ラテ飼育格闘日記(529)

正月気分もあっと言う間に終わってしまったが、朝晩は寒い。暑いよりは寒い方がいいと豪語しているオトーサンも一時間も零度の、それも北風が吹くなかを歩き回るのはやはり辛い。しかしラテはマイナス2℃の朝でも路面に腹ばいになって一休みするし、まあまあよく歩く。歩けるのは元気な印でもあるから歓迎すべき事なのだが限度というものがある…。


そんなある日の夕方、オトーサンとラテはいつものように馴染みの公園に足を向けた。知り合いの子供がいるといいけどなあ…と考えながら公園入り口のスロープに入った途端に聞き慣れた声が響いた。
「ラテのオトーサン、ひとつ凄いお願いがあります!」と馴染みの女の子が公園フェンス外側斜面から声をかけた。

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※ラテは劇寒の中も元気いっぱいだ



凄いお願い…っていうのが気になったが(笑)、「なんでしょうか!」と応じると後ろの茂みの上を指さして「あそこにボールが引っかかったのを取って欲しいの」という。どうやら「凄いお願い」というのは「重要なお願い」ということなのだろう。
どこだろうかとフェンス外側下から見上げるが逆光でボールが止まっている場所が分からない。再度女の子の指先を回り込みながらボールの場所を特定しようとフェンス近くまで、すなわち木々が植わっている場所に登ろうと決心する。しかしラテを連れて斜面を登るわけにも行かない。

一応公園に入り、頑丈なフェンスにラテをつなぎ、散歩用バッグを肩から外してラテの脇に置き身軽になって女の子に「ラテ見ていてくれるかな」とお願いしボールのある場所に戻った。
ボールが乗ってしまった木は大木といったものではないが、根元から揺らせるほど柔なものではなく、これはともかく木に登らないと問題の枝を揺することもできないことを知る。

そういえば木に登るなどという行為はここ何十年とやったことはない。いや何十年というよりオトーサンが少年の頃を別にすれば木登りなどその目的がどうであれやったことはなかった。
しかしいつもラテが世話になっている女子の頼みとあらば無下にことわるわけにはいかないし、ここはやはりラテのオトーサンとして時には役に立つというところを見せておきたいと思う(笑)。

幸いというか該当の木は斜面に生えているため斜面の上からだと最初の枝分かれの位置に比較的簡単に足をかけることができそうだしオトーサンの体重では折れる心配のない太さだった。

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※まずは足がかりとなる位置に乗る


その最初の足がかりに乗るとアドレナリンが出てきたのか、なんだか楽しくなってくる。無論落ちて怪我でもすれば厄介なことになる年齢でもあるので無理をしないように気を付けろと自分を励ます。

そしてツーステップ目もしっかりした足がかりがあったのでそこまで登ると木登りらしくなってきた。ただしまだまだボールまでの距離は2メートル以上離れている。もうワンステップ登らないとボールが乗っている枝を揺することはできないことも分かったので体を安定させるために左手で太めの枝を握りながら右手で枝に手を伸ばす。

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※まだまだ登らないとボールが乗っている枝に手が届かない


どうやら揺らすことができそうな太さの枝まで右手が伸びたので揺すってみるがやはりまだ太いからか思ったより揺れない。それにボールは子供が遊ぶサッカーボールだったが、見事というかピッタリと枝枝の間に収まっていて少々揺らしたぐらいでは落ちてこない。
長い棒でも持っていれば突き上げることができる距離だが無論そんなものはないからこことはもう数十センチ登らないとらちがあかない。ふと下を見ると公園側から女の子が心配そうにオトーサンの挙動を見ている。

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※ボールが見えた。もう少しだ!


安全だと思われる足がかりを探って片足を乗せたまま右手を問題の枝に置くと大分揺さぶることができそうだった。ここで決めたいとオトーサンは足元を確かめつつボールが乗っている枝を大きく揺すってみた。
何度か揺すった結果、幸いボールが枝から外れ、公園側に転がったのを確認してオトーサンは木から下り少し息を切らしながらラテのところに戻った。ラテは何が起こったのかわからないからか真ん丸な目をして心配そうな表情だった。

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※ラテは心配そうな顔で待っていた



さてミッションはなんとか終わったのでオトーサンはラテに「散歩を続けようね」と声をかけてフェンスに縛ったリードを外していると女の子は向こうでそのサッカーボールを蹴り出した同年配の男の子2人に近づき「ねぇねぇ、ありがとうございましたといわないと」と言ってる。
どうやらボールはその男の子たちのボールだったらしい。

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※ボールの持ち主ら男の子2人がお礼を言いに来てくれた


男の子2人がオトーサンのところまで来て「ありがとうございました」と丁寧に頭を下げてくれた。皆良い子たちだ!
ともかく子供たちの期待を裏切らなくて済んだオトーサンは気持ちを新たに北風の中、ラテと散歩を続けたが何故か爽やかな気持ちだった。しばらく歩くと夕日でシルエットになった富士山が「ご苦労さん」と言ってくれているように思えた。

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※ラテとの帰り道、夕焼けをバックにした富士山が美しかった




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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員