与太話〜「どのようなご用件ですか?」と聞かれてもねぇ...

先日ご無沙汰している方に久しぶりに電話をした。無論電話をかけるには相応の理由ときっかけがあるわけだが、最近は大企業の担当者にしても携帯電話に直接連絡を入れる事が多く、企業の代表電話にかけることはほとんどなくなったし、私としても久しぶりの体験だった。今回は与太話しだ...。


大手企業の代表電話への電話は一昔前なら交換手がまず出るところだが、さすがにそれはないものの秘書あるいは受付担当と思われる人が電話口に出てくるのは当然のことだ。しかし一昔前には当然と思っていたそうしたやりとりだが久しぶりのそれにはかなりの違和感があった。未知の人に「どのようなご用件ですか?」と問われても困るではないか…(笑)。 

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その会社の代表取締役の方とは古いお付き合いだが携帯電話の番号をお聞きしたことがなかった。もしかしたら立場上ビジネスではあえて携帯電話をお持ちでないのかも知れない…。ともかく会社の電話番号にかけるしかなかったのである…。

「松田と申しますが…」と口火を切るが、当然電話に出た方は私の名前を知っているはずはないし私も電話口に出た女性を知らない。そして日々セールスを始めとする不要な電話が多々かかってくることも想像できるからフィルターの意味でも「どちら様ですか」とか「ご用件は?」を問うのはマニュアル的だとはいえ当然のことだとは思う。しかしこちらの身になれば、勝手ながら不審な奴と思われるのは本意ではないしどこか面白くない(笑)。

ともあれ今更ながら電話というのは難しい…。確かに初めての方への電話なら「どちら様ですか」と問われたとしても「××様よりご紹介をいただいた松田ですが、Aさんとお話ししたいのですが」とか「突然で申し訳ありませんが、先日メールで本日お電話を申し上げるお約束になっていますので」とか言い様はあるだろう。
しかし、よく見知っている…それもビジネスに関わることだとしても些か微妙な話をしたくて電話をしたときに「どちら様ですか?」は当然としても「どのようなご用件ですか?」と問われても説明のしようがないではないか(笑)。

「え〜と…あの妖しいものではありません。事は微妙な話でして、直接ご本人とお話しをしたいのですが」だなんて言いぐさだと途中で電話を切られそうだ(爆)。とはいえ「...あの...用件を言わないと繋いでいただけないんですか? では申し上げますが、A社との秘密保持契約に関してですね、先方がですね、いや…先方というのはB社の△さんなんですがね。これが丸顔でよく飲むヤツで…あはは…」などと一から説明できるはずもない(笑)。 

また「用件ねぇ、特に急ぐことではないのですがフト思いついたものですから…。あの、思いついただけで電話してはいけないということはありませんよね…。ああ、よかった!」。これではヨタロウである。 

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昔は…といういい方は好きではないが、少し前までビジネス上のコミュニケーションは電話が主役だった。新入社員も顔の見えない相手に不快感を与えないようにと新人教育の一環として「電話の正しい受け方・話し方」といった教育を受けたものだ。それがいつしかメールがコミュニケーションの主役となってしまったし、交換手や受付担当といったお目当ての人以外の人間を介して通話することは極端に少なくなってしまった。そして電話という文明の利器もその役割というか価値観が些か変わってきたように思えるし、それにつれてマナーや対応の仕方も変わりつつあるわけだ…。日々携帯電話が当たり前となった我々は未知の人がまず電話を取るであろう代表電話に戸惑いを覚えるようになった。

余談ながらパソコン関連出版社の編集部に立ち寄ったとする。まあどこの編集部も似たり寄ったりで雑然というより騒然としているのが普通だが、以前そうした職場では電話が鳴りっぱなしであった。その次々と鳴る電話をいかにさばくかも仕事の内だったし、その電話口で待たされることも多々あった。それが最近ではどうだろうか…。出版社の編集部とはいえ電話はほとんど鳴らず、いたって静かなのである。これほど世の中の仕組みというか物事の進め方が違ってきたのである。
 
携帯電話の普及で旧知の方々のほとんどとは直接会話ができるようになった反面、固定電話の場合となるとかける方も受ける方も何だかぎこちないやりとりになってしまうようだ。とはいえ勝手な言いぐさだが、例え誰であろうと電話を取ることは立派な仕事であり、あまりに白々しい型どおりの受け答えは企業の印象自体を悪くする。
電話に限らず、本来人と人との対話は古くさい言い方だが常に暖かい気持ちで対応するべきだと思う。

したがって電話を受けた側も誰彼かまわず、それも冷たい口調で「どのようなご用件ですか?」では正直「あなたの知ったことではありません」と言いたくなるではないか(爆)。 
そうそう、私がかけた電話である…。「申し訳ありませんがA社長は私をご存じですのでお取り次ぎ下さい。万一ご都合が悪ければ後ほどおかけ直しをいたしますので...」と極めて冷静を装い、やっとご本人に繋いでいただいた。 しかし内心は「むっ!」としながらの会話だった(苦)。嗚呼…我ながら大人げないことではあったが…。

そうした電話口でのコミュニケーションは相手の顔が見えないSNSとかTwitterなどと同じ感覚でついつい思ったことをストレートに口に出してしまう人たちも多いようだが、電話はなかなかに怖いコミュニケーション機器なのである。何故なら電話口での会話が炎上する可能性もあるわけだが、炎上するとその害はネットの比ではないから...心しなければならない(笑)。


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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員