ラテ飼育格闘日記(37)

ワンコと人間との共存の歴史はかなり古いという。この魅力的な生き物と毎日生活していると逆に人間という生き物の弱点も見えてくるような気がして面白い。しかし何故人間の祖先はワンコと暮らすようになったのか。今回はちょっとアカデミックだ(笑)。


人が純粋にワンコをペットとして慈しむようになったはごく近年のことだという。それまで犬と暮らすということは何らかの形で犬に期待する仕事、役割があった。それが番犬であれ狩猟の手伝いであれ、あるいは荷物の運搬であれ、犬は期待される役割を持っていた。 
私の少年時代を振り返っても犬をきちんと飼っている家は貧乏人ではなかった(笑)。しかしそのほとんどは外飼いであり、防犯の役割を果たしていたし、必ずといってよいほど家の門や玄関には「猛犬注意」の張り紙があった。 

ワンコの祖先が狼であったことは周知の通りである。しかし最新の学説では人が狼を飼い慣らしたのではなく、人間に近づいた段階で、すでにワンコは狼から枝分かれして犬化していたようである。 
ともかく、太古からワンコという動物が人類が生きていくために果たした役割には大変大きなものがあったとされている。 
人と狼は50万年以上もの間、ほとんど同じ生態環境を共有してきたらしい。50万年前といえば、ホモサピエンスが登場した頃だ。一部の学説ではワンコと共存できたからこそホモサピエンスは生きながらえたという話しもあるくらいだ。 
狼ではなく確実に犬だと判断された最も古い化石は1万4千年前のものが発見されており、1万2千年前と年代推定されたイスラエルの墓地の跡からは、かがんだ姿勢の老人と共に子犬が埋葬されていて、老人の左手は慈しむように子犬の頭蓋骨の上に置かれていたという。 
犬の出現は、広く信じられている以上に古い出来事だったようだ。 

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※オカーサンは甘い...。オトーサンの食事の席にラテを座らせてしまった(泣)


無論さまざまな学説があるが、人が住居する近くまで食べ物を探しに近づいてきた原始犬がいたはずだ。それらは人間という生き物の回りには常に残飯という捨てられた食べ残しがあることを知ったからである...。犬から見ればそれらの生ゴミは人間の魅力そのものだった。 
逆にこの残飯をきれいに平らげてくれる原始犬は、人間の生活環境においても好ましいものだった。それは住居回りが常にきれいに保たれるからであり、そのために移住の度合いが低くなり定住化を促進する。 

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※大好きな仲間のマキちゃん(ワンコの名)と散歩するラテ


こうした接点を繰り返すうちに、人に好意的で好戦的でないワンコの祖先たちが人間と直接接触するようになったに違いない。中には見るからに可愛く母性本能を刺激する子犬を抱きしめて連れ帰る女性などもいたかも知れない。 
そうした中で人類の祖先は犬に食と安全な寝場所を与える見返りに、自分たちが寝ている間や子供たちを守ってもらうという暗黙の約束事が成立していったという専門家たちがいる。 
太古の人たちは道具や火を使うといった知恵は持っていたが、野獣たちからの攻撃を受けて立つ体力や牙も、そして爪もなかった。勿論走るのも遅い。そして夜になり辺りが漆黒の闇になるときもその中に潜む敵の存在を見つける視力も聴力も貧弱だったから、安眠できる夜は少なかったのではないだろうか。たぶん交代制で寝ずの番をする係りがいたのかも知れない。 

人と生活するするようになったワンコの祖先は、自分たちのエリアに近づくよそ者をいち早く察して吼え立て、危険を知らせてくれたし、いざとなれば勇敢に戦ったであろうことは想像できる。そして日中でも人が狩りにでかける時には一緒について行くようになったに違いない。 
私たちの祖先は自分たちとの共存に向くワンコの祖先同士を交配して増やしていく。そうした中でますますワンコの祖先は家犬となり家族の一員となっていった。 
その後、私たちはよく知られているようにさまざまな仕事に向くように多くの犬種を作り出した。しかし近年になってもともとワンコたちに頼っていた多くの作業や役割が、より効率の良い器械に取って代わったり、環境の激変によりワンコたちの大方が職を失うことになる(笑)。 

いまワンコたちの第1番の役割といえば、人を癒すことに違いない。しかし人がワンコに求めるものは時代と共に変わってきたが、ワンコは大昔から現在に至るまでワンコであり、このすれ違いが人と飼い犬とのトラブル...すなわちワンコの問題行動の要因になっているのかも知れない。 
思えば人は自分たちの生活向上や生き延びるため、都合の良いようにワンコを改良してきた。例えばある意味で吼えやすい犬種は人との接触で生まれたという。何故なら狼の時代、狩りのために不用意に声を出すことは自分たちの存在を他に知らせることになるから生存には不利だ。事実狼や野犬は遠吠えや唸ることはあっても「ワンワン」とは吼えないという。 

ともかくワンコが人の世界に入り込めたのは不思議といってよい。それは他の動物である可能性もあったわけだが、ワンコが持つ社会性が人間たちに何か共通の親近感を持たせ、かつ人の母性本能を刺激したに違いない。 
ワンコと人の歴史的関係は、人がワンコを選んだのではなく、ワンコが人と生きることを選択したのだという説もあるくらいだ。そして人はまんまとワンコの思うつぼにはまってしまったのだ(笑)。 
しかしそのワンコは精神的にネオテニー(幼形成熟)な動物だという。つまりは永遠の赤ちゃんである。
人の子はいつの日か、親から離れていくがワンコは違う...。しかしこの永遠の赤ちゃんは飼い主との幸せが未来永劫続くことを信じきって生きている。いつもいつも今日と同じ楽しい日が明日も来ると信じ、いつの日か別れが来るなどとはそれこそ夢にも思っていない。ワンコはそんな可愛い生き物なのだ。 

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※この子は今日もよい一日だったなあ...と思ってくれているのだろうか?


オトーサンはもしラテが喋れたら「ラテ、お前の一番好きなことは?」の質問に「オトーサンとオカーサンと一緒にいること!」と応えてくれるように、今日もラテには厳しくも、優しく接しているのである(笑)。 
どなたですか? 「ヤキが回ったな」と言う方は(爆)。 

【参考資料】 
・「犬の科学」築地書館刊(スティーブン・ブディアンスキー著/渡植貞一郎訳)

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員