ラテ飼育格闘日記(49)

日々いつもの公園で出会うワンコたちは見るからに幸せそうである。中には病気がちのワンコもいるものの、ここに集うワンコたちは間違いなく飼い主に愛されているからだ。


11月12日は私たち夫婦にとって特別な記念日のひとつである。なぜなら昨年のこの日、初めてラテに出会ったからだ。その経緯は繰り返さないが、10匹ほどのワンコたちの中からラテを選んだのは今から思えば縁だとしかいいようがない。 
ほんの少し状況が違えば...別のワンコに決まっていたかも知れない。ウェブサイトで知り合った方に勧められて出不精の私たちが横浜の動物病院で開催された里親会に参加する気になったのも今思えば不思議な気がする。そしてその場に参加された方たちのそれぞれの選択が違えばラテとはすれ違いとなっただろう。まさしく様々な条件が重なり合った結果の巡り会いなのだ。 
その昨年の11月12日当日、約一ヶ月後にラテを引き取ることを約束し、不安と期待の渦巻く中でラテはオトーサンたちの子となった。「松田ラテ」となった...(笑)。 

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※散歩の途中で「小さい秋見つけた...」。中学校の校門横に柿の実が...


まあ、ラテはワンコには違いないが、日常の感覚としてはまるで子供と一緒だという気持ちで接している。少々マズルが長いし、全身毛で覆われ、四つ足で歩くものの...この11ヶ月の間、ラテは次第に飼い犬から家族...私の娘になった(笑)。 
ラテをお世話してくださったボランティアのKさんから「人は子どもには厳しいけれど孫には甘いと言われますが松田様もおじいちゃんにならず、お父さんでいてくださいね(笑)」というエールをいただいたことを胸に秘めてこの一年接してきた。 
私たちは「ラテ・マジック」などと言っているが、気を許すとまんまとラテの思うつぼにハマッテしまい、ただただ可愛いからと甘やかせてしまうことになりがちだ。だから叱るときには叱るし最初の頃にはやむなく加減をしながらも平手打ちを食らわしたこともあった。 

犬好きの方であればご賛同いただけるものと思うが、好きでワンコを飼った一人としては単なる飼い主というだけでなく、ワンコに好かれたいと願うのも自然であろう。私もそう思う一人である。しかしワンコの思うがまま、要求のままに振る舞わせ、欲しいときに餌をあげていれば間違いなく好かれるかも知れないが、それでは飼い主としてリーダーシップはとれずにワンコも言うことをきかなくなってしまう。 
だから厳しく接しなければならないときには相応の態度に出ているつもりだが、女房に言わせれば、私のラテに対する接し方は「甘い」と一刀両断する(笑)。本当のところ、ラテはどのように思っているのかわからないが...勿論本人は黙して語らない...。 

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※ラテはこんな真面目な表情もする...(笑)


ラテは人間の言葉は話せないが、最近ではその吼え方は時に喋っているかのように抑揚があり感情がこもっている。だから何を言いたいのかがほぼ分かるように思えるようになった。それ以上にオトーサンたちの言葉や意志は確実にラテに伝わっているようだ...。 
一例をご紹介させていただくが、夕刻の散歩は最近2つの公園を廻るコースに定着した...。無論オトーサンが決めたことだ。しかし最初の公園の横を通り過ぎるときラテはそこに入りたがってリードを強く引く。最初の数日はその引きの強さを力ずくで次の公園に向かうべくリードを引っ張ったオトーサンだが、ここで考えたことがあった。 
それは...ワンコにはいわゆる「言い聞かせは利かない」と一般的に信じられているが、「最初に遠くの公園に行き、その後でこの公園に戻るということ」を力ずくではなく言葉や態度で教えられないものかと考えた...。 
翌日いつものように最初の公園が見えるところまで来たとき「ラテ!」と呼びかけ、こちらを仰ぎ見たのを確認し「まっすぐ行くぞ」「最初は○○公園だよ」「後で戻ってくるからね」と右腕で前方を何回も指し示しながら言い聞かせた。それでも強くリードを引くだろうな...と思いながら。 
しかし親ばかではあるが、ラテは喋った内容そのままは分からないとしてもオトーサンが何をしたいのかを理解した...。なぜなら「クウ〜ン...フンフン」と不満の声を上げながらもリードを引くことなく真っ直ぐに歩き続けたのである。 
言葉以上にボディランゲージが利いたのだとは思うが、ラテは事ほど左様にイイコなのである(爆)。 

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※真っ赤に色づいた落ち葉を両手で抱え込んでいるラテ


そして最近とみに嬉しいこととしてはラテが散歩の途中でしばしばアイコンタクトを取るようになったことだ。オトーサンとしての威厳も見せなければならないから、いちいち笑顔で応えてはいないものの、これは楽しいことである。 
真面目顔でこちらを仰ぎ見るとき、口を開けて見るからに笑顔のとき、そして通りすがりのワンコにちょっかいを出すも無視されてばつの悪そうな表情などなど、明らかに気持ちが出ている表情でアイコンタクトしてくる...。さらに私がアイコンタクトに気づかない...気づかないふりをしているとき、歩きながら鼻先で私の足をツンと付いてみせる。「ねぇ...」と言っているのだろう。時にはリードを持っている手に前足をかけたり、飛びかかるのではなく背中や脇腹に後ろ足立ちして身体を預けることもする。そんなとき、一瞬でもラテと心が通ったと感じて幸せな気分になる。 

まあ、本当のところ...そうすればオトーサンがニボシのひとつでもくれると思っての「ラテ・マジック」なのかも知れないが(爆)。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員