ラテ飼育格闘日記_845

前回の日記では、ラテのエピソード記憶の凄さについてご紹介したが、今回もその続きである…。我々はとかくワンコに限らず動物の記憶やその能力について過小評価しがちだが、侮れない能力・知恵ともいうべきものを持っていることは確かだ。


数日前にここにネコがいた…。だから今日もいるかも知れないと考えるのは単純なエピソード記憶だと思われる。こんなことをしたら叱られるとか、オトーサンはこのような行動をすれば喜ぶといったことも長い間一緒に生活していれば自然に学習するはずだし、それだけの能力をワンコは持っている。

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「これだから…こうなる」「これは、こうなんだ」といったある種一対一の記憶の紐付けはワンコには朝飯前だということは日々分かってきたが、オトーサンが一番驚いたのは自動販売機というものと冷たい水を飲めるということをラテが学習したことだった。

どういうことか…。
オトーサンは季節に関係なく散歩の際には冷蔵庫で冷やした水を携帯することにしていた。無論オトーサンの飲み水では無く、ラテの為だしオシッコをした場所によってはその水で洗浄することにも役立てていた。
そしてラテがオトーサンの持っている水を飲みたいときのサインは次第に分かってきた。それは歩きながらオトーサンの足の膝裏あたりをラテがマズルでツンツンする。
最初はなにか意識を自分に向けるためかと思っていたが、これまた次第に水が欲しい、喉が渇いたという意思表示に定まってきた。

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したがってツンツンが始まるとオトーサンはラテと共に安全な場所に移動し、そこでボトルに入れた水をラテに飲ませることにしていた。ボトルは市販のペットボトル500mlのものだが、蓋はこうした際につかうため…ワンコの散歩用にと作られたものだから蓋がそのまま容器になったり、開けずにその先端のキャップだけを開ければ水を撒くのに都合がよい。

ラテの飲料用としてはこれで完璧だと思うが、ひとつ難があるとすれば夏季の散歩では冷やした水でもすぐに暖まってしまうことだ。
そもそも当初動物病院の医者から冷たい水は避けた方が良いと言われた。それはお腹を壊しやすいからということだった。ただし自宅では冷蔵庫にオトーサンたちが飲む冷たい水、それも浄水器を通した美味しい水を切らさないようにしていたのでラテとの散歩時にもその冷やした水をボトルに入れて持ち歩いた次第。

それにラテには最初からこの冷たくカルキー臭くない水を与えていたがお腹を壊すことも無く、当然のことながらこの冷たい水を好むようになった。
したがって夏季の散歩ではより水分を取らせようとツンツンされないうちにオトーサンが水を与えようとすることもあるが、概して暖まった水はあまり飲まない…。

それにラテだけでなくオトーサンだって歩いていれば喉が渇く。しかし濯ぎ洗っているとは言え携帯するボトルはラテが直接口を付けることもありオトーサンの飲み水としては適していない。ということである日、散歩の帰りに見つけた自動販売機から冷えた水を買い、オトーサンがまず飲んでからそのままラテに差し出した。
ラテは舌の先をチロリと湿らせた後、小さなペットボトルの口に舌を差し入れるようにして大量の水を飲み始めた。やはり外気温が高いときでもあり美味しかったに違いない。

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その後、そこを通るとラテがその自動販売の前に座り込みオトーサンに哀願の視線を送るようになった。勿論ワンコが自動販売機がどういうものであるかなど知る由もないだろうが、オトーサンが扱えばあの美味しい冷たい水が飲めると学習したわけだ。
オトーサンは凄いなと思いながら水を飲ませて頭を撫でたが、オトーサンの驚きはそれだけに留まらなかった。

散歩の道筋はその日その日で違う。したがっていつもあの自動販売機の前を通るわけではない。しかし自動販売機はあちらこちらに設置されているわけだが、オトーサンにしても頻繁にそれらを使うこともなかった。
ある日の事、ほとんど通ったことの無い道を歩いていた。その道の片割れに古びた自動販売機が見えたがオトーサンは気にも留めずに通り過ぎようとしたとき、いきなりラテはその自動販売機の前で動かなくなりオトーサンに視線を向けつつ「ワンワン」と吠えた。

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あらかにラテはこの自動販売機から冷たくて美味しい水を取りだして飲ませろと要求していた。オトーサンは驚きつつも初めて使うその自動販売機で水を買った。
凄いなと思ったのは何度か体験した自動販売機ではなく、使った事もないし前記した自動販売機とカラーリングも違うこの機械が、同じく冷たくて美味しい水が飲める場所なのだとラテが理解していることだった。

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これは個別というか特別のアイコンの意味を普遍に捉えたということを意味する。ここにいけば水を飲める…といったことを学習するのは難しい事では無いだろうが、散歩途中にある自動販売機すべてがラテにとっては冷たく美味しい水を飲める場所だということを理解したことになるわけでオトーサンは驚いたのだ。
「ラテの知能が思ったよりずっと高い」ということに驚き喜んだオトーサンだったが、不用意に自動販売機のある道を通らないよう注意するようにもなった(笑)。



ラテ飼育格闘日記_844

買い物途中でも行き交うワンコを見るとラテを思い出してしまう。近所で小型犬を飼われている飼い主さんは冗談半分で「そんなに寂しい思いをするならこの子みたいな小型犬を飼ってみたら…」と勧めてくれるが、現実問題自身の体力や歳を考えるとそうもいかないのは明白だ。


そういえばラテと15年も一緒に生活していて驚いたことのひとつにラテの記憶力がとてもよいことだ。いつ、どこで、どのようなことがあったのか…といういわゆるエピソード記憶に優れていることに何度も驚かされ、これはうかつな対応は出来ないなとしばし反省したこともあった。

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あのデカルトは犬には思考力も判断力もないと断言していたという。デカルトは犬を歯車や滑車を搭載した機械と同じとみなした。機械であるからして考える力はないが、ある種のことを実行するよう作り上げることはできる…。要は魂など持ってはいないと考えた。

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しかし実際にワンコを飼い、寝起きを共にすればデカルトの浅知恵がわかるだろう。
私たちはワンコが、馬、イルカ、ゾウ…そしてそこいらの政治家たちより頭が良く善良だということを知っている。
飼い主の多くは飼い犬の気持ちをかなりわかっているつもりになってはいるが、まだまだ未知の部分も多い。一般的にワンコは人間の子供の二歳あるいは三歳ほどの知能を持っていることは事実のようで間違いなく感情を持ち、喜びや悲しみあるいは後悔といった感情まであるに違いない。

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さらに人が話す言葉もかなりの数を理解しているとも考えられている。ちなみにこうして偉そうなことを書いてはいるがオトーサンさん自身ラテを飼うまでは「イヌは犬」だといった程度に考えていた節もある。しかし冒頭に書いた通り一緒に生活を続けるに従い、良いワンコ、良い性格に育てるにはそれなりの訓練が必要なのはもとよりだが、ワンコの感情を理解してことの判断をするのも大切なことだと思うようになった。

とにかく思っていた以上に記憶力が良いのにまずは驚いた。散歩の途中に猫と出会い睨み合いをしたとする。いや、ラテは猫好きなので多分に友達になりたいのだが猫側はそれを理解してくれないのだが…。
睨み合いの末「くうーん」と残念な声をあげてその場を離れたとして数日後に同じ場所を通るとその猫がいるかどうかを探し回り時には座り込んで出てくるのを待つのだ。

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無論ワンコの優れた嗅覚により猫がいたという事実を知ることもあるのだろうが、その態度は時に痛々しいほど切実に思えるほど真剣だった。
またとても可愛がってくださる方が住むマンションのエントランス側を通ると必ずそこに座り込み動かなくなる。向こうからそのKさんが出てくるのを待とうという姿勢だ。

まあよくよく考えてみれば、それほど知能が高いからこそ我々人類最良の友ともなったわけだし共生が可能な動物なのだ。
したがってトレーニングもワンコのその知能の高さを利用…いや頼りに対峙の方法も考えるべきだということになる。

例えばラテがオトーサンさんの腕に歯を立てたとしよう。いや実際にラテはオトーサンさんに噛みついたことは一度もないが幼犬の時には甘噛みがひどくオトーサンさんの両手は傷だらけだったのだ。
ともあれラテが何かの拍子にオトーサンさんの手に葉を立てた時、引っ叩いて躾けるという古典的な方法もあるが、これはラテにオトーサンさんは暴力を振う人間であり、信頼するに足りる人間ではないと学習させてしまうことになりがちだ。

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意外にラテの身に堪える方法はいえば、張り倒すのでなく無言でその場を離れることだ。そもそもワンコそれも幼犬が飼い主に歯を当てたとしても罪悪感を持つかどうかは分からない。ただし歯を立てると飼い主は即その場を離れてかまってくれないという事実は理解できるのだという。だから噛まなくなるという理屈だ。
ラテの場合、遊びに夢中になったのか女房の口元に歯を当て傷を負わせたことがあったが、人間の持つ罪悪感と同じであるかは不明ながら明らかに「しまった!」といった表情と戸惑った動きをした。そして無言で二階へと姿を消した女房を追って口元を舐めにいった。
それはどう見ても和解の行動であり謝りにいったとしか思えない。
その時のラテの慌てぶりは今でもオトーサンさんの脳裏に焼きついている。



ラテ飼育格闘日記_843

ラテがいなくなった喪失感は自分でも驚くほど大きかったし、いまでも日々ボディブローを喰らっているかのように心を痛めている。虹の橋を渡ったものは帰ってこないわけで嘆き悲しんでばかりいても益などないことは承知しているが寂しくてならない…。そういえば今日、6月10日はラテ17歳の誕生日なのだ!


喪失感はそれとして逆にラテがオトーサンにもたらしてくれた事もこれまた大きなものがある。今回はそんな話しをしてみたいと思う。

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まずはざっくりしたところから言うとラテと過ごした15年間そのものの思い出はオトーサンの人生の後半において最も貴重な宝物となった。
可愛くて愛しくて仕方がなかったことは勿論、雨の日も雪の日も欠かさず散歩に出る辛さはこれまたなかなかに大変なことだったが、単なる使命感といったものだけではなくラテと何かを共有するそのことがオトーサンの喜びだったのだ。

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勿論、楽しいことばかりではなかった。特に晩年は足腰が思うように利かなくなったことでもありオトーサンの力業でなんとか外に出られるといった有様だったし、首に出来た腺腫が破裂してあたり一面殺人現場みたいになったこともあった。
オトーサン自身の手で日々ラテに点滴の針を刺すはめにもなったが、最初の一針はさすがに手が震えたものだ。それでもラテは暴れたり声を上げたりしなかった。
楽しいことも辛いこともいまでは皆良い思い出に昇華した。

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ラテがオトーサンに残してくれた具体的な宝物としてはそれまで挨拶さえおぼつかないであろう方々とお付き合いができたということだろう。
事実ワンコを連れているとさまざまな方とお話しする機会が増える。特にラテが公園デビューしてこの方、そこに集う飼い主さんたち…ビーグル犬のハリーちゃん、雑種のマキちゃん、ボーダーコリーのボーちゃん、ボストンテリアのボビーちゃん、黒柴のクロちゃん、コーギー犬のアポロちゃんなどの飼い主さんらとのひとときの交流はオトーサンに多大な喜びを与えてくれた。

そうした中、現在でもときにメールなどで情報をいただく方もいるし、今年の1月にはハリーちゃんの飼い主さんのお子さん(出会ったときは小学生)といっても現在は小学校の先生から6年生98名を前に講演を依頼された。
それもこれもラテがいたからこそのご縁である。

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またなによりも近隣のKファミリーと家族ぐるみのお付き合いをさせていただくことになったことは普段人付き合いの無いオトーサンにとってはなによりも嬉しいことである。それもこの地に引っ越ししてきた当初に当時幼稚園の年長組だったKファミリーの長女Nちゃんと出会い、ラテを可愛がって下さりラテも多くのお子さんたちの中で特にNちゃんが好きだったことがきっかけでそのオカーサンと知り合うことになった…。

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ラテの置き土産は実に大きく偉大であった。いつまでもメソメソしているつもりはないが、近隣のどこを歩いてもその時々のラテのアイコンタクトの視線を感じ、ラテの様子を思い出してしまうのだ。
したがってこの15年という長い間、もしラテがいなかったらオトーサンの今はどうなっていたのか…を想像すると脇の下を冷風が通り抜けるような気がするほど薄寒く味気ないものになっていたに違いない。
ラテにはほんと、感謝感謝なのだ。




ラテ飼育格闘日記_842

毎朝オトーサンはラテの慰霊に新しい水と花を添えつつ「おはよう、ラテ。今日も宜しくなっ」といった風に声をかける。そこにはいまだ納骨していない遺骨があるので文字通りラテに語りかけていることになる。


さて、ワンコは飼い主に似る...とよく言われる。毎日一緒に生活しているのだから、ワンコが飼い主の行動パターンや性格を自然に身につけていくのも当然かも知れない。

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ともあれラテは好き嫌いが激しく、メスなのに人間は女性好きだ。それも年寄りでは無く若い女性が好みだ…。女房に言わせればそうした点はオトーサンの気質そのもので、きっとラテはそれを察知した上での行動なんでは…と主張(笑)。

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まあそれはないと思うけれど、ワンコは思った以上に飼い主の言動を常に注視していると思われる。だから自然に飼い主の日常を反映した性格になっていくのかも知れない。
そういえば、ワンコ好きだった作家コナン・ドイルはその代表作品であるシャーロック・ホームズに「犬はその家の生活を反映する。陰気な家には陽気にじゃれつく犬はいないし、明るい家庭には、悲しそうな犬はいない。がみがみどなる飼い主には、歯をむきだしてうなる犬、危険な人間には危険な犬がつきものだ」と「這う男」の中で言わせている。オトーサンはそれって真実だと思っている。

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だから初対面のワンコと挨拶するとき、ワンコ以前にリードを持っている飼い主さんを観察する癖がついた。事実こちらが挨拶の言葉をかけてもろくな反応もせず、失礼ながら無愛想な飼い主さんのワンコにはなるべくラテを近づけさせないようにしていたのも事実。
結局近所に住んでいるのに一度もまともな会話をしたことのない飼い主さんもいた(笑)。

ではオトーサンという飼い主とそれこそ15年以上ものあいだ、日々24時間一緒にいたラテはどのような性格のワンコに育ったのか…。まあオトーサンはあまりに身近なので逆に正確な観察はできないのかも知れないが、そもそもラテは気質から飼い主に対してもベタベタしたり、飼い主の後を追い回すといった類のワンコではなかった。

寝るときも最初からラテは我々夫婦とは離れた場所で寝かすようにしていたこともあるからか後年になってもオトーサンが寝ている布団に入り込んでくるといった行動はしたことがない。YouTubeなどを見ていると大型犬でも飼い主に頬を寄せたり、体をぶつけてくるワンコが多々いるが、それらを見ていると些か羨ましくなるほどラテはクールなワンコだったといえる。

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しかし親バカではあるが、ラテは非常に利口なワンコだったしラテなりにオトーサンたちに対して愛情表現を向けてくれたことは確かだ。いや、女房にたいしては口元を舐めたりと正しく愛情表現だったがオトーサンに対しては慣れれば慣れるほど口元を舐めに来る…といったことは残念ながらなかった。
女房が「オトーサンが寂しがってるよ。チューしてやりな…」などと仰ぐとラテは一応私に顔を近づけに来るものの、後1センチといったところで体を捻るようにしてチューを回避するのが常だった(笑)。

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ただし写真や動画の数が証明しているが実に抱っこの機会が多かった。それもオトーサンが抱っこしてあげようとアクションを起こすのではなく、水たまりがあるから、苦手のワンコが近づいて来たから、怖いことがあるから、そして足が痛かったり疲れたから…などなどラテの方からオトーサンに抱っこを迫った。
だからオトーサンにはチューの思い出はほとんどないが、ラテを抱っこしたその重みやボリューム、暖かさや体毛の感触と臭いなどなどがいまでもありありと感じられるのである。



ラテ飼育格闘日記_841

ラテが亡くなってからすでに一年二ヶ月が経つ…。ちょうどこの原稿を書き始めたのは5月6日なのでいわゆる月命日でもあるが、今さらながらラテという娘を失ったことはオトーサンの心の中で忘れるどころか日増しに悲しみが大きくなっていく…。


ラテを我が家に迎えるとき「家族として迎えよう」とは思ったが正直それがどういうことなのか、よく分かっていなかったことは確かだ。

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無論ワンコを飼うことにどのような覚悟が必要なのかは理解していた。毎日散歩させなければならないし排泄の後始末は勿論、朝夕の食事の世話もオトーサンが行うことに決めていた。しかし無知だったのは子犬がどれほど活発でヤンチャなのかは実際にラテと暮らしてみるまでは分からなかったし最初に困ったのは甘噛みだった。

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子犬とはそういうものらしいが、我が事になれば理屈を「はいそうですか」と容認できるはずもない。なにしろオトーサンの両腕はラテの歯が当たって傷だらけとなった。さすがに本気で噛むことはしないがマズルをオトーサンの腕に当ててきたり、拳固を突き出せば「ぱくり」と大口開けて咥えようとするわけであっというまに傷だらけになり時には出血もする。

甘噛みの時期に玩具として有用だといわれる少々大きめのガムなども与えてみたが、困ったことに我が娘はそうした物より、日常生活品の方が好みのようで特に木製のものは無残なことになり、一時はフローリングの床にまで歯を立てた。
ただしラテの名誉のために申し上げておくと、15年にもわたる日々一緒の生活においてオトーサンは一度も噛まれたことはない…。夢中になって歯を当てた瞬間「あっ、しまった!」といった感じの表情で飛び退いたものだった。

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ともあれ、それまでまったく経験がなかったオトーサンが朝昼晩と3回の散歩と就寝前の排泄のための外出を実行し、朝夕のご飯の支度をやり始めたのだからいやはや大変だった。というより夢中だったので細かなことは覚えていないのだが(笑)。
そんな状況を一ヶ月ほど続けた翌月(2007年1月21日)のことだが、オトーサンは一人札幌に飛んだ…。会社時代のスタッフの結婚式だというので久しぶりに一泊で出かけることになったが、心配は無論ラテのことだった。

世話そのこと自体は女房が休みを取ってくれたのでラテがひとりぼっちになる訳ではなかったが、女房自体もオトーサンよりもっとラテの扱いに慣れていなかった訳だから正直心配で心配でならなかった。
結婚式に参列した後、いそいそと帰路についたが特に問題はないことを女房から連絡を受けていたこともあって安堵していたオトーサンだが、いまひとつの危惧は戻っても果たしてラテはオトーサンのことを歓迎してくれるかどうかだった(笑)。

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たった一日留守にしただけではあるが、ラテはそのことをどう思っているのか、どう理解をしているのかが心配だった。
ラテが雨の日にとある家の軒下で保護されたことは度々記したが、その経緯は残念ながら我々には分からない。しかし生後3ヶ月ほどの子犬が飼い主のエリアを大きく逸脱し一匹で歩き回るというのも変だしやはり何らかの事情で捨てられたのだろうとも考えていた。

事実ラテもそうしたことがある種のトラウマになっていた感じで、例えば散歩の途中でオトーサンが両手を使いたいからと側の手すりなどにラテのリードを繋ぐと嫌だと吠え出す…。また常にリードは離さなかったが、とある四方が完全に囲まれているテニスコートでラテのリードを離してもオトーサンとの距離5メートルほど以上は離れないのだ。

日常の分離不安といったものは克服していたが、やはり飼い主と離れるのは大きな不安を感じていたであろうラテだったからこそ心配していたのだ。
オトーサンが戻ってきた時間はまだ日の高いうちだったこともあり、近隣のTULLY’Sまで女房がラテを連れて向かえにきてくれた。

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そのシーンはいまだに覚えているし忘れられないが、オトーサンの姿を見つけたラテはリードを引きつつその場に座り込むようにしたオトーサンに向かって突進してきただけでなく前年の11月にはじめてラテと対面したときを思い起こすようにオトーサンの膝に前脚を乗せながらオトーサンの顔をベロベロに舐め回した。そのとき眼鏡をかけていたため、オトーサンの視界はラテの唾液で見えなくなったが、視界が曇ったのは決してラテの唾液だけでなくオトーサン自身の涙のせいでもあった。





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プロフィール

mactechlab

Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員