ラテ飼育格闘日記(234)

オトーサンが犬を飼っているということで仕事で接触する人たちとの間でも必然的にワンコの話しになることが多い。オトーサンは意識的に犬の話に振ることを遠慮しているつもりだが相手がオトーサンに犬の話しをすると機嫌が良いことを知っているからか、どうしても話題はそちらにシフトしてしまう(笑)。


しかし犬を飼っているいない...に関わらずいまだに多くの人たちが犬の祖先は狼であり、狼の習性の一端を持ち続けているから「狼の習性を学ぶことで犬の飼育に効果的な情報を得ることができる」と信じているのには驚きである。
「狼は○○の習性があるからワンコもそうなのだ...」といった話しになりがちだが、これは冷静に考えればおかしな話しである。
ワンコを知るためになぜ滅多にその本物に出会うことなどない狼を引き合いに出す必要があるのだろうか。周りには溢れるほどのワンコがいるのだから、ワンコを研究するにはそれらのワンコを対象にすれば良いではないか(笑)。

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※何を見つめているのか...。太めだけどナイスバディ!(笑)


またワンコの魅力的な面をファンタスティックに演出する話しとして一般に好まれているのは犬と人との出会いの物語である。
確かになぜ犬の祖先は人間と共存するようになったのかという問題は考えるに値する興味深いものだ。
世界にはそれこそ数え切れないほどの動物がいるし我々人間の祖先達の周りにも様々な動物であふれかえっていたはずだ。それなのになぜ犬という生き物だけが人類最古の友などといわれるほど人間社会に深く入り込んだのか...。

一般的には...というよりオトーサンもラテを飼い、多くの情報を知る以前までは「人類の祖先、たぶん...女性が可愛いと感じて狼の子供を連れ帰った」といった話しを信じていた。いかにもありそうな話しだしそこには人間の優しさが溢れている。
そして餌を与えて飼い慣らし、番犬にしたり狩りの手伝い、あるいは物の運搬をさせるために役立てたに違いないというのが相場であろう。
しかし最近の研究ではこうしたこれまでの定説は完全に否定されているという。まま我々は人間が、人間だけが自分の意志で歴史を作っているのだという信念や高慢な考えがあるから、そうした支配的なものの見方は至極自然に思えてしまう。
ただしその種の話しの最大の欠点は「狼は犬ではない」という事実である。

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※久しぶりに会った女子たちの間に当然のように入り込むラテ(笑)


結論から先に申し上げればミトコンドリアDNAの解析から狼と犬は同じ祖先より13万5千年前に遺伝的に分岐したことが明らかになっているという。したがって犬は狼の子孫ではないのである。
もう少し詳しい話しをするなら、67犬種140頭の犬のミトコンドリアDNAを分析した結果、犬はそれぞれ単独の祖先を持つ4系統のグループに大別できたという。さらにそのうち、ほとんどの犬種を含む過半数の犬たちのミトコンドリアDNAに特有の配列は、27地域の162頭の狼にはまったく存在しなかった。
この結果がどういうことであるかは明らかだ。それはほとんどの犬種の犬には、現存する狼の祖先とはるか大昔に分岐した独特の祖先がいたこと、したがって繰り返すが犬は狼の子孫ではないのである。

そもそも狼を子供の頃から育てたとしても一部の例外を除けば非常に危険なことに違いない。例えペットと同じく家族と一緒に生活し、日常は尾を振り飼い主の顔を舐めるといった狼でも何の前触れもなく突然人間に攻撃を加えることがあるという。それは狼と犬との交雑種でも同様で例えば幼児が走ったり、泣いたり、あるいは躓いたりすると捕食者としての本能が呼び起こされるのか攻撃を始めることがあるらしい。したがって古代人とて同様であり、彼らが棍棒1つで狼を飼い慣らしたとはとうてい考えられないわけだ...。

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※ボビー(ボストンテリア)のお母さんに甘えるラテ


人間の骨と狼の骨が一緒に発見されたのは約40万年前に遡るが、その頃はまだ人間と狼はなわばりを共有し頻繁に遭遇していたようだが狼は人間達に飼い慣らされていたわけではなかった。
完全に犬だと確認できるもっとも古い化石は、中東のいくつかの地域で発見されているが、それらは1万四千年前と推定されるものでこの頃でも犬の祖先は人間に飼い慣らされていたという証拠はないようだ。ただし1万2千年前と年代推定されるイスラエルのアイン・マラーハという墓地の跡から発掘された中にはかがんだ姿勢で埋葬された老人と一緒に4~5ヶ月ほどの子犬の頭蓋骨があり、老人の左手は子犬の頭蓋骨の上に置かれていたという。

どうやら犬と人との接触はそれまで多々あったものの、人間が好んで犬の子供を連れ帰り...といったことではなく犬が人間の生活圏に転がり込んだというのが真実らしい。いわば犬が人間との共存を選んだのである。
興味深いのは人間を選ぶということは人間が危険視する狼といった類から社会的にも隔絶することを意味する。
「犬の科学」の著者であるスティーブン・ブディアンスキーはいう。「(犬は)」自分自身の起源となった相手から、自分の意志で、自らを隔絶した。彼らは、雇われたのでもなく、奴隷でもない。あるいは招かれた客人でもない。彼らは、パーティー会場に押しかけ、もぐりこみ、決して立ち去ることはなかったのである」と...。
いわば我々人間が犬を選んだのではなく、犬が我々を選んだのだ。我々は犬族の従順な笑顔の裏にある決意に気づかず、彼らの思うつぼにはまってしまったのである。

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※この笑顔にオトーサンは弱いのだ(笑)


だからオトーサンとてラテのしたたかな笑顔に抗しきれるはずはないのだ(笑)。
ワンコと人間との心理的パワーバランスはとうの昔に決まってしまっているのである。

【参考資料】スティーブン・ブディアンスキー著「犬の科学」(築地書館刊)

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員