カラー3Dプリンター、ダヴィンチColor miniで「造型サンプル出力サービス」を体験

現在愛用している3Dプリンターは4台目で一年前に手に入れたJ&T 3Dプリンター JT-28-004-Ⅱだ。最大造型サイズ 310 × 310 × 410mmの本製品はFDM方式の3Dプリンターとしては構造もシンプルでメンテも楽だし大変使いやすく気に入っている。しかしここのところ考えていることはなるべく早い時期にXYZ Printing社のダヴィンチColor miniを手に入れたいということだった…が、届いてしまった(笑)。


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※届いたばかりのXYZ Printing社のダヴィンチColor mini雄姿


カラーの3Dプリンターとして個人でなんとか手に入る製品はいまのところこのXYZ PrintingのColor miniでしかない。とはいっても気楽に買える価格でも無いが新しいMac購入を後回しにしても手に入れたいと考えていた…。時期としては来年の早い時期にと漠然と思っていたが、先日Amazonを覗いたのが運の尽き。なんとクリスマスセールとCyber Mondayそしてタイムセールの合わせ技で約21%ほどの大幅割引になっていたので思わずポチッてしまった ^^;

しかしそのダヴィンチColor miniはこれまで実機を手にしたことも無く情報はメーカーサイトか僅かなネット情報でしかない。とはいえこれまで少ない情報をかき集め、メーカーにも問い合わせてきたので概要は掴んでいるつもりである。
私がやりたい主なことは3Dスキャナーでスキャニングしたオブジェクトをカラー情報を持ったまま編集し、カラー3Dプリンターで出力することだ。したがってというか、一番確認したいことは色合いの問題である。
無論プリンターの仕様に従い、各種パラメーターのあれこれで変わってくるとは思うが、基本的なプリントで自分が創った3Dデーターがどのような色味でプリントされるのかを確認しないと闇雲に製品を買うわけにはいかない。

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※専用アプリ「XYZprint」で自作の3Dスキャニングデータを読み込んだ例。これをプリンターに出力した際の色味を確認したかった


しかしXYZ Printing社のサイトで「造型サンプル出力サービス」があることを知り、ポチるとは考えもしなかった先月のこと、お願いすることにした。ただし制約もあり、サイズが一辺50mmまで、そして積層ピッチが0.2mmでの出力となる。
ともかくiPhone XRとSandy Proでスキャニングしたデータを送った。

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※高さ約5cmのカラープリントサンプル(右)


ピッチも0.2mmと粗めだし非常に小さな胸像なので期待はしていなかったが、仕上がりの結果は概略考えていたとおりだった。このダヴィンチColor miniの最大プリントサイズは13cm立方なのでサイズを大きくすればデティールも良くなるように思うがそもそもデータの解像度が高くないので納得の範囲だった。ただし実用を考えると個人的には大きな問題が浮かび上がってきた。

その一番の問題はプリント…造型時間である。なぜなら「造型サンプル出力サービス」に使ったデータは手元の一般的な3Dプリンターなら1時間ほどでプリントができるものだが、ダヴィンチColor miniではなんと8.5時間かかるという。ちなみに親分格のダヴィンチColorなら2.5時間だという…。無論この造型の時間差はデータとプリント時のパラメーターによってかなりの幅で変わるはずだが…。

この辺はもっと情報を出してほしいものだが、時間がかかるのはダヴィンチColor miniの仕様だから仕方がない。カラーの3Dプリンターとして我々の手に入る範囲の製品をリリースしてくれたことには敬意を表するが、動作の基本が「積層→塗色」を繰り返す仕様なためであり、かつインクが三色一体なのでプリンタヘッドのクリーニングを頻繁にやらないと色が混じってしまうのだ。

二つ目はランニングコストの問題。ダヴィンチColor miniの使うフィラメント(PLA)は専用チップが乗った専用製品であり割高である。しかし問題はそこではない…。
ダヴィンチColor miniは前記したように3色一体型インク仕様のため、例えばシアン・マゼンタ・イエローのうちどれかひとつでも無くなればカートリッジ自体を交換しなければならない。そして今回サンプル出力していただいた作例でインク使用料はCMYそれぞれ約9.5%だという。

ということはこの作例程度のカラープリントを10回でカートリッジ交換となる計算だ。そしてメーカーサイトによればインクカートリッジの価格は10,780円(税込)というから一度のプリントでインク代が1,000円ほどかかるわけだ。
となればおいそれと闇雲に試行錯誤するわけにもいかない(笑)。ちなみにダヴィンチColor miniはCMYのインクがそれぞれ4.5ml(合計13.5ml)入っている。
このインクの4.5mlという量はいまいちピンとこないが、私が使っている目薬の新品容量が5mlだったので見当がついたが、プリンタメーカーの中にはカートリッジ内のインク量を非公開にしているケースも多いので正確には不明なものの4.5ml程度のものもあるようなので特に少ないというわけではないようだ。

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※ 各色4.5mlという量の感覚を掴みたいと医者から処方されている目薬と比べてみた。こちらは赤線部位まで5ml入っている


さて繰り返すができるだけ早い時期に何とか手に入れたいと考えてきたわけだが、こうしたあれこれを踏まえて考えるに個人の持ち物として十分に使い切ることが出来るのか…と正直一抹の不安が生じてきたのも事実。しかし結局手に入れてしまった(笑)。
プリント時間や稼働時の騒音(㏈)といった情報は時に販売にブレーキをかけることになる可能性もあるが、ダヴィンチColor miniに限らずメーカーは積極的に情報を提供すべきではないか。事実メーカーサイトはもとより製品紹介に関わるウェブサイトを検索してもダヴィンチColor miniのプリント時間が大幅にかかるという情報はほとんど見つからないのだ。この種のことは納得して購入するのと手にして初めて知るのとの間には大きな違いがある。

ともあれダヴィンチColor miniはカラーインクを使わない一般的な3Dプリンターとしても活用できるしオプションでレーザーモジュールも揃っている。
ということでカラーの3Dプリンター、それも何とか個人でも手の届く製品と考えれば今のところColor miniは他に選択肢がないユニークで魅力ある製品なのだ。
これから少しずつダヴィンチColor miniの実機を使いつつ、知り得たことをレポートしていきたい。




ScandyPro用新型スタビライザーを試作

iPhone XRとScandyProによる3Dスキャン。いかに使いやすく実用的なスキャニング手法が可能かと考察を続けてきたが、この度ScandyPro用新型スタビライザーを考案試作してみた。ローアングルのスキャンもやりやすく設計し、調光可能な簡易照明と手元にカメラシャッターも備わっている。


これまでiPhone2台を同時に保持できる簡易形のグリップやリングライトを備え究極とも言える照明設備を備えたスキャニングシステムを考案して使ってきた。
無論それぞれに長短あり、リングライトを備えたシステムはスキャニング結果はとても良いもののやはり保持するのがやや難がある感じだ。またどちらにせよ首の下をスキャンしたり、人間の全身像をスキャンしようとしたり、あるいはオブジェクトによってはどうしてもiPhoneをローアングルで保持しなけれぱならないケースがあるだけでなくトラッキングを外さない機動性が求められ、時に使いやすいとは言えなかった。

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※新たに試作した新型スタビライザーのシステム。2台のiPhoneと調光可能なLEDライト、そしてBluetooth対応カメラシャッターを備えている


ということで2台のiPhoneを同時に保持できることは基本ながら調光可能な簡易照明は勿論、手元にBluetooth対応のカメラシャッターも装備したスタビライザー型の新作を考案試作してみた。
ScandyProによる3Dスキャンを実施されている方々にはあらためての説明は必要ないと思うが、ベースの前後にスマホホルダーを付け、その全体を取り囲むような軽量小型のスタビライザー(輪)を3Dプリンターで作った。

この輪…スタビライザー上部手前にはL字型のハンドルがある。したがって通常はスタビライザーの縁を保持してスキャンするのもよいが、特にローアングルなスキャンなどにはこのハンドルを使うと具合がよい。
またローアングルスキャンの場合に2台のiPhoneが垂直平行に位置しているとモニターしづらいが、そんな場合はモニター側のiPhoneの角度も変えられるようになっている。

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※スタビライザーの骨組み


さらにモニター側のスペースにBluetooth対応のカメラシャッターを常備しているのでスキャンの開始と終了時にスキャン側のiPhoneを操作する必要がないのも使いやすい。
なおカメラシャッターは簡易的だが取りあえず両面テープでベースに貼り付けてあるだけなので電池交換も容易である。

なおスタビライザーの形状に改良の余地があるかも知れないし、両iPhoneの間のスペースにモバイルバッテリーをセットするスペースもある。実際に今回のデザインで何度もスキャンを繰り返して欠点があれば改良していきたい。
またいくつか実際にスキャンしてみたが、保持しやすさも相俟ってとても良い結果が出ているのが嬉しい。

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※新型スタビライザーによる3Dスキャン例。よりトラッキングが正確になってきた



iPhone XRとScandyProによる3Dスキャンの照明についての考察

iPhone XRとScandyProによる3Dスキャンでいかに完成度の高いモデリングができるかに苦心しているが、表面だけならともかく360度ぐるりのデータをと考えると難しいことが多々立ちはだかる。そのひとつはiPhoneの動かし方だ。いかにトラッキングを見失わないようにするかだが、もうひとつは照明のあり方だ。


別途「ScandyProによる3Dスキャニング Tips」にも記したが照明はとても重要だ。ただし2D写真で使われるハイライトとシャドウを強調するドラマチックな照明は、 3Dスキャンでは適切に機能しない場合が多い。通常、最高の3Dスキャン結果を得るには拡散光源から均等に照明された被写体がベストである。
ということで私はある範囲を均等に照らすことが出来るリング照明を自作し使っているが基本的には具合が良い。しかし例えば被写体が人物だとしてその360度ぐるりをスキャニングしようとすれば照明もそれだけ設置しなければ均等な結果にはならい。

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※自作したScandyProとiPhoneによる3Dスキャンのための究極の?照明システム


また例え理想的な照明設備を整えたにしろ問題は100%解決しない。
単純なオブジェクトのスキャニングならともかく、人物といったものを対象とすれば正面回りに照明を配しても、例えば鼻や顎の下、髪や服のウェーブなど必ずといって影の部位ができる。そしてスキャンを多々やってきた経験からしていえば、暗い部位はテクスチャーが汚れるし場合によってはスキャンの取りこぼしとなる。
無論iPhoneをいかに上手に操ったとしてもだ…。とはいえ360度すべてを理想的な照明の場にすることはまず無理だろう。

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※照明およびトラッキングが十分でない部位は取りこぼしができるし、この例だと鼻の穴あたりも形が崩れている


でもいろいろと考えてみたのが、まずは自分の持つ設備で最善の照明をやった上でのことだが、iPhoneに補助照明を付けるというアイデアだった。だとすればiPhoneが狙う場所は常に照明が当たり、限りなく暗い場所がなくなるという理屈である。
勿論照明にしてもスキャンする対象のサイズや形状にもよる。照明が強すぎれば結果は白飛びした映像となるからできれば照明は調光機能があることが望ましい。

私のiPhone XRとScandyProの3Dスキャンは基本自作の「デュアルiPhoneグリップ」を使うことだ。これだと機動性もあるし幾多のテストの結果、スキャニングの結果も上々だからだ。
ではこの「デュアルiPhoneグリップ」の適当な場所に引出しに転がっていたLEDライトを取り付ければ事は足りるのではないかと試作をしてみたが、スキャンを邪魔せずにと考えると難しかった。

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※小型「自撮りライト」


なにかよいものはないかとAmazonで探してみたところiPhoneのカメラ部位に挟む小型「自撮りライト」を見つけた。これを「デュアルiPhoneグリップ」に取り付けたiPhone XRのインカメラ側に挟み込めば、重量も軽いしUSB充電で使え調光もできるだけでなくインカメラがリングライトの中央に位置するので具合もよろしい。
事実テストをした結果は上々だった。

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※「自撮りライト」を取り付けた自作「デュアルiPhoneグリップ」


問題があるとすればただひとつ、光量と光の拡散する範囲が小さいことだ。スキャンする対象によっては力不足となる可能性大だ。
そこでiPhone XRとScandyProの3Dスキャン専用で究極の?機器構成も組み立ててみた。
照明は10インチのリングライトだ。この種の製品にも多々種類があるが、これにした理由は考えた形にできそうなアダプター類が豊富だったことだ。

これに手元にあったツール類を組合せて手持ちができる範囲のものをと考えたのがご紹介するセットである。
リングライト中央にはiPhone XRを設置でき、そのモニター用としてiPhone 6s Plusとモバイルバッテリーを取り付けられるようにした。なおモバイルバッテリーはリングライト用が主だが、ついでにバッテリーが持たなくなってきたiPhone 6s Plusを充電しながら使うことも目指している。

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※リングライトシステムの骨組み


この10インチリングライトは調光ができるし色温度も3種変化できるし光量も今回の目的であれば十分だ。そのアダプターの下にこれまた同梱されていた簡易三脚を取り付ければ、自立させることもできるし、三脚の足を畳んでスキャニンクジ時に保持するグリップにもなる。
一応考えて機材を組み込んだトータル重量だが2000g未満と保持し続けるにもまずまず苦にならない。

さらにこのリングライトにはオマケ的に面白いアイテムが同梱されていたのだが、これがまた大いに役に立ったのだ。それはBluetoothコントロールのカメラリモコンである。これを見た時閃いたことがあった…。

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※Bluetoothコントロールのカメラリモコンは必須!


どういう構成にしろ2台のiPhoneを組合せて3Dスキャンする際、iPhone XRのスキャン開始ボタンを押すこととスキャンを終えるときに再度ボタンを押さなければならない。しかしiPhone XRはインカメラ側液晶にソフト的なボタンが表示される訳でそれをスキャンする対象に向けているから見えない。
またそのボタンはボリュームボタンで代替することも可能だが押しにくいことこの上なかった。

このスキャン開始および終了をリモコンでできないかと考えたわけだが、幸いなことに苦も無くできた。これは本当に楽だしボタンを押す場合に機器を揺らしたり傾けたりしなくてよいのでスキャニングに悪影響も生じさせないで済む。

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※リングライトシステムで実際にスキャニングを実施中


リングライトは直径約48cmの本格的なものをメインライトとして使っているが、この25cmほどの小型のリングライトも3Dスキャンとは別に撮影時の照明のひとつとしても重宝する。

ということでこのリングライトシステムと前記したデュアルiPhoneグリップを目的に従って適宜使い分けることにしているが、私の3Dスキャンの最終目的は人物なのでこうした工夫を積み重ねることで何とか理想に近い結果を出したいと考えている。



※まだまだ完全にはほど遠いが、横顔のラインも鼻の穴もトラッキングが正確になったし顎の下もより取りこぼしが少なくなった






ScandyProによる3D Scanning Tips

iPhone XRとScandyProによる3Dスキャンに苦心しているが、ほとんどのユーザーがなかなか思い通りにいかないと嘆いているようにも思える。
またScandyProに関する日本語の情報が現在のところ極端に少ないことも分かりづらい要因になっているかと思うが、ScandyPro開発元のブログに「3D Scanning Tips」という解説が載っていたので確認して見た。

記述内容はScandyProを上手に使うための初歩中の初歩ということになるが、こうした点に注意をするかしないかでは結果が大きく変わると考える。
ということでScandyProで上手にスキャンするためのチップス部分を私なりに "意訳" してみたのでご紹介しておきたい。
なお原文/全文(英語)は ここ に載っている。

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※ScandyProによるスキャン実例。工夫すればなかなかに綺麗なスキャンができる


■ScandyProによる3Dスキャニング Tips

3Dスキャンは、2D写真撮影より厳しい。それは、忍耐と多くの試行錯誤を必要とする。ただし一旦旨く行けば素晴らしい結果が得られ、iPhoneだけで優れた3Dコンテンツを作成でき、3Dプリンターへの活用や3Dデザインプロジェクトをすぐに開始できる。ともかく諦めずイライラしないで挑戦し続けるべき。そして旨く行った結果だけを保存しておこう。

1)iPhoneはゆっくりと動かすことが肝心。ここでは、速度は味方ではない。あまりに速くiPhoneを動かすとセンサーがトラッキングを見失う原因になる。また例えばスキャンしている方向が違う場合(垂直から水平など)は、注意をしないとトラッキングを失い、スキャンを回復できない可能性がある。 万一そんなことが起こったら諦めてやり直すしかない。

2)人物をスキャンするときは、なるべく動かないように依頼することが肝心。特に360度のスキャンには数分かかる場合がある。被験者に目の前の一点に集中してもらい、頭を動かさず静かに保つようお願いしよう。

3)解像度を最小にするとスキャンの品質が向上する。 スライダーを使用して調整するが、デフォルトは最小サイズに設定されるが必要に応じて調整してみよう。

4)特徴の無いモノクロの被写体は、カメラが追跡するのが難しい。そして顔をスキャンする場合、肩をフレーム内に保持すると頭の後ろをスキャンするときトラッキングを維持するのに役立つ(通常頭の後ろは顔よりも視覚的特徴が少ないのでトラッキングを失いやすい)。

5)一部の素材はうまくスキャンできない。 一般的に反射率の高い素材や透明な素材は、現在使用している技術では良い結果にはなり得ない。 例えばそれらの表面にフットパウダーの薄いコーティングをスプレーすると問題の解決に役立つ場合がある。

6)トラッキングを失うことなく完全な 360度スキャンをキャプチャするのが難しい場合、2つの小さなスキャンデータを作成し、別途Netfabb や MeshMixer などのソフトウェアプログラムを使用して手動で合成するとよい。

7)照明は重要。2D写真で使われるハイライトとシャドウを強調するドラマチックな照明は、 3Dスキャンでは適切に機能しない場合がある。通常、最高の3Dスキャン結果を得るには拡散光源から均等に照明された被写体がベスト。多々実験し自分の環境で最適なものを探すことが大切。
※ちなみに筆者はリング照明を使っている。

■Macテクノロジー研究所的アドバイス

 できるだけ解像度が高く正確なスキャンができるかは前記したチップスを参考にしご自分で工夫するしか無い。そうした工夫の中でやりやすさと正確さを求める何らかのツールを考えてみるのも解決策のひとつではないだろうか…。
 詳しくは別項「iPhone XRとScandyProによる3Dスキャン覚書」をご参照いただきたいが、iPhoneのインカメラをスキャニングに使うため、インカメラを対象物へ向ければ液晶が見えなくなり、そのままでは正確なスキャンは無理。
Macテクノロジー研究所的アドバイスとしてはもし3Dプリンターをお持ちなら鏡を使った「ミラーアダプタ」を作ることをお勧めしたい。要はインカメラの全面に鏡を45度の角度に設置しiPhoneの先端をスキャン対象物に向けると鏡に映ったオブジェクトはその下にあるインカメラで捉えられる理屈。したがって液晶画面を見ながらの操作が可能だ。
勿論、鏡はできるだけ精度の高いものが好ましいが手軽に扱えるのが一番の利点だからと筆者はステンレス製のものを使っている。

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※自作の「ミラーアダプタ」を装着したiPhone XR


 筆者が試した範囲で一番の方法はScandyProに備わっている2台目のデバイスで映像をモニターする方法だ。ただし例えばスキャンするiPhoneとモニター用のiPhoneの距離や位置関係が離れているとモニターを確認しながらスキャンを実行するのは困難だ。

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※筆者のスキャニングはそのほとんどがこの自作グリップによる


ということでMacテクノロジー研究所では2台のiPhoneを同時に使うグリップを自作してみたが非常に使いやすくスキャン精度も向上している。

以上


Appleのチーフ・デザイン・オフィサー、ジョナサン・アイブ氏退社についての個人的な考察

Appleは、チーフ·デザイン·オフィサーのジョナサン・アイブ氏ことジョニー・アイブ氏が今年後半にAppleを退社すると発表した。その影響でAppleの時価総額が約1兆円減少したとか、今後のAppleを心配する声も聞くが、個人的には些か遅きに期したと考えている。またアイブ氏の退職はApple Park完成を機会にしてのことだろうが、アイブ氏自身はもっと早くAppleを離れたかったように思う。【以下敬称略】


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まず最初に申し上げておくが、私は1980年にApple IIを手にして以来今日まで熱烈なAppleユーザーというだけでなく、スティーブ・ジョブズ不在の時代から復帰の初期まで、約14年間をアップルジャパンのデベロッパーとしてソフトウェア開発に従事していた。そしてその間、自社開発アプリ数点…Performaへのバンドルを実現しただけでなくスポット販売などにより、Appleはビジネス取引の相手でもあった。

さらに歴代のアップルジャパン社長は勿論、ギル・アメリオ、エレン・ハンコック、ドナルド・A・ノーマン、ガイ・カワサキ、ハイディ・ロイゼン、ロン・オカモトら、その時代時代の要人たちとお会いする機会も得た。そして名刺交換したAppleの本社スタッフは100人をくだらないだろう…。したがってというか、Appleの闇の部分も多々体験してきたし一般のユーザー諸氏やメディアの方々とは些か違い、いまだに公言出来ないことも多くAppleへの評価は手放しで褒めちぎるわけにはいかず必然的に辛口にならざるを得ない…。

ということで、私は大方の人々の評価とは裏腹にアイブのデザイン力に関しても闇雲には認めていない。何故なら古くは20世紀モデルの電源コードのあり方、初代iMacの円形マウスはもとより、現在でもiPhoneのカメラの出っ張りやマウスの充電ポートが裏側にある点などなどデザイン面だけでなく使い勝手を犠牲にしてきた面も目立つからだ。またアイブはソフトウェアのUIに関しても責任を負ったが決して成功したとは思えない。

さて、アイブはスティーブ・ジョブズが復帰したときすでにデザイン部門にいた。そしてジョブズがApple復興を賭けて発表するiMacのデザインをアイブに依頼したことからジョブズとアイブの蜜月が始まった。
要はアイブのデザイン力を認めるか認めないかを含め、スペックは勿論デザインを最終決断したのはCEOのジョブズであっただけでなく、いわばAppleにおけるジョニー・アイブや現CEOのティム・クックを "生み出した" のはまぎれもないスティーブ・ジョブズなのだ。したがって個人の能力や貢献はきちんと評価するにしてもいたずらに「Apple復活を支えたジョナサン・アイブ」等という物言いはどうかと思う。そうした点からも個人的にはAppleにおけるアイブの評価は過大評価されていると考えている。

また逆にアイブから見てAppleにおける仕事はどうだったのだろうか…。
スティーブ・ジョブズが生きているうちはともかく、亡くなってからは決して100%満足していた状態ではなかったと思われる。それは多額の報酬といった面ではなくAppleにおいてのデザインの限界について常々悩んでいたに違いない…。
どういうことかといえばAppleのプロダクトは基本多くはない。Mac、iPhone、iPadなどを列記するまでもなくコンピュータといわゆるガジェット類だ。
そしてアイブの限界以前にAppleにはこれまでの歴史で培ってきた「Appleらしさ」が求められている。したがってアイブならずとも、この伝統といった圧力に暗に縛られているようにも思え、結果新しいデザイン構築に壁というか限界を感じていたに違いない。
要はiMacにしろiPhoneにしろ、その基本デザインはスティーブ・ジョブズの影響力からいまだ脱していないのだ。

それにiMacにしてもiPhoneにしても考えるまでもなく使い勝手を無視したデザインなど出来ようもないし、そうして考えれば現在の基本デザインはiMacにしてもiPhoneにしてもなるべくしてそうなったデザインだともいえる。事実悪い事ではないが、この数年 iMacにしてもiPhoneにしてもデザイン面に目を見張る改革はない。
したがってアイブにしてみればそろそろAppleの呪縛から離れ、自由な仕事をしてみたいと考えたとしても不思議ではなく、Apple Park完成を目処にAppleを離れる決意をしたに違いない。

またCEOのティム・クックから見れば、Apple社内に置いて絶大なる発言力を持つようになったアイブはそろそろ鼻についていたのではないだろうか。ある意味、スティーブ・ジョブズ亡き後のAppleはティム・クックとジョニー・アイブの二人体制で外面を維持してきた傾向があり、その過程でジョニー・アイブをいたずらに怪物にしてしまったのはAppleというよりティム・クックの失策だったともいえる。

さて、ジョニー・アイブが去ったAppleを心配する向きもあるが、プロダクトデザイン/インダストリアルデザインはアイブだけのものではない。世界には優秀なデザイナーは多々存在するし、そうした人たちに光が当たる良い機会になればよい。
したがってアイブ退職後もAppleはクライアントだという話しもあるが、それはお互い未練たらしい(笑)。Appleにしてもアイブにしても退職時のリップサービスであって欲しいと思う。
我々ユーザーは、アイブがデザインしたiPhoneと別のデザイナーがデザインしたiPhoneを選んで使うことはできない。誰の手になるにしろAppleからその時代のニーズに合った優れたデザインが生まれるに違いないしそう願っている。




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appletechlab

Author:appletechlab

主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員