PFU社のOmoidori (おもいどり) ファーストインプレッション

PFU社のアルバムスキャナ「Omoidori」を遅ればせながら手に入れた。かつて経営していた私の会社はMac用のコンシューマー市場向けとしては始めてカラースキャニングソフトを開発・販売した経緯もあり、スキャナとかビデオデジタイザといった類にはもともと目がないのだが、すでにPFUのScanSnap iX100とかSV-600といった製品があるので優先順位としてはこの時期になった...。


というわけで一枚物の紙焼き写真といった類なら前記した iX100とかSV-600、あるいは複合機のフラットベッドスキャナがあるので不自由はしない。「Omoidori」はあくまで私や家族が写っている数冊のアルバムに貼られた古い写真をアルバムのままデジタル化するために手に入れた。そもそも「Omoidori」はそうした用途のための製品である。

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※PFUアルバムスキャナ「Omoidori」パッケージ


数冊のアルバムは "ナカバヤシ フエルアルバム"という名で販売されていたもので、ビスを重ねることで台紙を後から増やすことが出来ること、そして台紙に線状に置かれた粘着部分で写真を簡単に固定でき、透明なフィルムのカバーをかぶせて保存するというものだった。

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※すでに台紙を止めるビスがなくなって崩壊寸前の "ナカバヤシ フエルアルバム" と「Omoidori」


本来、写真の入れ替えなども容易にできるはずだったが、私の手元にあるアルバムは状況証拠から推察して1970年代に整理したものだからすでに40数年も経過している。したがって台紙の粘着材が劣化変化し、置いた写真が剥がれなくなってしまったものが多々出てきているという次第...。

簡単に外せた写真の中にはすでにデジタル化したものもあるが、昔の写真はサイズもまちまちだしデジタル化そのものに時間は取られたくないという理由もあって、そのまま機器本体をかぶせて撮れるという「Omoidori」を試してみた。ただし以前同じくPFU社のSNAPLITEというこれまたiPhoneを活用するスタンドにもなるスキャナをあれこれと試して見た結果、結局満足できなかったこともあり、「Omoidori」も手放しで楽観はしていなかったが、「Omoidori」は用途が限られていることもありそのシンプルな発想に惹かれた...。

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※iPhone 5sを装着した「Omoidori」(左)とサイズ比較のiPhone 6s Plus(右)


さて本来なら12メガピクセルをサポートしている愛用のiPhone 6s Plusで使いたいところだが、「Omoidori」が利用出るのはiPhone 6s, 6, SE, 5s, 5だけで、iPhone 6s Plusや6 Plusのサイズは使えない。そこで仕方なく旧機種で手元に残してあったiPhone 5sを取りだしてこれで使ってみることにした。とはいってもフロントカメラの解像度は8メガピクセルだから十分なはずである。ただしサイズの問題からiPhone SE, 5s, 5 は付属のアタッチメントを使う必要がある。

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※iPhone 5sの下部にアタッチメントが見える


「Omoidori」はアルバムに貼られたままの写真を照明などのテカリなく綺麗にスキャンするために開発されたという。要は本体を開くとテントでも組み立てたような三角形のボディとなる。この本体内に2方向から白色LEDでフラッシュ撮影する独自の機構のおかげでアルバム写真をフィルムの上からでも綺麗/簡単にスキャンできるという。
早速単4アルカリ乾電池2本を入れ、付属のアタッチメント経由でiPhone 5sをセットし、スタンバイ状態にする。ちなみにiPhone側には事前に無料でダウンロードできる専用アプリケーションをインストールし撮影にはそのアプリを使う。

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※61年前、小学校入学記念に撮った写真をアルバムに貼ったまま「Omoidori」でスキャン準備


というわけでアプリを起動し、撮影したい写真の上に「Omoidori」をおき、iPhoneの液晶で位置などを微調整して撮影ボタンをタップする。基本的にはこれだけだ。シャッター音が2度鳴り、2度撮影したデータを「Omoidori」が自動的に合成しテカリのない写真を作りだす。

なお申し上げるまでもなくスキャン(撮影)したデータはiPhoneに保存され、専用アプリから即プリント、フォトブックも注文できる。勿論例えばAirDropなどでMacに写真データを転送してインクジェットプリンターで印刷する、あるいはPhotoshopといったツールでレタッチするといったことも自在だ。

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※スキャン後、トリミングし撮影日を指定する。保存した写真はiPhoneのカメラロールに保管される


取り急ぎ「Omoidori」でそれぞれサイズやら白黒・カラーといった毛色の変わった十数枚の写真をスキャンしてみた。元写真がそもそも鮮明でなかったり、ピンボケしてたりとあまり状態としては良くない場合も多いものの記録を残すという意味においては必要十分なスキャニング結果だと思う。そして無論簡単にスキャンできる…。

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※61年前の写真を「Omoidori」でスキャンしトリミングした画像データ【クリックで拡大】


「Omoidori」のコンセプトからして画質がどうの…解像度がああだと論ずるのはいささか野暮に思うが、その点は別途考察するつもりだ。しかし「Omoidori」でスキャンした写真を画像補正せずにトリミングだけしてインクジェットプリンターで印刷(L判光沢用紙)してみたが、十分な結果が得られたことは明言しておきたい。

こうしてデジタル化した写真だが、長い間デジタル世界で飯を食ってきた1人としては可笑しいかも知れないものの、デジタル化の結果を100%信頼しているわけではない。
「Omoidori」でスキャンした写真はそれこそiPhoneとかiPadに保存は勿論、iCloudといったクラウドを活用して遠方の両親や家族たちと簡便に共用できるという利点はあるものの、後々も残しておきたい写真はデジタルのままでは心許ないのだ。

よくよく考えてみれば手元にある写真を撮った当時、デジタルカメラは存在しなかったが、ある意味紙焼きの形だったからこそ50年近くも保存できたと思える。
デジタルカメラが登場してこの方、幾多のデジカメで膨大な写真を撮ったが、はたして半世紀後に残っているかは分からない。それでも重要だと思われる写真はCD-Rなどにバックアップして保管してはいるものの、例えば黎明期の画像フォーマットは PICT だったし、中には物理的にCD/DVDドライブで読めなくなってしまったものもある。実に心許ない次第である。

したがって「Omoidori」でデジタル化した写真たちを確実に残しておきたい場合は解像度がどうのこうのはともかくプリントしておくことが重要だと心している。
手元に残っている半世紀前のオリジナル写真たちはまだまだ個人でカメラを気楽に持つことができなかった時代のものだけに単なる思い出と片付けられない歴史の重みも感じる。

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※思い出の写真をスキャン後、インクジェットプリンターでL判サイズに印刷してみた。実によい出来だ!


いま手元に残っているほとんどを撮った…シャッターを切った父はすでに他界しているが、当時どのような気持ちで我々にカメラを向けたのか。そんな気持ちを推し量りながら「Omoidori」でスキャンしていると変色した小さな1枚の写真は私にとってさらなる宝物に思えてくる。
ということで「Omoidori」で古い写真をデジタル化していると、前記した iX100とかSV-600 を使うときとはまったく違う気持ちで写真と向かい合うことができるように思う。これも「Omoidori」のメリットのひとつだろうか…。





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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員