Macintosh Plusの筐体を開けてみよう!

先日の1月24日(1984年)はMacintoshの発表があった記念日だ。そんな話しを知人としていたら彼が一体型Macintosh、例えばMacintosh 128KやPlusの中を見たいという。そもそもボディそのものも眼前に見たことがないそうだが、中を覗きたいし開ける過程も見たいという。確かに昨今はそんな機会もないと思うので今回は久しぶりにMacintosh Plusのケースを開けてみよう…。


Macintosh 128Kから512KおよびPlusに至る筐体デザインの基本は同一である。一部Plusでインターフェースが変わったことを踏まえて背面が変更されたりフロントのアップルロゴの埋め込み方が違ったりしているが本体の基本デザインは変更されていない。

 MacOpen_01

※今回はこのMacintosh Plusのケースを開けてみよう!


このデザインへの拘りは申し上げるまでもなくスティーブ・ジョブズの真骨頂だった。まずこの複雑なケースを前後2つの金型で成型するということ自体が大変難しくまた金がかかったという。ポール・クンケル著「アップルデザイン」によればインダストリアルでデザインを担当したのはジェリー・マノックとテリー・オオヤマそしてスティーブ・ジョブズだという。

Macintosh 128Kは設置面積を小さくすることを考慮してそれまでのコンピュータにはない縦型になったしジョブズの拘りで冷却ファンも採用しなかった。そして筐体はベージュカラーの樹脂製だっただけでなく容易にユーザーが中を開けてアクセスできないように特殊なネジも採用した。というわけでこうしたクローズなコンセプトはスティーブ・ジョブズの真骨頂といえる。

ジョブズがアップルに復帰して開発されたiPodは勿論、iPhoneやiPadもユーザーがケースを開けて中にアクセスできるようには設計されていない。したがってMacintoshのケース内部に彫られている開発者たちのサインもユーザーに見せるためではなくあくまでジョブズをはじめ開発者たちの心意気を示す...そう、芸術品に作者が自分たちの名を刻むことと同じ考え方だった。

とはいえユーザーとしてはより本格的にMacintoshを活用しようと考えれば考えるほどケースを開けて基板にアクセスする必要性を感じた。メモリの増設や漢字ROMの取り付け、無理矢理ケース内にハードディスクを入れる製品が登場したり、内部に風を巻き起こして冷却するアイテムを取り付けたり、外部に大型モニターなどを接続するためにケーブルを引き入れる…などなどだ。さらにモニターの表示位置や縦横比を微調整するにもケースを開けなければならなかった。

ということで頻繁というほどではないが当時のパワーユーザーは自己責任の上でこの一体型Macintoshのケースを開けて中にアクセスすることは珍しいことではなくなっていた。ただしそのためには一般家庭にあるドライバーなどでは開けることはできず専用の道具を必要とした。

さて、それでは早速Macintosh Plusのケースを開ける過程をご覧頂こう...。必要なものといえば “MacOpener” という名で当時販売されていたケースを開けるための専用ツールだ。そしてMacintoshを傷つけないようにクッションを床に置いてはじめてみよう。

 

※Macintosh Plusのケースを開けてロジックボードを取り出すところまでを動画でご紹介する


■ステップ1
まず最初に注意することとして当然のことながらもし電源コードがコンセントに差し込まれていたら電源を切り電源ケーブルをコンセントから抜くことだ。そして使用直後の場合は数時間放置してからでないと内部のアナログ回路を不用意に触ると感電の恐れがあるから十分注意する。
続いてキーボードやマウスなどすべてのものを本体から外すことだ。また、もしインタラプトスイッチがついているならそれも外しておくこと。

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※インタラプトスイッチがついているならそれも外しておく


■ステップ2
Macintoshのテレビモニターを割ったり傷つけたりしないよう注意し、クッションなどを敷いた安全な床に背面を上に置く。そして背面側とフロント側ケースを留めている5つのネジを “MacOpener” で外す。

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※ケースを開けるには専用ツール “MacOpener” を使う


そのネジの位置だが取っ手の下奥に2つ、そしてインターフェースコネクタ部位の左右に2つあるが最後のひとつは分かりにくい。それは背面向かって右側にあるバッテリーボックスの蓋を取るとネジがひとつ留まっている...。
外したネジはなくさないようにきちんとまとめておくこと。

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※ “MacOpener” で背面にある5つのネジを外す。ネジは背面下側に2個、取っ手の奥に2個、そしてバッテリーケース内に1個ある


■ステップ3
ネジをすべて外したらいよいよケースを開ける作業に入る。Macintoshのケースは繰り返すがフロント側とバック側の2つで構成され組み合わされている。その境界はマシンを上からあるいは横から見ればお分かりの通り側面のフロント側に一連の溝がありそれを適切な道具を使って緩めていく。ただし金属のドライバなどでこじ開けようとすれば樹脂製のケースは簡単に傷がつき壊れるので厳禁だ。
当時のヘビーユーザーは “MacOpener” などの代わりに割り箸を適宜削って代用とするなど工夫をしてきたが専用ツールの安心感にはかなわない。

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※ケースの合わせ目を“MacOpener” で少しずつ開いていく(上)。ほとんどケースの合わせ目が緩んだ状態(下)


“MacOpener” にしても1箇所に力をいれるのではなく少しずつ左右上下の合わせ目を緩ませることが大切だ。ある程度まで緩めば後は容易にケースは開けられる。すべてにおいて丁寧にゆっくりと外すこと。

■ステップ4
ロジックボードやアナログ基板、そしてモニターやフロッピーディスクドライブなどはすべてフロント側のケースにシャシーと共に組み合わされている。ためにボディの大半を占める形のケースは綺麗に取り外せる。

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※開けたケース(上)とその内部(下)。内部には開発者たちのサインがある


なおMacintosh Plusはもとより128Kや512KのMacケース内部はシールド効果を高めるために銀色に塗られているがその奥にはよく知られているようにスティーブ・ジョブズを始めとするMacintosh開発に携わった人たちのサインが模りされているのでこの機会に確認しておくとよい。なおケース内部の開発者サインに関して詳しいことは以下のアーティクルを参考にしていただきたい。

初期Macintosh におけるバックパネル内面サインの考察
Macintosh 128KとPlusにおけるケース内部のサイン事情

ちなみにケースが外れたらインターフェースコネクタ領域に被せられているシールドカバーも取り外しておこう。

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※背面のコネクタ部にかかっているシールドカバーも外す


■ステップ5
今回は修理といった具体的な目的があるわけではないので特にアナログ周辺のコード類などを引いたり不用意に回路部位に触らないように注意する。そしてMacintoshのロジックボードを丁寧にガイドレールに沿って引き出し取り外してみるが、その前にロジックボードに差してあるコネクタ2つを外す。

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※ロジックボードに接続されている2つのコネクタケーブルを外す


そして本体の背面を上にしてロジックボードをゆっくり上に引き上げれば外すことが出来る。なお外した基板は静電気に注意し、チップや回路に手を触れたりせず早めにアルミホイルや静電気防止シートなどに乗せておく。

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※モニター側を下にしてロジックボードを引き上げる(上)。Macintosh Plusのロジックボード(下)


いかがだろうか…。確かに初回は緊張するが慣れれば時間も大してかからないし難しいことはない。ただし繰り返すが直前まで使っていたマシンの内部にアクセスする際には家庭用TV同様に内部に触れれば感電する恐れがあるし、アナログ回路に詳しい人以外はあれこれといじくり回すことは避けるべきだ。ましてやすでに30年も経過した回路や部品は傷んだり壊れやすくなっている可能性も高い。

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※ロジックボードを外したMacintosh Plusの内部(上)とビデオ回路基板の裏側(下)


ちなみに元に戻すにはこれまで見てきた逆を行えば良いが、ケースが絶妙な具合で組み合わさっていることがお分かりになるに違いない。
Macintosh Plusが登場してからすでに29年になるわけだが、その頃のMacintoshはいまも楽しませてくれる!


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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員