プレオープンした技術少年出版「夢の図書館」を取材!!

1ヶ月ほど前になるが、私は2度目の東京八王子市高尾駅に降り立った...。高尾という名の由来は高尾山および真言宗の名刹「高尾山薬王院有喜寺」から名付けられたそうだが、私の目的は株式会社技術少年出版の「夢の図書館」を取材するためだった。その「夢の図書館」がプレオープン開始となったのでそのレポートをお届けしよう。


株式会社技術少年出版は当サイトを訪問してくださる方々ならご存じだと思うが、1975年に発売された伝説のマイコン「Altair8800」、「IMSAI808」と互換性を持つ "Legacy8080" という8ビットマイクロコンピュータを開発販売している会社である。
このCP/M-80互換OS搭載、Z80上位互換CPU搭載、BASICインタプリタ・モニタ・デバッガ・アセンブラ・逆アセンブラをサポートし、コンピュータ工学を基礎から学べる学習用マイコンを現代に宿らせたのは1970年代から月刊アスキー誌の編集長などを歴任した吉崎 武さんである。

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※WEBサイトの会員申込み機能、予約機能を実装し「夢の図書館」がプレオープン。画面は一部です


その吉崎さんにはLegacy8080を開発販売する目的とは別のミッションがあることはお会いした折々に聞かされていた。それがこれまで集めてこられた膨大な技術雑誌の一般公開とパソコンの歴史を俯瞰したパソコン博物館の実現であった。
今般まずは100年分8千冊の貴重な雑誌をリアルとオンライン両方で公開するという「夢の図書館」プロジェクトが動き出したので早速伺ってお話しを聞くことにした…。

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※高尾駅に降り立つ


その「夢の図書館」プロジェクトだが、まさしく "言うは易く行うは難し" だ。失礼ながらビジネスという観点から見るならあきらかに持出がほとんどで金にはならないに違いない…。事実リアルな図書館を実現するためのスペースは元本屋であったという同社の一郭を使うことになるそうだが、まずは膨大な書籍を陳列するための書棚といった什器備品や設備が不可欠となる。

またウェブサイトによるオンライン図書館にしても8000冊もの書籍を快適に検索できる環境を整えるためにはデータベースの構築および雑誌データの入力が不可欠だし、無論その実現には人手と時間が必要となる。
ということで技術少年出版では「夢の図書館」実現を促進させる手段として国内最大のクラウドファンディングREADYFORにて支援者募集を始めた。

吉崎さんご自身、一般的な支援と比べると目標達成は簡単ではないと認識されていたようだが、蓋を開けてみると募集期間の半分で第一目標金額を達成し、続いて次の計画である「マイコン博物館」開設への準備費用などに充当するため支援金額を100万円増額したところ300万円を突破し目標は達成でき、クラウドファンディングのプロジェクトは成立した。人々の感心は次第に大きく広がっているようだ。

技術少年出版ではこうしたクラウドファンデンングの成果をバックグラウンドとしてすでに「夢の図書館」について試験的運用を実施しており、例えば山口県から「夢の図書館」利用のためだけに来訪された方もいらしたとか…。そうした慌ただしくも期待が高まる中、オンライン図書館のプレオープン公開前の熱気を帯びている技術少年出版に出向き体験取材をさせていただいた...。

ただし今回の取材で伺ったお話の細部については実際のオープン時に様々な部分で変更となることもあり得ることをご承知いただきたい...。また「夢の図書館」実現の目的やコンセプトといったことについては同社がすでに公開しているウェブサイトや前記したクラウドファンディングREADYFORのページを是非ご覧いただければと願う。

さてリアルな「夢の図書館」は現在技術少年出版の2階で試験的な運用が開始されていると聞き、どのような雰囲気、どのようなシステムになるのかについて代表の吉崎さんにインタビューさせていただいた。
同社は高尾駅前から出ているバスで15分ほどのところにある。当日は幸いとても良い天気に恵まれたこともあってダウンジャケットでは少々暑いと感じるほどの陽気だった。

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※プレオープン前の「夢の図書館」読書室


「夢の図書館」の正式オープン時には同社1階の広いスペースに専用棚を設置し100年分8000冊もの技術系雑誌を公開の上で会員の方達が閲覧できるようになるという。同時に遠隔地にお住まいのためなどでリアル図書館に来られない人たちに対してはオンラインの図書館を提供することになる。すでにその一旦は確認することができるが、サイトから見たい雑誌と記事が検索できるようにと作業を進め今回のプレオープンに繋げることになった。

当日お邪魔したのはあくまで「夢の図書館」プレオープン前だったが、運営の全貌を多少でも知っていただけたらと思う…。
私がお邪魔した際は前記したように2階の一室の窓際に丸テーブルが、そして壁際には長方形のテープルがあり、椅子は三脚用意されていた。部屋の隅にはスターウォーズのR2-D2ロボットが置かれていたが、それはゴミ箱だという。

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※部屋の隅にはR2-D2ロボット型のゴミ箱があった


また好きな音楽を聴きながら...という意図でオーディオセットが設置され、有料ではあるがコーヒーメーカーが設置されていた。なおWi-Fiも完備されるという。じっくり、ゆっくりと懐かしい雑誌に再開するのもよし、これまで見ることができなかった時代の風を感じ、埋もれてきた貴重なデータに出会うのも素晴らしい体験に違いない。

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※有料のコーヒーメーカーコーナー


会員であるユーザーはメールで読みたい雑誌名や記事をあらかじめ予約することが必要だという。また貴重な資料としての雑誌を自由に閲覧できることは理想だが、特例はともかく希望の雑誌は「夢の図書館」側で出し入れすることになるのはやむを得ない。
また雑誌やその著者などにより著作物の扱いが違うこともあるが、リアル図書館およびオンライン図書館は有料のコピーサービスも実施してくれる予定だという。この辺の詳細については「夢の図書館@DREAM LIBRARY」のサイトの「よくある質問」ページに詳しいので是非是非一読願いたい。

私が読書室に入ると吉崎さんは1977年から数年間のマイコン雑誌「I/O」(工学社刊)を運び出してくれていた。これは事前に私がライターとなるきっかけが I/O誌への投稿だという話しを申し上げたからだった。

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※私がマイコン/パソコンのライターになるきっかけとなった1970年代後半から80年代発刊の「I/O アイオー」誌

「I/O」は勿論、印象的だったのは私が見せていただいた戦前戦中の雑誌も含め、その多くは驚くほど綺麗だったことだ。時代時代にそれらを手にし、保存してきた人たちの心に一瞬でも触れたような気もしたが、吉崎さんの手に渡り再び人の役に立つ事を望んでいるかのように思えた。無論中には戦争中や戦後の物資不足という時代背景を感じさせるような雑誌もあったが、それらはすべて一歩間違えば残り得なかった雑誌だと思うと大げさでなく愛しさを感じざるを得ない。

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※残っていること自体が不思議に思える戦前・戦中・戦後すぐに発刊された貴重な雑誌も総じて綺麗なのだ


そういえば「飛行少年」という雑誌がある。現在の視点から見ると不思議に思う誌面作りだ。なぜならそれは本物の飛行機の紹介や解説があるかと思えば模型飛行機作りのページがあったりもするからだ。時代といってしまえばそれまでだが、文字通り少年少女たちの夢が現実に向かってシームレスに昇華されていくのを見るようで、事実これらの雑誌の愛読者が本物の飛行機設計のプロになっていく事例が多々あったようだ。

あらためて人生における出会いときっかけの大切さ、そして「物作りとは何か」を問われているように感じた。
「夢の図書館」…リアルにせよオンラインにせよ、是非1度訪れてみていただきたい。そして「利用者の声(ユーザーレビュー)」ページに感想を書き込んではいかが…。


夢の図書館@DREAM LIBRARY
株式会社 技術少年出版
READYFOR



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員