ラテ飼育格闘日記(652)

TwitterやYouTubeでもワンコの動画や写真をよく見ている。どもこれも心温まるというか癒やしてくれる映像ばかりだが、どうにも我がラテと随分違うことが多いのも興味深いところである。それは犬種の違いもあるだろうが、我々同様性格の違いによることも多いに違いない。


そうしたTwitterやYouTubeに紹介されているワンコの中には飼い主と心温まるスキンシップが多い。
飼い主が外出から戻ったのを喜び、玄関でピョンピョン跳ね回り、姿を現した飼い主に抱きつくとか、ソファーに寝そべっている飼い主に大型犬が甘えたいからと体を寄せる等などの映像を見ると羨ましく思う。

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※ちょっとご機嫌です


それは残念ながらラテは飼い主だとしてもベタベタしないワンコだからである。これは基本幼犬時代からだから途中でオトーサンが嫌いになってわけではない…はずだ(笑)。
飼い始めた初期にオトーサンが一泊で旅行した際には戻ってきたら顔をベロベロと舐めてくれたことがあったが、そうした積極性はほとんど見せないワンコなのだ。

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※サングラスのオトーサンとツーショット


ただしラテ自身が怖いと感じるときは話しは別だ。散歩の途中だとオトーサンの靴の甲に前足を乗せるのも、なにか不安材料があるときで1種の寄り添いなのだろうか。
あの3.11の地震の時、オトーサンは自宅の玄関先でリードに繋いだラテといつでも家が倒壊しそうになったら飛び出せるように立ち尽くしていたが、ラテはずっとその左前足をオトーサンの足に乗せて震えていた。

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※小学5年生から知っている中学2年の女子に久しぶりに出会ってラテはメロメロ


その不安が大きくなると抱っこを要求する。とはいえ何もないときにオトーサンから「抱っこしようか」と迫っても逃げ回るだけだし「チューしよう」とオトーサンが顔をラテの眼前に置けば面白いように?ぷいっと横を向く。
しかしこれが女房だと話しはまたかなり違ってくるのだ。

女房が仕事から帰ってくるといそいそと玄関へ迎えに出てチューをする。オトーサンはただ指をくわえて眺めるしかない(笑)。
この違いは結構あるが、例えば夕食の時間になったとしよう。これまでオトーサンはいつもの時間より2時間も3時間遅れて夕食を出したことなどない。だから食事は間違いなく出てくるものだと思っているに違いなく、例え30分程遅れたとしても催促することはなくじっと待っている。

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※散歩のフィニッシュは引っ張り合い(笑)


このとき女房がいると状況は違ってくる。なぜなら時間になると女房に吠え出したり前足で突っかかったりして「そろそろご飯の時間だ」と催促する。ご飯の支度はオトーサンがすることを分かっているラテなのにオトーサンには直接催促しないのだ。
なぜなのかは無論分からないが、分かりやすく言葉にするなら「オトーサンは怖いから」ということなのかも知れない。四六時中五月蠅く「肉球囓るなあ」などと言っているからか。

そんなオトーサンに対してひとつだけラテが要求し甘えることがある。それが室内でのボール遊びだ。
大体が夕食も終わり、寝る直前に多いが、オトーサンが仕事部屋でパソコンの前に座っているとしてもその脇まで来て吠える。吠えるだけでなくピーピーと泣いたり時には前足を椅子の肘掛けに置いて「こっち向いて」と要求する。しかしオトーサンにも都合というものがあり、せっかくいま閃いたところなので概略メモっておこうと「待て!」と命じてもラテは言うことをきかない。



※ボール遊びをしようとアピールするラテ


ではそのまま無視したら諦めるかといえば、これが20分経っても30分経っても諦めず吠え続ける。時刻はすでに寝ている人もいるはずで、このままでは近所迷惑このうえない…。
結局オトーサンの根負けで振り向くとラテは普段は見せたこともないキラキラした笑顔でオトーサンを見上げている。その顔を見てしまえばついこちらも笑顔になってしまうのだ。

Apple、初の8コア搭載MacBook Proを発表、これまでで最も速いMacのノートブック

Appleが、MacBook Proに従来よりも高速な第8世代および第9世代のIntel Coreプロセッサを搭載し、MacBook Proでは初となる8コア仕様としてアップデートした。これにより、最新のMacBook Proはクアッドコア(4コア)仕様のMacBook Proに対しては最大2倍、6コア仕様のMacBook Proに対しては40パーセントも高速な処理能力を発揮し、Macノートブックとしては過去最速となる。


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これらの新しいプロセッサと、パワフルなグラフィックス(描画性能)、明るく色鮮やかなRetinaディスプレイ、超高速なSSD、Apple T2セキュリティチップ、丸一日使い続けられるバッテリーを搭載し、macOSが駆動するMacBook Proは世界最高のプロ仕様ノートブックに仕上がっている。

新しいMacBook Proでは、コードのコンパイル作業、高解像度イメージの処理、3Dグラフィックの描画、複数本の4Kビデオの同時編集などを従来よりもパワフルに行うことができる。15インチMacBook Proは従来よりも高速な6コアまたは8コアのIntel Coreプロセッサを搭載し、Turbo Boost時の速度は最大5.0GHzに達する。Touch Barを装備する13インチMacBook Proではより高速なクアッドコアプロセッサを搭載し、Turbo Boost時の速度は最大4.7GHzに達する。

従来モデルで最速のクアッドコア仕様の15インチMacBook Proと比較した場合、8コアプロセッサを搭載する最新のMacBook Proのパフォーマンスは最大2倍となる。
この結果:
・音楽制作では、Logic Pro X内部で実行できるAlchemyプラグインの数が最大2倍になり、音楽プロジェクトで同時再生できるマルチトラックの本数が圧倒的に増加。
・3Dデザインでは、Maya Arnold内部の処理速度が最大2倍となり、3Dシーンの描画時間を著しく短縮。
・写真の編集では、Photoshopで適用する複雑な編集やフィルタを最大75パーセント高速に実行。
・ソフトウェア開発では、Xcodeを使用したコードのコンパイル作業を最大65パーセント高速に実行。
・サイエンスおよび研究分野では、TetrUSSで行う複雑な流体力学シミュレーションの計算を最大50パーセント高速に実行。
・映像制作では、Final Cut Pro Xで4Kビデオのマルチカムストリームを最大11本まで同時に編集。

Newsroom




オートテープカッター「1Zcut」ファーストインプレッション

セロファンテープ、両面テープ、マスキングテープと日常この種のテープの使用頻度は高い。特にセロファンテープは専用のテープカッターを使っているが、マスキングテープはこれまでハサミで斬り口を綺麗に切断していたこともあり、今般安価なオートテープカッターを見つけたので騙されたと思って買ってみた。


テープ自動でカット…など、怠惰すぎると言われるかも知れないが、使用頻度が高いとそんな単純な作業でも面倒になってくるものだ。そりゃあ楽であれば越したことはない。
というわけでオートテープカッター「1Zcut」という製品を買ってみた…。

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※テープをセットする前の「1Zcut」


本体だが、単3電池2本(別売)を装着すること、そしてテープを装着するベースカセットは標準サイズのテープは勿論、小径サイズのテープもセットできるように三つのプーリーがある特殊形状だ。そしてそのためあってかデザイン的には無骨で期待はできない。
使用するテープは一般セロハンテープ、紙テープ、両面テープなど色々なテープが使用できるという謳い文句だ。

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※単3電池2本を別途用意する必要あり。まずは電源をONにする


まずは電池を装着し、テープベースカセットにテープをセットした後に電源を0Nにする。
一般のテープカッターと同様にテープの一端を引き出しカッターの溝を跨いで手前下にテープを導く。するとカッターが向かって左から右にスライドしてテープがカットされるという理屈だ。

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※テープ径の大小でプーリーを使い分ける


その際に大切な事はカッター前の小さな突起に圧を掛けるように、そしてカッター部手前のセンサープレートを押し下げるようにテープを導くことだ。この二つがカッターを動かすスイッチとして働く。したがってその加圧加減が小さいとカットされない。

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※切り口は直線的で綺麗


なおカットされた部位はテープの材質にもよるがギザギザではなく直線なので斬り口は綺麗だが、テープの材質や粘着性の強度などにより文字通りスパット切断されないときもある。

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※ときにこんな感じでカットが完全で無いときもある


さらに今のところセロファンテープでは失敗はないが、私のケースだとマスキングテープの場合にテープ幅の途中までしかカットできない、あるいはテープが縒れてしまうこともあった。
このテープオートカッターはその名の通り、テープのカットはオートのみである。一般のテープカッターのようにテープを捻るなどしてカットする刃は付いていないから、付属のオートカッターの性能に頼るしかない。

ちなみに交換用のテープカッターの刃が1本同梱されているが、Amazonで見た範囲では替え刃のみの販売告知はいまのところないようなのでそのサービスを早く開始して欲しい。
うまくカットできない場合、特に粘着性テープのカットは刃の切れ味が悪くなるのが早いに違いない。したがって切れ味が悪くなったなと感じたら刃の清掃を行うとよい。刃の取り外しと装着も簡単だが交換時には必ず電源をOFFにしてから行うこと。

というわけで私の場合はそんなにシビアな使い方を考えていたわけではなく、逆にテープベースカセットの幅が広いことを良いことにしてマスキングテープの色違いを二つセットして便利に使っている。

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※プーリー幅が広いことを利用して色違いのテープを2種セットして使っている


なおカッターは約1kgの重量があると同時に底全域に滑り止め処理されているので使用中に本体が不用意に動くことはない。
さて飽きずに使い続けることができるかは、これからの判断である(笑)。
なお ここ でメーカーが紹介した動画が確認出来るので興味のある方はご覧下さい。





ラテ飼育格闘日記(651)

五月も半ばだというのにはっきりしない天気が続く。雨の日も多いようだし、日が出れば気温が上がるのでラテが歩かない。毎年気温が高い時期は散歩に苦労するわけだが、今年も健康第一で乗り切らねばならない…。


天気の良い日、オトーサンは紫外線を避けるためにサングラスをして散歩に出る。白内障の手術は終わったがそもそも緑内障も患っており、紫外線が大敵だからである。より人相が悪くなるが、仕方がない(笑)。
キャップを被り濃い目のサングラスを掛けてラテと一緒にいつもの公園に入った。小学生のサッカー少年たちが元気にボールを蹴り合っている。

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※あまり歩きたくないよ


一人の子がオトーサンのサングラスに気がつき「目、どうしたの」と聞いてきた。オトーサンが説明しようとすると「あっ、目…手術したんだよね」と思い出してくれた。
「そうなんだ。オジサン、顔はいいんだけど目が悪くてさ」と言うと「がはははは」と大笑いする。

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※愛想のないラテだが、遊ばせ上手な飼い主さんの手にかかれば太い身体でピョンピョンと跳ね回る(笑)


ただ色の濃いサングラスは目に楽でよいが、ひとつ困ったことがある。それはラテとのアイコンタクトに支障がでることだ。
ラテはいつものように要所要所でオトーサンにアイコンタクトしてくれるし、オトーサンも顔を向けるが、色の濃いサングラスをしていてはオトーサンの眼差しがラテには見えない。

まあまあ、ラテがどう思っているかは分からないが、せっかくオトーサンにアイコンタクトしてもオトーサンの目の表情が見えないのではアイコンタクトの甲斐がないのではないかと思うのだ。
アイコンタクトは大切なコミュケーションのひとつでもあるのでこれはまずい…。ということで解決策は透明なレンズで紫外線をカットできるサングラスを使うことだが、まぶしさを軽減できないので良し悪し…。結局、色の濃いサングラスをしつつ、ラテの視線を感じたらサングラスを取って笑顔を送る…というアホなことをやっているオトーサンである。

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※ラテを可愛がって下さるAちゃんとオカーサンが立ち寄ってくださいました!


しかしオトーサンとラテの散歩が百点満点であるとは言わないが、行き交うワンコたちと飼い主さんの散歩を眺めていると「なんだかなあ」と思う散歩も多い。
本来なら余計なお世話なのだが、余計なお世話で済まないのも目立つのだ。
その第一はリードを持ちながらスマホを操作し続けている飼い主。これは自分の飼い犬も危険だし廻りも危ない。ということはワンコを見ていないわけだから、危ないことをしても、時にウンチをしても気づかないで歩き続けるというのがいる。それとも気づかないふりをしている確信犯なのか…。

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※完全なる重石状態


中には三匹も四匹も連れ、さらにリードを伸ばしたままでスマホに気を取られ、ほとんどワンコを見ていないという飼い主もいる。これはすれ違うだけで怖い…。
それから論外だが歩き煙草の飼い主もいる。
偉そうなことを言うが、散歩は単にワンコに運動をさせ、排泄させるためだけの時間ではない。散歩はある種、飼い主とワンコとの共同作業でもあり大切なコミュニケーションの時間であり、お互いの信頼関係をより築いていくための場なのである。

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※登校途中のAちゃんらに出会えてラッキー!


それなのに飼い主はワンコを注視していないからアイコンタクトしても、また何らかの意志表示をしても飼い主から反応がないのであればワンコの性格も次第に変わっていくに違いない。
「犬に気遣いなど必要ない」という声もあるかも知れないが、それでは飼い犬が不幸であるばかりか、第一楽しくないだろう。そしてワンコの素晴らしさ、賢さ、愛情深さなどを十分に知らずに過ごすことになるはずで何の為の飼い犬なのか…とオトーサンは思ってしまう。

初対面のワンコと相対したとき、そのワンコが安全かどうかは飼い主を見ればわかるというが名言だと思う。暗い家庭に育ったワンコに明るいワンコはいないし、反対に明るくフレンドリーに育ったワンコに危ないワンコはいないと思っているが、さてそれでは「お前の所のラテはどうなんだ?」と言われると…う〜ん(笑)。



「解体新書」底本のミステリー(後編)

「解体新書」レプリカ二種の表紙の色が違うという事から安永三年に作られた刊本に種類があったと考えざるを得ないことが分かった。そんなことを考えつつ多々資料に当たっていたら幸い古い書籍が見つかり、そこに知りたいことやこれまでもやもやしていた事へのヒントが多々載っていた…。


それは昭和55年というから1980年に発刊された書籍の復刻版で2006年8月1日に初版発行された「解体新書と小田野直武」という本で著者は鷲尾 厚氏という方だがすでに亡くなられている。
今回の「『解体新書』の謎(後編)」は当該書籍も参考にしながら安永三年に発刊された「解体新書」に…特に今日いくつかの大学や資料館あるいは個人が所蔵している「解体新書」の底本の謎についてお話しを続けたい。なお以下個人名の敬称は略させていただくのでご了承願いたい。

そもそもお上からの発禁や罰を受けないようにと杉田玄白は将軍家や宮家に「解体新書」を献上したことは知られていることであり、「大鳥蘭三郎・解体新書」小川鼎三監修/大鳥蘭三郎校註のレプリカの底本、慶応義塾大学医学部北里記念医学図書館所蔵の「解体新書」がそれに当たるオリジナルの一つであろうと監修者の大鳥蘭三郎があとがきで記している。そしてそれは一般に流布された五冊巻ではなく二巻の仕様であり、その判形も些か大きいことは前編で述べた。

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※レプリカ表紙比較。左が「大鳥蘭三郎・解体新書」版、右が「日本医学の夜明け」版の表紙【クリックで拡大


また「日本医学の夜明け」版の例えば「序文」を見ると読みやすくするためだろう句読点が多々ある。しかし「大鳥蘭三郎・解体新書」には無い。ということはこれまた版木が違うのかと考えたが、これはその底本所有者が後から書き込んだと考えれば必ずしも版木が違うとはいえない。そのままレプリカ化されたのだろう。

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※「大鳥蘭三郎・解体新書」版の「序文」頁(上)に句読点はないが、「日本医学の夜明け」版(下)には多々ある。赤丸は筆者が加筆


ちなみに、「解体新書と小田野直武」(鷲尾厚著)に紹介されている町立角館図書館所蔵「解体新書」には読みやすくするためのレ点をはじめ記号が多々加筆されている。
さらにレプリカ印刷時にどちらかが版のサイズを間違えた…という可能性はまずないと思ったが、念のため双方の縮尺をできるだけ同じにして重ねてみると摺りズレや紙の収縮といったレベルを超えた違いが出ている。これは版木が違うと結論づけてよいだろう。

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※双方の同じ頁の縮尺を同一にして重ねてみたが、明らかに版木が違うことがわかった【クリックで拡大】


ということで一般に流布されたものと献本用で間違いなく二種の版木があったことは確実だ。さらに鷲尾 厚は著書「解体新書と小田野直武」の中で「解体新書」安永三年版は少なくとも三通りのものを上梓していたことになると自説を述べている。
ちなみに今回私が参考にした「解体新書」をリストアップしておきたい。

1)「大鳥蘭三郎・解体新書」小川鼎三監修/大鳥蘭三郎校註
  底本:慶応義塾大学医学部北里記念医学図書館所蔵
2)国公立所蔵史料刊行会編「日本医学の夜明け」小川鼎三/緒方富雄監修
  底本:靜嘉堂文庫所蔵
3)西沢書店「解体新書 復刻版」
  底本:愛知県岡崎市の岩瀬医院所蔵
4)全現代語訳「杉田玄白 解体新書」(酒井シヅ著)
  底本:東京大学医学図書館所蔵(土肥文庫)だと思われる
5)「解体新書と小田野直武」(鷲尾厚著)
  底本:農村モデル町立角館図書館所蔵
6)「日本思想体系 洋学(下)」小川鼎三/酒井シズ校注 岩波書店
  底本:不明

なお実物大と称するそれぞれが底本と同サイズで印刷されているとすれば、(3)の底本もサイズが(1)と同じであることから、言及されてはいないものの(1)と同じく献上向けの版木で刷られたのかも知れない。

ただし厄介なのはそもそも情報が古い点が多い事だ。したがって表記の場所に現在も所蔵されているかは分からないし公立の組織の場合だと名前が変わったりしている可能性もあるが、まずは資料にあるとおりに記して話しを進める。
さて判型が違うものがあることが分かったので他に違いがあるのかどうかを調べた結果、面白いというより興味深い事実を知った。

まずは前記(1)の「解体新書」の一巻目「序図」の頁構成を見てみると「吉雄耕牛の序文」から始まり次に「自序」そして「凡例」と続く。この順序は(2)(3)(5)(6)とも同じだが(4)だけが「序文」「凡例」「自序」の順となっている。
この順序に違いがあるとすればそれは乱丁と考えるのが普通の感覚ではないだろうか。何種類もの順番を持つ本を作るというのは考えられないからである。ただし現在ネットで見られた限りの情報を加えるなら、東京医科歯科大学図書館蔵と称する「解体新書」も(4)と同じ順序で載っていたが、国立国会図書館、岐阜県歴史資料館、平賀源内記念館、高知県立牧野植物園/牧野文庫、甲南女子学園や大江医家史料館のものは(1)(2)(3)(5)と一緒のようである。
また興味深い事に底本は不明ながら(6)は(4)と同じ酒井シズが校注に加わっているにもかかわらず頁構成が違うのだ。

であるなら数の理屈から言っても(4)は刊本時の乱丁か、あるいは後に補修などのためにバラしたとき故意・間違いで順番を入れ違えたと考えるべきではないだろうか。
ここでさらにショッキングなことがわかった。
それは(5)の「解体新書」の奥付の後に二丁にわたり出版広告がつけられているという事実である(「解体新書と小田野直武」による)。この広告は総計59種の書物名が並んでおり、その考察から(5)の角館本は間違い無く安永三年の刊本だと鷲尾厚は力説している。

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※「解体新書と小田野直武」(鷲尾厚著)無明舎出版 280頁と281頁。ここには奥付の後に広告頁が続く


しかしその他に所蔵されている「解体新書」に広告は残っていない…というよりそのことに付言した情報はまずない。この事実をどう考えるべきか。
それは安永三年に出版された際に、将軍家や宮家への献上品を除いて一般に流布するものにはすべて同じ広告が載せられていたと考えるのが合理的だろう。それが現在ないとすれば “取り去った” というしかない。

どうも私たちはこうした二百数十年もの間保管されてきた貴重なものは当時のまま残されていると思いがちだ。しかし「解体新書」が当時いくらで販売されたかについてはまだ調べていないが、専門書でもあったし決して安い本ではなかったと思う。それを手に入れた者は活用するのに無関係な広告頁を取り去ったのかも知れず、近代になり図書館なりに収蔵されるようになった場合もこれまた広告は無関係と外されたに違いない。
また表紙もかなり痛んだ場合も多かったと思われるからいつの時点かはともかく後にきちんと残そうと意図すればするほど新しいものや図書館独自のものに取り替えられた可能性が大だ。

だとすれば頁構成の順番が違ったりあるいは表紙の色が違う「解体新書」底本が存在しても不思議ではないわけだ。きちんと和綴じされているから安永三年の刊本のままだという保証はどこにもないのである。ただし今のところは推論に過ぎないがどうやら刊本時の表紙に藍色のものはなかったと見てよいのかも知れない。
今回「解体新書」のレプリカを二種手に入れた事をきっかけに、刊本当時の姿を調べて見ようとしたわけだが、世の中に「解体新書」に関する書籍は結構あるものの、大半がその内容についての解説であり、歴史的な和本として刊本当時のことを知り得る情報はいたって少ないことに気がついた。

そして監修や著作の方たちは医療の専門家であっても和本やそうした情報の歴史的考察については専門外であり当然ながら突っ込みが甘い。またその解説や説明に底本の所蔵場所を示していない例も多く、一歩踏み込んで調べようにも手がかりがないのだ。
さらに図書館レベルの組織がネットに載せている画像があった場合でもサイズや解像度が非常に低くまたモノクロであったりと正確な情報を第三者が把握するには役に立たないケースも見受けられた。

ともあれ個人的な興味として「解体新書」を目標通り出版できた杉田玄白らの思いと平賀源内の紹介であろうが東都書林中でも老舗でありベストセラーを生み出してきた須原屋市兵衛という版元、そして彫り師や摺師たちの葛藤や人間模様についても知りたくなった…。

【主な参考資料】
・片桐一男著「知の開拓者 杉田玄白」勉誠出版
・片桐一男全訳注「杉田玄白 蘭学事始」講談社
・酒井シヅ全現代語訳「杉田玄白 解体新書」講談社
・緒方富雄校注「蘭学事始」岩波書店
・国公立所蔵史料刊行会編「日本医学の夜明け」日本世論調査研究所
・杉本つとむ編「図録 蘭学事始」早稲田大学出版部
・「大鳥蘭三郎・解体新書」付属「解体新書解説」講談社
・鷲尾厚著「解体新書と小田野直武」無明舎出版
・橋口侯之介著「江戸の本屋と本づくり」平凡社
・小川鼎三/酒井シズ校注「日本思想体系 洋学(下)」岩波書店



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appletechlab

Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員