TBS日曜劇場「JIN -仁-」は面白かった

普段ほとんどテレビドラマというものを見ない私がTBS日曜劇場「JIN -仁-」を見たいと思ったのは25年ほど前のドラマ「大江戸神仙伝」を思い出したからだ。そしてどうもタイムスリップモノに弱いのだ(笑)。ともかく「JIN -仁-」は面白かった。DVD化されたら是非手に入れたいと今から思っているほどである。


ほとんどテレビドラマというものをリアルタイムに見ない私だが、過去に見た作品のうち強烈な印象を受けたと共に再びじっくりと見てみたい作品がいくつかある。
その1つが滝田栄主演「大江戸神仙伝」という番組だ。
あらすじとしては滝田栄演じるサラリーマンが日本橋で江戸時代にタイムスリップしてしまうという話...。そして主人公がその時代に多くの人たちが苦しんでいた不治の病 “脚気” を治すため奔走するシーンをいまだに覚えている。

そんなことが頭にあったからか、あるいはたまたま見た番宣に吊られたのか、ともかくTBS日曜劇場「JIN -仁-」を「面白そうだ」と直感した次第。ちなみにそれが村上もとかによる漫画作品でスーパージャンプ(集英社刊)で現在も連載されていることを後から知った。このドラマが面白そうだと思った背景にはタイムスリップものであることの他に勝麟太郎(勝海舟)、坂本龍馬、緒方洪庵など歴史上の実在の人物が登場するからでもある。何しろ私は「氷川清話」や「海舟座談」といった本を何十回も読み直しているほどの海舟フリークでもあるからだ...。

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※数え切れないほど繰り返して読んだのでボロボロの「氷川清話」角川文庫。1974年11月7日に購入した一冊


どうやらドラマは原作と些かストーリーは違っているようだが、そもそも原作を知らなかった私には何の違和感もない(笑)。とはいえ興味の対象には凝るたちの私であるから早速予備知識を得る目的で「小説 JIN -仁- 」(集英社刊)や数巻のコミック本を手に入れ、オリジナルストーリーの概要を頭にいれた...。

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※集英社刊「小説 JIN -仁-」の表紙(上)とコミック本(下)


これまで第1回と第2回の放送を見たがテレビドラマとしてはよくできていると思う。CGによる江戸の街の俯瞰はもとより町並みやそこに行き来する人たちもそこいらの時代劇とは違い、よい意味で現実感があり「当時はこんな感じだった」という雰囲気がよく出ている。
ストーリーは脳外科医の南方仁 (大沢たかお)が幕末の江戸時代(文久2年=1862年)にタイムスリップし、誰1人自分を知る者がいないという孤独感と戦いながら、そして「歴史を変えてはいけないのでは...」というプレッシャーを感じながらもそこでコロリ(コレラ)などで苦しむ人たちの命を助けようと現代の医療知識を駆使して治療に奔走するというものだ。
1862年といえば寺田屋事件、生麦事件などがあり世情は殺伐とした時代だった。なにしろ4年前の1858年には安政の大獄、9年前は浦賀にペリーが来航している時代であった。そして1863年にはあの新撰組が結成されている。

さて、現代の医師である南方仁に高度な医療知識や腕はあっても当時は満足な医療器具もなければ抗生物質もない時代であり、全身麻酔もあの華岡清洲が開発したという"通仙散(麻沸湯)" 程度だから南方仁の困難は想像を絶するものだったことになる...。何しろ南方仁がタイムスリップ後最初に行った手術は準備の時間もなかったとはいえ頭蓋骨に穴を開けるのに煮沸した大工道具のノミと金槌を使うしかないという現実なのだから...。
そして江戸時代の人間からしてはその神業とも思える手術や治療法を目のあたりにした緒方洪庵や坂本龍馬たちは南方仁を尊敬し協力するようになる。

一番の興味だが、その結末は不明なものの南方仁が出会い交流を深める歴史上実在の人物が南方仁にどのように影響されていくかにある。その興味を一層膨らますものとしてキャスティングの妙が光ることだ。
主人公の南方仁を演じる大沢たかおは勿論、坂本龍馬を演じる内野 聖陽、緒方洪庵の武田鉄矢、子役の伊澤柾樹らはなかなか魅せてくれる。

それら出演者たちの魅力は当然としても屋外や室内のセットもまずまずリアルで往時の雰囲気を醸し出している。
例えばロウソクの使用だ。テレビの絵作りとして当時そのままの暗さではドラマにならないから...ロウソクだけの室内としては明るめだがなかなか時代考証がしっかりしているようだ...。
とはいえ時代考証そのままではこれまた現在の我々が楽しむには適さないこともあるわけで、例えば主人公の居候先の母親(麻生祐未)は眉を剃って(薄くして)はいるもののお歯黒ではない。あるいは野風という花魁はもっと白粉塗りたくりだったのではないか...などなどだが、まあこの辺は絵になるかならないかといった考慮からきた判断だろうし容認できる。しかし第2話を見ていてちょっと違和感を感じた箇所もある。
それは長屋でコロリ患者と戦っている南方仁が患者の脱水症状を抑えるため、体に吸水しやすい...いまでいうスポーツドリンクのようなものを作る箇所だ。
それには水は勿論として塩と砂糖を必要とするが「どなたか、塩と砂糖を」と声を高くする主人公に長屋の人たちから気楽に「...私が」と声があがる...。しかし塩はともかく当時高価だったはずの砂糖などその日暮らしの長屋の住人たちがストックしてあるとは思えないのだが...。
サトウキビは8代将軍徳川吉宗野時代、江戸城内で試験的に栽培を始め、各藩にも製糖を奨励したためそれまで輸入物でしかなかった砂糖がやっと庶民の口にも入るようになったという。ただし金回りの良い商家ならともかくまだまだ一般庶民に砂糖そのものなど馴染みはなかったはずだ。無論砂糖といっても現在どこの家庭にもあるあの真っ白でさらさらな砂糖を思い浮かべては間違いで、南方仁らが使ったのは黒砂糖だろう...。

こうした揚げ足取りのような些細な部分を除けばドラマのテンポもよく手術のシーンなどもリアリティがあって面白い。
しばらくの間、日曜日の午後9時が楽しみである!
そう、このドラマを見ていて思ったのだが人間やはり日常の努力...勉強が大切なのだ。万一過去にタイムスリップしたとき、困らないように専門分野の知識はもとより雑学や歴史も知っておく必要がある...。だってお馬鹿の現代人が江戸時代にタイムスリップしたとて何の役にも立たず、ただ野垂れ死にするだけではないか(爆)。

TBS 日曜劇場 JIN -仁-

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員