[小説]未来を垣間見たカリスマ 〜 スティーブ・ジョブズ 脱稿のご報告

昨年(2016年)の9月から連載をはじめた「[小説]未来を垣間見たカリスマ ~ スティーブ・ジョブズ」を脱稿した。他人事みたいだが、大げさでなく自分で書いたというより “書かされた” といってよいほど筆が運んだ。この小説を始めようと思った経緯は「[断章]~「未来を垣間見たカリスマ ~ スティーブ・ジョブズ』はなぜ小説なのか」にご紹介したが、実に楽しくもエキサイティングな9か月だった。


本稿はこの後「第41話 帰還」で完結となる。
今回の執筆では一回毎の読み切りの形を取ったため、一般的な小説の形態は取りづらい。本来なら複数の事案が絡み交差しつつ物語が進行していくべきかと思ったが、わかりやすさと読みやすさをまずは優先した。
今後は約40篇の話しを1冊の本の形にまとめるべく作業を進めたいと考えている。その時点で書けなかったこと、書かなかったことなどを補足してより充実させた内容にしたい。

また執筆にあたり、あらためてスティーブ・ジョブズという人物を調べ直した。
私はスティーブ・ジョブズという人物を生で知っていた。一対一で話した事はなかったもののデベロッパーという立場で彼のすぐ隣にいたこともあったしホテルですれ違ったこともあった。また彼のキーノートを生で見たこともある。そして彼に手紙を書いたこともあるし当該ブログに幾多、彼のあれこれについて記事も書いてきた。
とはいえ、小説という虚構の世界となれば自分なりにスティーブ・ジョブズという男の息吹を側で感じられるようにと考え、知ってるつもりのことも含めて調べ直した。ために幾多の資料に当たりつつ先達の業績を多々参考にさせていただいた。ひとつひとつは記さないがここに謹んで御礼を申し上げたい。

しかし調べれば調べるほどスティーブ・ジョブズという人物は嫌な男だった(笑)。
いみじくもジョン・スカリーは次のようにスティーブを評している。
「スティーブはまさに刺激的だ。彼は傲慢で、暴虐で激しく、ない物ねだりの完全主義者だ。彼はまた未熟で、かよわく、感じやすく、傷つきやすくもある。そして精力的で構想力があり、カリスマ的で、さらにおおむねは強情で、譲らず、まったく我慢のならない男」だと…。
そんな男がAppleという会社を資産総額世界一の企業にし、世界を変えたのだ。だからこそのミラクルであり好奇の目で見たくなってしまう。

さて、結局タイムスリップしたスティーブ・ジョブズ宅のガレージ前から始まり、苦悩と不安に心揺れるスティーブ・ジョブズを残して主人公加賀谷友彦は現代に帰還することになる。
そしてスティーブ・ジョブズにはこの後、すでに知られているように人生最大の苦悩と挫折が待ち構えている。
したがってスティーブが一番輝いていた時代ほど魅力のある舞台はないしこの後の彼の人生はすでに広く知られているように思うので続編を書くことはないだろう。ただしスピンオフ作品といったことなら書けるかも知れない。
事実、例えばビル・ゲイツなどスティーブの人生に関わった重要人物の数人はストーリーの都合上および意図的に避けたこともあって、何らかの形で補完したいとも思っている。

多くの方はこの小説に登場する人たちのことはよくご存じだと思う。スティーブ・ジョブズは当然としてもスティーブ・ウォズニアック、ロッド・ホルト、クリス・エスピノサ、ビル・フェルナンデス、ダン・コトケ、ランディ・ウィギントンあるいはマイク・マークラといった創業時の人たち。そしてMacintoshの開発に携わったビル・アトキンソン、アンディ・ハーツフェルド、ピュレル・スミス、ジョアンナ・ホフマンやスーザン・ケアら。またマイケル・スコット、ジェフ・ラスキン、アラン・ケイやラリー・テスラー、ジョン・スカリー、さらには受付係のシェリー・リビングストンといったすべての登場人物は実在の人たちだ。
ただし彼ら彼女らの言動は史実に基づいたものもあるが、多くは彼ら彼女たちだったらそう反応するだろうという判断に基づく創作である。無論これは小説というフィクションであることをあらためてご承知おきいただきたい。

私自身を仮託した加賀谷友彦という男がそうした人たちの中にいたとすれば、どのような交友関係を作るのか、誰と気が合い誰と反発するのかといったことを考える事も楽しかった。
執筆を終えた今、大げさに言うならこの約8年間 (1976年末から1985年春) 一緒の職場で付き合い、世話になったシェリー・リビングストンやマイク・マークラ、あるいはロッド・ホルトらに「さよなら」を言えず去ってしまったことが気になっている(笑)。
ともあれ完結まで後1編を残したのみとなった。最後までお楽しみいただければ幸いである。




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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。ゆうMUG会員