オウルテック、microUSB/USB両挿し仕様ケーブル 20cmレポート

USB(Universal Serial Bus)コネクタも数種の時代になっているが、デバイスの小型化が影響してか昨今一番多いと感じられるのがmicroUSBだ。ただしこのmicroUSBは小さいという以前に使いづらい印象が一番というのは私だけではないと思う。以前もウェアラブルカメラ本体のmicroUSBポートを壊し、メーカーに修理を依頼したことがあった。


個人的な感想だがmicroUSBが使いづらいのは無論その仕様にあることは明白だが、デバイスの装着位置があまり考えられていないこともあるように思える。冒頭にも記したがデバイス自体が小型化していることも関係し、こうしたコネクタを目立つ位置に置きたくないこともあって使いやすい位置ではない所に置かれる…。

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※オウルテック社、向きを気にしない両差しUSB↔両差しmicroUSB コネクタ 20cmタイプ


そしてUSB A型もそうだがLightningコネクタなどを別にすればこの種のコネクタは接続向きがあるわけで、特別microUSBだけが為に使いづらいというはずもないと思うが、小型薄型であること、ポートに差し込む深さといった総合的な問題からどうにも使いづらいだけでなく場合によってはポート側を傷だらけにする可能性も多い。

私自身も日常2種類のウェアラブルカメラを使っているが両方共にmicroUSBだ。またポケットWi-FiやBluetoothイヤフォン、ポータブル充電器、ScanSnap iX100、卓上加湿器などそのmicroUSB仕様の製品が増えている。無論それに伴いmicroUSBケーブルが必要となり、日々その抜き差しを経験することになる。

そんな折り、向きを気にせず抜き差しが…それもUSBおよびmicroUSBともに両差しができるケーブルがあると知りまずは検証の意味を含めて購入してみた。それが(株)オウルテック社のケーブルで、20cmと100cmの2種があったが取り急ぎ今回は20cmを選んだ。

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※両差しコネクタ20cmタイプ。標準USB側には使わない際の取りまとめ用ベルクロが付いている


あらためて説明することもないがこの小さなmicroUSBを扱うときポートとコネクタの向きを合わせるのは意外に面倒だ。というより無意識に方向を考えないで押し込もうとして「あれ?」と思ったり、時には傷つけてしまった経験を持つ方も多いのではないか。それがそうしたことに頓着せずに使えるというのだからこれは飛びつきたくなる…。

その技術的な仕組みはともかく、従来のコネクタと比較して見るとその秘密は理解できる。
まず標準型のUSBコネクタだが、このA型と呼ばれるコネクタは金属で囲まれた内部半分を樹脂製絶縁体で塞がれており接点となるピンは当然空いている側に装備されている。これがポートに差す向きを決めているわけだが、両差しコネクタのUSBを見るとコネクタは薄い絶縁体の板が中央位置にある。

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※標準的なUSB A型コネクタ(上)。両差しタイプのUSBコネクタは内部中央に薄い板で仕切られている(下)


無論その両端共に接点を持っているわけだが、為に方向を気にせずどちらの側でもポートに差すことができる理屈だ。
このUSBプラグを一般的なUSBポートに差すとき、両差しプラグの中央板はプラグ側半分の厚さの絶縁体に沿って装着されることになる。

microUSBも理屈としては同様だ。これまでのコネクタをよく見ると外装の金属はいわゆる蒲鉾型だ。ためにポート側の蒲鉾型メスと位置を合わせなければ接続できない。また先端は絶縁体のほぼ半分の厚さを使い接点となるピンが列んでいる。この空いている半分の厚みを利用しコネクタの厚み全体の中央にピンを並べること、そして金属カバーの形状を蒲鉾型を2つ合わせたようなデザインにすることで向きを限定しない利用ができることを実現している。

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※標準のmicroUSBコネクタ(上)と両差しタイプのmicroUSBコネクタ(下)


これらの仕様の概要を観察すればこの製品が良いことばかりではないのではないかという疑念も持ち上がってきた。ひとつは耐久性の問題だ。USB A型にしても絶縁板は中央に薄くあるし何らかの拍子に少しでも動けば片方向の向きでは差し込めないという可能性が出てくるだろう。無理に押し込めば壊れる可能性も大だ。

またmicroUSBもピン類が両差しに対応し、コネクタ空間の中央に薄い基盤両側に列んでいる。どう見ても頑強な作りとは思えないし、これまた乱暴な…というより無造作にポートとの接続を試みればそのピンを曲げてしまうことにならないかが心配だ。

さらに一般的なmicroUSBコネクタは差し込んだ際の固定のために蒲鉾型の平たい側2箇所に小さな突起を持っている。しかし両差しコネクタは当然ながらどちらを使われても良いようにとそれを両面持つことになる。ということは僅かにしてもコネクタの厚みが増し、差し込みの際の抵抗は大きくなって抜き差しがし難くなる可能性も考えられる…。

以上こうした前調べを行った上で実際に手持ちのデバイスで検証を試みた。その印象だが、USBコネクタは差し込む際に少々がたつきを感じるものの大きな違和感はなかった。ただし肝心のmicroUSBコネクタはやはりというかどのデバイスのポートでも抜き差しは硬めでデバイスによっては差し込みの深さが不安定というか、もっと差し込まなければならないのか…と感じる時があったりする。

しかし前記した手元にあるデバイスで検証した範囲では接続に決定的なトラブルとか問題はなかったが、要は両差しだからといって雑に取り扱うとケーブル側のコネクタは勿論、デバイス側のポートを傷つける可能性もあるので向きはともかく位置関係をきちんと把握して使うことが肝心に違いない。

まあ、”価格” や “両差し” という利便性をどのように評価するかで本製品の価値は大きく変わってくるに違いない。向きを気にしないで済むということは決して小さなことではないし使用頻度が益々高くなっているmicroUSBだからしてその製品化は嬉しいし応援したい。
ただし、向きにさえ注意さえすれば従来感覚で使える標準仕様のケーブルでも用は足りるし、すべてのmicroUSBケーブルがこの両差しタイプにするならともかく、一部が標準タイプで一部がオウルテック社のケーブル…というのでは差し込む際の確認度は反対に増すことになりより煩雑になってくる。

これらの最終判断は無論ユーザーの判断如何だが、この種の両差しタイプコネクタがより安全で耐久性に優れて普及することを願うばかりだ…。また本ケーブルは絡みにくいフラットケーブルを採用していることや使わない時のとりまとめを考慮したベルクロを常備していることなど両差し意外にも見るべき点もあるので興味のある方はまずお試しになってはいかがだろうか…。








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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員