クリストファー・リー主演のホームズ物語を観たが...

シャーロッキアンを自負する1人として可能な限りテレビドラマや映画として残っている関連作品を探して楽しんでいる。過日はあのクリストファー・リーがシャーロック・ホームズに扮した「新シャーロック・ホームズの冒険」と題されたTVドラマシリーズから「ホームズとプリマドンナ」と「ヴィクトリア瀑布の冒険」2作品を観た。

 
このシリーズについて以前観たビリー・ワイルダー監督の「シャーロック・ホームズの冒険ー特別編ー」にマイクロフト・ホームズ役で出演していたクリストファー・リーが特別インタピューに応じ「新シャーロック・ホームズの冒険」を評して「結果として作品はひどいものだ」と断言していたので気になっていた。
「(内容は)面白いし作品の質も高い、しかしテレビ用に分割されたためにお陰で話の筋がめちゃくちゃだ」というのが原因らしい。それやこれやを思い出したのを良い機会にと鑑賞した次第である。

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※ビリー・ワイルダー監督の「シャーロック・ホームズの冒険ー特別編ー」DVDパッケージ。この中で「ホームズとプリマドンナ」と「ヴィクトリア瀑布の冒険」2作品について主演したクリストファー・リー自身が酷評している


確かにいまでは考えられないほどスケールが大きいし金がかかっている(笑)。そしてクリストファー・リーを鑑賞するにはうってつけの作品だし面白いといえば面白い...。
リモコン式の起爆装置を発明した科学者がイギリス政府にその設計図と共に装置を売り渡す。しかしそれを受け取った直後にイギリスの大使はそれらを入れた鞄をひったくられ盗まれてしまう。
犯人を追って科学者はオペラ座の劇場まで追跡するものの結局殺されてしまう...。
イギリス政府はシャーロック・ホームズの兄、マイクロフト・ホームズを通じて事件の解決を依頼し、ホームズとワトソンはウィーンへ乗り込む。しかし当の劇場のプリマドンナがあの「ボヘミアの醜聞」で行き会い、ホームズにとっては「あの人」と呼ぶに至る特別な女性、アイリーン・アドラーだったというのが見所である。

最初の印象だが、はっきり言ってホームズとワトソンは爺さんすぎる(笑)。
このストーリーは1910年という設定なので1854年生まれというのが定説になっているホームズはこのとき56歳、そして2歳年上という設定のドクター・ワトソンは58歳のはずだ。しかし役者のクリストファー・リーはこの撮影時68歳ほどのはずでホームズが探偵という仕事を引退しようと考えていたにしてももっときびきびしていなければならないはずだが印象は普通の爺さんといった感じで切れ味といったものは見受けられない。

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※「新シャーロック・ホームズの冒険」の「ホームズとプリマドンナ」よりホームズ役のクリストファー・リー(右)とワトソン役のパトリック・マクニー(左)


どこかはっきりせず、ウジウジとしたホームズと年上で足に傷を持っているワトソンが活躍すればするほどユーモアという以前に滑稽でありイメージと合わない。そしてアイリーン・アドラーはどう考えても若すぎるではないか。
前記した「ボヘミアの醜聞」の事件が起きたのは原作ではっきり1888年ということになっているしアイリーン・アドラーはそのとき30歳のはず。そして「新シャーロック・ホームズの冒険」の年代設定である1910年ならすでに「ボヘミアの醜聞」事件から22年経過していることになるからアイリーンは52歳でなければならない。しかしモーガン・フェアチャイルド演じるアイリーンはせいぜい30歳前後にしか見えない。

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※「新シャーロック・ホームズの冒険」の「ホームズとプリマドンナ」よりモーガン・フェアチャイルド演じるアイリーン・アドラーだがとても52歳には見えない(笑)


モーガン・フェアチャイルド自身1950年の生まれだから作品公開時には40歳ほどだったはずだが、美しく大変若く見えるからホームズ達との年齢差がありすぎて違和感がある。これではホームズにとってアイリーンは子供のようだ(笑)。

しかし最大の問題は「ホームズとプリマドンナ」と「ヴィクトリア瀑布の冒険」共々それぞれ前編後編合わせて3時間にもなる作品であることだろう。これはいかにも長すぎる...。
これこそクリストファー・リー自身が言っていたようにもともとは映画用として撮影が進められたものを後にテレビ用ということで時間枠に合わせるためか本来カットされるようなシーンまでつぎはぎして伸ばしたとしか思えない。したがってストーリー展開もぐだぐだとして切れがない。そして例えば「ヴィクトリア瀑布の冒険」で顕著だが、ダイヤモンドをめぐりホームズとワトソンが活躍するものの、頼みのホームズの推理が冴えないから物語の終焉まで多くの人が死ななければならない(笑)。これではまるで横溝正史の金田一耕助のようだ(失礼)。
また念のため申し上げればコナン・ドイルの原作に「ホームズとプリマドンナ」ならびに「ヴィクトリア瀑布の冒険」という事件はなくこれはドラマとしての創作である。

とにかく作品全体のスケールは大きいし映像はなかなか美しいからホームズ物が好きな方は見逃しては損だとも思う。しかしこうした作品を観ていると何故にあのグラナダTV製作、ジェレミー・ブレッド主演「シャーロック・ホームズの冒険」が最高傑作であり決定版だと言われるその意味があらためて強く印象づけられる...。

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※グラナダTV製作、ジェレミー・ブレッド主演「シャーロック・ホームズの冒険」より筆者所有のプロモーション向けブロマイド(部分)。ベーカー街221Bの前で左からホームズ、ハドソン夫人、ワトソンの3人


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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員