Apple純正ゲーム「Alice〜Through the Looking Glass」とは

「Through the Looking Glass」とはルイス・キャロル作「鏡の国のアリス」の原題である。実はAppleは過去に一度だけ純正品のゲームをリリースしたことがある。それがこの「Alice〜Through the Looking Glass」だ! 


私がこの製品を手に入れたのは1985年だと思うが、Apple製だという事を抜きにしてもそのパッケージの美しさは他のソフトウェア製品と比較して際だって魅力があった。 

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※「Alice〜Through the Looking Glass」のパッケージ外観


そのパッケージは新書版程度の大きさだったが布貼りのまさしく古書のような体裁で作られていた。そしてその中に3.5インチのフロッピーディスク一枚があたかも宝石箱に入った貴石のようにビロード風に内張された場所に収まっている。 

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※「Alice〜Through the Looking Glass」のパッケージ中身


それから特筆すべきはこのゲームの作者がスティーブ・キャプス(Steve Capps)であったことだ。 
彼はアラン・ケイなどと同じくゼロックス・パロアルト研究所からAppleに移った人物で、後にMacintoshのファインダを開発した一人でもある。そのスティーブ・キャプスは1985年にAppleを去るが、1987年後半に呼び戻されてニュートンの開発を担当した老練なプログラマーである。 
正直、「Through the Looking Glass」を手にした時には考えもしなかったが、Macintoshの誕生に大きな貢献をしたスティーブ・キャプスが手がけたゲームソフトだということに後で気がついた。しかし彼の名が再びマスコミに出たそのニュースは「スティーブ・キャプス、マイクロソフトに移る」といった残念な事実だったことを今でも記憶している。 

ゲーム自体は単純なものであり、ユーザーが操るアリスがチェスボード上にひとつのコマとして登場しMacintoshが操る一組のコマと対戦をするものだ。ルールはチェスのように攻撃を仕掛けてくる相手のコマをアリスが取るか、相手のコマにアリスが取られるかを競うものだが、そのアリスの後ろ姿がなかなか可憐なのだ(笑)。 

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※「Alice〜Through the Looking Glass」ゲーム中の画面。チェスボード左手前にアリスがいる


ゲームオーバーになったとき、あるいは画面上部の得点表示部分をクリックすると、これまたおなじみの「チェシャー猫」が現れる。ここではゲームスピードの調節ができる他、面白いモードが隠されている。 

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※ゲーム終了時などに現れるチェシャー猫には沢山の秘密が...


例えば、チェシャー猫の鼻の頭をクリックすると、始まるゲーム中のマウスカーソルが操作とは反対に動くのだ。また口元をクリックしてゲームスタートすると、「鏡の国のアリス」といった感じでチェス盤が上下逆さまになってしまう...(^_^)。 

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※鏡の国に迷い込んだ?逆さまになったチェス盤


ところで「鏡の国のアリス」や「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルは、本名チャールズ・ラトウィッジ・ドッジソンといい、数学の教授であった。彼は少女崇拝趣味者...いま風にいうならロリコンだったようで、彼が撮影した少女たちの少々危ない写真が多々残されている。 
そもそも「不思議の国のアリス」のストーリーは当時ドッジソンの同様の愛嬢であったアリス・リッデルのために作り始めたものであることはよく知られている。そしてチェスの名手でもあったドッジソンは白の歩になったアリスが赤の女王を取り、勝負に勝つまでを表したものだともいわれる。 

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※私の御影石調Macintosh Plusで起動した「Alice〜Through the Looking Glass」の初期画面


さて、この「Through the Looking Glass」には別途デジタル時計表示ソフトと迷路遊びのソフトが含まれている。まあそれぞれたわいもないソフトだが、「Through the Looking Glass」は、「わたし考えてましたの...とアリスはたいそう丁寧にいいました。この森を出るのにどの道が一番いいかって。もう暗くなっちゃったし。教えてくださいません...」といったアリスの声が聞こえてくるような可愛らしいソフトウェアなのだ。 
最後に、「Through the Looking Glass」起動時に表示する画面の最後の行が興味深い。そこには謝辞が述べられているが、その対象者らには Andy, Bill, Bruce, Burrell, Larry, Patti, Steve...らの名が記されている。 

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※ゲームの簡単な解説が表記されているが、特筆すべきは最後の行に記されている謝辞の名前であろうか..


Macintosh開発チームの仲間のはずだが、野暮を承知でフルネームで記せば、アンディ・ハーツフェルド(MacのToolBoxを開発)、ビル・アトキンソン(QuickDraw & MacPaint)、ブルース・ホーン(Finder担当)、ビュレル・カーバー・スミス(デジタル基盤設計)、ラリー・ケンヨン(ファイルシステムならびにブートコード担当)、パティ・キング(ソフトウェアライブラリ管理)そしてスティーブ・ジョブズ(Mac開発部隊のジェネラルマネージャ)らと思われる。 
凄い人たちがずらりと並んでいる...。
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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員