オリジナル時代小説「松平藤九郎始末(五)医療の神髄〜首巻き春貞外伝」公開

オリジナル時代小説「松平藤九郎始末(五)医療の神髄〜首巻き春貞外伝」をお届けします。
筆を折るなどと公言したこともあったものの今回で23巻目となったが、体力が落ち、視力も極端に悪いし、手指にも難が出ている72歳の爺にこれだけやる気を起こさせるモノはなんなのか?自分でも実に不思議である。


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さて、今回の主なテーマは小石川養生所の腐敗についてである。本時代小説の第一巻はその小石川養生所の開所直前から話しがはじまっているが、すでにそれから時代設定は80余年も経っている。
歴史を好む人にとっては良く知られている史実だが、そもそも小川笙船という町医者が目安箱に投げ入れた訴えに時の八代将軍吉宗が目を付け貧しい人たちのためにと江戸小石川薬園内に小石川養生所が開設の運びとなったのだった。
この養生所の医師たちの葛藤は「赤ひげ」に代表されるように様々な小説や映画、時代劇の題材として使われてきたが、史実として文化文政くらいになるとその施設の腐敗は目に余るものとなっていく…。

この問題には根深いものがあるだけでなく管轄の町奉行所が本腰で事に当たらなかったからか何度も改善策や御触が出たものの現実は一向に良くならなかった。詳しくは本編をご覧いただきたいが、それは医療機関とはいえない酷い環境と待遇になっていったのだ…。
結局紆余曲折の上、明治になって新政府は旧幕府の施設を接収していき、江戸が東京と改められた際に小石川養生所は小石川貧病院と改称されなんとか施療活動を継続したものの、その後小石川貧病院は廃止となり、ここに小石川養生所は名実と共にその幕を閉じることになる。

ただし「江戸の養生所」PHP新書の著者である安藤優一郎氏は、小石川養生所の至らぬ点を単に窮民救済に対する幕府の消極的姿勢に帰することはできないとし、コミュティの問題や、人間社会のより奥深い側面、すなわち、看護・介護という超歴史的な仮題が背後には横たわっていたことを無視することはできないとしている。
このことはある意味で現代の看護や介護にも通じる大変難しい問題を根に持っているといえよう。
さらに安藤優一郎氏は小石川養生所とは「小説や時代劇の世界だけでのものではなく、現代の教訓にすべき江戸の遺産のひとつ」と結んでいる。
志高くスタートした小石川養生所の失敗は決して他人事ではないと…己も高齢者になった一人として書き進めるうちに次々と胸に迫るものがあった。
現在、小石川植物園(正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」)内に、当時養生所で使われていた井戸が保存されており、関東大震災の際には被災者の飲料水として大いに役立ったという。
ともあれ、ご一読いただければ幸いである。

「松平藤九郎始末(五)医療の神髄〜首巻き春貞外伝」





ラテ飼育格闘日記(726)

朝晩は寒いくらいな気温となってきたが、なかなかスカッとした秋晴れは期待できないでいる。データを確認したわけではないのであくまで感覚的だが、今年は雨が多いように思う。ラテの足の具合が許せばいつもより少し散歩の距離を伸ばしたいところだが、なかなか条件が整わない…。


ラテの右後ろ足は相変わらずだが、何とか散歩時には足を地に付けて歩いているし、やむなく階段を上り下りする際にもオトーサンがハーネスに付けたリードを上に引きサポートをするもののほぼ自力で上り下りしている。
ワンコの14歳と言えばかなりの高齢らしいし、事実ご近所で出会うワンコたちを拝見していると目や耳が不自由になっているワンコも多い。

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※ラテは今のところ右後ろ足以外は問題なさそうだ


しかし、幸いラテは今のところアトピーを別にすれば目も耳も若い時と比較する術はないものの、日常不自由するような素振りはみせないのでまだまだ大丈夫ではないかと喜んでいる。
嗅覚は大好物のおやつなどを見えないように近くにおいて置いても探り当てることで利いているなと判断出来る。また視覚は毎日一回は要求がある室内でのボール遊びで推し量ることが出来る。早く転がしたボールを前足でブロックしたり、軽く投げ上げたボールに飛び上がって咥えることで問題ないと思っているし、聴覚も音を出したり声をかけたりしたときの反応で推し量ることができる。

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※いざ、散歩だぞ!


ただし、幼犬時代の時とどれほど違うのか、あるいはほとんど変わっていないのかについては分かりようがないが今のところは日常生活に支障がでるようなことはないようだ。
とはいえ、足が思うように動かないということもあるだろうが体力は確実に落ちているように思う。そのことはラテ自身も自覚しているようで、幼犬時代とは些か違う行動も目立つようになった。

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※意見は合わず(笑)


まずは散歩に出ても足が悪くなる前までのようにやみくもに長時間歩く方向へは足を向けなくなった。これからどうなるかは分からないが、これまで50分から1時間程度の散歩が普通だったものの、ここのところは30分程度…それも内10分程座り込んだり伏せたりする時間も多くなった。
それでも外へは出たいようなので散歩は欠かせないが、様子を見ながらということにしている。

したがって当然だが外に出たとしても駆けたりすることもないし、そもそもがこの近隣には昔みたいに体をぶつけ合って遊び合うワンコ仲間もいないのが少々気の毒だ。本来ならワンコはワンコ同士で遊びたいのではないかとオトーサンは考えているもののこればかりはラテ自身の問題でもあるので致し方ないが、歳を取ったことでもあり、どこか寂しさを感じるのはオトーサンの考えすぎだろうか…。

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※ラテのボディの体毛をよく見ると断層のように色が違う


ただ、足が悪くなったことでもあり、気が弱くなった気もする。相変わらずオトーサンには無愛想な娘だが、散歩中もなかなか言うことは聞かないもののリードを緩めて長めにしてみてもオトーサンの側を離れようとはしない。
また自宅でも開けてある部屋には自由に出入りできるようにしてあるが、ここのところ必ずと言って良いほど気がつくと仕事部屋に座っているオトーサンの椅子の下に腹ばいになっていることが多い。
そして以前にはなかったことだが、時には「ピー」などと明らかに構って欲しいといった感じで声を上げてオトーサンたちの注意を引くことも目立つようになった。

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※立ち止まったとき、ラテはオトーサンの靴に足を乗せていた


それは心細いのか、これまでのように体が思うように動かないジレンマなのかは分からないがそうした際、オトーサンはできるだけラテに寄り添っていたいと心がけているがオトーサン自身が低周波治療器のパッドを両肩に貼ったりしている体たらくなのでなかなか大変でのである…。




バリスタの腕にかかってくる繊細な飲み物「カフェ・シェケラート」とは?

毎日数杯のエスプレッソ珈琲を愛用のデロンギ全自動コーヒーメーカーで煎れて楽しんでいるが暑い時は勿論、時には冷たいコーヒーも飲みたくなる。無論市販のアイスコーヒーを買ってくるときもあるが全自動エスプレッソマシンがあるのでイタリアで広く好まれているアイスコーヒーだというカフェ・シェケラートを時々作ってみる…g@my2 。



さて、カフェ・シェケラートとは何かといえばイタリア版アイスコーヒーだが、一般的なアイスコーヒーのように氷が入っていないので飲んでいるうちに薄まってしまうことがない。無論長時間になれば温くなってしまう…。
またカフェシェケラートは、エスプレッソの抽出具合やシェイク具合によって、同じレシピで作っても味が全然違うものになってしまい結構難しい。したがってバリスタの腕にかかってくる繊細な飲み物だというから十分に練習したい…。

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※愛用の全自動エスプレッソマシン


まず全自動コーヒーメーカーの他に用意する道具はコーヒーを抽出するカップ、シェーカー、メジャーカップ、トング、バースプーンそしてカフェ・シェケラートを飲むカップといったところだ。無論コーヒー豆や新鮮な水はコーヒーマシンにセットされているものとするが、さらにグラニュー糖10g程度(好みによる)および氷が必須だ。

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※あらかじめ用意しておく器具などなど


最初にエスプレッソを煎れる。好みもあるがカフェ・シェケラートらしさを出すには豆はエスプレッソでなければならないしドッピオ(ダブル)で抽出するとよい。
デロンギ全自動コーヒーメーカー マグニフィカ「ESAM03110S」の場合なら抽出量を60gに、濃さのダイアルをMAXにしておく。ちなみに抽出量のダイアルには正確なメモリが明記されているわけではないが反時計回りに一番回した点が約20mL、12時の位置が約90mLなので目安にする。
なお濃さのダイアルをMAXにすると一杯抽出時だと豆は約11g、二杯すなわちドッピオだと約14g消費される。これは申し上げるまでもなく標準的なエスプレッソは11gの豆を使い約30mL抽出とされているからだ。

繰り返すが今回はドッピオで煎れるのでコーヒーの濃さはMAXにして二杯抽出ボタンを押す。勿論その前にコーヒーメーカーの抽出口中央にカップを置いておく。
これでアロマも豊かなエスプレッソが60mL抽出されたはずだ。

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※まずはエスプレッソを抽出


シェーカーに氷を半分ほど入れ、そこにグラニュー糖と抽出したエスプレッソを投入しシェーカーの蓋をしっかりと閉めて氷がシェーカーの壁に打ち当たることを意識しながらシェイクする。
要は熱いエスプレッソを急速に冷やすことで芳醇な味と香りを閉じ込めることが出来るわけだ。で空気を含んだクリーミーなクレマも出来上がるというわけ。

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※シェーカーに氷を半分ほどとグラニュー糖を入れる…


グラニュー糖の量は好みと言ってしまえばそれまでだが基本は10g前後といったところか…。そもそもコーヒーが濃いこともあってこの程度の甘さは心地よいはずなのだが、私は今回扱いやすさと保存のやりやすさも考えてスティック型のグラニュー糖を買ってみたが、最近は糖分摂取に神経を使う方が多いのか、ひとつのスティックには3gしか入っていないものが主流のようだ。
ということで三本使ったので9gということになる。また好みでフレーバーシロップを入れてもよい。

金属製のシェーカーが冷え、表面が水滴で曇るようになれば中身も冷えているはずなのでシェーカーを開け、カップに氷が入らないようにコーヒーを注ぐ。このとき最後の方に細かな泡とともにアロマが出てくるはずなので最後まで注ぐことが肝心。

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※お気に入りのイタリア、ボルミオリ ロコ社製のガラス製カップでいただく


使ったカップはイタリアのボルミオリ ロコ社製のガラス製カップだが、カクテルグラスなどを使ってもお洒落だが基本はガラス製の器が似合う。
これでカフェ・シェケラートのできあがりだ。
最後にココアパウダーやチョコレート、あるいはライムなどで飾ったりすればなお素敵である!




ラテ飼育格闘日記(725)

毎年10月になると「ラテ飼育格闘日記(723)」でも記したが引越のことを思い出す。ただし前回ご紹介した2013年と違い2006年の10月は単なる引越ではなく、そもそも我が家にワンコを迎え入れようと決心した記念すべき引越だった。


その3年前のことだが14年続いた会社を清算し、やっと気持ちも落ち着いてきた時期だったが、糖尿病の治療を続けていたもののそのせいだけではなく気力が失せていく自分に気づいていた。
お陰様で仕事は個人になってもいくつか声をかけていただいたし、またいまは亡き父が入退院を繰り返していた時期でもあって気は張っていたが気力が薄れていたというべきか…。

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※涼しくなったのでラテも大分楽そうだ


その随分と前からオトーサンは「ワンコを飼いたい」と呟く日があったが、これまでまったく経験の無いことでもあったし、なによりも女房がワンコだけでなく生き物が苦手ということで実現しなかった。しかしいま想像するにオトーサンの覇気がないことを気遣ってくれたのだろう…女房の許可が下りた!

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※今日も近くの公園には子供たちが沢山遊んでる


ただしことは簡単ではなかった。なにしろそのとき住んでいた埼玉県川口市のマンションはワンコを飼うのが禁止だったのである。しかし可笑しな事に隣からワンコの吠え声が聞こえる(笑)。早速管理者に問い合わせて見ると、ワンコ禁止になったのはほんの数年前のことだという。飼い主の不始末、あるいは気遣いが足りないのか他の住民からの苦情も多く、組合員の投票の結果禁止になったという。

しかしこれまで飼ってきたワンコを手放せ…というのは現実的ではないからと現状のワンコは許可するものの、新規に飼うことは禁止となったのだという。
それではオトーサンたちが考えなければならないことは住居を変えることだ。当然のこと、近隣でワンコを飼える住居をと多々探して見たが納得できる物件は見つからなかった。

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※ダブルリードをまたまた替えました ^^;


それならば思い切ってワンコを飼うのにも良い地域を探そうと考えたが、ひとつ考慮しなければならないことは女房の通勤に支障がないことは必須だった。
結局女房がネットで探したのが東京都多摩市永山…にある戸建て形式のテラスハウスだった。早速2006年の10月に賃貸契約を結んだものの、どうしたことか肝心のワンコが見つからない(笑)。

ネットで保護犬のボランティアをされているホームページなどを活用しようと考えたものの要領が分からずチャンスをいくつか逃していた。
ともあれ、それからあっと言う間に14年が過ぎた。ラテを迎入れた日からオトーサンの思いつきで散歩にはデジカメを持参しとにかく記録としての写真を撮っていこうと決めた。そして当該日記も始めることにした。
いま思うと勢いというものは恐ろしいが、もしこのラテ日記や膨大な写真データがなければ怒濤のように過ごした日々がどのようなものであったかなどすでに記憶が薄れていたに違いない。

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※右後ろ足を庇うためか、こんな変則的な座り方となった…


ただし正直言えばワンコを飼うと言うことは思っていた以上に大変なことだ。生き物を飼うと言うことはその生涯をきちんと責任持って見守ることだ。
確かにワンコは頭の良い動物だが、話せばすべてを理解するわけではない(笑)。根気強く相対していかなければならないし信頼を勝ち得なければ良い飼い主とワンコとの関係は築けない。
ともあれ様々なワンコに関する情報を見ていると、個性はあるものの人間に寄り添う動物はやはりワンコが一番であろう。

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※ソーシャル・ディスタンス?


ラテを見ていると「本当はすべてを知りつつ、知らないフリをしていのでは?」と思うときも多々ある。モノを言わなくても表情と態度で何を求めているかはわかるようになった。しかしオトーサンたちがラテを理解している以上にラテはオトーサンたちの言動に敏感のような気がする。
14年といえば赤ん坊が中学生になるほどの期間だ。決して短い時間ではないはずだが、現在の感覚としては本当にあっと言う間に思えるのは何故なのだろうか…。



小川鼎三監修/大鳥蘭三郎校註「大鳥蘭三郎・解体新書」講談社刊とは

すでに「タートル・アナトミア」「解体新書」「蘭学事始」などなどの復刻版であるレプリカのセット「国公立所蔵史料刊行会編『日本医学の夜明け』」をご紹介した。今回はそれに先立つこと5年前、1973年に出版された講談社刊「大鳥蘭三郎・解体新書」をご紹介してみよう。


近年私のウェブやブログで「解体新書」といった記事が続いたからか、友人知人たちから「今更何で?」といった質問を受けた。実のところ、私が「解体新書」に興味を持ったのはすでに30年ほど前からなのだ。その頃から幾多の書籍や資料を手にして楽しんでいたがちょうどその時期は起業したばかりのときであり、趣味で時間を大きく潰すことは許されない時だったので深く掘り下げることができなかっただけなのだ。

それに是非ともに欲しいと考えていた「解体新書」のレプリカだったが、これまた限られた予算はMacintosh関連に優先せざるを得なかった。
ということで付きつ離れずであっと言う間に30年ほどが経ってしまったというわけだ…。やっとというか、時間だけは十分にあるからと最新の書籍や資料を集め出し、昔欲しかったが高価で買えなかった「解体新書」のレプリカを当然ながら中古で2種手に入れることができた…。

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※小川鼎三監修/大鳥蘭三郎校註「大鳥蘭三郎・解体新書」講談社刊


ひとつには執筆した時代小説の時代設定がちょうど「解体新書」刊行の年代でもあり、事実とフィクションを織り交ぜて杉田玄白や前野良沢、あるいは平賀源内といった登場人物にリアリティを与えようと状況を調べたのも火に油を注ぐ結果となった。

今回ご紹介してみるのはこれまでいくつか「解体新書」の復刻版といった企画があったが、「国公立所蔵史料刊行会編『日本医学の夜明け』」の「解体新書」レプリカと双璧をなすものだ。それが小川鼎三監修/大鳥蘭三郎校註「大鳥蘭三郎・解体新書」である。1973年講談社から「解体新書」刊行二百年を記念しての企画だという。
手元に現物と共に当時のパンフレットもあるので詳しい状況も分かっている。

幾多の情報に寄れば、覆刻原本となったのは慶応義塾大学医学部北里記念医学図書館所蔵のもの。ただし所蔵の「解体新書」は一般に流布されたものではなく二巻にまとめられ判型も少し大きいという。校註の大鳥蘭三郎氏によればどうやら刊行に際して将軍家や宮家に献上するため、特別に刷られたものではないかというが、レプリカは一般に流布している五巻本の体裁をとっている。
そして版木を最初期に使ったであろうからかエッジも陰影も同類のものと比較すると格段にクリアなのが特徴だ。

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※木版もエッジがクリア


さて造本および体裁だが、当時の出版関係者の意欲と執念のようなものを感じると同時に出版不況だとはいえ現在ではなしえない企画に違いない。
造本・用紙・印刷と共に原寸大でオリジナルに忠実に再現しているので観賞用は勿論、研究資料としても最適と謳われている。

まずは桐箱に収められている。その桐箱を開けると袱紗に包まれた帙(ちつ)函があり、その中に「解体新書」五巻がしっかりと収納されているわけだ。
「解体新書」は四つ目綴じと呼ばれる和綴じで表紙は雲母入鳥の子・渋茶、用紙は越前岩野特製和紙が使われている。また補強と装飾を兼ねて背の上下に角布が施されてもいる。そして別途解説書が付属。

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※「解体新書」は五巻構成。それぞれ補強と装飾を兼ねて背の上下に角布が施されてもいる


ちなみに監修は東京大学名誉教授・順天堂大学教授の小川鼎三氏、校註が慶應義塾大学教授の大島蘭三郎氏であるが、お二人ともすでに鬼籍に入られている。そして当時の価格は定価39,000円で限定3,000部が販売された。したがって刊行からすでに46年経っているわけだが、幸いというべきか私が手に入れたものは未使用といっても良いほどに綺麗であり、カビやシミといったものも見当たらない。

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※桐箱に貼られている奥付


ただしカタログと比較して初めて分かったことは入手した際に袱紗がなかったことだった。こればかりは中古なので仕方がないが、雰囲気だけは再現しておきたいと似たようなものを手に入れ組み合わせている。
個人的にはお宝のひとつなのである。



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プロフィール

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Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。
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