ダ・ヴィンチ「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版入手
勢いと縁とは不思議なものだ。先にレオナルド・ダ・ヴィンチの「マドリッド手稿」ファクシミリ版を入手したことを記したが続けて「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版が手に入った。
万能の人レオナルド・ダ・ヴィンチは多くの事柄に感心を持ち8,000ページ以上にも及ぶ直筆のノートを残した。そうしたさまざまな関心事の中でも特に空を飛ぶことを若いときから夢見ていたことは知られている。そしてヘリコプターや飛行機に匹敵するアイデアを考えスケッチとして残している。無論当時の時代においてこれらのアイデアが具体的な技術や成果として実現できたわけではないが彼の並々ならぬ思いに現代人も圧倒される。
この「鳥の飛翔に関する手稿」の内容はレオナルドの生涯に渡った飛行機械研究のすべてとはいえないようだが重要な部分を代表していることは間違いないといわれている。彼はその実現のために自然の鳥を観察し、空気の運動についても研究している。


※岩波書店刊のレオナルド・ダ・ヴィンチ「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版
無論人が空を自由に飛びたいというのは古代からの夢であったろうが飛行の原理に迫ろうとするものはレオナルド以前にはいなかったし彼はまぎれもなく飛行を力学的な問題として解決できると考えた最初の人ではなかったか...。
さてそうしたアイデアに関連するであろう研究として鳥の飛ぶ姿などを克明に観察して記録したノートが「鳥の飛翔に関する手稿」と呼ばれているものである。成立年代は1505年頃と思われているがそのオリジナルは現在トリノ王立図書館に収蔵されている。
内容は当然鳥の飛翔に関する力学的な考察を主とした記録だがこの「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版は他のファクシミリ版と比較して貴重な特徴を持っている。
少々詳しく「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版の仕様を記せば1893年12月31日にイタリアの王妃マルゲリータに寄贈された際に栗色のモロッコ皮容器に収められていたという。もともと西洋諸国では優れた本を美しく装丁する習慣があるが、モロッコ皮とは山羊の皮であり通常はタンニン剤でなめしたものが使われる。
その再現ということだろうか縦横が約212mm×298mm、厚さ約22mmほどの古風で立派な装丁となっており同質の材料で作られたケースに収まっている。そして背表紙には金文字で「LEONARDO CODICE SUL VOLO DEGLI UCCELLI」と記されている。
その前半は解説と和訳のページであるが肝心の「鳥の飛翔に関する手稿」はといえばその厚さの後ろ半分のケースに収められているわけだ。
その本体は約154mm×214mmほどのサイズで表紙と裏表紙を別にすれば18枚の紙が閉じられているものであり、表紙と裏表紙のそれぞれ反対ページにもぎっしりと書き込みがなされている。無論鏡文字で...。

※前半は解説と日本語翻訳ページで、後半部分に実物とそっくりの形で手稿が収納されている
ファクシミリ版の使命は「マドリッド手稿」の項に詳しく記したがそれらは学術的な研究材料として、あるいは愛書家の蔵書として、オリジナルの完全な代替品を意図して製作されるものだ。しかし原本は現在流通しているような書籍の形式をなしていないわけで、それらをオリジナルと同じ形で再現することは大変困難になってくる。
具体的にいえば原紙葉の外形の不規則さをそのまま印刷物とすることは機械による裁断を不可能とすることを意味するわけで本来現実的ではない。しかしオリジナルのままのファクシミリ版を求めたいと考えるのは人情である。
とはいえ原手稿の正確な輪郭を維持することはファクシミリ版としては不可欠になるわけで「マドリッド手稿」などは幾分大きめの紙面を用いてその中央にそれぞれのページを印刷する仕様になっている。
その点「鳥の飛翔に関する手稿」のファクシミリ版は特筆に値する大変手の込んだことをやっている。何故ならページ数が少ないという理由もあったかも知れないが、ともかくオリジナルに忠実にということでサイズが原本通りであることは勿論、各葉の切り口の不揃いや紙葉の大小、綴じ方や汚れなどを含めて実物そのままの姿に再現してあるのだ!

※手稿はオリジナルに忠実にということでサイズが原本通りであることは勿論、各葉の切り口の不揃いや紙葉の大小、綴じ方や汚れなどを含めて実物そのままの姿に再現しているのが凄い!
日常はフルデジタルの世界に埋没しているせいか、こうした500年も前のそれもレオナルド・ダ・ヴィンチの息吹を感じる手稿を手にすることは私にとって精神バランスをとるための大変重要なセレモニーのような気がする(笑)。
なお蛇足ながら記せば本「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版は原出版ならびに印刷製本がジュンティ・バルベーラ社によるものを翻訳・解説を付して1979年11月に岩波書店が発刊したものである。
万能の人レオナルド・ダ・ヴィンチは多くの事柄に感心を持ち8,000ページ以上にも及ぶ直筆のノートを残した。そうしたさまざまな関心事の中でも特に空を飛ぶことを若いときから夢見ていたことは知られている。そしてヘリコプターや飛行機に匹敵するアイデアを考えスケッチとして残している。無論当時の時代においてこれらのアイデアが具体的な技術や成果として実現できたわけではないが彼の並々ならぬ思いに現代人も圧倒される。
この「鳥の飛翔に関する手稿」の内容はレオナルドの生涯に渡った飛行機械研究のすべてとはいえないようだが重要な部分を代表していることは間違いないといわれている。彼はその実現のために自然の鳥を観察し、空気の運動についても研究している。


※岩波書店刊のレオナルド・ダ・ヴィンチ「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版
無論人が空を自由に飛びたいというのは古代からの夢であったろうが飛行の原理に迫ろうとするものはレオナルド以前にはいなかったし彼はまぎれもなく飛行を力学的な問題として解決できると考えた最初の人ではなかったか...。
さてそうしたアイデアに関連するであろう研究として鳥の飛ぶ姿などを克明に観察して記録したノートが「鳥の飛翔に関する手稿」と呼ばれているものである。成立年代は1505年頃と思われているがそのオリジナルは現在トリノ王立図書館に収蔵されている。
内容は当然鳥の飛翔に関する力学的な考察を主とした記録だがこの「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版は他のファクシミリ版と比較して貴重な特徴を持っている。
少々詳しく「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版の仕様を記せば1893年12月31日にイタリアの王妃マルゲリータに寄贈された際に栗色のモロッコ皮容器に収められていたという。もともと西洋諸国では優れた本を美しく装丁する習慣があるが、モロッコ皮とは山羊の皮であり通常はタンニン剤でなめしたものが使われる。
その再現ということだろうか縦横が約212mm×298mm、厚さ約22mmほどの古風で立派な装丁となっており同質の材料で作られたケースに収まっている。そして背表紙には金文字で「LEONARDO CODICE SUL VOLO DEGLI UCCELLI」と記されている。
その前半は解説と和訳のページであるが肝心の「鳥の飛翔に関する手稿」はといえばその厚さの後ろ半分のケースに収められているわけだ。
その本体は約154mm×214mmほどのサイズで表紙と裏表紙を別にすれば18枚の紙が閉じられているものであり、表紙と裏表紙のそれぞれ反対ページにもぎっしりと書き込みがなされている。無論鏡文字で...。

※前半は解説と日本語翻訳ページで、後半部分に実物とそっくりの形で手稿が収納されている
ファクシミリ版の使命は「マドリッド手稿」の項に詳しく記したがそれらは学術的な研究材料として、あるいは愛書家の蔵書として、オリジナルの完全な代替品を意図して製作されるものだ。しかし原本は現在流通しているような書籍の形式をなしていないわけで、それらをオリジナルと同じ形で再現することは大変困難になってくる。
具体的にいえば原紙葉の外形の不規則さをそのまま印刷物とすることは機械による裁断を不可能とすることを意味するわけで本来現実的ではない。しかしオリジナルのままのファクシミリ版を求めたいと考えるのは人情である。
とはいえ原手稿の正確な輪郭を維持することはファクシミリ版としては不可欠になるわけで「マドリッド手稿」などは幾分大きめの紙面を用いてその中央にそれぞれのページを印刷する仕様になっている。
その点「鳥の飛翔に関する手稿」のファクシミリ版は特筆に値する大変手の込んだことをやっている。何故ならページ数が少ないという理由もあったかも知れないが、ともかくオリジナルに忠実にということでサイズが原本通りであることは勿論、各葉の切り口の不揃いや紙葉の大小、綴じ方や汚れなどを含めて実物そのままの姿に再現してあるのだ!

※手稿はオリジナルに忠実にということでサイズが原本通りであることは勿論、各葉の切り口の不揃いや紙葉の大小、綴じ方や汚れなどを含めて実物そのままの姿に再現しているのが凄い!
日常はフルデジタルの世界に埋没しているせいか、こうした500年も前のそれもレオナルド・ダ・ヴィンチの息吹を感じる手稿を手にすることは私にとって精神バランスをとるための大変重要なセレモニーのような気がする(笑)。
なお蛇足ながら記せば本「鳥の飛翔に関する手稿」ファクシミリ版は原出版ならびに印刷製本がジュンティ・バルベーラ社によるものを翻訳・解説を付して1979年11月に岩波書店が発刊したものである。