アップルのロゴの使い方に見るアップルの変化

ここのところ、アップルのスペシャルイベント告知を見る度に思い起こすことがある。それは私がアップルジャパンのデベロッパー時代に口うるさいというより厳格な指導があったアップルロゴの使い方についてだ。アップルロゴの使用は許可を受けた者でないと使えないのは当然としてもその使い方は厳格に決められていた。


今回のスペシャルイベントのアップルロゴを眺めると今更ながらに「アップルは変わったなあ」ということを実感する。なぜかといえば一昔前はアップル自身もこのようなカラフルなアップルロゴは使わなかった…というより禁止だったからだ。
当時アップルロゴやロゴタイプのデザインやカラーリングは「Corporate Identity Guidelines」により明確に定められていた。その使用はオーソライズされた人々のみが定められた規定通りに使用することができ、ガイドラインに掲載されている使用基準のみが、アップルに認められているもので例外は一切認められなかった。

AppleLogo201709_02.jpg

※アップルがオーソライズされた企業に配布した「Corporate Identity Guidelines」。左右に見開き8ページ


「Corporate Identity Guidelines」にはアップルロゴの基本レイアウトはもとよりレターヘッドや名刺などに使用する際の配置について明確に決められていた。
そして一番厳しかったのはアップルロゴの色指定であり、それはアップルロゴだけでなく背景色にも決まりがあった。

使用できるカラーはお馴染みの6色フルカラーの他にBlack(スミ)、AppleRed(赤)、AppleGray(グレー)および白抜きだけが許されており、グレーもPMS#423、DIC652、CF8658、BL60と色味も詳細に指示されていた。
またフルカラーのロゴ使用の場合、背景色というか地色も白地、黒地、ダークグレー地、ライトグレー地と決められており、白抜きの場合も地色は黒地、ダークグレー(スミアミ60%)より濃いことが求められた。

AppleLogo201709_03.jpg

※ロゴマークの使用禁止例。「Corporate Identity Guidelines」より


さて、そのアップルロゴの具体的な使用もなかなか五月蠅い(笑)。
レジスターマークは指定位置に必ず入れなければならなし、ロゴマークに重なる書込は禁止、指定色以外の禁止、バックに写真を使用することを禁止、ロゴの周囲に文字パターンの配置は禁止、ロゴの周囲に規定の空きをとらないことの禁止、単色の場合、ベタ以外例えばグラデーションなどの禁止などと禁止禁止禁止が多かった。

そうしたあれこれが身に染みついている者から見るとアップルロゴのデザインが自由になり背景もその時々に相応しいものになっていることに驚く。無論これらはアップル自身のみに許されていることだろうが、当時はアップルも今のような自由度は持っていなかった。

AppleLogo201709_01.jpg

※2017年9月12日(米国時間)に開催するスペシャルイベントの告知に使われたアップルロゴ。「Corporate Identity Guidelines」からすれば言語道断な使用例だ(笑)


無論そうした自由度を批難するという意味ではない。むしろ9月12日(米国時間)のスペシャルイベントで使われているカラーリングのアップルロゴなどもいくつかのバリエーションとして製品類に使って欲しいとも思っている。近年のそれはほとんどが単色のロゴになっているからだ。
なにかシンプル、シンプルばかりで少々鼻についた感じもする。カラフルな製品があっても良いと思うと同時にこんなことにもアップルの変化を大きく感じている昨今である。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員