ラテ飼育格闘日記(185)

オトーサンはラテに出会うまで犬を飼うチャンスに恵まれなかった。子供のときから犬を飼いたいと思っていたから道ばたにワンコがつながれていれば近づいて頭を撫でたりして満足するしかなかった。それは大人になってからも同じで、例えばラーメン屋につながれていたワンコ、コンビニの入り口につながれていたワンコたちとは友達になれたと思っている。

 

子供と犬...この両者が一緒にいると実に絵になる。オトーサンは不幸ながら子供時代にワンコを飼うことはできなかったが、いつの時代でも子供とワンコの物語は語り尽くせないほど存在する。
ワンコを飼えなかったオトーサンでも子供時代周りには必ず「ちびっこギャング」に登場するワンコ(ビート)ではないが、何かしらのワンコがついて回っていた。当時は深く考えることもなかったが、そのワンコたちのほとんどはいわゆる野良犬だったに違いない。
しかし思い出すに、子供同士の喧嘩で怪我をしたという話は幾多あってもワンコに噛まれたとか、ワンコを怪我させたといった記憶はまったくない。子供心にもワンコに対してひとつの人格ならぬ犬格を認めていたようだ。

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※ボーダーコリーのボーちゃんと全力疾走するラテ


そんな訳だからオトーサンにとってワンコは自然に周りにいる一番身近な動物だった。したがって大きなワンコも決して怖いと思ったことはないしワンコに危害を加えられたり恐ろしい目に遭わされたこともなかった。
それにいま思えば母がワンコを好きだったこともオトーサンがワンコを好むようになった要因かも知れない。
母は戌年であり、アパートの玄関に子連れでやってくるブラッキーと名付けた黒いワンコに夕飯の残りを食べさせていたから自然にワンコに対する抵抗力が出来ていたのかも知れない。

そのオトーサンだがラテを連れて散歩に出かけると自然に子供が気になってならない。
ひとつには幼児や低学年の子供たちはその挙動が予測できず、万に一つでもラテが子供たちに怪我でも負わせたら大変だと注意しているからである。
ある時など狭い遊歩道を歩いているとき、幼児の手をひいた母親が向こうからやってきた。オトーサンはラテのリードを極端に短くして構えていたのだが、なんてことか「わんわん!」と叫んだその子が母親の手をふりほどき、すれ違いざまにラテに抱きついたのである。
オトーサンはその想定外の行動に肝を冷やしたが幸いラテは何もなかったように歩き続け、唸ったり吠えたりしなかったから良いものの、いくら何でも母親は注意が足りないと思う。
オトーサン自身、幼児や子供がラテを怖がることなく近づくことは後述する意味も含めて歓迎である。しかし親が一緒ならまずは飼い主に声をかけてからでないとこちらが困惑してしまう...。

他のワンコは知らないが、ラテは子供を三段階に分けて認識しているように思うのだ。
どういうことかといえば幼児、すなわち親に手を引かれてヨチヨチと歩いている年代の子は嫌ではないがどうもあまり興味はないようである。この年代の子供が触っても表情はほとんど変わらないし態度に変化もないのが普通である。
それが幼稚園に入る年代から小学生あたりの子供たちとなるとラテは自分から積極的に接近しようとする。何だかラテ自身がこの年代の子供と仲間だという意識でもあるみたいに喜び、好意的に扱ってもらえればお腹を出してしまう(笑)。しかしそれが中学生以上になると警戒し、初めて会う子供たちの場合は吠えて嫌がるのだから面白い。

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※初対面でも小学生の子供たちにはフレンドリーなのだ。隣は友達ワンコのハリーちゃん


さて、散歩途中で出会うラテに対する子供たちの反応は当然ながら「ワンコは怖い」と思う子供たちと「ワンコは可愛い」と思う子供たちに分かれる。
ラテと小学校の前を通るとき、たまたま下校時間だと多くの子供たちが校門から出てくる。それを見るとラテは小耳を倒し、尻尾をお尻ごとブルブルと振り、姿勢を低くし、口を開けながら嬉しそうに近づこうとする。
しかし大半の子供たちは「ハアハア」と息を荒くして近づこうとするラテを見て「わあ、犬だ、噛まれるぞ」とか「オオカミだ! 怖い」などといいながら逃げていく。それを見てラテは「クウ~ン」と悲しそうに鳴くがこればかりは仕方がない。
そんな中で1人か2人の子供...何故か女の子が多い...が「あっ、可愛い」といって近づき手を差し出してくれるとラテはお腹を出して大喜びだ。

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※ハリーちゃんのお母さんに最高の笑顔で甘えるラテ


思うに果たして子供がワンコを怖がるのは本能なのだろうか...。子供が自分と同じほどの大きさ、あるいはもっと大きい動物を前にして不安や恐怖をいだくのを非難するつもりはないが、では自宅にワンコを飼っていないのにワンコを怖がらずラテに笑顔で近づく子供は何故そうなのだろうか...。
無論以前にワンコとの遭遇で怖い思いをしたといったことであれば理解できるが、3年半も毎日ラテを連れて歩いていると偏見かも知れないものの、幼児や子供がワンコを怖がるのは親自身の思いがそのまますり込まれているのではないかとも考えてしまう。
ワンコが近づくと親自身(特に母親)が腰を引き、子供に「ワンワン...大きいね!危ないよ!」などという母親がいるのだ(笑)。無論その母親はワンコが怖く嫌いなのだろう。
まあ知らないワンコだから万一の場合を考えて用心するのはありがたいが「危ないよ!」は無いだろうと思うのだ。

精神を病んでいるワンコは別だが、正常なワンコは子供と接しても理由なく噛むようなことはまずあり得ない。逆に子供たちがワンコに対して正しい...というか適切な処し方を知らないがため粗暴に振る舞ったりすることの方が怖いのである。ワンコだって防衛本能もあるわけだし。
まあ、こんなことは愛犬家の物言いであり、ワンコ嫌いの人たちに百万遍唱えたところで理解は得られないだろうが、親がワンコという動物を正しく理解し子供に教えることができるなら子供はいたずらにワンコを怖がることはないように思えるのだ。無論正しく理解するというのは前記したように子供がいたずらにワンコを粗暴に扱わないようなことを教えることも含むのは勿論である。

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※ボストンテリア、ボビーちゃんのオトーサンにもラテは積極的にチューを迫る(笑)


とかく幼児はワンコの前で奇声を発し、激しく動き回り、場合によっては手や枝などでワンコを叩いたりするケースも多い。だからコンラート・ローレンツ博士の言うように一般的にワンコは子供から逃げ出すすべを知っているし子供が苦手なワンコもいる(笑)。しかし子供から見ればどうしたらワンコと友達になれるかをを理解する良い教育にもなり、ワンコと遊ばせることは幼いうちに他人に気を配ることの価値を学ぶという。
そのローレンツ博士は、「どこかの家で、イヌが五, 六歳の子供に対してひるまず、むしろ恐れ気もなしに近づくことに気づくと、私はその子供と家族についての評価を高める」といっている。それはその子供や家族がワンコの扱い方をよく知っている証拠だからであろう。
さらに博士は「私は、よしんば非常に小さい子供であっても、イヌを恐れる人間に対しては偏見を持っている」とし、続けて「たとえ見知らぬ大きいイヌでも恐れずに、それをどう扱ったらいいかをわきまえている子供を私が好きだということは、それなりに正当化できる。というのは、このことは、自然とわれわれの仲間の生き物をある程度理解している者によってのみ可能だからである」と著書「人、イヌにあう」の中で動物行動学の権威らしい物言いをしている。

ラテを可愛がってくれるから言うのではないが、ラテに駆け寄り遊んでくれる女子たちは総じて気配りが上手で礼儀正しい。
最初に会ったときには「触っていいですか?」「名前はなんていうの?」と聞いてきたし、去るときには「ありがとうございました」という。
そうした子供の大半はワンコを飼っていないようだが、他人の子供ながら将来素敵な娘さんになるんだろうとオトーサンは思わず目を細めてしまう。
ワンコ好きの私が言うのだから話半分としてもだ...ワンコを嫌いだとか怖いとして退けている人間はその一生で何か大切なものを失ってしまうのではないかと思うのだが...いかがだろうか。

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員