私的なウィンチェスターライフル M1892 物語

撮影小道具のつもりでウィンチェスターライフル銃を手に入れようとしたが凝り性の私としてはあまりにオモチャ然としたものでは納得がいかなかったため、まずまずリアルなものを探すことにした。なにしろ予備知識がなかったから少々苦労したが、ちょっとした拘りもあって探すのに時間がかかった。しかし結局最初から目標だった "Winchester Model 1892 Carbine" が手に入った。無論いわゆるモデルガンである。


少年の頃の大きな楽しみのひとつはやはりテレビである。無論白黒テレビだったが父が得意げに買ってきたそのテレビで多くの西部劇を楽しんだ。
今般、撮影小物として西部劇に登場するライフル銃を探すことになったが、少年の頃の憧れが膨らんできてしまった。
そういえば先日、ベルギーだったか銃マニアが銃器などを乱射し多くの犠牲者が出たというニュースがあった。こうした事件があると例えモデルガンだとしてもそんなものを好む者の気が知れないと白眼視する人が増えるかも知れないが、それとこれとは別の話である...。

さて、TVの西部劇で大きな影響を受けたのは「ララミー牧場」と「ライフルマン」だった…。特に印象的だったのはTBSで1960年から放映された「ライフルマン」である。いま思うとたった30分のそして当然ながらモノクロ番組だったがメチャ面白かった。

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※1958年制作「ライフルマン」DVDパッケージ。3話が収録されている


主演のチャック・コナーズ(Chuck Connors 1921年4月10日~1992年11月10日)は美男子だったわけでもなく美しい女性が多々登場する番組でもないが、妻に先立たれ、小さな息子と共にニューメキシコ州ノースフォークの町へとやってきたルーカス・マッケイン(チャック・コナーズ)。息子マークを育てながら、自分の小さな農場を守っていく姿がこれぞ西部の男といった感じで子供心にも憧れた...。
無論チャック・コナーズの0.3秒の早撃ち...ガンさばきが楽しみだったのは申し上げるまでもない。
それまでの西部劇のほとんどは拳銃の早撃ちが見せ場だったが「ライフルマン」は些か変わった西部劇でその名の通り主人公のマッケインはウィンチェスターライフル・カービン銃 (ウィンチェスターM1892)の名手なのだ。愛用のウィンチェスター銃を自在に操り、ルーカスは、無法の西部で悪に立ち向かう…。

また従来の西部劇と違い、単に勧善懲悪の物語というのではなくフェアプレイ精神やヒューマニズムがよく表れていて非常に後味のよいTVドラマだったことも長い間見続けた要因だと思う。
ともかくそのウィンチェスターカービン銃を腰の高さで早撃ちする様や、片手でそのウィンチェスター銃を回すオープニングの真似をそれこそ数え切れないほどやった(笑)。まずはYouTubeにアップされているオープニング映像をご覧いただきたい。



※オープニングの早撃ちのシーンが印象的だ!


無論真似するためには銃が必要だが、オモチャとはいえライフル銃など簡単に手に入る時代ではなかったから木ぎれを自分でけずってそれらしいものを作ったものだ。
だからというわけでもないが、ウィンチェスター型のライフルを見ると心が騒ぐのである。それに男にとって銃は…何といったら良いのか、それは場合によって命のやりとりをする可能性もあるシビアな道具の美しさといったら良いのだろうか…その存在が魅力的なのだ。なおカービンとは一般的に小型のライフルを意味し、銃身が標準ライフル銃より短いものを指すという。

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※今回手に入れたWinchester Model 1892 LLFL


ただし弁解めくが私は銃マニアというわけではない。銃器のモデルガンを多数集めている友人もいるしその魅力はよく承知しているが、銃の収集をする気は無いもののできるだけリアルなウィンチェスター銃を一丁飾っておきたいと常々考えていた...。しかし近代のマシンガンのようなものにはまったく興味がないのは自分でも面白いと思う。
さて、そのウィンチェスター銃がひょんなことで手に入った…。

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※無論弾もダミーカートリッジである


そういえば私は実際に本物の銃で射撃する機会を得たことがある…。初期の頃Macworld Expoのために渡米した際、サンフランシスコのダウンタウンにあった店頭に日本語で「射撃ツアー募集」の張り紙を見つけたのである。明らかに日本人ツアー客を狙ったもので金額も70数ドルと当時の為替レートとしては決して安くは無かった。
しかし聞いてみるとホテルを起点に車で送り迎えしてくれ、射撃場はガードマンやらが訓練のために使う合法的な射撃場だという。正直少々リスキーかと思ったが、こんな機会はめったにないからと友人達と参加申込みをした。

翌朝ホテルから車で3, 40分走っただろうか、射撃場に着いた我々の耳には明らかに射撃音が聞こえる。
簡素な建物に入り、誓約書を書かされた後に注意事項などのレクチャーを受ける。
銃口を覗かないこと。絶対人や生き物に銃口を向けてはならない。テレビや映画の真似して銃を頭上から振り下ろすようなことをしてはいけない。ベルがなったら銃を置いて後ろに下がること。耳にプロテクトを付けること。銃の調子が悪いときは自分で処置せずそのまま銃口を的の方に向けて置き、係を呼ぶこと…などなどだった。

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※射撃場に置かれていた本物の銃たち


最初に渡された銃は小型のオートマチックだった。的は25メートル先に自分専用のものが置かれている。射撃は1種類の銃で50発撃てたと記憶しているが、オートマチックの銃はなんといったらよいか期待はずれだった。
まず音がテレビドラマなどの「バギューン!」といったものでなく乾いた板でも叩いたような「パン!」という面白くない音だったし小型銃だからだろう、射撃の反動もほとんどなかった。まるでオモチャみたいな銃だったが反面撃ちながら「これは怖い…」と思った。

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※緊張しながらも初めて本物の銃で射撃を体験する筆者(上)と写真下はその腕前(笑)


なぜなら意外と的に当たるのである。それと例えば25メートルも離れている人間に対して発砲したとしても相手の返り血を浴びるわけでもないしどこか他人事で済んでしまうような気がして次第に恐ろしくなってきた。何故なら当然だがこの小型銃でも立派に?人は殺せるのだ。
続いてリボルバーを試した。これはまさしく両手で銃を支えて撃ってもまともな反動があったし明らかにパワーが先のオートマチックと違い銃らしい感覚を味わうことができた。
オプションで別の銃…例えば大型銃のマグナムでもライフルでも試すことはできたが、正直100発の射撃で緊張し疲れてしまったので基本をクリアしただけで帰ってきた。ちなみに2回目に行ったときにはマグナムを試してみたが、これはなかなか凄かった。
ともかくこうして念願だった本物の銃を撃つという体験ができたが、いま思えばライフル射撃も体験しておけばよたかったと思う…。

さて、前記したようにこの世界は深い知識を持った方々が多々いるからしてここで知ったかぶりをするつもりは無い(笑)。ただし行きがかり上、簡単に手元にあるウィンチェスターM1892ライフル(Winchester M1892)について記しておきたい。
西部劇に登場する拳銃の多くはコルト社製のものが多かったが、ウィンチェスターライフルは創業者オリバー・ウィンチェスターが1857年に武器製造工場を買収しライフル銃などの製造を始めたのが最初だったという。
それまでの銃は南北戦争で使われた銃のように単発式であり、一発発射する毎に弾込が必要だったが、ウィンチェスターは後に「レバーアクションライフル」といって銃の下にあるレバーを下に引き、戻すという一連の動作により撃った空の薬莢を自動的に排出すると共に次の弾を装填できるという仕組みを持った。これにより10発ほどの連射が可能になったわけだ…。

無論ウィンチェスター社は数多くのウィンチェスターライフルのモデルを製造したが、今般私の手元に届いたウィンチェスターライフルは「ライフルマン」に拘り、彼が持っていたのと同じウィンチェスターM1892ライフル(Winchester M1892)であり、「西部を征服した銃」と呼ばれたレバーアクショライフル M1866やM1873の発展型である。
少々形状はテレビのものとは違うものの、LLFL (ラージ・ループ・フィンガーレバー)タイプというフィンガーレバーが一般的なものよりループ状に大きくなっているモデルでもある。
ウィンチェスターライフルのモデルガンもさまざまなものがあるようだが、私はせっかく一丁手に入れるとすれば「ライフルマン」に拘りウィンチェスターM1892にしたいという念願をずっともっていたがそれが今回叶ったわけだ。

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※LLFL (ラージ・ループ・フィンガーレバー)の部位(上)とWINCHESTER MODEL 1892の刻印部分(下)


このウィンチェスターM1892ライフルはガスを注入すればBB弾を発射できるが、私は出来の良いリアルなライフルを側に置き、重量感とかメカニカルな存在感を楽しむつもりなのでいわゆる射撃をするつもりはない。ただし全金属製ボディと木製ストックから成るその本体は全長965mm、重量が2800gあり、ローディングゲートからBB弾を装填し、レバーアクションで発射するといった実銃と同様のアクションが楽しめるまずまず本格的な作りなのが気に入っている。
しかしマッケインのウィンチェスターライフルはフィンガーレバー操作だけで弾丸が発射できたとはいえ、これをどう工夫したところで0.3秒、すなわちライフルマンのように1秒間に3発も撃てるものかと思う。なにしろ本物の重さを「THE HISTORY OF WINCHESTER FIREARMS 1866-1992」という書籍を入手し調べてみると、バレル(銃身)が20インチのM1892 カービン銃(round barrel)はフルマガジンで約5 3/4lbs とある。2.6Kg強といった重さだ。しかしドラマとはいえこんな重いものを軽々と扱っていたチャック・コナーズはさすがメジャーリーガー出身で長身も2メートル近いという偉丈夫だったということを思い出した...。

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※ウィンチェスター銃の歴史が写真入りで載っている「THE HISTORY OF WINCHESTER FIREARMS 1866-1992」の表紙


ついでだからと1958年制作の3話が収録されているDVDと別途VHSを8巻手に入れたが、いやはや懐かしい。そのノイズが多々入ったモノクロの画面は気になるどころか一瞬にして六畳の部屋で家族たちとテレビを観ていたあの少年時代の空気感といったものを思い出している。

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※あらたにVHSによる「ライフルマン」8巻を入手。全部見るのが楽しみだ..


そういえばTVの日本語吹き替えでライフルマンの声の吹き替えをやっていたのは水戸黄門で風車の弥七を演じていた中谷一郎だった。中谷一郎もチャック・コナーズもいまはもういない…。


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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員