ジョブズの教訓が発想の原点〜「Connecting Dots…」とは

私達の周りには情報があふれていることもあって本当に大切な事や何かの拍子に閃いたアイデア、あるいは思いついたあれこれを記憶に留めておくことは非常に難しくなっている。しかしアイデアや閃きは1度忘れてしまうと2度と再会できない可能性もあるからと何らかの方法を模索している人は多いに違いない。


まず最初に知っていただきたいことはこの度ハンズメモリー社がリリースしたばかりのiPhone/iPad用アプリ「Connecting Dots - A free flowing note taking app」という製品の名称とその役割についてである。
それはあのスティーブ・ジョブズが2005年6月12日、スタンフォード大学で行った名スピーチの冒頭にいった「The first story is about connecting the dots.」に機縁しているという。そのまま和訳すれば「まずは、点と点をつなげる、ということです。」といった意味だ...。
すでに有名なスピーチとなり、多くの場で紹介されてきたからご存じの方も沢山いらっしゃると思うが、要は「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできない。できるのは、後からつなぎ合わせることだけ…」とジョブズが自身の体験を元にしたスピーチから「Connecting Dots - A free flowing note taking app」は発案されたものだという。

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※「Connecting Dots - A free flowing note taking app」のホーム画面例


「Connecting Dots - A free flowing note taking app」(以下「Connecting Dots…」と記す)は後述するように画面上のドット(円形に集約された写真やテキスト)を操作し、並べ直したり、位置を変えたり、新しいドットを加えたり消去しながら単なる点…すなわち最初はドットでしかないシンプルな情報から有機的なあるいは創造的なアイデアを探りだそうとするユニークなiOSアプリケーションなのである。まさしくスティーブ・ジョブズのスピーチではないが、例えひとつひとつは些末な情報だとしてもそれを複数一同に集め、組み合わせ方を考えると何らかひとつの筋道が見えてくることがあるものだ…。

さてさて...閃きは突然やってくる。それも時と場所を選ばない…。
歩いているとき、食事中、友人達と喋っているとき、あるいはトイレで用を足しているときなどなど一瞬自分でも「これは!」と思うメロディが浮かんだり、考えて続けてきた問題解決策などなどが意識の表層に飛び出てくることがある。しかしそれをきちんと捕まえ,記録しておかないことには “夢幻のごとく” に忘れてしまうのもまた常だ…。

幸い私達にはiPhoneやiPadがある。時にiPhoneは日常持ち歩くツールだけに、これを使ってメモを残すことは少しの努力と習慣化することで可能だし、事実活用されている人たちも多い。しかし問題は私達の閃きは即物的であり、前後の脈絡を無視した思いつきであることも多く簡素な文章で説明できるものばかりではない。
またアイデアは突然閃くだけのものではない。あれやこれやと関連…だと思われるデータを振り回している時に思いつくということも多い。

そもそも我々人間の思考過程は本来漠然としたものである。ある研究によれば我々が同じ事に集中できる時間は数分に過ぎないようで、そもそも意識を一点に向けていることは出来ない相談であるらしい。
そして例えば何かの企画を考える場合にも一から十まで頭の中にアイデアが整然として置かれている場合などほとんど無いといっても過言ではないし、むしろ思いつきの細切れアイデアを複数一同に介せばそこからまとまったアイデアが構築できるケースが普通ではないだろうか。
アウトラインプロセッサや KJ法などはそうした意味において企画とかマーケティングを業務とする人たちに支持された思考支援ツールだが、もっと肩肘をはらずにメモ機能と思考ツールを結びつけ、場合によっては思いもかけないアイデアや結果を生み出す可能性を期待できるのが「Connecting Dots…」なのだ。

KJ法が一般的にカードを利用してグループ分け、あるいは関連をグループ化し、多くの断片的なデータを統合しながら新しいアイディアを生み出したり、問題の解決を探っていくのに対し「Connecting Dots…」はその名の通りひとつの情報単位…それはで写真あったりテキストであったりするが…をドット化してメモり、時に階層化し、一同に並べ、あるいは比較することで新しいアイデアを生み出す一助にしようとするものだ。
しかし「アイデアを生み出す」などといえば腰が引けるユーザーも多いと思うが「Connecting Dots…」を使い易いメモアプリと捉えても一向に差し支えないと思う。
忘れたくないこと、後で整理しておきたいこと、思いついたこと等々をその場その場でテキストや写真を取りながら残しておくだけでも利点が生まれるし、それらが後で新しい価値を有む可能性はだれにも否定できない。

例えば「Connecting Dots…」ひとつあれば、旅行記などたやすく作成できるのではないだろうか。
旅先で出会った食べ物や印象的な風景をリアルタイムに撮影し、その場で得た感想やエピソード、場所場所の伝来や由来をテキストで記録しておけば後からひとつの目的のためにまとめることなど容易に違いない。

ただし「Connecting Dots…」は目的意識を持ったユーザーでないと取っつきにくいかも知れない。なぜならアプリを起動するとそこにはドットすなわち円形の中にテキストや写真が押し込められているものが並んでいるだけだ…。
したがってまずは基本的動作、仕組みを覚えていただきたいが無論難しいことなど何もなく、指一本で操作は可能である。ここでは基本操作、出来ることを分かりやすく箇条書きにしてみよう。

・ジャンル別の真っ新ホーム画面を作成可能

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※ホーム画面下を上にスライドするとジャンル別のホームメニューが表示し、メニューの空欄部位を強く長押しすれば新しいジャンルを作成できる


・ジャンル別ホーム画面を上に引き上げると一覧表示され、タップすることで表示の切り替えが可能

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※複数のホーム画面が一覧で確認および切り替え可能


・ホームページを左にずらすと右サイドメニューに階層が表示
・ドットはタップすることで内容表示し、階層下にデータがある場合は階層をサイドメニューに表示

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※愛犬のビジュアルドットをサイドメニューに移動した例


・ドットがトップデータだけの場合は手動でサイドメニューに移動可能
・空白部位を長押しで新しいドット作成


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※空白を長押しすると新しいドットが用意され(左)、ドットの種類を選択する画面が表示(右)


・ドット作成はテキスト入力と写真(撮影かファイル読み込み)を選択可能
・テキスト入力は音声認識入力も可能


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※テキスト入力は音声認識利用もできる


・写真を選択した場合は撮影かライブラリからの選択かを選べる
・サイドメニューを左に移動させると写真とテキストの実データを表示


Dots_06.jpg

※サイドメニューを左に移動させると実データが表示


・ドットは指でドラッグして場所を入れ替えることができる
・サイドメニューの階層は写真テキストの区別なく一番上がトップの階層としてホーム画面に表示
・階層に何らかのデータが入っているとホーム画面上のドットは大きめのサイズになる
・ドットは長押しして移動すると複製が作られる


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※ドットは長押しすれば丸ごとコピーが作れる



・ドットは画面外にドラッグして消去できる


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※ドットは消去も簡単


・カテゴリーメニューを右に移動するとエクスポートメニューが表示。左のアイコンにドットをドラッグするとPDF、テキストに変換し、右のアイコンにドラッグするとFacebook、Twitter、Tumblrに出力してくれる。

Dots_10.jpg

※カテゴリメニューを右に移動するとエクスポートメニューが表示。PDF、テキストおよびFacebook、Twitter、Tumblrに出力可能


こうしたオペレーションの組み合わせで、ドットを作り、テキストと写真を混在させたデータをジャンル別、階層で扱い、メモし、蓄積した上で任意に並べ直して閲覧しつつ自由に編集しながら考えをまとめたり記憶補助の役割を果たすわけだ。
なおテキスト入力はiOSの音声認識入力が可能なので、短いフレーズなどは環境が許せば声で入力した方が思考を中断しにくいのでお勧めだ。

ともあれ「Connecting Dots…」に限らず、この種のツール活用のキモはユーザー自身にある。なにもしなければツールは何の役にもたたない。いかにアプローチするかを工夫し、積極的に関わるユーザーにこそその真意がわかる類のアプリケーションだといえよう。
また「Connecting Dots…」は生まれたばかりのツールであり多分に開発者側の意図した機能すべてが実装されているわけでもないと想像する。
これから多くのユーザーの声に耳を傾け、操作のシンプルさを犠牲にせず強力な思考支援ツールとなればそれこそ iOSのキラーアプリケーションとなる可能性も大だと感じる。

最後に取り急ぎ現時点での個人的な要望だが、まずテキストと写真をドットとして活用できるだけでなく、喋りの録音データをドットとしてサポートできないものか…。データ容量が肥大になることを考え、例えば1ドット5秒間までという制約があっても良いと思う。さらに簡単な手入力、すなわちフリーハンドによるお絵かきモードがあればテキストでは残しづらい実イメージを図形や手描きでメモれるので現実の閃きやアイデアをより具体的な形にする大きな助けになると思うのだが...。
しかし…ああ、「Connecting Dots…」を拝見しているとソフト屋の虫が騒ぎ出す(笑)。

Connecting Dots ― A free flowing note taking app - Kenzo Yamaguchi
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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員