若い時から私はシャガールとかホアン・ミロ、キース・ヘリングあるいはアンディ・ウォーホルらの作品が好きだったが、何故かトーマス・マックナイトの作品は特別で、一時期はわざわざ新作発表会まで出かけて作品を購入したこともあった。そして起業してからは十点ほどの作品を所持していた時代もあったものの、その後会社を整理する過程でトーマス・マックナイトだけではないがすべての絵を処分し現在に至るが、どうしても一点でよいからマックナイトの気に入った作品を飾りたいという希望を持ってきた。 そういえば1997年リリースされたCD-ROM版「マックナイト作品集~The Art of THOMAS McKNIGHT」なども未だに手元に置いてある…。 と言うわけで大げさになるが今般偶然が重なって念願のトーマス・マックナイトのシルクスクリーン作品「Ca'D'Oro」~カ・ドーロの館~と名付けられた1991年製作のリトグラフ作品を手に入れる事が出来た。マックナイトの作品数はそれこそ膨大な数になるが、それらの中でもこの「Ca'D'Oro」はピカイチだと思う。無論真作であり作者のサインはもとより作品証明書付の作品だ。 さて、作品のタイトル「Ca'D'Oro」~カ・ドーロの館~とはサンタ・ソフィア宮殿とも言われ、北イタリア、ヴェネツィアの大運河沿い(カナル・グランデ)にある実在の宮殿の名である。 かつて金箔と多色刷りの外壁装飾が施されていたことから、「黄金の家」を意味するそうだ。 で、作品を見てみるとカナル・グランデを挟んで前方中央に見える白い建物が「Ca'D'Oro」だが、ちなみにこの館は1927年以来、美術館として使用されているという。 「Ca'D'Oro」は、ヴェネチアン・ゴシック建築の中で、現存する最も優れたパラッツォ(大きな建築物)として長い間評価されてきた。ファサード(建築物正面部デザイン)には、ロッジアのような小円柱の間隔が狭い窓があり、その上にクアトレフォイルの開口部を持つ重厚な装飾が施されている。 ちなみにロッジアとは、イタリアで生まれた建築意匠の一種を指す言葉で、ファサードに一方の側が外に開かれた廊下を配し、一定間隔の柱で支持するか、単に壁に開口部を設けた形状のものを意味する。開廊、涼み廊下とも呼ばれる。また、クアトレフォイルとはイギリス、フランス、イタリアのゴシック建築の教会や、大聖堂の窓の装飾に頻繁に使われる様式で「四つ葉」の意味だそうだ。 トーマス・マックナイト(Thomas McKnight、1941年~ )は、米国の画家だが、彼の作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、およびスミソニアン協会の常設展示に加えられている。また彼は日本にも縁が深い作家であり、これまで各地で何度も来日展を開催してきただけでなく1995年には神戸市復興のため、美しい神戸の街並みを描き神戸市に寄贈している。 彼の作風はまるで夢の中の楽園を彷彿とさせるもので、室内から外の風景を描く描写が多い。 そしてギリシャ・ミコノス島で本格的な絵画を描き始めたという彼の絵はリゾート感に満ちており、部屋に飾るとたとえ窓のない部屋であってもマックナイトの絵が窓となり、窓の向こうの素敵な理想郷へと誘ってくれる。 私は残念ながらイタリアはもとよりヴェニスを訪れたことはないが、ヴェニスはどこを眺めても絵になる風景であり大好きな場所なのだが、「Ca'D'Oro」を眺めているとリアルな写真を眺める以上にイマジネーションが膨らんで来る。 カナル・グランデには何艘ものゴンドラが行き来し、その一艘にはマックナイト作品には珍しく人物…漕ぎ手(ゴンドリエーラ)が1人描かれている。 そもそも彼の絵には登場人物がほとんどなく人の姿がないというのも特長のひとつである。といって寂しさや陰気な雰囲気はまったくなく、それは「絵の中の主人公はあなた(鑑賞者)だけ」と言われているような気がしてこれまた心地よい。 そして対岸には前記したカ・ドーロの館があり、空を仰ぎ見ればこれまたマックナイトの定番ともいえる細い三日月がうっすらと輝いていることもあってか、どこからかセレナータ(セレナーデ)が聞こえてくるような気すらする。 そもそもマックナイトがどの辺りからこの絵を描いたかを知りたくて地図を参照してみた。アートに理屈や正確性を求めるわけではないが「Ca'D'Oro」の対岸にホテル ロロロージョ ヴェネチアという四つ星ホテルがある。この辺りからスケッチあるいは写真を撮ったのかも知れない…。 ともあれ鑑賞者側の開放的な建物には花が飾られ、魚はもとよりスイカやオレンジ?など豊富な果物などが置かれ、カラフルで豊かさを感じさせてくれる。 トーマス・マックナイトのことを「幸福を描く画家」と称賛することがあったが、彼のほどよい抽象的・シンボリックな画風は正しく私をして至福のひとときに誘ってくれるのである。
これまで北は北海道、南は広島・山口あたりまでを飛び回り多くのセミナーや展示会に参加すると同時に大学も含めて講義・講演をしてきた。多摩美術大学や東北芸術工科大学での講演はいまだに記憶に残っているが、なんと今回小学6年生を前にして話しをすることになった…。 1月27日の昼過ぎ、私は都内のとある小学校の校門を潜った。98名の小学6年生に講義をするためだ。講義という表現はいささか固く子供たち相手には相応しくないと思うが、まあそうした心意気でその場に臨んだのである。 実はしばらく前の事だがiPhoneに非通知電話が入った。出て見るとOさんだったが電話をいただくのは初めてだった。 Oさんが小学校の先生をされていることはご家族から随分と以前に知らされていたが、このOさん…O先生と初めて出会ったのは2007年の春先だった…。そのときOさんは小学生で、広い公園に沢山のワンコたちに囲まれていた。 幸いなことにOさんのご家族が飼っていたワンコと私が飼っていたワンコは仲が良く、必然的に飼い主同士もお話しする機会が増え、現在でもOさんのお母様とは時々情報交換している仲となったのである。 いわばワンコが取り持つご縁だということになるか…。 電話でのご依頼は小学6年生98名に将来職業選択する際参考になるであろう私の経歴を話して貰えないだろうかということだった。 私の経歴がそのまま子供たちに役に立つとは思わなかったが、小学6年生の子供たちという点に興味を持った。個人的に私は現在の情勢は子供たちの将来にとって決して望ましい方向では無いと考えているし、ある意味でその将来を心配している一人でもある。 ともあれ役に立つかどうかは分からないものの私にとっても新しい挑戦になるに違いないとその場で快諾させていただいた。 しかし冷静に考えると大人に対してとは違った難しさを感じるし限られた45分間で多少なりとも心に残る話しができるだろうか…には些か自信が持てない。 ともかく早速Keynoteで簡単なプレゼン資料作りを始めた。言葉だけでなく多少でもビジュアルを見せた方が印象も深く飽きないだろうと考えたからだ。 問題は私のApple M1 MacBook Airにデータを作って持ち込んだとして、果たして教室・会場にある設備で間違いなく大型モニターとかプロジェクターに接続できるものかについては心配だった。M1 MacBook Airはご承知のように外部ポートはThunderbolt(Type-c)のポートしか無い。 ちなみに時代が違うとは言え私の現役時代はこの機材の合う合わない、あるいは足りないということでせっかく遠出してきた現地で思うようなプレゼンが出来なかったことが多々あった。事前にメモリは最低何メガ、カラーのグラフィックボードが必要、あるいはプロジェクターなどへの接続はこれこれこのようなポートを持つ変換アダプタが必要ですと電話し念のためFAXしておいたにも関わらず揃っていなかったり、そもそもSCSIやらADBポートと言っても相手に通じないこともしばしばだった。 そんな不安が頭をよぎったし一度は簡単な打ち合わせをとO先生とFaceTimeでお話しする機会をいただいた。しかし時代が変わったとはいえ、O先生はMacBook Airを所持しており私の持つ不安を払拭させてくれた。ありがたいことである。 話しをする当事者の不安は話しの内容ではなかった。限られた45分間に用意した内容をきちんと伝えることができ、最後の質問コーナーも含めて時間延長にならないようにと練習も繰り返した。 O先生に導かれて校舎に入ったが、当然のことながら先生であろう人々が行き交っていたし、入り口には事務室があり職員の方もいる。その姿を見て一瞬私はおかしな感覚に捕らわれた…。 私の記憶の底にあるこうした風景だと事務職の方はもとより教師らも皆オジサンやオバサンだった。しかし目の前にいらっしゃる方々は若く、私には一瞬子供のように見えたのだ(笑)。無論これは自身が爺さんになっていることを忘れているからなのだろうが楽しい違和感であった。 さて、五時間目の授業ということで広い教室に98名の生徒さんが床に膝を抱えるようにして集まり私の講義が始まった…。 テーマは3つに分けてある。ひとつは「なぜ私はパソコンのソフトウェア開発を仕事にしたのか」。二つ目は「パイオニアの心得」。そして「なぜ人は仕事をするのか」であり、これらはO先生からの指定であった。 私自身の話のやり方は事前にKeynoteで作ったスライドのみであり、別途レジュメとか話す内容が書かれたメモなどは一切用意しない。 事前に1枚のスライドにどの程度の時間をかけるか、どのような話しをするかについては練習と確認をしたが、後は現場の反応や雰囲気を感じながら話しの順番や詳細な部分は適宜変えていく。だからハンドマイクを持ちながらの話しはすべて生徒たちに視線を向けられる。 この辺は自分でいうのも烏滸がましいが、プレゼンとか説明に関しては用意周到な準備はするものの、本番は臨機応変でできる自負もあり、経験も豊富なので萎縮やあがるといったこともない。 子供たちの反応は思っていた以上に良かったように思う。生徒は話が終わった後下校だったが数人の男子女子が私の所に集まってくれて雑談になった。 「その眼鏡ってどこの眼鏡?」といった質問から「松田先生のiPhone、私と同じです」とか「また来ないの?」といった言葉も聞かれた。 そして帰りには副校長先生が校門まで送ってくださった。 まあまあ、結果としてO先生のご尽力のお陰で無事に役目を果たすことが出来たが、実は学校に向かうとき迷子になった事は…なかったことにしたい(笑)。
2022年は例年になく金遣いが荒かった(笑)。M1 iMac 24インチを皮切りにM1 MacBook Air、iPhone 14 ProそしてApple AirPods Proおよび第10世代無印 iPadとこの数年購入を控えていたアップル製品が一気に揃った感がある…。無論無駄なモノを購入したつもりはないが、円安の影響もありアップル製品は軒並み大幅に値上がりしたのは辛い。 その他、念願だったELEGOO 光造型3DプリンターMars 3/4KやCREALITY 3Dスキャナ、そしてxTool M1 レーザー彫刻機の入手は私が DIY 三種の神器と考えている製品らであり、これで自分なりに一応のレベルの製品が揃ったことになる。 さらに振り返ればその他、いくつかのソフトウェアを揃えただけでなく数々の…といってよいだろう…モバイルバッテリーやiPhoneケース、MugSafe関連製品、そして3Dプリンター用のフィラメントやレジン等々も購入しているわけで自分なりに大きな散財をした一年だったとも言える。 ということで今年もあと僅かになったが、例年通り@mactech的ベスト10プロダクトの紹介をさせていただこう…。 それにしてもxTool M1 レーザー彫刻機とCREALITY 3Dスキャナは衝撃的な製品だった! 以下簡単なガイドを記しておくが、詳しくは各リンク先のブログ記事があるものはそれを参照いただきたい。 ① Apple M1 iMac 24インチ(イエロー)1TB SSD/16GBメモリ やはりM1 iMac 24インチは日々文字通りに私の思考を拡張してくれる相棒であり1位に相応しいプロダクトだ。2017年7月に27インチ iMac Retina 5Kディスプレイモデルを購入して以来だから5年ぶりにメインマシンを買い換えたわけだが、モニター領域は狭くなったものの実際に使ってみるとまったく不自由はなくM1チップのおかげで随分と快適になった。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3002.html ② iPhone 14 Pro 2019年9月にiPhone XRを購入以来3年ぶりに新製品を手に入れた。それがiPhone 14 Proである。iPhoneは身に着けている点においてはメインマシンのM1 iMac 24インチ以上だから1位を争うプロダクトには違いない。ただし個人的にはiPhoneで複雑な…重い作業はしないこともあって今のところはそのカメラの高性能化に驚いているに留まっているが、ZOOMなどで外付け高性能カメラとしても使えるようになりその存在感は日増しに高まっている。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3024.html ③ Apple 第10世代無印 iPad(イエロー) 年末ぎりぎりになって購入したのが新製品の第10世代無印 iPadである。カラーはこれまた今年手に入れたM1 iMac 24インチのイエローと同じくイエローを選んだ。ともかくiPadを購入したのはほんと久しぶりで調べたら6年ぶりだった。 これまで初代iPadはもとより iPad mini、iPad Proと使ってきたがいずれも手に馴染まず手放すことになった。ではなぜいまiPadなのか…。 それは一重にA14 BionicチップとiOS 16.2のコンビネーションによる大幅なパワーアップをベースに新しい「フリーボード」といったアプリケーションの魅力による。そしてホームボタンがなくベゼルも細いスマートさにも惚れたというべきか。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3038.html ④ xTool M1 レーザー加工機(ブレード切断可能) 出力10W この製品はいわゆるレーザー彫刻機、レーザー切断機だがそれだけでなくブレードカッティングの機能も内蔵している優れもので、私レベルとしてはこれまでで最高・最良のレーザー加工機を手にしたと思っている。そして本体のみならず、ライザーベース(本体を嵩上げする台)や筒状の物体をも刻印可能にするRA2 Pro ローラー機器、そしてエアーアシストなど…このレーザー機器には費用を注ぎ込んだ…。 ともあれすでに3Dプリンター、3Dスキャナと合わせてDIYにとっての三種の神器と考えている素晴らしいプロダクトである。そして一言付け加えるならメーカーのサポートも抜群によい! 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3026.html https://www.youtube.com/watch?v=9CJRdKdSR10 ⑤ Apple M1 MacBook Air(スペースグレイ) デスクトップ派を自認している私が珍しくMacBook Airを手に入れた。実はそもそも本機は第5位にランクインしている3Dスキャナーのコントロール用として手に入れたプロタクトだった…。時には戸外でもスキャニングをしたいとすればデスクトップ機ではどうにもならないからだ。しかし実際に手にしてみるとこれまたM1チップのお陰かとても使い勝手が良く、実際にはサブマシンとしての環境を揃えつつある…。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3012.html ⑥ CREALITY 3Dスキャナ(カラーキット) これまで3DスキャナといえばiPhoneとそのためのアプリで試行錯誤していたがやはり専用機が欲しかったのでクラウドファンディングで手に入れた。なかなか使いこなすには熟練技も必要だが、ここに載せたオブジェの複製が精緻に作り得たことをご覧になればその能力は十分推察していただけるに違いない。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3008.html https://appletechlab.jp/blog-entry-3011.html ⑦ ELEGOO 光造型3DプリンターMars 3/4K モノクロLCD これまで3DプリンタといえばFDM方式の製品を使い続けてきたが、細かな造型作りとなると光造型方式には叶わない。また機会があれば是非光造型3Dプリンタも体験したいと考えていたこともあって手に入れた次第。まだ使用頻度は多くないが今後の出番は大幅に拡大するに違いない。ただ現在水洗レジンを使っているにしてもFDM方式と比べて後片付けが面倒なのは…慣れるしかないか(笑)。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3006.html ⑧ Apple AirPods Pro(第2世代) これは熟考して買ったと言うより衝動買いに近い…。AirPods MAXを所有していたので特別に空間オーディオとかノイズキャンセリングが目新しい訳ではなかったが、やはり手軽さというか身に着けた感覚がAirPods MAXよりAirPodsの方が軽くてウェアラブル感覚で楽しめるとAirPods MAXを処分してこのApple AirPods Pro 2 を購入した。事実日々とても素晴らしい体験をしている。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3023.html ⑨ ELEGOO MERCURY X BUNDLE このプロダクトは6位のELEGOO 光造型3DプリンターMars 3/4K モノクロLCDの周辺機器といった立場にあるものだ。バンドル…とあるが、二次硬化マシンと洗浄マシンの2つが別々のプロダクトとして用意されていたので光造型方式の3Dプリンタを使うには不可欠のアイテムだと同時に購入した次第。 ⑩ ポータブル電源 Anker PowerHouse II 400 & ソーラーパネルPowerSola 3-Port 100W これだけ電気を必要とする生活を送っているとやはり心配は電力不足による停電だ。また今年は地震はもとより台風も目立ち雨も多く、実際に災害を引き起こしてきた。幸い私が住んでいる地域は今のところ今年も停電を経験しないで済んでいるが、災害時はもとより普段の大型モバイルバッテリーとしても活用させようと専用のソーラーパネルと共に手に入れた。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-2986.html ■■番外編■■ さて、本選にはピックアップしなかったアイテムでも私的な日々を豊かにしてくれるものも多い。ここではふたつのプロダクトを番外編と称してご紹介してみる。 ① Keenstone 電動ミルクフォーマー 私はコーヒー好きを自認している一人だ。日々2~3杯のコーヒーを愛用のコーヒーマシンで煎れて楽しんでいる。特にカプチーノが好きだが好みの濃さのエスプレッソはともかくミルクフォームがなかなか均一にできない。そこで初めてだが電動ミルクフォーマーを買ってみた。 いやはやこれは完璧なミルクフォームを作ってくれる。電源ボタンは一つしかないものの、このボタンを1回押すとマッキアート、2回でカプチーノ、3回でホットミルク、そして4回でアイスコーヒーに最適な常温のフォームを作ってくれる。すでに手放せないアイテムになっている。 【関連情報】https://appletechlab.jp/blog-entry-3021.html ② 熱転写プレス機 前記xTool M1 レーザー彫刻機はブレードカッティング機能も備わっている。私にとって目新しいものであるからしてここの所、本家のレーザー加工よりブレード機能を多く使っている(笑)。となればこ精緻なカッティングマシンを使ってオリジナルTシャツでも作ってみようかと好奇心が頭を擡げた…。 カッティングした熱転写シート、あるいはインクジェットプリンターで印刷可能なアイロンプリント用紙などをTシャツに転写するのはアイロンでもよい訳だが、面積が狭い、圧が不均等、圧の時間管理が楽などの利点を考慮して小型の熱転写プレス機を手に入れた。 これを使い、オリジナルTシャツを作ってみたがとても綺麗に仕上がっている。 【終わりに】 2022年度は私にとってこうした新しいプロダクトを手にする喜びもあったが、愛犬ラテを3月に亡くした悲しみはなによりも大きく、もしかしたら例年にない散財はその悲しみを少しでも和らげようとする無意識の行動だったのかも知れない…。 ともあれ、本年も当ブログにお付き合いいただきありがとうございました。喪中の意味で新年のご挨拶はご遠慮しますが、来年も皆様方にとってよりよい一年でありますように!
光造型3Dプリンターでもっとも多い失敗はプリント自体途中まで出来ていたのに、ビルドプラットフォームから造型物が剥がれて落ちることだ…。これには幾多の理由が考えられる。スライスの際の条件、パラメーターにもよるが、簡単に言えばサポート不足による場合、あるいは造型物の重さで剥がれてしまう場合が多い。 したがって無論サポートを強化するのもひとつの手だが、基本的に重要なのはサイズが大きなものほど造型物を必要以上に重くならないようにと考えることが重要になってくる…。 そこで光造型3Dプリンターのスライサーとして知られているCHITUBOX Proには造型物を中空にする機能がある。要するに外側の厚みを指定し中身を空洞のハリボテのような造型にすることができるわけだ。 これであれば外見はまったく変わらないものの中身が詰まっていないので当然のことながら軽くなり、かつレジンの節約にもなる理屈だ。※CHITUBOX Proには造型物を中空にする機能や簡単に穴開けする機能がある ただしこうした造型物を中空にする場合、注意しなければならない点がひとつある。 それは造型物を単に中空にしただけで造型すると後で造型中に内部に溜まったレジンが外に漏れ出したり造型物を壊したりすることになる。その対策は造型物の目立たない下部などに穴を空け、洗浄の際に内部も綺麗にして勿論二次硬化もきちんとやることが肝心…。※但し一般的な硬化のための装置では外側だけしかできない ということで造型物のサイズにもよるが許されるなら直径10mm程度の穴を空け、洗浄後の二次硬化も外側だけでなく内部も二次硬化を施すのが重要だ。とはいえ一般的な硬化のための装置では外側だけしかできない。したがってそうした場合にと穴から別途ペン型UV-Cライトを使い内部にもできるだけ紫外線を当てるように心がけるのが肝心だ。※ペン型UV-Cライト使用例 そのため私もELEGOOの二次硬化器とは別に細いペン型UV-Cライトを所持している。ただし光を直視したり皮膚に当てると害がある訳で、釈迦に説法だが、手軽なだけに家族あるいは子供たちには使わせない配慮が必要である。 この細いペン型UV-Cライト、高くはないので光造型3Dプリンターユーザーは一本揃えておきたい…。 ※Amazon広告※
レーザー加工機という類の製品を手にしたのは昨年(2021年)10月のことだったからまだ4ヶ月ほどしか経っていないことになる。しかし多々トラブルにも遭遇し、自分なりに密度の高い諸々なことを経験してきたからか、なんだかすでに小一年ほど経っているような気がするほどある意味で密度が高い日々を過ごしてきた。 そんなレーザー加工機だが、この度はじめて専用コーナーを新設した。ただし場所や機器の位置などなど、様々な事を考えなければならないので現状では仮設のつもりだ。 これまでは強力な換気扇を利用しようとキッチンの一郭にレーザー加工機とMacBook Proを持ち込んで作業していたが、毎々のセットアップおよび片付けが面倒なのとやはり使い勝手はよくない…。 とはいえ我が仕事部屋にはすでに3Dプリンターが2台鎮座しているし決して余分なスペースがあるわけではなかったもののデッドスペースを何とか片付け、新たに幅80cm×奥行50cmの専用机を設置した。※レーザー加工機専用コーナーの試案。「塗装ブース」と共にATOMSTACK P7 M40とMacBook Proを常設 ここにレーザー加工機ATOMSTACK P7 M40とMacBook Proを常設しようと考えた訳だが、無論問題がないわけではない。 ひとつはベランダの窓側に接していることもあってカーテンを使っていること。これは難燃性だとはいえ万一の事を考えると一抹の不安はあるので早めにブラインドか難燃性のロールスクリーンに変えようかと考えている。 2つには申し上げるまでもなく換気の問題だ。レーザー加工には煙と臭いは付きものであり、これらを適切に排気できなければ健康を害す。 とはいえ換気扇を取り付けるには些か無理があるのでここは多少の妥協をし、塗装ブースなる製品を使ってみようかと試用を始めたところだ…。 この製品はその名の通り、フィギャアや模型等々を塗装する際にその臭気を外に逃がす組立式換気装置である。窓の隙間へ繋げるダクトホースが付いているし、強力なモーターで臭気を外に逃がし粉塵などは専用のフィルターでブロックできるものだ。※背面には太いダクトを取り付けることが出来、その先端を戸の隙間などに差し込んで排気する またLED照明もあるのでATOMSTACK P7 M40のような小型レーザー加工機なら使えるのではないかと考えた次第。この製品については別途レポートを書くつもりだが、電源回りを整え、机の下には消火器も常設する…。※ダクト先端は最小の隙間でも排気ができるよう平たくなっている。筆者の環境では引き戸の上にある換気用小窓を利用するつもり まあご想像の通り、臭気にしても環境によっては完全に室内に残らないわけではないが、実際にATOMSTACK P7 M40でアクリル板をくり抜く間の臭気を試してみた結果では、動作中加工機の側では当然臭いがするが2メートルほど離れた別のコーナーではほとんど臭いが感じられないし、例えば珈琲も美味しく飲める。そして天気のよい日中であれば大きな窓を開けて本格的な換気もできるので位置的には都合が良い。さらに天井照明との関係で手暗がりになりがちだが塗装ブースにはLED照明が内蔵されていたので大変助かっている。 とはいえそもそもが無理できないスペースしか確保できないので椅子も折り畳みの小さな奴で使わない時も邪魔にならないものを用意している。こんな感じのレーザー加工機専用スペースだが、ダクトと窓の位置関係や電源回り等々を考慮し、安全性はもとより最適な位置関係となるよう工夫したいと考えている。