3Dプリンター BIQU-Magicianトラブル考

3Dプリンター「BIQU-Magician」が故障した。プリント中にどうしたわけかフィラメントホルダーが「BIQU-Magician」の頭上から落ち、その衝撃でフィラメントは折れ、押出機のユニット一部が破損しただけでなくフィラメントがチューブの途中で詰まった状態になってしまった。嗚呼…


フィラメント(PLA樹脂)は本体購入時に同梱されていたものだし、設定通りに3Dプリンター頭上にセット済みで使っていた。これまで絡んだり取れたりしたことはなかったが運が悪いときにはそんなもので、時間がかかるからとプリントをスタートさせたまま愛犬と散歩に出た留守中の出来事だった…。

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※3Dプリンター BIQU-Magician


戻ってみるとフィラメントのリールごと床に落ちていたという次第。
プリント中は押出機がフィラメントを本体内に引っ張りながらチューブ内に自動で入れていくわけだが、フィラメントのリール内でフィラメントが絡み、引っ張り合うことになったに違いない。

当然プリントは途中で中断されたが問題はそれだけでは済まないことに気がついた。
確認の為に別途簡単なプリントをやってみようとしたが、まずフィラメントが押出機に入らない。もともとフィラメントのセットは慣れないと意外に難しいものだが、それにしても要領は分かったつもりだが入らない。強く押し込んだらチューブに入らず押出機の中に絡んでしまった。

また切れたフィラメントはすでにチューブ途中まで送られていて取り出せないしこのままでは新しいフィラメントを押し込めない。
初めてのトラブルだけにどこから手を付けてよいかが分からなかったから、まずはメーカーのサポートへ日本語で問い合わせてみた。メンテの方法があれば教えて欲しいしダメなら修理をお願いしたいと…。

ありがたいことに数時間後に返事を貰った。返事は確かに日本語ではあったが、肝心なところで何をどうすべきかが通じない。残念だがこれでは返事がないも同然(笑)。
ともかく知る限り、やらねばならないことは明白だ。
押出機というか、そこに繋がっているチューブ内で折れたフィラメントを抜くこと。そして新たにフィラメントをセットすべきことだ。

「BIQU-Magician」の構造というか仕組み自体はシンプルなので仕方なく押出機のフロントカバーを外してより詳しく問題を把握しようと試みた。

BIQUTrouble_01.jpg

※押出機のフロントカバーを外す


押出機のフロントカバーは前面に4本のネジで止めてあるだけだから簡単に外せる。
ともあれ実際に外して驚いたのは押出機の上部からフィラメントを押し込む際に自動送りのギアとチューブの間を繋ぐ樹脂製の部品が衝撃で欠けていたのだ。

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※押出機に納まっている部品が欠けている


またチューブの素材が乳白色のところ、同梱されていたフィラメントがホワイトだったこともあり、チューブのどの辺までフィラメントが入っているのかがよく分からない。
そうした点をさらにサポートに問い合わせたところ、返事は早いもののやはり肝心なところで意味がわからない。しかしどうやら欠けた部品は特に重要でないためそのままでよいこと、押出機側のチューブを外して手で新しいフイラメントを押し込めということらしい。

なるほどやるべき事は大体分かった。「BIQU-Magician」の温度を200℃程度に熱し押出機側チューブから新たなフィラメントを押し込んで詰まっているホワイトのフィラメントを溶解し、ノズルから押し出せということらしい。
しかしバカバカしいことだが押出機側のチューブを取り外す方法が書いてないのでわからない(笑)。その旨をまたまた問い合わせると回答があったが、その通りにしてもチューブは外せない。
ここで無理して別のトラブルを作っては拙いと面倒ながらもう一度チューブの外し方を問い合わせると、前の回答で書き忘れたことがあると追加情報が。おいおい…。

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※やり方が分かればチューブは簡単に外せた


ともかくチューブは外せたのでどの程度までフィラメントが入るかを分かりやすくと新たに購入しておいたピンクのフィラメントを手で差し込んでみた。これなら乳白色のチューブ内に入ってもどの位置まで入ったかが確認出来る。

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※判別しやすいピンクのフィラメントをチューブに押し込むとここまで入った。ということはこの先に元のフィラメントが残っていることになる


結果、押出機下から約十数センチのところまでホワイトのフィラメントが存在することが分かった。これは引っ張って抜くことができるはずもなく前記したように溶かして押し出すしかない。
ヘッドを熱したままにして無理のないようにかつ確実にピンクのフィラメントを手で押し込んでいく。
どうやらノズルに詰まりはなく少しずつながらホワイトの樹脂がノズルから出てきたが一気にというわけにはいかないので根気よく続けるしかない。

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※ヘッドを熱し手でピンクのフィラメントを少しずつ押し込んでいく


ノズルが装着されているヘッドの構造は分からないが、ピンクのフィラメントがチューブ内一杯になったと思われるところで一端抜くことにした。ヘッドが熱されているためスムーズに抜けた。
ここでチューブを押出機に取り付けてカバーも元に戻し新しいフィラメントをセットしようとするもののチューブまで導いてくれる部品が欠けたため最初はなかなかフィラメント先端がチューブ内に向かわず押出機外へ出てしまう。

何度目かにやっとフィラメントがチューブ内に入ったので押し込むことにするがここでまたまた問題が発生していた。
フィラメントは必要な長さを自動で送り出してくれるが、それは二つのギアの間に挟まれフィラメントが通る形で行われる仕組みだがフィラメント・リールが落ち、フィラメントが折れる衝撃でギアとギアの隙間が必要以上に空いてしまったようでギア同士が絡まずフィラメントを送り出してくれないことが分かった。

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※フィラメントが押出機内二つのギアに挟まれチューブ内に送り出される


理屈はギア間の調節ネジを締めればよいが、機構上時計回りか反時計回りかを問い合わせたがこちらの意図が分からないようでこれまた二度目の質問で反時計回りに回すとギア間が狭くなるとの回答があった。メールの最後には常に「ご不明なところがございましたら、どうぞお問い合わせください。」と親切な一文が添えられているが実際にはなかなか意思の疎通が難しい。
こうなると根気の勝負だ(笑)。
やはり国内メーカー品であれば即交換とか欠損した部品を送って貰ったりが容易だがさすがに中国ともなればそう簡単に修理には応じられないのだろう。対応は至極親切だがなんとかユーザーレベルで問題解決させようとする意図が見えてくる。

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※チューブ内に残っていたフィラメントをすべてノズルから押し出した


結局かなりの時間がかかったが古いフィラメントは手動ですべてノズルから押し出すことに成功したし押出機のギア調整も試行錯誤で何とか問題を解決できた。
こうしたトラブルはできることならあって欲しくないが、結果良ければすべて良しとしようか。それにこれまた結果論だがトラブルのあれこれは私の3Dプリンターに関する知識を豊富にしたことも事実だった。



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員