Watch SPORTとWatchの違いを考える

本日はApple Watchの予約開始日だ。そこでApple Watch SPORTとApple Watchの違いをあらためて考察してみた。同じ42mmでステンレススチールピン式スポーツバンドだとしても48,800 円(税別)と71,800 円(税別)のように23,000 円もの違いがある。この価格差のポイントはどこにあるのだろうか?


先に「Apple Watchのケース素材考察」で見てきたようにApple Watch SPORTとApple Watchはまずケースの素材が違う。Apple Watch SPORTは酸化皮膜処理されたアルミニウムだが、Apple Watchは鏡面仕上げの316Lステンレススチールが使われている。したがってこの素材および加工のコストに差があることは当然だが、もうひとつコストに決定的な違いが生じる理由として液晶面を覆っているガラス素材の違いがある。
Apple Watch SPORTはアルミノケイ酸ガラス(Ion-X glass)だがApple Watchはサファイアクリスタルが使われている。

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※Apple Watch SPORTの背面およびデジタルクラウンを見る


アルミノケイ酸ガラスは酸化アルミニウムと二酸化ケイ素を主成分とする化学的に強化されたガラスのことで、歪みのない板ガラスを作りやすく一般的なガラスと比べて数倍以上の強度を持つ。すでにフラットパネルディスプレイなどに使われておりAppleからは正式なコメントはないもののiPhone 6/6 Plusのガラスもこの種のガラスを採用しているとも言われている。しかしiPhone 6のユーザーの中にはこのガラスは意外に傷付きやすいと発言している人たちもいるようだ...。

そもそもAppleはiPhone 6にサファイアクリスタルを採用する予定だったともいわれている。iPhone 6発表の1年以上前から製造メーカーであるGT Advanced Technologiesとサプライヤー契約を結び、iPhoneにサファイアガラスを溶接する特許まで取得していたという。しかしこのGTが製造したガラスのクオリティがAppleの求める水準に達せず、結果 iPhone 6にサファイアガラスを採用するだけの量と質を提供することができず、破産申請するに至った。

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※Apple Watchの背面およびデジタルクラウンを見る


サファイアクリスタルの何が良いのかといえば、それは人工サファイア故にダイアモンドの硬さに迫る強度があることだ。勿論透明性も良くすでに防弾ガラス、高級腕時計や傷が付きやすいバーコードリーダーなどに使われている。
AppleもiPhone 6のメインカメラにはすでにこのサファイアクリスタルを採用している。

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※iPhone 6 Plusのカメラにはサファイヤガラスが使われている


良い事尽くめのサファイヤクリスタルだが、最大の難点はその製造プロセス故コストが高いということに尽きる。乱暴に言えばサファイヤの塊を薄くスライスするにしてもダイヤモンドやレーザーを使い高度な技術を必要とする。したがってゴリラガラスなどのアルミノケイ酸ガラス系と比べて数倍ものコスト高となるらしい。
またサファイヤガラスは確かに傷つきにくいが反面アルミノケイ酸ガラスより衝撃性が劣るという話しもあり、コンクリート面などに落下させた場合、Apple Watchのそれは薄いこともあって割れる可能性もあるという。さらに同じ厚さのアルミノケイ酸ガラスと比べて倍ほど重くなる。

まあサファイヤクリスタルは間違いなく高級素材ということだからこのサファイヤクリスタルとステンレスケースが前記した2万円ほどの価格差になっている理屈であり、その差が納得できれば決して高くないと言えるのかも知れない。
さらにそのスペックの違いはこれだけではない。例えば裏蓋の材質だがApple Watch SPORTは複合材としか発表されていないが、Apple Watchはセラミックが採用されている。
さらに詳細は不明ながら、デジタルクラウン(リューズ)の頭もApple Watch SPORTはケースと同様アルミのようだがApple Watchは黒い別の材質がはめ込まれている。

このリューズの頭だが高級腕時計には宝石が使われることもある。ただしApple Watchの黒い素材が何らかの貴石かどうかは不明だが、SPORTのそれより手間がかかっているのは確かか...。

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※高級腕時計のリューズの頭には貴石が使われることも多い


ちなみにAppleではこの竜頭のことを "デジタルクラウン" と読んでいるが、そもそもがゼンマイを巻くこの小さな突起の形が王冠に似ていたことに由来するといわれている。そういえばロレックスの竜頭には同社のロゴである王冠が示されていることはご承知のとおりだ。

Apple Watchはファッション性を最大限に利用したデジタルデバイスということで、これまでのApple製品とは一線を期した素材の採用が積極的に行われると思う。
今回のアルミとステンレスといった素材はあくまでスタートに過ぎず今後もAppleらしい視点から新しい素材を採用したApple Watchが登場するに違いない。Apple Watchは買う買わないはともかく目を離せないプロダクトとなることは間違いない…。



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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員