ラテ飼育格闘日記(95)

人間同様にワンコもただただ “喰っちゃ寝“ の繰り返しでは頭脳は活発にならない。本来はラテにも何らかの仕事をあてがいたいと思っているオトーサンだが、この数ヶ月は意識して頭を活性化すべくゲーム性を取り入れた遊びを実施している。


家犬のほとんどは一昔前のワンコとは違い、肉体的な労働は皆無だろう。ただただ飼い主のメンタリティの安定に貢献しているといえるのかも知れない...。いや、中には飼い主の血圧を上げる原因になっているワンコもいるかも知れないが(笑)。 
そのワンコ自体の日常は本人がどのように思っているかは不明なものの、比較的単調な毎日の繰り返しに違いない。 
ラテにしたところで朝起きてオトーサンと散歩に出かけ、帰宅したら朝食を食べて一眠りする。昼になればオヤツが出て通常ならオトーサンと室内でひと遊びした後、夕方の散歩まで出窓から道行く人たちやワンコなどを眺めたり、居眠りして過ごす...。そして夕方の散歩に出かけてタイミングが合えば仲の良いワンコたちと遊び回る至福のひとときを過ごして帰宅。またまた夕飯の時間まで一眠りするが、夕食の後はオトーサンとオカーサンと共に遊んでいると大きなアクビが出始める。 
というわけで午後10時頃にはハウスに入ってゆっくりと就寝といった繰り返しだ。 
ともかくワンコにもよるだろうが、ワンコはよく寝るし眠るのが仕事のようにも思える。しかしそれは良しとしてもこの日常の繰り返しだけではいかにも単調すぎるのではないか。 

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※オカーサンに買ってもらった花飾りを付けて出窓のたたきから外を眺めるラテ


前回にもご紹介した「理想の犬の育て方」(文集文庫)で著者のスタンレー・コレンは「豊かな環境は性格にも影響する」として動物に対しても毎日の生活や訓練のやり方次第でその学習能力が大きく違ってくると書いている。 
同書によればこの種の研究例として1960年代、カリフォルニア大学バークリー校の心理学と生理学研究所で静かな革命が起きていた。研究者らは経験が脳の構造に観察可能な変化をもたらし、その後の行動に影響を与えるという仮説を直接調べてみるという画期的な試みに挑んだ...。 
続いてイリノイ大学シャンペンアーバナ校のウィリアム・グリーノーによる研究は、豊かな環境で育つと、動物の神経回路が変化することを実証したという。 
詳細は本書を読んでいただくとして、要は脳に刺激を与えることで脳の神経細胞の増殖が学習や記憶に関わる海馬と呼ばれる領域で起きるという。 
海馬は脳に入ってきた情報を大脳皮質が処理し蓄える前に情報を整理する役割もする。いわばコンピュータの一時記憶の容量を増やすようなことにもなる。 
ここでいう刺激とは遊びや訓練を通じて新しい環境と接触し、情報を処理し、問題を解決し、新しい関係を学習する行為そのものが脳を変化させ、その結果学習能力が高まり、それまで以上に情報がうまく整理できるようになる。すなわち頭が良くなるわけだ。

例えば、ネズミでもワンコでも研究設備で飼われているものより家庭で飼われたものの方が頭がよくなるという。 
ラットの実験では研究室のラットはすることも動き回る範囲も限られたゲージの中で育つこともが普通だから問題解決の機会も少ない。そのラットを家庭に持ち込んでペットとして飼うと、家族と共に暮らし、遊び、触れ合いを持つことで豊かな刺激を受ける。そうしたラットの方が例えば迷路を素早く学習し落ち着きがあり感情的にも安定するという。 
同じ事をマギル大学の研究仲間はワンコに対し実験をしたところ、ラットとおなじ結果がでたという。 
まあ、こうした実験による検証は素人にはできないものの「さもありなん」という感じはするし、納得できる結論でもあると思う。 
オトーサンとしてはラテとの日々心がけていることは可能な限り、ほんの些細なことでも毎日新しい事を学ばしたいということだ。というよりラテを観察していると、少々臆病で肝っ玉が小さいにも関わらず、常に新しいことに興味を覚えるという性向を知ったからだ。そして新しい事をオトーサンと体験することをとても喜ぶからでもある。 

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※朝の散歩途中で一休み。ラテはとにかく新しいものに興味を持つ...


例えば公園の奥にちょっとした木製遊技施設があり、そのひとつに吊り橋を模したものがある。数段の丸太の階段を上るとそこはぐらぐらと揺れる吊り橋が数メートル続くというものだ。 
最初は丸太の階段それ自体ラテは恐がり足を出さなかったが、ある時オトーサンは少々強引にラテを引いて駆け上った。仕方がなくラテも何とか階段を上ったがそこは足元が前後左右にゆれる場所であり、恐怖のために足を竦ませている...。 
こうした時にオトーサンの態度が重要なのだが、オトーサンと一緒だから安全だということをアピールし、ラテをなぜながら声をかけてゆっくりとその橋を渡った。 
それがいまでは仲間のワンコがいると自分から「君もできるかい?」とでもいうように自分からその遊技施設に駆け上るようになった。そしてオトーサンと一緒に降りたときの嬉しそうな顔がとても印象的である。

特に最近は家の中でも新しいことに挑戦させる工夫をしている。とは言っても大げさなことではなくボール遊びひとつでもラテを喜ばせながらこれまでとは違う体験をさせるような方法を考えているだけだ。 
ここのところラテが夢中になっているのはボール探しとボール取りの遊びだ。ラテが大好きなボールを使ってそれをフローリングに敷いたマットの下から取り出させることや、ちょっと工夫をしないと取れない場所や高さにボールを置いて取らせる遊びをしている。 
マットの下にボールを置くと最初は単純に上から口に咥えたり、そのまま振り回して何とかボールを取りたいと苦労するが、次第にマットをめくりあげるとボールが見つかることを知ると次からは素早くマットを退かすようになる。 
またラテが嫌いな椅子がある。その椅子は回転するためにラテは足場にするのが怖いようなのだ。 
その椅子の背もたれにタオルをかけ、タオルの上にボールを置くとラテはボール欲しさに吠え始める。 
他の椅子なら飛び乗って簡単にボールを取るものの、嫌いな椅子には前足をかけたり、ましてや飛び乗ったりはしたくないわけだ。しかしボールは欲しい...。 
吠えながらも周りを観察してあれこれと考えた結果ふとタオルを引っ張るとボールが落ちてくることを学ぶのだから面白い。 

しかしである...。オトーサンは椅子の背もたれにタオルを掛けてその上の真ん中当たりにボールを置く。ラテはしめたとばかりに椅子の横からタオルを引っ張るが、ボールは椅子の座部中央に落ちてオトーサンの手の中に収まる。 
ラテは自分がボールを咥えたいがために必死になっているわけで、この結果は不本意だから悔しがって吠える...。 
オトーサンはまた同じ事、すなわち椅子の背もたれに掛けてあるタオルの真ん中にボールを置く。 
ラテはタオルを引っ張るがボールは転げ落ちてまたまたオトーサンの掌に落ちる(笑)。 
ラテは足を踏みならしたり吠えたりするが、何回やっても自分のところにボールが落ちてこない...。 
親ばか承知だが、この後のラテの行動には舌を巻いた! 

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※ボールが欲しいと舌なめずりするが椅子には触りたくない...(上)。結局タオルを引っ張ってボールを取ることを学習したラテ(下)


同じ事をやってもボールが取れないことを学習したラテは一計を巡らした...らしい。今度はオトーサンがボールをセットした途端いつものようにタオルを口で引っ張るのではなく何と椅子に体当たりしたのである! 
ボールはその衝撃で椅子の背面に落ち、それに飛びついたラテはめでたくボールを口にすることができたという次第。 
こうした遊びはラテが飽きない程度に繰り返して行う必要があるが、大切なことは最後は必ず成功させて終わらせるようにすること、そしてボールを放置せずにオトーサンが取り上げてラテが勝手に取り出せないように管理することだ。 
あくまでこのボール遊びはオトーサンとの共同の遊びであり、オトーサンと一緒に何かをする楽しみを与えるということを知らしめなければならない。 
ラテは2歳と3ヶ月を過ぎるところであり、ワンコによっては落ち着きが出てあまり遊ばなくなってくるというがラテはまだまだ幼児性を発揮すると共に新しい遊びを喜ぶからオトーサンも次々と新メニューを考え出さなければならない。 

ところで先日テレビを付けたらちょうど動物番組をやっていて飼い主さんと一緒にダンスをするワンコが紹介されていた。 
それを見てオトーサンの目標がまたひとつ増えたことは申し上げるまでもない(笑)。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員