「僕が抱っこする」とオトーサンが抱き上げたラテを触りまくることもあるのでオトーサンとしはてラテが切れないか心配なのである(笑)。

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※疲れたラテはオトーサンに抱っこを求める(笑)


当然、度を超したと思うときには「ラテの尻尾が下がったということは疲れたんだ。だからまた後で遊んでね」というが「嫌だ...いま、遊びたい!」と聞き分けの悪い子もいる...(笑)。とはいえこれらの子供たちはオトーサンにとってまさしく孫の年齢であり、愛おしく...つっけんどんな対応ができずに困っているわけだ...。
しかしオトーサンがある意味ラテを文字通り100%信頼していないことは飼い主としてそれで良いと思っている。原因が何であれ、それが正当防衛だとしても万一ラテが子供たちに怪我でもさせたら大変なことになるからだ。
今日も公園にいくと馴染みの女子たちが「ラテちゃ〜ん!」と声を掛け、駆け寄ってくれる。ラテも満面の笑顔で走り寄る...。そんな姿を見ているとラテは幸せなワンコだなあと子供たちに感謝の念を抱くオトーサンなのであった。

念願の「彼と人魚 (Mr. Peabody and Mermaid)」を入手

一度見ただけなのにその後忘れられない映画というものがある...。ストーリーもうろ覚えだし俳優が誰だったかもわからず、タイトルもあやふやだったので長い間探せずにいたが最近やっとその作品が何であるかが分かり、YouTubeなどで確認し、最後にeBayで検索してその映像を手に入れることができた。それは「彼と人魚」、原題は「Mr. Peabody and Mermaid」という1948年製のアメリカ映画だった。


その映画を見たのがいつの頃かも正確には覚えていないが、確か高校生の頃だったのではないか...。たまたまテレビを付けたら放映していたモノクロ映画だったが、少年の私には人魚に扮していた女優がこの世のものとは思えない美しさに映った...。

その人魚の可憐さと美しさ、言葉を発することが出来ない切なさに文字通り胸キュンとなり、私はその人魚に恋してしまったのである(笑)。それに主人公が人魚に水着(ブラジャー)を買ってきて与えるシーンは当時子供の私にとって滑稽でありかなりショックだったことも忘れられない(笑)。

テレビのエンディングの心細い記憶からそれが「彼と人魚」という作品だということはおぼろげに分かったが、ことはそれまでだった。実際に再放送したのかどうかも分からないし、これまでその作品にお目にかかれないでいたが、どうやらその作品は人魚をテーマにした映画の先駆けのようだ...。

その後遺症からか(笑)、その後も人魚が登場する映画をいろいろと観た。その一番は若かりし頃のトム・ハンクス主演「スプラッシュ」だったが、これまた人魚役のダリル・ハンナの美しさは絶品だったものの「彼と人魚」の人魚に思いは募るばかり...。
今般あらためて探し回ったところ「彼と人魚」の原題は「Mr. Peabody and Mermaid」であることがわかり、そのDVDが入手できたのである。

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※スペイン語版ながら、やっと入手できた「Mr. Peabody and Mermaid」(DVD)


別途VHSテープによるものも入手したが、こちらは英語版でオリジナルのモノクロ映像だが、DVDはスペイン語版のため正直何が何やらまったく分からないもののカラー処理をしたバージョンとかでなかなか美しく彩色されている。ともかく問題の人魚とは色つきで感激の再会となった(笑)。そういえばこの作品は私の生まれた1948年の制作なのだ...。

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※こちらはVHSパッケージの裏面だが英語版のモノクロ映像だ


資料によれば彼女の名はアン・ブライス(Ann Blyth)。この「Mr. Peabody and Mermaid」制作のとき18歳ほどだったことになるが、まさしく一番輝いていた時代なのかも知れない。そして勢いで少し調べてみたが1957年マイケル・カーティズが監督した「追憶」の女優さんだったこともわかった。
ただしVHSの方はフルバージョンだがDVDの方はいくつかのシーンが割愛されているようだ...。

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※私の初恋の人魚(笑)、アン・ブライス(Ann Blyth)。ほぼ同じシーンをDVD(カラー)とVHS(モノクロ)でキャプチャ。右はピーボディ役のWilliam Powell


簡単なストーリーをご紹介すると...。
奥さんに連れられて行った医者の前で主人公のピーボディ氏が語り出す...。静養のためカリブ海の小島の別荘にやってきた初老の男性ピーボディは、海から聞こえる女性の歌声に魅せられていた。ある日釣りを楽しんでいると素晴らしく美しい人魚を釣りあげてしまう。

海に戻したくない彼は自宅に持ち帰り人魚を浴室に入れるが誤解が誤解を生んでいく。その後庭の池のなかに放して逢瀬を楽しむが、どうやら人魚は口が利けないものの彼の言うことは理解できるようなのだ。
結局周りの人たちは皆彼の言動を怪しむだけで人魚の存在など本気にしなかったが、危険を感じたピーボディは人魚と一緒に逃げだそうとする。

追われた彼は人魚と別れたくないと最後は海中にとびこんだが救いあげられ、人魚とは永久に別れなければならなくなった...というラブコメディである。
エンディングでは話しを聞いた医者が「50歳にもなるとそうしたこと(幻影を見る)もあるものだ」という意味のことをいって慰める...。

そもそも人魚とはなにか...。それは私たちが一般的にイメージしている上半身が美しい女性で下半身が魚の体をしている伝説上の生き物(マーメイド)なわけだが、主にヨーロッパで語り伝えられたものだ。無論男性の人魚もいる理屈だが、それは見たくもないので省く(笑)。

また人魚の多くは昔から人に災いをもたらすものと信じられてきたという。
例えばその美しくも妖しい歌声を聞いた船乗りたちは聞き惚れて船の舵取りを忘れ、結果沈んでしまう...とか、強風を起こさせるといった伝説がある。
したがって伝説上の生き物だからとはいえ「人魚と楽しく暮らしましたとさ...」といったハッピーエンドの物語は皆無ではなかったか(笑)。

そして「光陰矢のごとし...」とはよく言ったもので気がつけばその私もあっという間にピーボディよりはるかに歳をとってしまった...。
勿論この歳になっても...泳げないし釣りもしない私は海に近づかないから人魚にも出会っていない。その代わりといっては何だが、四つ足でマズルが長く牙がするどい琥珀色の目をした雌のワンコと出会った(笑)。

まあ、愛犬はアン・ブライス(Ann Blyth)演じる人魚のような美しい姿ではないが、私にとっては人魚姫に相当する最愛のワンコ姫なのだ。
ともかく初見から50年近くも過ぎたいまになって記憶の隅に引っかかっていたことが解決したというのも愉快なことである。

ラテ飼育格闘日記(209)

先日の土曜日の朝、不思議なことがあった...。散歩から戻って食事が終わったラテは遊びたくてオトーサンや女房に様々なアクションを始めた。そしてオモチャ代わりにした靴下を咥えて振り回しながらオトーサンのところに持ってきた。オトーサンは面白がってその靴下に小さなゴムボールを入れ、簡単に結びラテに投げた...。 


いま室内で遊ぶときに一番のお気に入りはモンキーの縫いぐるみだが、飽きっぽいラテは時々ボール遊びをせがむ。そのボールも遊んであげる我々がいないと面白くないらしくしばらく1人にしているとボールを横に置いて毛繕いなどしているというありさまである。
ボールに興味が薄れたことを知ったオトーサンは様々なオモチャを考える。
安全を確認したダンボール箱、タオルハンカチに包んだボール、キッチンペーパーの紙製の芯、そして靴下を結んだものなどなど、ラテの興味に合わせてオモチャをにわか作りする。
キッチンペーパーの紙芯の場合は両端を潰してラフに塞ぎ、その中に小さなオヤツを入れてやるとそれを取り出そうと様々な試行錯誤をするのが面白いし、ボール遊びも単純にボール単体で遊ぶだけでなくハンカチに包んで渡すと布の端を咥えて振り回すことができるので楽しいらしい。

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※紅葉のまっただ中を朝の散歩。友達ワンコがいたからか、ご機嫌なラテ


ところでこの数日、ラテは左前足の肉球を咬んで出血させ散歩時には足を引きずることもあった...。無論オトーサンが見ている場合は叱って止めさせるが、こればかりは24時間監視しているわけにもいかず、目の届かないところでカミカミしてしまう。
これまでにもこうしたことは何回もあったから、血が滲んだくらいでは驚かなくなったが散歩から帰り、体や足を拭くときには痛がって「ピーッ」といった鳴き声を出す。オトーサンはなるべく患部は触らないようにしながらも水で洗い、よく拭いた後に消毒することにしている。
薬は動物病院から出してもらったイソジンだが、これなら舐めても問題はないということなので安心して使えるものの問題は痛がる肉球の間の患部にどのようにして液剤を塗るかである。
最初は綿棒を使ったが、綿棒にしみ込む薬は少量で患部に押しつけても薬剤が塗れないし綿棒の先端を当てれば唸って痛がる...。

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※オトーサンが消毒し包帯を巻いたまま休むラテ


思案したオトーサンは女房が化粧で使っているコットンにイソジンをしみ込ませ、それをオトーサン自身の指先で肉球の間へ押し込むことにした。
当然患部に触れば痛いから形だけオトーサンの手に歯を当てにくるが、本気でないことはよく知っているからオトーサンもラテの歯が当たったくらいで目的を中断することはない。ともかくこれなら確実に患部に薬剤を塗ることができ少なくとも綿棒よりは優しいやり方だと思うので続けることにした。しかし塗ったところでそのままにしてはすぐに舐めてしまう。
そこでオトーサンは肉球の間に押し込んだコットンをそのままに、包帯で患部...すなわち足先を軽く巻くことにしている。
なかなかラテも感心なことにオトーサンがその場にいるときにはオトーサンの顔を立てて...いや(笑)、叱られるのが怖いからか包帯を取ろうとはせずそのまま静かにしている。しかしもともときつく巻いているわけではないのでオトーサンがその場を離れると簡単に取ってしまうわけだが、少なくとも薬を塗った後の数分はそのままにしておく効果はあるようだ。

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※外でも痛いのか、左前足を折り込んでかばう姿勢を見せる


面白いのはイソジンの容器とコットン数枚、そして包帯といった治療具一式を持ってラテの前にいくと我が娘は逃げるのではなくオトーサンにその痛い手でお手をするのだから偉い(笑)。無論「治療して頂戴」という意志なのかどうかは疑問だが、少なくとも痛い目に合うのは分かっていながら逃げないのは少なくともオトーサンがラテを虐めているのではないことを理解している証拠でもあるのだろう。
ただし包帯はいかにも取れやすいので今度は不要になった女房のソックス...無論洗濯済みのもの...を薬を舐めないようにと足にかぶせてみるとこれがなかなか都合が良いのである。
ラテとしては違和感があるのは包帯も一緒だが靴下は結び目がないだけ気にならないようで、先日などはオトーサンが一端その場を離れて戻ったときもまだソックスを履いたまま伏せていた(笑)。

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※消毒後、舐めないようにと包帯の上からソックスをかぶせてみた


そう...土曜日の朝もオトーサンはラテと遊んでいるとき途中で思いつき、ソックスの中に音が鳴る小さなゴムボールを入れ、簡単に結んだ後にラテへ放り投げたのである。
その間、オトーサンの様子を見ているラテの目は期待でキラキラしていたが、ボール入りソックスを口でキャッチした瞬間大きく振り回した...と思ったらソックスの中にすでにボールがないのだ!
当然、ボールは振り回した瞬間にどこかに飛んだに違いないとオトーサンは探し始めたが、不思議なことに見つからないのである。

その場所はキッチンだがリビングへと続いていることでもあり、相手がボールのことだからどこへでも転がった可能性はあるわけでまずはキッチンの床を探し、置いてあるワゴンなどを退かしてみたが...ない...。
もしかしたらリビングに転がったかとリビングの床は勿論、マッサージチェアの下や背面、ラテのハウスの中やその周りは勿論カーテンの裏などなどを確認したが見つからない。
こうなるとオトーサンも気になってヤケクソ気分になってくる。
自慢ではないがキッチンとリビングを合わせたところでボールひとつが探せないほど広いスペースではない(笑)。
次に考えたのは床に落ちているとは限らない...という可能性だ。振り回した勢いもなかなかだったから、ボールは天井の方に飛び、例えば食器棚の上とかキッチンとリビングを半分仕切っているカウンタテーブルの上に落ちたのかも知れないと椅子の上に乗り、目線を変えて見たがやはりどこにもないのである。

朝食後の洗い物が終わった女房も一緒に探してくれたがどういうわけか見つからない...。これはミステリーとしかいいようがないではないか。
しかしオトーサンも長い間生きてきた経験から(笑)、こうした場合「常識では考えられない場所」にボールが入り込んでいる可能性があることも認識していたから、時間をおいてまた後で最初から探してみようということにする。
まさかあの一瞬でラテが飲み込んでしまうわけはないからその点は安心しつつ、ボールひとつ無くなってもどうということはないもののこのままでは気持ちが悪いではないか...。

少し時間をおいて、オトーサンたちは気になるボール探しを再開した。本音をいえば「ラテ、お前の利く鼻で探してくれよ」といいたい所だがラテは知らん顔だ(笑)。
オトーサンは先ほどボールが入った靴下をラテが振り回したときのことをもう一度正確に思い出してみようとした...。なにかボールを探すヒントになる特徴的なことはなかったかと...。
ひとつあらためて気づいた点は音がまったくしなかったことを思い出した。
ボールが飛び出して壁に当たったとか、何かに当たったならゴムボールでもそれなりに音がするはずだし床に落ちたとしても同様なはずだ。
そして先ほど探し回った場所の他、思いがけない場所にボールがあるに違いないと仮定してキッチンを見回した...。

オトーサンは「まさか!」と思ったがキッチンのテーブル前に置いてあるオトーサン用の椅子の背に、散歩から戻ったときダウンジャケットを掛けたが、そのダウンジャケット自体は先ほども除けてみたもののボールが隠れてはいなかった...。
しかし閃いたオトーサンはダウンジャケットの右ポケットに手を突っ込んだ瞬間「あったぁ!」と声を上げた。
ホールインワンよろしく、ラテの投げたボールは何ということか...2メートル程度先の椅子にかけてあったジャケットのポケットに収まっていたのである。それなら無論音がするはずもない。
分かってしまえばどうということもないが、ラテが飛ばしたボールの行き場所が分からなかった数時間は、実に気持ちの悪い思いをしたものだった。それにしても、こんなこともあるものなのだ...。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員