人物の全身写真をレタッチする「PortraitPro Body」ファーストインプレッション

人の全身を写した写真を編集するためのソフトウェア「PortraitPro Body」をあれこれと試している。このアプリを操作していると雑誌などに載っているスタイルがよく肌も綺麗で均整の取れた美しい女優やモデルたちの実体が信用できなくなってくる(笑)。無論そのほとんどはなにがしかの編集処理がなされていると見るべきなのだろうが...。


ここのところ、すでにご紹介した PortraitPro や Smart Photo Editor など Anthropics Technology社のアプリケーションにはまっている。
すでにご紹介した PortraitPro がデジタル・コスメチック・ツールだとすれば今般新たに購入した PortraitPro Body はその命名の通りフルボディへのレタッチを目的としたアプリケーションである。

ひとことで PortraitPro Body の目的はといえば、撮影した人物の全身骨格および肉付けを調整できるアプリケーションなのだ。例えば太めの被写体を細目にしたり、お腹を凹ましたりバストや腰の位置を変え、ウエストとヒップのサイズや腕と足の太さや長さまでをも編集できるアプリである。
無論例えばPhotoshopに精通したユーザーならその多くは可能だろうがPortraitPro Bodyを使えば誰でもが容易に、そして自然な形にレタッチできるのが特長なのだ。

ということで PortraitPro Body は日常のスナップ写真をあれこれレタッチするためのツールではなく、商用写真として撮影したモデルの姿や結婚式など "ここ一番" よりよく美しい写真を残しておきたいという場合に威力を発揮するツールだと言える。勿論ここでいうところのレタッチは申し上げるまでもなく元写真と分からなくなるようなことを求めるのではなく自然な形でより美しく健康な姿にするためのものだ。

では早速 PortraitPro Body の豊富な機能とその高度な能力の概要をご紹介したい。なお以下ほとんどの図版はクリックで拡大するので必要ならその詳細をご覧いただきたい。
まずは編集したい写真データを PortraitPro Body のメインウィンドウ内にドラッグ&ドロップして読み込ませる。ここで画面の構成を確認しておきたいが、中央に写真、左側には "Instruction" すなわち写真にどのような操作をすれば良いかの指示がステップ毎に表示される。また右側には主にスライダー操作で写真を変更できる "navigator" 機能が揃っている。

PortraitProBody_01.jpg


最初に行うことは写真の顔の鼻先をクリックすることだ。これで写真の中で顔位置が認識される。続いて性別を選択する。分かりやすい絵で選ぶので難しい事はない。

PortraitProBody_02.jpg


さてここからが PortraitPro Body 操作の真骨頂だが、それぞれ数度練習すれば理屈と上手いやり方はおのずと理解できると思うが常に "Instruction" にしたがってなるべく正確に操作することがポイントだ。

指示に従い人物の骨格をマーキングする。右腕、肩幅、左腕そして白色の逆三角形で胸のエリアを指定する。
続いて右足および左足の骨格を操作するが、もし使用する写真が腰までしかないような場合でも足部分があるものと仮定して両足のマーキングをしなければならない。

PortraitProBody_03.jpg


次は腕のカーブを外側と内側でマウスをクリックしながらマーキングする。このとき、それぞれ各クリック毎に白色の四角形の範囲内でポイントを指定する。

PortraitProBody_04.jpg


腕の次は胴体のカーブをマーキングする。無論両足も腕と同様に処理する。

PortraitProBody_05.jpg


こうして写真のスタイルへのマーキングが終わると "finish markup and edit body" および "(modify markup)" 選択のウィンドウが表示されるのでそれまでの作業が完了していれば "finish markup and edit body" をクリックして先に進む。これで "mark up" 作業は終了だ。

PortraitProBody_07.jpg


ここからは実際に写真を見ながら画面右サイドにある "navigator" エリアを操作し、写真の姿を編集することになる。編集は大別して "shape sliders", "shape tools", "skin", "face",そして "picture" の5つに分かれている。どの順番で操作してもよいが一般的には上から順に編集を行うことをお勧めする。

PortraitProBody_08.jpg


"shape sliders" は全体のスタイルを変更するスライドバーの他、 "torso", "arms", "legs","skeleton"とより個別に詳細部位を変型できるツールバーを備えている。これらの機能を使ってウエストのくびれやヒップあるいはバストのサイズおよび位置、腕や足の太さなどを微調整できる。
さらに"skeleton" では首の長さや頭の位置を整えることも可能だ。

PortraitProBody_09.jpg


次の "shape tools" はスライドバーではなく7つの用途別アイコンを選択しながら直接写真のポイントを操作することができる。これらを上手に使えば微細な箇所の形状、例えば顔の形状までをも変更できる。

PortraitProBody_10.jpg


スタイルの全体について変更が終わったら "skin" で肌の調節を行う。肌の荒れは勿論、傷やほくろといった部分を消すことができるわけだ。
最初は各機能が分からないと思うが、アイコンとスライドバーを実際に操作してみれば効果は一目瞭然に違いない。

PortraitProBody_11.jpg

PortraitProBody_12.jpg

※ "skin" による肌調節の例。胸のほくろを消去


続いて "face" だが、文字通り顔の編集に特化した機能だ。
最初に行うことは両目の位置の補正、鼻の一番高い部分にポイントが置かれているか、口の位置の補正および顔の下半分の形状確認を行う。

PortraitProBody_13_20170218103046896.jpg


その後この "face" に備わっているスライダーを見ればお分かりの通り、全体の形状の編集はもとより、目をより見開かせたり唇を僅かに変形させてスマイル度を強くしたり、あるいは肌の調整や照明などに関しても編集が可能だ。

最後の機能 "picture" に関して説明は不要だと思うが、編集が終わった写真自体の色味などを調節する機能である。
なお画面の左端にある "side by side" タブをクリックすれば画面の写真部位は左右二分割となり、左側にオリジナル、右に現時点での編集効果をならべて比較しながらの作業が出来る。

PortraitProBody_14_20170218103048df8.jpg

※効果をお見せしようと少々無理なレタッチをしてみたが、ウエストを細く腰の位置を高く、手足を細く、首を長く、そして目を大きく見開くようにして最後に肌調節を加えた例


そして写真上部の "flip to original" タブをクリックすれば写真が一画面の際にもマウスボタンのプレスでオリジナル写真に切り替わるのでこれまた効果の比較が容易に可能だ。
さらにメニューバーの "View" にある "Animate" を選択すれば、編集した変化をアニメーションで示してくれるので動的な確認ができる。



以上 PortraitPro Body の大まかな使い方を見ていただいたが、冒頭にも記したとおり本アプリケーションは目的の写真を当人と別人に仕立て上げるツールではなく、あくまでより美しくより綺麗で健康的な写真に編集するためのものだ。したがって例えば太めの人物をいたずらに細身にするのは最良の使い方ではないし度を越した変型は元写真のスタイルやバランスあるいは形状を壊すことにもつながるので心しておかなければならない。

なお蛇足になるが顔をより精緻に編集したい場合は PortraitPro というデジタル・コスメチックソフトウェアがあるので別途活用をお勧めしたい。

※ 本記事中に使用した女性モデルの写真は PortraitPro Body 開発元、Anthropics Technology社の正式な許諾を受けたものです。

PortraitPro Body








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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員