専属モデル造形計画「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」終了に伴う経緯と覚書

「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」と勝手に名付けた専属モデル造形計画は先般第5弾で終了を迎えた。無論まだまだ微調整したい箇所はあるが当初の目的であるポートレイト撮影時に両手と首が稼働し、なるべく自然で等身大の女性モデルを作ろうとやってきたことが3年目でやっとまずまずの結果となったからである。


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※ELIZAと名付けた造形モデルが完成。笑顔は FaceApp で処理した


なぜ私がこんな事を始めたのかについては「当研究所に専属モデルが配属...Macテクノロジー研究所もファッション業界進出か?!」に詳しいので繰り返さないが、はじめたのは3年ほど前のことになる。
ともかく仕事の一環で偶然手に入れたヘッドマネキンにWigを被せたその姿を気に入ってしまったのが直接の原因だった。

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※マネキンの材質を確認するため手に入れたヘッドマネキンがそもそもの発端となった。購入は2015年11月


世の中にはマネキンやらいわゆるラブ・ドールといった類の等身大女性の人型は多々あるが、私が目指したのは気に入った頭部(顔)を使ってせめてバストアップの写真を撮れる等身大専属モデルを作ってみようということだった。したがって最初から敷居は高く、経験もなければ専門の道具も揃っていない環境では実現するのは難しいと覚悟していたが、まあ趣味としては面白い目標だと考えた。

これまでのいくつかのアーティクルにも書いたが、いい歳したジジイが等身大の人型、それもうら若き女性を作ろうとしていることを知った友人知人達の中には「おいおい、大丈夫か」と心配してくれる奴もいた(笑)。
「それほど等身大女性の人形(ひとがた)が欲しければラブ・ドールでも買った方が簡単だぜ」とストレースに言う友人もいた。

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※eBayで購入した白色プラスチック製トルソー。2016年4月入手


確かに振り返って見るとある意味こうしたバカげた?ことを成し遂げようとする熱意はある種の狂気を含んでいるのかも知れない。
ただし一応お断りしておくが、私はラブ・ドールを欲しい訳でも作ろうとしたわけではない。いや別にラブ・ドールだと思われても一向にかまわないが、私の目指す等身大人型女性モデルはトルソーのボディにお気に入りのヘッドマネキンを組合せ、別途両腕を自作し、ある程度のポーズを取れるように造形することだった。
他人から見れば危なく可笑しな行動かも知れないが、私にとっては彫刻でもするような高揚感を持って事に当たった。

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※前記トルソーにヘッドマネキンを強引に組み合わせてみた…。2016年5月


したがってトルソーだからしてそもそも太腿までしかなく足先まで揃えるつもりはなかった。
くどいようだが、たまたま手に入れたヘッドマネキンに見せられ、腰から上を造形してみようと思い立ったわけだが、途中で挫折し飽きたら放り出しても誰も文句は言わないし投下した金も微々たるものだろうから惜しげも無いと考えてもいた。しかし取り急ぎイメージを膨らませ発泡スチロールと紙粘土で作ったトルソーにヘッドマネキンをはめ込み、Wigを被せてシャツを着せたところ自分でも可笑しな程惚れ込んでしまった。まるでピグマリオンのように…。

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※こうした写真ではなんとか様になったが、ボディがホワイトのためヘッドとの接着部が目立ち胸や肩は出せず、また首も動かなかった


途中で等身大の女性の姿・造形をリアルに把握しようと安価な全身像のマネキンを手に入れたりもした。腕や首は動かないがこれなら頭から足先までが揃っているから適切な衣裳を着せれば目的の撮影には使えるかも知れない。しかし「人形は顔が命」のとおりそもそもが気に入った顔で無ければ私自身が満足できない。

とはいえボディとなる適切なトルソーを探し出すこと自体が当初は難しかった。国内のウェブサイトは勿論eBayなども探しまくったが頭部と合いそうな肌色のトルソーというもの自体がなかなか見つからなかった。
現在では苦も無く探し出せるのに当時はeBayでさえ思ったトルソーが見つからなかったのだ。5か月ほど後、仕方がなく肌色は諦め形だけをまず試作しようとホワイト色の樹脂製トルソーをeBayで手に入れ、それを前後すなわち前身ごろと後ろ身ごろに切り裂いてヘッドマネキンを組み込むという荒技を試みた。

そしてそれに簡素な両腕骨格を自作することに…。その結果は長袖を着せればボリューム感はないにしてもまずまずそれらしく見えたもののどうにも満足できない。
この3年を振り返ってみるとたった3年なのに現在は随分とマーケット(大げさ)というかマネキントルソーの種類が増えたことに驚く。

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※やっと肌色のトルソー入手。首も動かせるようになり関節を持った両腕も試作。しかし腕は見せられず相変わらず衣裳は長袖に留まった。2016年6月


もともと存在しなかったのか、あるいは存在したものの一般的ではないからとネットには出て来なかったのかは不明だが、当初は肌色のトルソー自体が見つからなかったし例えば女性の手にしても右手だけはあっても同じ仕様で左手はなかったりと挫折しそうになるほど思ったものが入手できなかった。

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※両手もなるべく自然にしたいと多くのものを手に入れた


今年になって3Dプリンターを手にしたのも「無いなら自分で作るしかない」という発想が原点にあったからだ。
結局先般太腿から首までのトルソーボディは理想的なものが見つかった為に両腕を自作することは断念したが、首と頭部を繋ぐジョイント部分などには3Dプリンターによるオリジナル造形が生きている。

造形目的は写真撮影向けのモデルとしてだが、その過程でいくつかの企画に採用されたこともある。しかし最大の効用はひとつの目的を持ち "作ってみよう" という意欲が3年も続いたことだと思っている。そして絵画や彫刻といったものを飾るより気に入った女性のリアルな姿が "いつもそこにある" ということにある種の癒やしを感じている。
そもそも芸術として高く評価されている作品の多くは絵画にしろ彫刻にしろ女性の美をテーマにした作品が多いのだ…。

3年という長い時間と結局バカにはならない費用をかけて造形を模索した結果、ELIZA(イライザ)と名付けた専属モデルは「造形中」だけでなく「造形後」も興味を失わない希有なアイテムとなった。

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※完成形モデルは肩を出すこともできるようになった


それに新しいことに挑戦すると連鎖的に新しいことを多々知ることになる。今回一連の作業の中で多くの情報を集めたが、これまでまったく知らなかった材質の知識や新しい接着剤の存在、多々工具や道具を知ることとなった。
人の評価はともかく私の「イライザ、ガラテア造形プロジェクト」はそれまで未知の世界だった多くのことを知る良い機会となった...。
一番の収穫は3Dプリンターに出会い、手に入れる気になったことかも知れない。



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員