スティーブ・ジョブズ29歳の PLAYBOY 誌インタビュー掲載誌を入手

米国版PLAYBOY誌がテキサスから届いた。いや、いまさら金髪女性のヌードがお目当てで手に入れたわけではない(笑)。なにしろPLAYBOY誌といっても1985年2月号という大変古い1冊で、実は本誌にあのスティーブ・ジョブズ 29歳当時のインタビューが掲載されているのだ。


以前「スティーブ・ジョブズ29歳の PLAYBOY 誌インタビューが凄い」と題しGIZMODEサイトに紹介された米国PLAYBOY誌のインタビュー記事について感想を記した…。
そのインタビュー記事自体には感銘を受けたが、そもそもGIZMODEサイトによる紹介は些か信頼度が疑われるものだった。
当該記事は現在もそのまま読むことが出来るが、冒頭に「…1987年のバックナンバーでは、フリーのジャーナリストのデヴィッド・シェフ氏による若き日のスティーブ・ジョブズのインタビューを読めたりします。以下、その記事になります。」と当該インタビューが載っているPLAYBOY誌は1987年に発行されたものだとある...。

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※ジョブズのロングインタビューが載ったのは1985年2月号だった。本誌が今回入手した表紙


一通り目を通して即「おかしい?」と思った。なぜなら当該インタビューは内容から考えて1984年10月に行われたと推察できるのにPLAYBOY誌に載ったのがその3年後というのはいかにも不自然だ。無論そうした可能性はゼロではないがそのニュアンスはどこにも感じられない。
したがって前記した私の記事では「1985年2月号に掲載」としてご紹介したし、記事中「ジョブズが9歳のバースデー・ボーイ」とある部分だが、実は「バースデー・ボーイ」とはあのジョン・レノンの息子(次男)であるショーン・レノンのことであり、当該パーティーは彼の誕生パーティーだったことも記した。
要するにショーン・レノンの誕生パーティーにスティーブ・ジョブズは販売し始めたばかりのMacintoshをプレゼントとして持参したことがインタビューの序文に紹介されている。

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※インタピューのトップページ。ジョブズの3枚の写真が掲載されている


さてインタビューは当初その誕生パーティー後に長々と行われたのかと思ったが、どうやらそうではないようだ...。なぜなら最初のページに掲載されているスティーブ・ジョブズの写真だが、これは別途当時のApple本社で撮影されたものに違いない。その根拠は背景である…。
この写真だけではほとんどの人は分からないかも知れないが、写真の背景は INC.マガジン1984年4月号に載ったジョブズの写真と照らし合わせると一目瞭然だろう。

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※INC.マガジン1984年4月号に載ったジョブズの写真。背景壁面には大きなアップルロゴが...


当該写真はジャケットにネクタイをして上機嫌なジョブズが大きなアップルロゴの前で写っている。このような壁面がショーン・レノンの誕生パーティー会場にあるはずもなく、またApple本社にショーン・レノンはもとよりアンデイ・ウォーホルやキースヘリングまで呼んでパーティーを行った形跡は無い。だとすればこのPLAYBOY誌のロングインタビューのページに載った3枚の写真、すなわち壁面に大きなアップルロゴをデザインしたスペースがある場所はパーティー会場ではなくあきらかにApple本社に違いない。

多くの資料を手元に置き、それらに日々目を通しているとある資料は縦糸に、そして別の資料は横糸に...といった具合に情報の織物が出来上がり、これまで気にも留めなかった事実が浮かび上がってくるから面白い。
実はパーティーが開かれた場所はオノ・ヨーコ宅だったのだ。
「スティーブ・ジョブズ~ラストメッセージ、天才が遺したもの」というDVDのナレーションでは「1984年、2人はオノ・ヨーコ宅を訪ねた。彼女の息子、ショーンの誕生日を祝うためだ。」とあり、アンディ・ウォーホルがジョブズとショーンに挟まれ、MacPaintに夢中だった…などと語られている。

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※DVD「スティーブ・ジョブズ~ラストメッセージ、天才が遺したもの」パッケージ


そしてもうひとつ面白い事実が分かった。そのナレーションで「2人はオノ・ヨーコ宅を訪ねた」とある2人のうちの1人は無論スティーブ・ジョブズだが、もう1人はジャーナリストのデービッド・シェフでありPLAYBOY誌のインタビューアなのだ!

デービッド・シェフといえば前記のDVD「スティーブ・ジョブズ~ラストメッセージ、天才が遺したもの」でスティーブ・ジョブズとの思い出を「映画やオペラも見に行ったし本当に最高の友人だった」「僕が悩んでいる時は電話に付き合い、食事に誘ってくれた」と大変好意的な思い出を語った人物である。
2人は気が合い、友人として付き合うようになるわけだが、これでPLAYBOY誌のインタビューの内容が少々辛辣であり執拗な部分もあるにも関わらず、ジョブズが真摯に対応している理由が理解できた…。
ともあれまだ原文をきちんと精査していないが、インタビューのほとんどはApple社で行ったのかも知れず、この写真はその際に撮られたに違いない。

このPLAYBOY誌のインタービュー序文を読むと、デービッド・シェフはジョブズとは長時間話しをしたこと、そして「有名人だらけのニューヨークでのある男の子の誕生パーティーで私が彼と会った時、インタビューはほぼ完了する。」とある。要はデービッド・シェフとジョブズは長く荘厳で熱意のあるインタビューで意気投合し、もしかしたらジョブズはデービッド・シェフにインタビューのエンディングを演出するため誘われてオノ・ヨーコ宅に出向いたのかも知れない…。ちなみにデービッド・シェフは別途オノ・ヨーコ監修「ラスト・インタビュー ジョンとヨーコ」という本の著書でもあるからオノ・ヨーコと旧知の仲だったのだろうか。

さて問題のPLAYBOYの1冊が1987年のバックナンバーではなく1985年2月号であることは推測ではなくその号のPLAYBOY誌表紙を探し当て確認したからであった。
ただしそれはウェブで検索確認したことであり、実際にそのPLAYBOY誌を手にしたわけではないのが些か気になっていたのだが、先般思いついたら吉日とeBayに出品されていた当該雑誌を落札して入手した次第。
無論表紙云々というだけでなく、そのロングインタビューの内容を少しずつでも自分なりに訳してみようと考えたからに他ならない。やはり可能な限り一次資料を確認しないといい加減な形で納得してしまう可能性もあるからだ。

しかし余談ながら郵送されてきたPLAYBOY誌のページをパラパラとめくってみたが、この種の雑誌に心ときめかした若い時代の米版PLAYBOY誌とは違いどのページのヌード写真にも墨で塗られた跡がない(笑)。まあ現在の視点からみれば、この程度のヌード写真はインターネット上でゴロゴロしていることは間違い無いのだが…。
それはともかく本誌によるスティーブ・ジョブズへのインタビューは文字通り長い…。それも日本の雑誌ではあまり見られないが広告ページを挟むのはともかく、ページが大きく飛びながら続く。

インタビューのスタートは49ページからだ。その後5ページの広告ページを挟みながら58ページまで続くが、その後は70ページへと飛ぶ。そして次は174ページからとなる。その174ページはページの1/3ほどでしかなく、さらに多くの広告ページを挟みながら184ページまで続くという正しくロングインタビューなのである。
したがってGIZMODEサイトに「原文」へのリンクがあるものの、そこにある内容はあくまで一部だ。

なおインタビュアーのデヴィッド・シェフによる序論は例えば「田園Mac」サイトにも訳されているので一読をお勧めするが、ともあれGIZMODEサイトに紹介された内容を追っただけでもスティーブ・ジョブズのパーソナルコンピュータや未来の自分たちの姿に対しての強い思いがこの29歳当時から生涯ぶれていないことに驚いたわけで、これはきちんと内容を精査しておかないともったいないと感じた…。
まあ私の貧弱な語学力ではどこまで理解できるかが問題だが、美形のヌードでも眺めながらゆっくりと試みてみよう(笑)。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員