「リュートを弾く娘」の油絵模写が届く

先般注文した「オラツィオ・ジェンティレスキ『リュートを弾く娘』模写絵がやっと届いた。もともとオーダーと決済を受けてから制作を始めるわけで、最低3週間はかかることになっていたからまずまず予定どおりだったが問題はその出来だ…。ともあれ良心的なシステムで送付の前にその写真が送られてきて気に入らなければ描き直すという…。


完成し送られてきた模写の腕は当然のことながら私などよりはるかに上だ(笑)。それは間違いないが、オリジナル絵画の写真をそれこそ穴の空くほど見てきたことでもあり、比較して見るまでもなくその違いは明白に思える…。
あくまでオリジナルの写真との比較を試みれば、まず模写は全体のトーンにシャープさが不足しているように思えた。無論原画そのものを見たわけではないが、模写は筆遣いが些か柔らかいため、衣装の皺などのディテールやその質感も違う。ただしかなり忠実に描かれていることは間違いない。
その難しい要因のひとつは絵のサイズにあるのかも知れない。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵の原画は144×130cmの大きさだが、私が今回依頼したサイズは飾りやすいことを第1に考えたため F10号( 53x45.5cm) ほどだ。したがって元サイズの縦横1/3 以上も面積が小さなキャンバスに細部まで描き込むのは難しいに違いない。第一模写した人が参考にした写真もどれほど精巧なものを使ったかは心許ないし、私が見てきたウェブの写真と同等ならそれこそルーペを使ったところで本当の意味の細部まではわからない…。

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※別途オーダーした額に納まった「リュートを弾く娘」


だからあまり重箱の隅をつつくようなことは意味がないものの例えば机上に置かれた楽譜をとっても原画では譜面が読めるほど描き込まれているようだが、模写ではそれらしいだけで正確に描かれてはいない。
まあ、もっと言ってしまえばいくら模写の腕が上手とはいえ、巨匠オラツィオ・ジェンティレスキの筆遣いをそのままに期待するのは些か無理な相談だろう(笑)。

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※模写絵の衣装部位。なかなかよく描かれている


さて一番気にしていた主人公の顔だが、これまた模写だけを見ていれば気にならないものの比較すると僅かに印象が違う。言葉で違いを説明するとすればパース、特に眼の位置がわずかに違っているといえばよいのか…。
他の部位はまずまず間違いの無い模写となっているから欲をいえば気になるが、私は迷わず現状の出来でOKを出した。

生意気な言い方になるが、経験則から判断するとこの種のことは描き直すほど粗が目立ち、結局最初が一番良かったという事になりかねないからだ。
模写は模写であり、私自身多くの模写をやった経験もあって写真のように寸分違わず同じということは最初から期待していなかったからだ。特に風景画などでは粗が目立たないものだが人の顔は難しいもので、どこまで似せることが出来るかに興味があった。もし私に気力があれば自分なりに気になる箇所を手直しできればベストだと思うが、反対に失敗する可能性も大である…(笑)。

それにこれを言ってしまえば身も蓋も無いものの、今回出会ったこの模写絵購入の機会はeBayオークションだったわけだが、価格がメチャ安かったのである。
国内のネットショップにも人物写真や名画から模写をしてくれるというサービスが存在するが一般的な肖像画で6万円以上の価格(額付き)がついている。正直いまの懐具合でその額を出して冒険できるほど余裕はないので依頼の機会を失っていたが、今回私の支払った額はそれと比較して微々たるものだった。したがって正直画学生がアルバイトで請け負うとしても気の毒に考えていたほどである。
どうやら作画は中国のようだが、日本国内や米国ではちょっとしたキャンバス代や絵の具代で終わってしまうような価格だったからトライアルの気楽な気持ちでお願いした次第である。事実…別途購入した額の方が高いのである(笑)。

ただし現物が届いて驚いたのは、てっきりキャンバスは木枠に張られているのかと思ったらキャンバス布だけが丸めて送られてきた。多分に送料を含めてコストを考えた仕組みだと思うが、これを木枠に張り、それなりの額を用意するとなると手間と費用がかかってくる。まあ望んだことなので仕方がない。
というわけで数十年ぶりにキャンバス張りをやってみたわけだが、これはこれでなかなか面白かった。そして少々大げさとは思ったが見かけ 豪華な額も到着。まさしく「馬子にも衣装」である。

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※別途用意したキャンバス用木枠とキャンバス張りを実践するための道具(上)と結果は皺もなくキャンバスが張れた(下)


ともあれミクロ的な視点を別にすれば良くできていると言ってよい。そして繰り返すがこれはキャンバスに印刷したものではないし写真やカラーコピーでもなく、実際に人がキャンバスに描いた油絵であり、額装して飾っておけば私の目的は十分達せられるレベルだと考えた。
私のリュートの腕があがり、足腰がまだ丈夫で、それこそ機会があったら是非ワシントン・ナショナル・ギャラリーにあるという原画に逢いに行きたいと願っているが…まあ心細い望みである(笑)。
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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員