ラテ飼育格闘日記_832

年が明けた…。しかしすでに一年近くにもなるのにオトーサンの気持ちは晴れない。まあ、無理に忘れようなどとは思っていないし無理な話だ。いまだに朝起きるとラテの遺影に「ラテ、おはよう。今日もよろしくな!」とまるでその場に蹲っているであろうラテに声をかける毎日なのだ。


思い起こせば昨年の正月もまったく正月気分はなくただひたすらラテの看護・看病をしていたという記憶しかない。
例年ならラテを連れ、家族ぐるみでお付き合いいただいているK家の皆さんと近隣の諏訪神社へ初詣をするのが楽しみのひとつだったしそれが唯一正月らしさの象徴でもあった。しかしラテは倒れ、初詣どころではなかったし、まさかラテを置いて我々夫婦だけで出向く気にもならず、結局Kさんに代理詣でをしていただいた。

Latte832_02.jpg

※元旦早々にK家のオカーサンとNちゃんが見舞いに来て下さった


昨年の正月早々の記憶としてはラテへの点滴を医者にお願いするのでは無くオトーサン自身がやることになったことが忘れられない。
それはタイミング良く医者に往診してもらえるケースばかりではないし、費用もばかにならないからだ。そして医者から「ご家庭でやってみますか。費用も安くなるし…」と勧めてくれたのでオトーサンは決心した。

Latte832_03.jpg

※不可欠の点滴もオトーサンが処置することになった…


しかし、正直皮下注射とはいえラテの首元に注射針を自身で刺すなんてことは夢にも思わなかったしとても嫌だったが、オトーサンの気持ち云々よりいまはとにかく点滴を続けなければならなかったのだから仕方がない。
なにしろ水はシリンジで飲ませていたがドッグフードなどの固形物はまったく受け付けないし、チュールやゼリー状のもの、あるいはヨーグルトといったものをシリンジで無理矢理喉に落とすといった毎日だったが、それもままならなかった。したがって点滴は不可欠だった。

それから大きな変化はオムツを始めたことだった。
この頃は床擦れが左右の腰辺りにできるほど寝たきりだったから、さすがに外に連れ出すわけには行かなかったのだ。しかしこれがなかなかフィットしないのだ…。

Latte832_01.jpg

※オムツデビューのラテ


結局最初は当然ながらワンコ用のオムツを買っていたが、ネットの情報などを参考にして人間の赤ちゃん用のオムツにワンコの尻尾を出す切れ込みを入れ使うようになった。事実こちらの方がラテの腰回りに優しくフィットし、費用も多少人間用の方が安いことにも気がついた。ということで日々オトーサンはタイミングを見ながらオムツに尻尾用の穴を空け、そのエッジを養生テープでガードするという作業が続いた。

とにかく食事がまともにできなかったこともあり、ピーク時に21kgもあった体重が15kgほどになり見るからに痩せたのは当然としても、体を触ると肋骨や腰骨が浮き出るまでなっており、最後が近づいていることは明らかだった。そして医者からも「このまま回復するとは期待しないでください。心臓・腎臓が弱っているしその原因は老衰ですから」と釘を刺されていたのだった。

Latte832_05.jpg

※本来は立てないラテにリハビリをするオトーサン


でもオトーサンは諦めたくはなかったし、単なるお前の希望だろうと笑われるかも知れないが、ラテの表情は「まだまだアタシ生きていたい」という意志が読み取れたような気がした。したがって折ある毎に歩けないまでも立てるようにとリハビリの真似事を続けたし、食べられないのは分かっていたが寝ているラテの口元に牛乳に10gのドッグフードを浸した容器を置くようにしていたが1月8日に奇跡がおこった!

Latte832_04.jpg

※食べられないのを承知で置いていたドッグフード+牛乳をこの日初めて完食!


先月24日に倒れてから初めて10gとはいえドッグフードを完食したのである。オトーサンは驚喜し万歳したが、翌日も朝夕それぞれ10gとし、2日後の朝には20g、そして5日後には朝夕それぞれ25gのドッグフードを喜んで食べるまでになった。
やはり食事はパワーの源だ。ラテの両眼に精気が宿った!


ラテ飼育格闘日記_831

ラテが他のワンコと比べてワンコ友達が少なかったのかどうかは比べようもないが、好き嫌いが激しかったしヤキモチ焼きだったこともあって公園に行ってもそうそう交流の範囲は広くなかったように思う。


それでも結論めくが一緒に1本のペットボトルから水を飲むといったことまでやる…信頼する友達ワンコはビーグル犬のハリーちゃん、雑種のマキちゃん、そしてボーダーコリーのボーちゃんがいてくれたのでまずまず幸せな犬生だったのではないか…。

Latte831_01.jpg

※マキちゃんにチューをするラテ


なによりもワンコたちと人間の女の子がいたとすると、女子たちに近づきたがったラテだから、ワンコ付き合いは良かったとは言えないのだが…(笑)。
それでも1歳半くらいまではどんなワンコに対しても腹ばいになり、ほふく前進で近づき愛想を振りまいていたが成犬になってというか、自意識が芽生えた頃なのかいつしかこれまで仲良く遊んでくれていたワンコに対しても唸ったり吠えたりするようになり、結局前記したワンコたち以外は受け付けない様になってしまった。

Latte831_02.jpg

※散歩途中にニャンコに出会うこともしばしばあったが、ラテは遊びたかったようだ


ではなぜハリーちゃん、マキちゃん、ボーちゃんとは性が合ったのか、それは多分にそれぞれのワンコが基本大人しくて紳士だったからに違いない。
そうそう、ラテは雌だがそれらの友達ワンコは皆雄のワンコだったのは偶然ではないのかも知れないが…。

そういえば、これまた今となっては単なる想像でしかないが、ラテが元気な時に子猫を迎入れたらどうか…という思いが何度かオトーサンの頭をよぎった。
その大きな理由としてラテはニャンコが好きだという事実があったからだ。一緒に暮らした訳でもないのにどうして分かるのかと問われるかも知れないが、我が家に向かい入れる前3ヶ月ほどお世話になったボランティアの家には6匹(だったかな)のニャンコがいたそうだ。

昔、メールで知らせていただいた記憶によれば、ラテは近づきたくてにじり寄っていつも猫パンチを食らっていたという(笑)。
そんな環境下で生活していたからか、散歩をしているときにニャンコに合うと笑顔で近づこうとする。しかしある意味で知らないニャンコはワンコより危険なのでオトーサンとしてはある程度までしか近づかせないようにしてきた。

Latte831_03.jpg

※いやに愛想の良い野良ちゃんもいたがラテが近づくと毛を逆立てた


事実マキちゃんもニャンコに眼をやられたことがあったと聞いた。幸い大事には至らなかったがまず猫の機敏さには敵わないので無理はできない。
そしていくらラテが好意で呼びかけたとしても野良ニャンコにはまず通じず警戒させてしまうに違いない。したがってラテは我が家に来てからニャンコと心を許して遊んだことはないが、もし子猫の内に近づけたとすればニャンコもラテに懐いてくれるのではないかとも考えた…。

Latte831_04.jpeg

Latte831_05.jpeg

※貫禄あるニャンコたち


いつだったか、そういえばほんのちょっと人生のストーリーの歯車が違っていたら生まれたばかりのニャンコをラテの妹か弟…いや子供として迎入れそうになったことがあった。
それは散歩していたとき我々の足元にやっと眼が見えるようになったばかりというような子猫がヨチヨチと近寄ってきた。近所に野良猫がいる場所でもありはぐれたのかもしれないが無論ラテは駆け寄ろうとした。しかしろくに歩けない子猫に悪さでもしたらと思いリードを引き、少しずつ様子を見ることにした。

Latte831_06.jpeg

※このニャンコは振り向きざまに逃げてしまった


子猫だからか、ラテは両眼を見開くようにして近づいたが吠え声は上げず子猫の臭いを嗅いでいた。その姿を見てオトーサンは「連れて行こうか…」という思いがちらついた。しかしそのとき近づいて来た子供が「可愛い」と言って抱き上げ、駆けて行ってしまったのでオトーサンの思いつきは実現しなかったのである。

Latte831_07.jpg

※生まれたばかりの子猫の臭いを嗅ぐラテ


今更どうすることもできないし思考実験でしかないが、もしこのときオトーサンがそのニャンコを抱き上げて連れて帰り、ラテと一緒に育てたとしてら…もしかしたら、ラテ晩年の喜びもまたより大きい物になったのかな…という思いが頭をよぎることがある。
いやしかし、ニャンコだっていつまでも子猫でいるわけではない。あっと言う間に大きくなり、またまたそのニャンコに猫パンチを喰らっているラテなのかもしれない(笑)。

ともあれ2022年度の「ラテ飼育格闘日記」は今回で最後となるが、来年もオトーサンがその気になったらまた書き綴っていきたい。ということで一応我が家はラテが亡くなったことで「喪中」とさせていただくので新年のご挨拶はご遠慮することにした。
ご了承願えれば幸いです。



ラテ飼育格闘日記_830

本日12月10日はラテを家族として迎えた記念日である…。16年前のことだった。そのラテが亡くなってから当然のことだがオトーサンは散歩をほとんどしていない。無論4月に一週間、6月に3日だったか…入院したこともあり出歩くのがキツくなった訳だが、やはりその時その時は「大変」とか「キツい」と思ってもラテのために一定時間、それも朝夕出かけることはオトーサンの健康維持にも役立っていたに違いない。


Latte830_01.jpg

さて…オトーサンたちはラテ以外のワンコを飼った経験が無いため、他のワンコと多々比較することができない。確かに公園で会う友達ワンコたちとの比較というか対比はできるがそれは表面上のあれこれに違いなく「ワンコとはこういう生き物だ」という意味での考察はラテ以外は分からない…。

そんなオトーサンだからラテを家族として迎入れたときにもどこかワンコとしてより人間の子供に対する受け入れ方になっていたように思う。
しかしラテと名付けたこの雌のワンコは15年3ヶ月を共に生きてあらためて感じたことがある。それは幼犬時代より老犬になってからの方が可愛いのだ。いや、情が移ったからということだけではないのである。

Latte830_02_2007.jpg

※ラテのスカート姿。その表情は硬く、似合っていない(笑)。2007年撮影


どんな生き物も子供の時代は保護を必要とすることもあり体の小ささだけでなく身振りも喋り方も大人が可愛いと感じるように出来ているものだと言われる。
2006年12月10日に我が家に連れて来られたラテは推定年齢は生後6ヶ月、体重は9.1kgほどだった。その約1ヶ月前に横浜のとある動物病院で開かれた保護犬の里親会で巡り会ったのがきっかけだった。

Latte830_03_2010.jpg

※2010年、ラテ4歳のときの表情だが笑顔もどこか硬い


ともかくオトーサンは事前に「犬の飼い方」といった類の本を7冊ほど読破して予備知識を得たつもりだったが実際に眼前でフローリングの床にまで歯を立てて囓る小悪魔のような子犬をどう扱えば良いか正直苦慮したし事実オトーサンの両手はラテの甘噛みで傷だらけだった。
それにオトーサンたちが望んで家族に迎えたワンコだからして可愛いと思ってのことだったが、正直可愛いからというより里親会での大人しく人懐っこさを評価したというのが本当のところだった。このワンコなら飼えるだろうと思わせる印象だったからだ。

Latte830_04_2014.jpg

※2014年、ラテ8歳の表情。その表情が柔らかくなってきた…


確かにまだ子犬だし、オトーサンたちにとっては保護しなければならない我が子のような存在だったがいま思えば、念願だったワンコをこの手に抱きしめることができる喜びは大きい物の、可愛いと思うより使命感といった思いの方が大きかったように感じる。

そして15年3ヶ月という決して短くはない年月の間に撮り溜めた膨大な数の写真を見てそのときそのときのラテの様子、ラテの表情を比較することが出来るわけだが、おかしな事に幼犬時代より老犬になってからの方が間違いなくその表情に可愛さが溢れている。
まあそれは15年3ヶ月の間慈しんできた思いが成せる気持ちだともしても、事実写真を見ればその違いは一目瞭然なのだから面白い。

Latte830_05_2019.jpg

※2019年、ラテ13歳の表情。感情表現が豊かになっている


幼犬時代から5,6年までのラテはマズルがまだ真っ黒だったこともあり顔の周り…特に顎あたりの体毛も真っ黒だった。それに飼い始めて1年ほどまではラテもオトーサンたちというか飼い主の気持ちも分からず要はまだ信頼できなかったからか、その表情は極めて厳つい(笑)。

両眼は些かつり上がっているように見えるし、後年のような満面の笑顔といった表情は少なかった様に思う。ために散歩をしていると「あっオオカミだ!」と言われるのはまだしも「男らしい顔をしてるね」とか「雄ですか?」といった声かけが多くてオトーサンを腐らせたものだ。
で、可愛く見せる(笑)ために首輪にピンク色のリボンを着けたが「可愛い蝶ネクタイですね」と言われて外した…。

で、これなら「雄ですか」とは言われないだろうとスカートの付いた胴着を着せた。お尻丸出しのスカートをフリフリと揺らしながら歩くその姿は飼い主も少々恥ずかしく感じたが一番の問題は似合わなかったことだ(笑)。それだけラテは何と言ったらよいか、しかめっ面のような顔をしていたのだ。

Latte830_06_2022.jpg

※2022年2月15日撮影のラテ。亡くなる19日前の何ともいえない幼い表情…


それがどうだろうか、マズルの一部が白くなってきた2013年あたりからラテの表情、特に眼の周りの表情が大きく変わってきた。口元は些か微笑んでいるような感じだし、いわゆる笑顔というか温和な表情が多くなってきた。
そしていわゆる晩年は「これこそ幼犬の顔ではないか」と思わせるほどその表情は幼く愛らしいものになっていった。
嗚呼、いま無性にラテに会いたい…。



ラテ飼育格闘日記_829

ヒヤリ・ハットという言葉をご存じだろうか。これは、重大な災害や事故には至らなかったものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例のことをいうそうで、文字通り「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりする」という意味だそうである。


Latte754_04_20221123081231ed0.jpg

ラテと日々一緒に生活した15年3ヶ月という長い年月の中でオトーサンが凍り付き心臓が一瞬止まるほどの事例がいくつかあった。今回は「ラテのヒヤリ・ハット8撰」と題して文字通り8つの…いまでも思い出すと心穏やかはいられない出来事をご紹介してみたい。

① 首輪が切れた
ラテを我が家に向かえた直後の出来事だったのでオトーサンのトラウマとなった感があるできごとになった。
2006年12月のある日、女房の出勤とともに駅まで見送りに出かけたときのことだ。さてこのまま散歩を…と考えていたとき駅改札前でラテの首輪が切れたのだ。
オトーサンはホールドしようとしたがラテはそれをかいくぐり通勤客の中にまぎれるように走りはじめた。なにしろ我が家に来てから2週間も経っていない時期だったからこのままでは家に戻れないだろうし、なによりもオトーサンらに愛着も薄いだろうから確保できなければ行方不明となり車にでも撥ねられるに違いないと体が凍り付いた。
オトーサンが駆けだして追いかければ余計に逃げるだろうからと咄嗟に切れたリードを右手で高く上げ「ラテ、ラテ」と大声を出し続けて口笛を吹いた…。
ラテがどう思ったかは不明だが、不思議なことにラテは大人しくオトーサンの元に戻ってくれたので大事にならなかった。

② TULLY'Sで若い女性と抱き合ってた
2007年4月のこと。カフェのテラススペースの一郭にラテを繋ぎ、オトーサンは店中に入り、飲み物などを持って外に出ようとすると女子大生か就活の女性か、若い女性ととラテが抱き合っているのが見えた。
初めての大人に対しては必ずといってよく吠えるラテだったから女性に怪我をさせてしまっては大変と一瞬息を飲んで慌てて駆けつけたオトーサンだったが、ラテはひと言も吼えることなく大人しく女性とハグしているではないか。

Latte316_04_202211230812255f1.jpg

※以前の住居のときは度々ラテを連れてTULLY'Sに出入りしていた


「大丈夫ですか、噛んだり引っ掻いたりしませんでしか?」と思わず声をかけると女性は「犬、大好きなんです」と彼女はハグを続けている。
無論その女性とはまったくの初対面であり、挨拶を交わしたこともない。その後何ごともなく女性は笑顔で我々を後にして出て行かれたが、ビギナー飼い主だったことでもあり文字通り肝を冷やした出来事だった。

③ ノーリードのコーギー犬に前足を噛まれた
2008年1月のこと、毎日通ってる広い公園でいきなりノーリードのコーギー犬にラテが左前足を噛まれた。かなりの出血でもあり側にいた別の飼い主さんらが病院へ連れて行くべきだと進言してくれたのでラテを抱き上げ動物病院へと向かったが徒歩20分ほどかかる道のりを抱いたままでは無理だった。
オトーサンにとっても初めてのアクシデントであり涙ながら仕方なくラテを降ろしたが、ラテは一言も発せず足を庇いながら、地面に血の跡を残しつつ病院まで歩いてくれた。
レントゲンの結果、幸い骨には異常なく安堵したが、当のコーギー犬の飼い主はノーリードにしていたことも問題だが、後に知ったがラテを噛んだことを知らなかったというのだから呆れた…。飼い主失格である。

page5_blog_entry196_2_20221123081233285.jpg

※噛まれた傷を消毒するのもなかなか大変でした


④ ゴムボールを噛みきって飲んでしまった
これまた気がついたとき、事の重大性に気づいたときには身が凍る思いだった。それは2008年12月のこと、朝起きたら床に伏せているラテの足元にゴムボールの堅い笛部分が転がっていた…。
あわてて周りを確認したが、ボール本体の姿はなく、音が鳴る笛の部分と小さなプラスチック製の部品みたいなものが残っているだけだった。
考えたくないことだが、遊んだ後にオトーサンがボールを片付けなかったのが原因としても状況は明らかにラテがボールを食べてしまったことを示していた!
もし目の前でボールを食べたのなら、すぐに病院に駆け込んで吐かすこともできるだろうが、どう考えてもラテが食べてから時間はすでに7時間を過ぎている。だとすればすでに胃の中にはなく腸に回っているかも知れないし、素人考えながらそれを無理矢理取り出すためには外科手術するしかないと思われる...。

latte107_00_20221123081222e99.jpg

※ラテが飲み込んだものと同じボール(右)。左が残っていた笛部位で後は飲み込んでしまった…

医者に運び込もうと考えたが当のラテはいつも通りに元気な様子なのでオトーサンは腹を据え様子を見ようと決めた。排泄で出てくるかもしれないことを期待したし万一具合が悪ければすぐ病院へ担ぎ込もうと観察を怠らないようにしていたが翌日も翌々日も排泄の様子はなくオトーサンは気が気ではなかったが幸いなことに嗚呼…4日後の午後にいくつかにちぎられたすべてのパーツが出て来た。
オトーサンは雑林の中で思わず声を上げ、記念にその💩の写真を撮った(笑)。

⑤ TULLY'Sで老人が突いていた杖の音に驚いたラテが吠え、老人が腰砕けに
2012年の夏…確か土曜日の朝だったか、女房とTULLY'Sに行った。テラスの入り口付近の席に陣取ったオトーサンらだったが女房はオーダーのために席を離れたものの我々の他に客は一人もいなかった。そしてラテは大人しく伏せていた…。
暫くして「コツン、コツン!」と大きな音がした瞬間にラテが伏せたまま「ワン!」と大きく吠え、すぐに「ドン!」と鈍い音がした。
オトーサンが視線を上げると年の頃なら80歳前後だろうか、老齢の男性がカフェのエントランス入り口で膝を折り四つん這いになっていて、そばに杖が転がっていた。どうやら男性はラテの吠え声で驚き膝をついてしまったようだ。
ラテとしては木製の床に伏せていただけに…男性の突く杖の音と共に振動が身体に響いたのだろう、驚き「ワン!」と吠えてしまったわけだが、決して飛びつこうとしたわけではなく腹ばいのままだった。しかし男性が吠え声に驚いたのは間違いない。
オトーサンはラテを回りの鉄柱に縛ってから男性に駆け寄り「大丈夫ですか?」と起こそうとしたが男性はゆっくりとオトーサンの手を振り払い身体を起こしながらも「犬はあんたの犬か?」と不機嫌そうに聞く。オトーサンは「そうですが…」と応える。
それでもオトーサンは男性を近くの椅子に座らせながら、もしかしたらこれは厄介なことになるかも知れないと覚悟をしながら「この店は犬を連れてきても良い場所なのでよく立ち寄るんですよ」と柔らかくいった。男性は「しかし吠えたから驚いて転んだのは事実だ。ズボンも汚れてしまった」と怒りが納まらない様子。どうしようかと思いあぐねた瞬間、驚いたことに瞬間…男性の態度ががらりと変わった…。
「そう、うむ…そう…私は犬が嫌いでは無く好きだったんだ…」と自分にいい聞かせるようにつぶやきながらオトーサンに手を差し出したのだ。無論握手のためである…。
あまりの変貌にというか予期しない展開にオトーサンは逆に警戒したぐらいだが、続けて男性は「私も不注意だった。驚いてきつい言葉を吐いたがいまのは忘れてください」とにこやかにいう。
オトーサンも反射的に「驚かして申し訳ありませんでした。今後はより気を付けます」といいながら差し出されたその手を握り返して和解は済んだ。
その後男性とは同じ場所で出会うこともあるが、軽い会釈をするようになったし、確かにワンコ好きなようでワンコが集う公園のベンチに座っている姿を見かけることもあった。

⑥ 近所の三匹ワンコがノーリードで突進してきた
2015年の10月のことだった。ラテを連れ近所で3匹のワンコを飼っている家の前を通ったとき、たまたまなのかも知れないが庭でノーリードで遊んでいたその3匹ワンコが歩道に飛び出しラテに吠えかかった。
その飼い主さんとはこれまでお話しをしたこともないのでワンコたちがどのような性格なのかは知らなかっただけに大惨事になるかと体が冷たくなる思いをした。なにしろ相手は三匹だ。その気ならラテに勝ち目はないし具体的な触れ合いもなかったワンコたち故にオトーサンが割って入ってもオトーサンが噛みつかれるかも知れない…。
ただし幸いなことに三匹ワンコには攻撃の意志はなかったようで興味本位で飛び出したらしく、すぐに飼い主さんが出てきたこともあって噛み合いをするといったトラブルには至らなかったが、そのとき三匹に囲まれたラテは側にいた女房に抱きついた(笑)。
それから散歩途中でそのワンコたちに出会うとき、ラテは猛烈に吠えるようになった。

⑦ 大型のゴールデンが飼い主の手を振り払ってラテに唸り飛びかかってきた
この出来事も無事だったからこうして気楽にお話しができるがその瞬間オトーサンは大事になることを覚悟した…。
2018年3月の午後、散歩途中の公園脇をラテと歩いていたとき、公園の周りを取り囲む高さ1メートルほどの石垣の上から大型犬…ゴールデン・レトリバーが飛び降り歯をむきだしたままラテに突進してきたのだ。要は飼い主(女性)がリードを持ち公園の端を歩いていたときゴールデンがラテに気づき石垣を飛び降りたため飼い主の力では制御出来ず手を離してしまったらしい。
オトーサンは肩に斜めがけしてあるバッグと手に持った傘はもとより、オトーサン自身を盾にしてラテを守ろうとしたが、本稿③の事件の教訓で得た、必要以上にラテのリードを制御せず反撃し動き回れる余裕を持たせた。

Latte590_04_20221123081228ad5.jpg

※飛びかかってきたゴールデン。身に着けていたアクションカメラが撮影


まさか一般的に人間好きのゴールデンだからオトーサンを噛んでまでのことをするとは思わなかったからオトーサン自身の身を案じるつもりはなかった。ただただラテに傷を負わせないようにと奮闘し続けたがその時間は10秒とか15秒程度だったに違いないが、オトーサンには至極長く感じた。
幸い飼い主がゴールデンのリードに手を掛け静止させたので結果双方に何ごともなく済んだが恐ろしい一瞬だった。
いくら訓練済みのワンコだとしても子供や力のない女性が大型犬を連れて散歩するのは危険だと思う。

⑧ 大好きなNちゃんに飛びかかり顔に傷を付けてしまった
ヒヤリ・ハットにも色々な事例があるが、この件は飼い主ではなく馴染みの小学女子の顔に傷を付けて仕舞ったというオトーサンにとって絶望感一杯の出来事だった。
Nちゃんはこの地に来て最初に仲良くなったお子さんで当時幼稚園の年長だった。ラテはNちゃんをとても好きなようで近所の公園に毎日のようにでかけて遊んでいた。このNちゃんとの出会いが現在Nちゃんのご家族と、特にそのオカーサンと親しくさせていただく機会となった…。
Nちゃんに尻尾を引っ張られようと馬乗りされようとラテはご機嫌だ。そしてNちゃんは何度か我が家に遊びに来てくれた。
そんな2018年8月のある日、その日もNちゃんが遊びに来てくれ楽しい一時を過ごしたが、和室に常設していたラテの寝床に腹這いになっていたラテの真似をしてその隣にNちゃんも這いつくばった。共に笑顔だからと写真を撮った刹那「ガウウウッ」とラテが野奈ちゃんに飛びかかった。その様はまさしく襲いかかったように見えた。
オトーサンは咄嗟にラテを両手で払いのけたが見ればNちゃんの頬など三箇所に小さな傷があり血が滲んでいるではないか。オトーサンは血の気が引いていくように感じた。
女子の顔に小さいとは言え傷を付けてしまったことは取り返しがつかないしお詫びのしようもない…。ただしラテも「ガブッ」と噛んだ様子は無く歯を当てに行った感じだった。なぜ数多くの子供たちの中でも一番好きなNちゃんを攻撃したか…。後から思うにラテと並んで…というシーンはこれまでにも多々あったしそれでも今回のようなことはまったくなかった。

Latte613_03_20221123081230b8a.jpg

※この直後、ラテはいきなり唸りNちゃんに飛びかかった


ただ今回が特別なのは「ラテのホームポジション」であった一点だ。
オトーサンの油断と言ってしまえばそれまでだが、ラテは己の守るべき聖地を犯されたように思ったのかも知れないし、嫉妬深いこともあってその場を奪われるかも知れないと考えたのかも知れない。
ともかく傷を消毒し公園にいらしたNちゃんのオカーサンに状況をご説明し謝罪したが「いつもどこかに傷つくっているので大丈夫ですよ」と言ってくださった。
そしてNちゃん自身、もう怖くてラテとは遊ばない…と言うのではないかと心配したが、有り難いことに尻尾が下がっているラテを「大丈夫だよ」と撫でながら慰めてくれたのには驚いたし有り難かった。勿論幸いなことにその後もNちゃんとは良好な関係を続けている。

【最後に】
ともあれ、それぞれが本当に大事に繋がらなくてよかった。やはりオトーサンはラテを信頼してはいたがそこはワンコであり、我々人との考え方や喜怒哀楽に違いがあるわけで飼い主はどのような時にも油断してはならないことを多々学んだ。

Latte461_05_20221123081227055.jpg

ただし15年3ヶ月の間、こうして難がなかったわけではないが繰り返すが大事に至らずに済んだし、アレルギーの発症時期の苦悩や末期に首の腺腫が破裂したことなどはラテにとってもオトーサンたちにとっても大変な出来事だった。にも関わらず医者曰く老衰で亡くなる最後の瞬間まで痴呆は見受けられず視覚や聴覚もまずまず正常だったし手術を必要とするような大病を患わなかったことは喜ぶべきことなのだろう。
また特筆すべきは老犬になっても…いや、なってからこそ愛すべき存在であったラテというワンコの一生を託されたオトーサンたちは実に幸せな飼い主であった。


ラテ飼育格闘日記_828

残った膨大な量の写真を始めとしてラテの思い出は尽きないが、手元にある一冊のファイルは別の意味でラテの健康面に関する記録がファイリングしてあるもので、オトーサンにはこれまたお宝なのである。


Latte828_01.jpg


このファイルはそもそもラテを我が家に迎えることになった際に譲渡先と取り交わした誓約書を保存するために用意したものだ。
そこには、「今回迎える犬を室内にて終生育成し、家族で守ること」を始めとして譲り受けた飼い主が守らねばならないことが箇条書きされている。

狂犬病予防注射や混合ワクチンの接種、フィラリア感染予防や皮膚疾患への対処などを義務づけているだけでなく、「譲渡してはならない」「診察が必要な場合は速やかに動物病院へ連れて行く」など、ワンコの飼育や健康面で飼い主が守らなければならないことを明記し、もし譲渡側からの連絡や質問に答えない場合は返還することを承諾させるなど、かなり厳しい内容でもある。

Latte828_02.jpg

※ラテを譲り受けた際の誓約書


なかには「やむを得ず、継続飼育が不可能となった場合は連絡の上一度返還のこと」や「しつけをしっかりと行い、人間社会に共生し周りから可愛がられるこであるよう家族全員で努力し、指導に従う」、あるいは「老齢期には、家族全員で協力し老衰で旅立つ日まで介護を行います」といった具体的なことも記されている…。

オトーサンがこの誓約書にサインした2003年の12月にはこれらの一文は皆ただの印刷物に過ぎなかったが、今となっては実体験としてそれぞれに思いを馳せることができるし、何よりも幸いなことに本誓約書に違わずすべてを守り通し、やり尽くしたと自負している…。

その他、このファイルは15年の間、動物病院にかかった記録でもある。それはワクチンなどの接種証明書や健康診断、血液検査などの記録の他、それらにかかった費用…つまり領収書も残してあるからだ。しかしあらためて確認するまでもないが、ペットの医療費は別途保険にでも入っていない限りなかなかの高額であり、一度の診療で3万円を超えるケースも多かった…。

Latte828_03.jpg

※ペットの医療費は高い…


さらに2ヶ月あるいは3ヶ月毎に美容室に行った記録も残してあり、そこには体重が記録されていることから貴重な資料だ。
生後(推定)6ヶ月のラテを引き取った際の体重は9.1kgだったが、見るからに細く医者からも「もう少し体重を増やして…」と言われたものだ。それが半年後の2007年6月9日の美容室での記録によれば14kgとすでに平均体重になっている。しかしその後は20kg前後を推移し最高は21kgを越え、今度は「減量するように」とレッドカードが出た(笑)。

Latte828_06.jpg

※乞田川縁を歩く子犬時代…。まだとても細かった


ここの美容室では全身カットの他、シャンプーはもとより爪切り・耳掃除・肛門腺絞りやオプションで歯磨きまで処置してもらったこともあって、幸いラテは基本終生健康で過ごすことが出来た。
またいくつかアレルギー検査の結果も残っている。
なぜなら2011年(5歳)あたりから肉球を噛んで出血に至ったり、目の周りやマズルも掻き壊して一部紫色に変色した時期があったからだ。

Latte828_04.jpg

※なにか不安があるとオトーサンや女房の足(靴)の上に前足を乗せるのは当初からラテの癖だった


特に四つ脚は酷く、オトーサンはラテに歯を当てられながらも包帯を巻いた…。
なにしろアレルギー検査で92品目の内、29品目もの陽性反応がでたこともあり、食べ物は勿論使用するマットやタオルも綿のものは駄目なのですべて化繊のものに変更した。また苦労したのは鶏肉にアレルギー陽性反応が出たことだ。

主食となるドッグフードはもとより一般的なワンコ用オヤツにはまず100%といって良いほど鶏肉が使われているからでドッグフードも加水分解したそれまでより3倍強も高いものを与えるようになったり、オヤツもビーフ100%のものを苦労して探したりと大変だった。

Latte828_05.jpg

※飼い始めて1年半ほどでやっと表情が和らいできた


まあ、こうして終始してきた結果だろうが首に出来た良性の腺腫を別にすれば、15歳9ヶ月のなかで歯はもとより治療を必要する病気とは縁がなかったことは幸いだったし、若い時と比べようもないが視力も聴力も日常で不自由するほどには至らなかった。
オトーサンたちは日々ラテと向かい合い、慈しんできた自負はあるが、ラテが亡くなってから8ヶ月を過ぎた今、これほどまでに大切な…そして可愛いワンコと一緒だったこと、多くの思い出を残してくれたことに感謝している。



広告
ブログ内検索
Macの達人 無料公開
[小説]未来を垣間見た男 - スティーブ・ジョブズ公開
オリジナル時代小説「木挽町お鶴御用控」無料公開
オリジナル時代小説「首巻き春貞」一巻から外伝まで全完無料公開
ラテ飼育格闘日記
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

mactechlab

Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員