海外から購入したiPadを使うと電波法違反になるのか?

Appleの米国外への販売が1ヶ月延びたことでもあり、ヤフオクやeBayでiPadの出品がより活発化しているようだ。私も人の子(笑)、こうなりゃ適当なものを選んで直接購入してやるか...と思ったこともしばしばだが、問題はそのWi-Fiを使うことは電波法違反になるらしい...。気になることは2次情報ではなく自身で確認すべしと関東総合通信局の技適マークのQ&A担当部署に電話をしてみた。

 

最初にお断りしておくが、電波法違反...違反と何やらiPadの入手が出来ないからと嫌みったらしくいち早く手に入れた方々にプレッシャーをかけようとしているわけでは決してない(笑)。自分自身の問題なのである。
ともかく関東総合通信局のウェブページの技適マークQ&Aコーナーを確認してもそこには「...違反となる場合があります」と曖昧な物言いでしかない。出来ることなら自分自身は後ろ指を指されたくないと常々考えている一人として海外からのiPad購入は適法なのかあるいは本当に電波法違反なのかを知りたいと考えたわけである。

総務省管轄、関東総合通信局の技適マークのQ&A担当部署に電話をしたところ課長職の男性が丁寧に教えてくれたので私の方もざっくばらんに聞きたいことを聞いてみた。
具体的にApple iPadという製品名を出し「海外から直接購入を考えているが」という前提で質問をしてみた。
最初に「ウェブの表記では...違反となる場合があります...と曖昧だが実際はどうなんですか?」の問いには苦笑しながらも「明らかに電波法違反ですね」との回答。
ただしiPadに限らず製品の売買に電波法は及ばないので販売や購入などといった流通は取り締まり対象ではなく適法とのことだった。

ではそもそもなぜ現時点で海外から入手したiPadのWi-Fi利用が電波法違反なのか...。
具体的には「技適マーク」の取得がなされていないからということで、いわゆる日本国内での利用許可を受けていないわけだ。

giteki.jpg

※技適マーク


ちなみに手元のiPhone 3GSを確認してみると本体裏面には確かにその技適マークがあるし、電源をONにして「設定」/「一般」/「情報」から「認証」を確認しても技適マークが明記されている。これがいわゆる日本国内における正規品の印である。

総務省の電波利用ホームページによれば「電波波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない重要なものですが、電波は有限希少ですので効率的に使って頂くために、使用するチャンネルや送信出力、無線機の技術基準など様々なルールが設けられています。技適マークが付いていない無線機の多くは、これらのルールに従っていません。このような無線機を使用すると、知らずに他人の通信を妨害したり、ひいては社会生活に混乱を来すことになりかねません。」とある。

正直あまりぴんと来ないというか現実的とは思えない表現だ。しかしきれい事になるもののソクラテスではないが万一それが悪法だとしても法であることには違いない。それにこの種の規制はわが国だけのものでなく前記した「認証」部位にもあるとおり、各国それぞれが法律に基づいて認可制をとっている。

Appleはまず米国内での販売からスタートしたわけで当然当該製品に技適マークがついているはずはないが5月下旬から販売されるというiPadには間違いなく技適マークは取得しているはずだ。したがって問題なのは現行でヤフオクやeBayなどのオークション、あるいは友人知人たちに依頼して国内に持ち込んだiPadだ。ただし繰り返すが購入自体は何の問題もなく注意すべきはWi-Fiの利用なのである。

firstiPad_01.jpg

>firstiPad_02.jpg

※初代iPad(上)。背面には確かに技適マークはなかった(下)。当時クライアントから開発支援の仕事のためにいち早く供給された品


とはいえWi-Fiの活用無くしてiPadの妙も体現できないわけだからと電話口で正面切って聞いてみた。
「もし私がそうした違法製品を購入してWi-Fiを使ったらどうなるのか」と...。その答えだが、現実的に個人が手に入れたiPadのWi-Fi利用を監視あるいは違反の特定をできるはずもないので、実際には指導の範囲を超えた行為は出来ないとのことだった。

しかし注意しなければならないことはある。それはオークションなどのグレーマーケットでは詐欺まがいな扱いをされる可能性があることは別としても、入手後例えばUstreamなどであからさまにiPadのWi-FI利用のあれこれをアピールするといったことは止めた方がよいだろう(笑)。
一応罰則もあり1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となるらしい。

そういえば先ほどヤフオクにアクセスしてみたが予想通り1ヶ月延期のニュースでヒートアップしているようだ。とあるiPad 32GBをウォッチしてみたら国内予想価格の倍近くまで価格が高騰している。それ自体入札者も納得ずくなのだからトラブルなく取引が成立するなら第三者が文句をいう筋合いではないが...酷すぎる...。

私はといえば1ヶ月入手が遅れることで仕事に支障がないかといえばゼロではないものの、今のところ大きな問題にはならないと思うので立場上個人用は正規なものを入手することに腹を決めた。
それにしても人騒がせのバカヤローはAppleである。報道発表の最後に「iPadの発売を待ち望まれていた米国外の多くのお客様には、このニュースに失望されることと思いますが、iPadがかくも米国で大成功を収めているという発売延期の理由を聞いてご了解いただけることを希望いたします。」とある。
...んなこと了解するお人好しなど、どこにいるんだろうか...アホらしい(笑)。せめて5月下旬の発売日には潤沢に供給してもらいたいものである。

【追記情報】
この技適マークは本来「見やすい箇所に付す」ことが義務づけられていたわけで一般的には機器の背面などに明示されていたが、近年「電磁的方法により記録し、当該端末機器の映像面に直ちに明瞭な状態で表示することができるようにする方法」が承認された。
すなわち液晶ディスプレイに表示する方法でもOKとなったのである。したがって今回のiOS 4.2 アップデートに伴う技適マーク表示の追加は間違いなく合法的なものであり、これで私の手元にある最初期のiPadも大手を振って活用できることになったわけだ。

総務省電波利用ホームページ/技適マーク、無線機の購入・使用に関すること




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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員