3Dプリンター BIQU-Magician、モデリングから3Dプリントまでの過程

3Dプリンター BIQU-Magicianは頭の良き刺激にもなっている。幾つになっても新しいことに向き合うのは楽しいし新しい発見に結び付く。さて3Dプリンターは買ったものの果たして使い物になるかどうかが問題。その為にはとにかく基本から忠実にやってみなければならない。


「BIQU-Magician」のパッケージにはSDカードが同梱されており、そこにテストプリント用のデータがあるので本体のセットアップが完了すればパソコンなしでプリントが可能だ。

BIQU20180304_01.jpg

※3Dプリンター BIQU-Magician。縦長のデザインは設置スペースをとらない


ところで、基本的なことを抑えておきたい。
一般的に3Dプリンターで作りたい物を3Dソフトでモデリングする際、やり方は一様ではないもののまずはオブジェクトファイルを .stl フォーマットで保存し、それをスライサーソフトでプリント可能なGcodeファイルにする必要がある。

パッケージのSDカードには「BIQU-Magician」に適合調整されたスライサーソフト「Cura for BIQU」が同梱されているのでそれをMacにインストールして使う。
プリントは「BIQU-Magician」をUSBケーブルで接続し、Macから行ってもよいし前記したGcodeファイルをSDカードにコピーすればスタンドアローンでプリントできる。
というわけで今回はスタンドアローンでプリントしてみることにした。

では実際の作業工程に沿って3Dプリントの概略をご説明しよう。
手順としては一般的に以下のようなことになる。

 ・作りたい3Dオブジェクトをモデリングする
 ・モデリングしたデータを .stl フォーマットで保存
 ・STLファイルをスライスソフトでGcodeを生成
 ・生成したGcodeファイルをSDカードにコピー

まずはモデリングだが、単にプリントテストのためならウェブを探せば様々なデータが見つかるだろう。しかしここでは基本に忠実に?無料のモデリングツール TINKERCAD で簡単なオブジェクトを組み合わせて作り .stl フォーマットで保存してみた。その際にはスケールも正確に計っておく。

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※テストとして扱いが容易な TINKERCADでモデリング


続いてその .stlファイルを「BIQU-Magician」同梱のスライスソフト「Cura for BIQU」で読み込み、プリント出力パラメータなどを確認調整した上でGcodeデータとして出力する。なおプリント出力パラメータはマニュアルの6ページの内容に合わせた。

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※3Dのファイルを「Cura for BIQU」で読み込みスライスを実行しGcodeファイルを生成。3Dオブジェクトがトップテーブル上で黄色表示ならスライスが可能な事を示している


ここからはSDカードを「BIQU-Magician」本体にセットしてプリント開始となる。
プリントまでのセットアップだが、まずは電源を入れる。当然フィラメントもセットされているとして話しを進める。
まずは水平出しのキャリブレーションを行う。

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※同梱のフィルム圧力センサーに剥がしたEVAコットンを貼る


製品同梱のフィルム圧力センサーに剥がしたEVAコットンを貼り、ワイヤーを本体から出ているワイヤーに接続し、ドーナツ型のEVAコットンをノズルに取り付ける。ただしノズル温度が50℃を越えている場合は冷やしてからにすること。
同時に印刷プラットホームに付属の円盤シートを接着面を少し湿らせてしっかりと置く。

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※圧力センサーを本体から出ているケーブルに繋ぎ、ノズルに押しつける


そして液晶パネルの「自動調整」ボタンを押せば文字通り自動でキャリブレーションが行われる。
終わったら必ずEVAコットンを外し、ワイヤーも外して保管するが本体側のワイヤーは収納位置に納めておくこと…。

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※液晶パネルの「自動調整」ボタンを押せば水平出しのキャリブレーションが開始され終わればヘッド部が上がる


続いて液晶パネルの「あたため」ボタンを押し「PLA」ボタンを押す。
初期値ではPLAフィラメントの材質に最適な目標温度は200℃となっているが、ノズルの現在温度が目標温度に達するまで待つ。もしフィラメントを強制的にヘッドまで送る必要があれば、液晶パネル「移動」からE軸および "+" を数回押してみる。

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※「あたため」ボタンを押した直後の画面


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※現在の温度が目標値に達した


ノズルから溶解したフィラメントが垂れた場合はノズル先端ではさみなどで切断しておくとよい。

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※フィラメントが溶解してノズルから出てきたらノズル先端で切っておく。ただしノズルは高温になっているので素手で触ってはいけない


後は印刷プラットホームにおいたシート上に同梱のスティック糊を塗る。これは造形物をしっかりとホールドするのに役立つだけでなく、プラットホームから造形物を剥がす際に綺麗に取るためだ。

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※スティック糊を満遍なく塗る


いよいよプリントである。SDカードを「BIQU-Magician」に装着しプリントするが「プリント」ボタンを押し、目的のファイルを選択すればプリントが開始される。

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※SDカードを本体スロットに装着


ちなみに例としてご覧頂いているキーチェーンはサイズが12×75×8mmほどのものだが35分でプリント完了となった。
後はプラットホームからオブジェクトを剥がしてバリを取り去れば完成である。

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※プリント開始直後


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※プリント後にサポート材やバリを取った完成品。後は綺麗に磨く


ただしこれは比較的容易な3Dモデルの場合だ。
別途ネットで見つけたミロのヴィーナスのデータがあったのでダウンロードし挑戦してみた。
高さが13センチほどのオブジェクトだが、3Dプリンターは積層していく距離に等しく時間が掛かる。なにしろ午前10時30分にプリントスタートしたものの終わったのが20時30分頃だった。実に10時間がかかったことになる。
その間、「BIQU-Magician」はトラブルなく動作し続けたが、まずは動作音がかなり気になる。日中は良いが夜間それもマンションなどの集合住宅だと上下に音が響くのではないかと思う。

それと縦に長い造形、例えば今回のミロのヴィーナスのように顔という大変微妙な部位、それも小さな表現部分は場合によっては微妙に揺れる可能性があるしサポート(プリント過程に不可欠な支えのバリ)のコントロールなどにより良い結果にならないこともある。

BIQU20180304_00.jpg

※ミロのヴィーナスのプリント終了直後。回りにサポート材が多々ついている【クリックで拡大】


ともかく数回のテストプリントで3Dプリンターを扱う際に重要なノウハウが分かり大変勉強になったが「BIQU-Magician」は面白い…。



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員