ラテ飼育格闘日記(306)

気温が下がってきたからだろう、ラテは肉球の具合が悪くてもよく歩くようになった。少し足を引きずりながらの散歩はオトーサンの方が気を遣ってしまうが、ラテは「あっちにも行きたい」「こっちにも行きたいと」リードを引く。オトーサンも仕方なく時間の許す限り付き合うよう努力しているが「犬も歩けば…」の諺通り、近所だけ回っているよりずっと楽しい出来事に遭遇する可能性もある。


ワンコにとって飼い主との散歩それ自体が大切なことであり重要なセレモニーだとはいうものの、自宅の前の遊歩道を行ったり来たりだけで終わってしまうのではいかにも面白くないし、意味もないように思えてしまう。
とにかくラテも真夏の時期は歩きたくないという態度が見え見えだからしてオトーサンもやる気が出ない(笑)。飼い主と飼い犬双方がやる気がないのだから散歩は面白いはずも無い…。

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※散歩の途中にある交番の番犬。アラスカン・マラミュートがラテに興味を持ち吠えたてる


それにオトーサンにとって散歩の醍醐味はラテとのコミュニケーションの妙であったり、途中で出会う旧知の飼い主さんたちとの情報交換であったりするわけだ。無論季節季節で変わる木々の変化を眺めながらの散歩も楽しいが、やはり刺激がないことには面白くない。
例え行き交う他のワンコとラテが「ガウガウ」とやり合ったとしてもそれもひとつの刺激だと思うしラテにとっても学習に違いない。
とにかく年配のオバサンに「可愛いわねぇ」と声をかけられても「ワンワンワン!」と吠えかかるラテだが、相手が子供だったり若いOLだったりすると初対面の場合でも尻尾を振り、笑顔を向けるというあからさまに好き嫌いがはっきりしているワンコなのだから面白い。

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※ちょっと肉球が痛いのでオトーサンに抱っこです


先日も夕方の散歩のとき、近所にワンコを飼っている家の娘さんに出会った。もともとワンコ好きな方なのだろうし子供の頃からラテとすれ違うと声をかけてくれる女子なのである。その人が我々に気がついて「ラテちゃん?」と近づいてくれた。ラテはピョンピョンと跳ね回り、膝を折ってくれた女子に抱きつかんばかりに喜んでいる。
オトーサンは服を汚してはいけないとリードを引くがこういうときのラテの力はかなり凄い(笑)。
ほんの十数秒だと思うが撫でくれた女子が「またね!」と立ち上がったとき、ラテはその生足をペロリと舐めたのをオトーサンは見逃さなかった(爆)。

そんなエピソードがひとつでもあると散歩も楽しいものになるが、毎回そうした事があるはずもない…。
印象的といえば、これまた先日の夕方のこと、どういう風の吹き回しか、ラテはいつもの散歩コースを無視し、駅の方に歩き始めたのである。オトーサンも「おいおい…」と思ったが、歩くのを嫌がるよりは良いとラテの引くままに散歩を続けた。その結果駅の階段を上がったと思ったらそこに座り込んでしまうのだ…。
オトーサンは「まだオカーサンの帰る時間ではないぞ」と言ってみたりはしたが無論ラテが理解できる筈も無い…。しかしラテは明らかに女房が毎朝雑踏に消えて行く改札方向を向き、微動だにせずに座り込んでいる。やはりその改札口から女房が出てくることを期待しているのは間違いないようなのだ。何しろオトーサンがリードをチョンと引いて「ラテ、行こう」と声をかけてもかたくなに動かないのだから困る。
「お前はハチ公か?」と苦笑いしながらオトーサンはポケットからオヤツを取り出し、それをちらつかせながらやっと駅を後にした。

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※駅に入り込み、改札に向かって座り込んだラテ。女房が現れるのを期待しているようだ


これまた先日、ラテが大きな公園方面に歩き出したので久しぶりにそちらの方面に足を向けた。しかしすでに回りは薄暗くなりはじめていた。そんな中、オトーサンが懐中電灯を取り出したとき、前方左側に続く道から「あっ、ラテ?ラテかな!」という声があった。
その瞬間、静かに…というかむっつりと歩いていたラテが軽く跳躍するように後ろ足立ちする。瞬間駆けだした…。
駆けだしたとはいえものの数メートル先に曲がり角があり、立木の間からオトーサンたちの姿が見えたらしい。ラテが飛びかかるようにして迎えたのは中学生二年生の女子2人だった。
この子らは小学3年生の時から公園でラテと遊んでくれた女子たちで、まさしくラテお気に入りの子供たちだった。自ら「あたしはラテのお姉さん1号だから、ワンネエね!」「じゃあ、私はワンネエ・ツーね!」などとラテと駆け、ポッキーを両端から食べ合った仲なのだ(笑)。とはいえ中学生に入ってからは部活があったりと自由度が少なく、年に数回も会えなくなってしまったのである。何しろ記録を調べて見ると彼女らに会ったのは今年の3月が最後だから6ヶ月以上会っていなかったことになる。

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※半年ぶりに会った女子たちとラテは至福のひとときを過ごす


1人の女子は「○○先生に感謝だね!」という。オトーサンが何故と聞くと、今日は部活が急になくなったのでこの時間に下校となったのだという。そして汚してはいけないからとブレザーを脱いだ女子にオトーサンは「ブラウスも汚れちゃうよ」とラテのリードを引くと「これはいいの、いいの」とラテを抱きかかえる。無論ラテは嬉しさを身体一杯で表し、オネーサンたちの顔を舐めまわす。
女子たちも「癒やされるなあ!」と言いながらラテに抱きついている。そうしたシーンを不思議そうに眺めながら、数組のワンコの飼い主さんが通り過ぎる…。
ラテ至福の時が10分位続いただろうか。そして「ラテ、また会おうね」といいつつ2人の女子が遠ざかっていくその後をラテは少し躊躇しつつも後を追うのであった(笑)。
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員