第1回MACWORLD Expo/Tokyo 基調講演ビデオを入手

当ブログやサイトを長い間運営していると時に古い機材や資料を提供いただく機会がある。無論すでに所有しているものであったり、極端に置き場所が必要となるものもあるので、そうした場合はお気持ちだけありがたく頂戴するが、今更探しても簡単には見つからないと思う貴重なアイテムに巡り会う機会もある…。ありがたいことだ。


今般ブログをご覧いただいているという方から一本のVHSビデオテープを提供いただいた。それは「パーソナルコンピュータの未来とMacintosh」と題されたもので1991年2月14日から3日間幕張メッセで開催された第1回MACWORLD Expo/Tokyoの基調講演を収録したものだった。
勿論、その時代のAppleはCEOがジョン・スカリーだったからあのスティーブ・ジョブズによる名プレゼンを期待するとがっかりするかもしれないが、当時のジョン・スカリーは時代の寵児だったのである。

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※初回MACWORLD Expo/Tokyo (1991年2月) におけるジョン・スカリー基調講演が納められたVHSテープ


それに実はこのとき、私はその基調講演を見ていないのである。だからこそそのうち一度はビデオでも確認しておきたいと考えていたものの、その機会を失っていた。
なぜ当時基調講演を見なかった…いや、見ることが出来なかったかは明白で、私は日本で初めて開催されたそのExpoに自社ブースを出した関係上、その場を離れることができなかったのである。

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※オープニング時にテープカットのために登場したApple Computer社CEO ジョン・スカリー。テープの向こう側左(筆者撮影)


仕事とはいえ、Expoのような大規模なイベントにブースを出すことは至極大変なのだ…。出展するブースの広さやその造作らにも大きく関係するものの、我々にとってはかなりまとまった予算を必要とすることがまずあげられる。とはいえそうしたブースで体験経験したことは詭弁でなく金には換えられない事も多く、実にエキサイティングな出来事だったことは確かであった。
ただし残念なことは人的な余裕もなかったから自分たちのブース以外の展示やイベントには足を向けられないという宿命を背負っていた。せいぜい自社ブースの周りを駆け足で回る程度で、会場内をゆっくりと新製品を眺めながらカタログを集めるといったことは望むべくもなかったのである。だからMACWORLD Expoの目玉ともいえる基調講演も米国へ出向いた機会はともかく、東京で見る機チャンスはほとんどなかったのだ。

そうした第1回MacWorld Expo/Tokyo開催にまつわる話は別途「今だから話そう...MacWorld Expo/Tokyo物語」としてご紹介してあるので参考にしていただきたいと思うが、いまさら20年以上も前の、それもスティーブ・ジョブズではなくジョン・スカリーの基調講演を見たとしても即役立つものがあるわけではない(笑)。またサンフランシスコで開催されたExpoでは当のスカリーの基調講演も何度か聴いたから目新しいことではないが、まがりなりにもAppleのそしてパーソナルコンピュータの歴史を身をもって体験してきた一人として知っておきたいことには間違いないのだ…。

というわけで早速当該ビデオテープを見てみようと思ったがVHSだからして当然のことながら対応のビデオデッキが必要だ。物入れの奥からリモコンと一緒に引っ張り出して電源を入れてみた…。しばらく使っていないことでもありトラブルがあると代替品はなくテープは再生できないし、そもそもテープは未使用ということでシュリンクされていたが、繰り返すものの20数年前のビデオテープだからして劣化している可能性もある。

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※久しぶりに取り出したVHSビデオデッキ


ともかく再生するなら同時にデジタル化し保存を試みたいとこれまた資料棚を引っかき回しBlackmagic社のVideo RecoederというUSBタイプのインターフェースを探し出した。これまたすでに購入してから5,6年経つからして現在使っているOS X 10.8.5で動作してくれるか心許なかったが、いま使えそうなのはこれだけなのでまずは試してみた…。
結果ビデオテープもアプリも問題なく動作し、約65分ほどの内容をデジタル保存しながらざっと眺めてみた。

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※ビデオ映像をMacでデジタル化するBlackmagic社のVideo Recoeder


さて、その感想だが昨今のスティーブ・ジョブズやティム・クックらの基調講演のスタイルに慣れている人から見れば、何とも紋切り型で面白くないキーノートだと思うかも知れない。文字通り “講演” である…。

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※講演中のジョン・スカリー


まずキーノートにタイトルがついている(笑)。それは「パーソナルコンピュータの未来とMacintosh」というものでジョン・スカリーのスピーチも当然のことながらそれに沿った内容だ。
スカリーは講演の中で「P3TV」というコンセプトを提唱し、それを核にしてMacintoshの最新機種、機器、開発中のソフトを含めた最新のアプリケーションを紹介しながらパーソナルコンピュータの未来とApple社の戦略についてプレゼンしていく。

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※スカリーが提唱する「P3TV」コンセプトを解説した図


最後の方ではサードパーティ数社のハードやソフトを壇上で各社担当者らと一緒に紹介していくそのやり方はサンフランシスコやボストンのExpoで見たものと同じスタイルである。ただし日本における最初のMACWORLD Expoということに敬意を表したのかスカリーは照明を落とした背景に溶け込むような地味なスーツにネクタイ姿であった。
またプレゼンの模様は大型スクリーンに映し出されるものの、サードパーティ各社のプレゼンはその構成からやむを得ないとはいえ、客席に背中を向ける形となりいささか見苦しい。

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※Macの前に位置すると当然のことながら説明担当者らは来場者に背中を向けることになる...


またジョン・スカリーのスピーチはよどみなく比較的分かりやすいものだが、スティーブ・ジョブズのような抑揚とか山場への演出といったショー的要素はなく淡々と話が続くので今更ながらジョブズのスピーチに慣れきった人にはその内容はともかく面白味に欠けるのは確かだ(笑)。

今回当該ビデオの内容について詳しくご紹介することはできないが、ちなみに当Appleテクノロジー研究所の「Apple資料室〜イベント」には1990年4月10日、ならびに1992年1月にサンフランシスコで開催されたMACWORDLD Expo基調講演におけるスカリーの姿を私自身がビデオに収めアップしてあるので参考にしていただきたい。

ともあれ1991年当時のMacintosh環境やAppleがどのような事を考えていたかという資料的価値を重視し、きちんと内容を把握しておきたい。なおビデオには副音声に日本語が収録されているだけでなく、別途講演内容の全訳が日本語でプリントされたものが同梱されていた。これまた私にとってはお宝である。





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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員