白昼夢〜似顔絵コンテストの思い出と芸能界への不信感

エリカ様とかの離婚疑惑で芸能マスコミがまたまた騒いでいる。しかしまあ、他にネタがないわけでもないだろうし「べつに...」で総スカンを食らった女の離婚など別に騒ぐほどのことではないよね...と言ったら若い方に睨まれた(笑)。そういえば私には芸能界への強い強い不信感があるのだ。

 
いや、別に私自身が芸能界に何らかの関係があったという話ではないがすでに40年も昔の話ではあるものの「芸能界の人たちってこの程度の奴らなんだ...」という裏切られた思いをする出来事を体験したのである。
まあそれはたまたま関係者たちがいい加減な人たちだっただけで芸能界にも誠実な人物がいるのかも知れないが、当時は私も若く芸能界というところは皆キラキラしているだけでなく特にスターと言われている人たちはそれなりに立派な人たちだと信じていた部分もあっただけに大きなショックを受けたのだった。
今回はそんな大昔の戯言を聞いていただこう...。

私は自分で言うのも変だが、特に成績の良い子供ではなかった。しかし小学校のときは図工だけはよく、描いた絵は校長室に飾られる1枚に選ばれたり、板橋区の特選に何度も選ばれたりもした。
また中学でも美術の成績だけはトップクラスで、2歳下の弟は常に「オール5」をとり続ける嫌みな奴だったが(笑)、美術だけは「兄貴を見習え」と担当教師に言われたという...。ま、自慢話である(爆)。
高校に入ると単に風景や静物といった写生だけでなく似顔絵を描くのも興味の対象となった。
あるとき生徒会長の選挙演説ポスターを作るのを頼まれ、当時ファンだった吉永小百合の似顔絵を描き「私も応援しています!」などと吹き出しのある数枚を張り出したら立候補者よりポスターが大いに話題になったこともある。
就職した一部上場企業の職場でもパーティがあるとか人事や総務で必要があると「これをこのように作ってくれないか」といった依頼が舞い込む。無論それが私の仕事ではないからと断ると普段は声もかけない部長から「松田君、総務部長からの頼みなんだ。ひとつ助けてやってくれないか」と頼まれ、本職そっちのけでポスター描きをしたときもあった。

そのサラリーマン時代、同じ部署の女性に頼まれ簡単なジュエリーボックスの表に少女の絵を描いたところ実はその祖父という人が高名な日本画家だったそうで、たまたま私のいい加減な絵を見つけ「これは誰が描いたのか?」と聞いたそうだ。「会社の同僚の男性」と答えたところ普段無口なその人は「その人に伝えておくように...」と念を入れた後「全体のタッチを統一すれば素晴らしい絵描きになるよこの人は」とおっしゃったそうだ。
無論私は単純な世辞と受け取ったがその女性曰く「うちの祖父は他人から依頼される絵の評価は絶対にしない人なんです。その祖父の意見なので本当です」と真剣に言ってくれたことをいまでも誇りに思っている...。ま、ここでも自慢話である。それも過去の(笑)。

さて正確な時期は覚えていないが確か1969年か1970年のことだったと思う。たまたま喫茶店かどこかで広げた芸能雑誌に「似顔絵コンテスト」の募集が載っていたのを見たのである。
それは当時「美しい十代」というデビュー曲で人気を誇っていた歌手三田明の似顔絵を募集する企画ものだった。三田明はその後時代劇などにも出演していたからご存じの方もいるかも知れない。
そう、私が惹かれたのは賞品で、特選はステレオ、一等は三田明が選ぶスーツ生地一着分、そして二等は...といった当時としてはまずまず豪華な賞品だったし入賞者はスタジオに招待され三田明たちとも会えるというようなことも書かれていたと思う...。
私はエルヴィス・プレスリーやビートルズにリアルタイムに接していたと同時に三田明、舟木一夫、西郷輝彦そして橋幸夫という四天王と呼ばれるほどの人気者たちの青春歌謡の中で育った年代だから無論三田明は知っていた。いまでも「美しい十代」は歌えるが...とはいえ特にファンではなかった。ただただ得意の似顔絵で賞品を得ることができるかも知れないとやる気を起こしたのである。

似顔絵は日曜日の半日程度を使って描き上げ、雑誌に載っていた集英社へ郵送した。しかしその種のものは応募することが目的みたいなものでそのほとんどは忘れてしまうものだが、なんと自宅に「貴方は一等に当選したので何月何日の○○時に集英社の編集部に来い」という趣旨の電報が届いたのである。
電報というところがいかにも時代を感じさせるではないか(笑)。
ともかくその指定の日時はウィークディだったのでどうしようかと迷ったが、その事を職場の先輩に相談したところ「行ってこい」と便宜を図ってくれ、確か半日休みを取った形で千代田区一ツ橋にある集英社のビルを訪ねたのだった。

細かなことはまるで記憶がないのだが、係に連れられ確か地下のスタジオに連れて行かれた...。
そこではまさしく雑誌の表紙撮影をしているところで、三田明本人だけでなく弘田美枝子とうろ覚えだが...確か由美かおるが眩しい照明の向こうでポーズを取っていた。
言われるままに撮影を眺めていた私だがしばらくすると撮影が終わった三田明とそのマネージャーという男性が近寄ってきてマネージャーから名刺を受け取った。名前もいまだにうろ覚えながら記憶にあるがここには書かないでおこうか...。
三田明からも声をかけられたが何を話したか覚えていない。覚えていることはマネージャーから「これから三田は約1ヶ月ほど全国ツアーで時間がとられてしまうからツアーから戻ったら連絡する」という話を聞いたことだ。そしてその際にあらためて三田明から賞品を受け取って欲しい旨の話があり自宅の電話番号などの確認があった。

ここまでご紹介すればその後は予想していただけるかも知れない...。そう1ヶ月経っても3ヶ月たっても...いや半年経っても何の連絡もなかったのである。
それっきりなのだ(笑)。
いま思えば雑誌にも当選者として載ったはずだし賞品を受け取る権利があるわけで、マネージャーの名刺にある番号に電話をすれば良かったわけだが、当時の私は若かったことでもあり、賞品を要求する電話をかけることが嫌だったのである。
しかし考えれば三田明のマネージャーもいい加減なら集英社の当該編集部もいい加減だ。こうした企画の責任が芸能プロダクション側にあるのか、あるいは雑誌社にあるのか分からないが、私はあくまで雑誌の企画として応募したのだから、その結末もきちんと管理すべきと思う。

いや、別にそんなものなのだろうとあきらめた話だからとそれ以上調べもしなかったが、しばらく前にフト思いついてWikipediaで三田明を検索してみた...。
驚いたことにその経歴箇所には「1971年に所属事務所が倒産し、マネージャーが勝手に三田名義で多額の借金を作り失踪」という1行を見つけた。
その記述が文字通りの真実ならば、私に名刺を渡したマネージャー本人が問題の人物に相違ない。そんなトラブルを起こす人物が雑誌の懸賞うんぬんの応募者との約束を守るはずもないわけで多分に三田明本人には関係のないことなのだろう。
ともかく、まともに賞品を受け取っていたら忘れてしまう話しだったのかも知れないが、三田明や集英社への不信感をつのらせただけに忘れ得ない強烈な思い出として記憶に残っているのだから面白い。

ラテ飼育格闘日記(177)

毎日様々なシーンでラテを観察していると凄いなあと感心することが多々ある。一昔前はワンコなど本能のみで生きているような言われ方をしていたが、どうしてどうしてその行動は我々人間にも通じる経験に裏打ちされた高度な認識をベースとするものもあるのだ。

 

例えばオシッコの仕方である。妙なことを観察していると思われるかも知れないが、ワンコを飼うと最初に苦慮するのがオシッコ問題ではないだろうか。
特に部屋の中ではトイレシートを敷いた場所以外でやってしまったり、家具などにマーキングしてみたりとやりたい放題のワンコもいるようだ。また散歩の途中でも商店街のど真ん中でやってしまったり、店先を汚したりしては苦情が集まるのももっともな話である。
そもそもワンコのオシッコは我々人間が考えているように単純に膀胱を空にする行為ではないらしい...。

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※ちょっと気を遣っているのか、隣に座ったオトーサンの足に前足をからめるラテ


特に雄のワンコはマーキングが激しく、あっちで足を上げ、こっちでも足を上げるといったケースが目立つ。したがってワンコは膀胱を1度に空にしてしまうわけにはいかないのである(笑)。無論それは自分の存在をアピールするためだといわれている。そしてワンコ同士は相手のオシッコの臭いを嗅ぐことで相手の性別や健康状態までをも知ることができるらしい。
ラテを見ているとだんだんオシッコのポーズをする度に量が少なくなり、続けてオシッコをするときなど出ていないのではないか...と思う場合もあるくらいだ。それでも他のワンコのオシッコの臭いなどを嗅げば文字通り本能なのだろう...上書きをしたくなるのがワンコなのだ。

というわけで例えば朝の散歩時、昨晩の散歩から約12時間近く経っている場合もあり、その間室内でオシッコをしないとかなり我慢している状態のように思われる。したがって外に出た途端に最初のオシッコをはじめることもあるがそれでも膀胱は空にはせず、歩く課程で数カ所で用を足すことが普通なのだ。
その間通常は水を飲まないから膀胱には急激にオシッコはたまらないはずだし家の近くに戻った公園で朝の散歩最後のオシッコも多少にかかわらず無事に出る。したがってある意味その行為は意識して配分しているように思うのだ。

しかし最初はわからなかったが、雨の日は違う...。
どういうことかというと同じように朝の散歩で最初にするオシッコの時間が長いのである。
それは天気の良い朝の散歩とは違い、少しでも早く帰りたいという意識が働くため膀胱を空にしようとする行為なのだろう。ということはその後は夕方まで外に出られないことを学習したと同時に次の散歩の時間までオシッコをしないでも良いようにと意識的に膀胱を空にしようと図っていることになる。
とはいっても我慢していたオシッコを1度ですべて出し切ることができない場合も多い。

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※ボーちゃんと互角の戦いをするラテだがスタミナは完全に負けている(笑)


先日の雨の朝、いつものチー散歩 “地井武男のちい散歩にひっかけて、雨の日オシッコだけして早く帰りたい散歩のこと=ラテ辞典より(笑)“ コースでオシッコをした後しばらく歩いたものの2度目のオシッコもしないようなのでオトーサンは自宅の方にリードを引いた。
いつもなら素直に従うラテがこのとき強く抵抗するのである。オトーサンは「散歩が足りないのか」と思いラテの引くままにほんの数十秒歩き続けると遊歩道の一画で2度目のオシッコをした...。
オトーサンは試しにリードを引き「ラテ、帰ろう」と自宅の方向にリードを引くと今度はアイコンタクトしながら素直に従う。
この一連の行動、すなわちオトーサンがリードを引いたことに逆らったのはそのまま素直に考えるなら「1度目のオシッコではまだし足りなかったからもう1度オシッコのチャンスが欲しい」という意志・行為のように思えるのである。

それから野外におけるオシッコする場所もかなりのこだわりがありピンポイントに場所を選ぶ...。これが飼い主にとってはイライラするひとつなのだが、例えば広い公園一面に枯れ草状態のときオトーサンは「どこでも同じじゃん」と思うがラテはそうは思わないようだ。
「クンクン」「フンフン」を繰り返してかなりその場所、位置を特定しているようである。無論雄のワンコとは違い雌のラテは通常しゃがみ込んでオシッコをするが場所によっては雄と同じように片足をあげて行うときもある。ただしその体の構造上、この位置にかけたいと思ったにしてもオシッコは哀れ地面に落ちる場合が多く場合によっては自分の足を濡らしてしまうことにもなりかねない。だからオトーサンは思わず「がんばれ」と声援を送ってしまうのだ(笑)。

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※オトーサンに笑いかけるラテ。こんな表情を見るとオトーサンはメロメロだ...


ともかくオシッコの場所にこだわるということは反面、オシッコをしてはいけない場所を覚えさせるという意味で都合がよいことにもつながる。なぜなら、例えばラテとたまたま出向くコーヒーショップのテラスだが通い始めて3年半近くなるがこれまで1度もそこで粗相をしたことはない。
散歩の途中でもオシッコをしてはいけない場所にはなるべく近づかず、どうしても近づく場合でもリードを「チョンチョン」と引きながら通ることでオシッコをしてはいけない場所を覚え込ませることもできると考えている。

こうした高度な意識を持ち、学習した動きという意味ではオシッコだけでなく水の飲み方もなかなか興味深い。
何故かというとラテは水の飲み方も散歩のタイミングを図ってコントロールしているようなのだ。
例えばラテの朝食は散歩の前である。朝食を済ませてから時間にして約30分ほどで外出することになるのが普通だがこのとき食事の後はあまり水を飲まない。
それは多分すでに膀胱が満タン状態になっているからだと思われる...。なぜならオトーサンがリードを持ってリビングに入ろうとすると急いで水を飲み始めることが多いことでもわかる...。
「すぐに外に出られるからオシッコができる。では水飲んでも大丈夫ね」と判断しているように思えるのだ。

ともあれ室内でいつでもオシッコができるようにしてあるわけだが、ラテとしてはやはり出来るなら外でやりたいようなのだ。それはそれで良いとしても必要以上に我慢して膀胱炎にでもなったらこれは大変だし可哀想だからとオトーサンは意識して工夫しているもののこればかりは強制できないのが悩みでもある。
だから、散歩に出たとき最初のオシッコをしたラテを撫で「いい子だ!」と思わず声をかけてしまうオトーサンなのだ。

スティーブ・ジョブズの陰の部分に光を当てる!

スティーブ・ジョブズ氏はいまや世界でもっとも有名な経営者でありそして大金持ちのひとりである。アップルの共同経営者でLisa、Macintoshは勿論 iPodやiPhoneといった世界的ヒット商品を生み出したというだけでも歴史に名を残すのに十分だが、瀕死のAppleに復職した後の活躍たるやまさしくスーパーマンである。しかし彼は常に負の部分を多く持つ人物としても知られている。


私を含めて人間には程度問題はともかく誰しも表の顔と裏の顔があるといってよいだろう。いつも職場では笑顔を絶やさず先輩には受けが良く、後輩の面倒見が良い人物でも、もしかしたらプライベートでは人付き合いが悪い...あるいはその逆...といったようなことは世間で良くある話だ(笑)。
そして有名人だからこそ、根掘り葉掘り...あること無いことを穿り出されるといった感はするものの、スティーブ・ジョブズの負の部分はもう少し研究すべきことではないだろうか...。特にApple...というか彼とのビジネスを抱える人たちにとっては...。

彼の負の部分、陰の部分とは誰の人生にもあるであろう例えば青春の一時期...粗野で他人を顧みない言動をする...といったことではない。
私が最も忌み嫌うことは信頼している人たちを裏切るというその一点にある。

まず思い出されるエピソードだが、Apple社設立前の話し。アタリ社からブロックアウトというブロック崩しのゲーム機の設計を頼まれ、ジョブズは48時間で完成させ約束通り報酬の1,000ドルを得る。ただしジョブズの功績と評価されたその仕事、実はスティーブ・ウォズニアックの仕事だった...。

まあそれは良いとしてもだ、1,000ドルを得たにもかかわらず親友であるはずのウォズには「600ドルをもらったので折半しよう」と400ドルをちょろまかしたという事実は弁解の余地はない。後日それを知ったウォズは泣いたというがジョブズは「覚えていない」で済ましたという。
私がウォズならそれだけで絶交だ(笑)。

1978年5月、1人の女の子が生まれ「リサ」と名付けられた。ジョブズの子である。しかし直後から自分の子供であることを否定しつづけ養育費もまともに払わなかった...。
1979年の夏、ジョブズはやっと父子鑑定テストを受けることを承諾したが当時はまだDNA鑑定はなかったものの結果はスティーブ・ジョブズがリサの父親である可能性は94.97%と出た。しかしそれでも彼は自分の子供ではないと主張し続け養育費を払おうとはしなかった。

リサの母親はやむなく生活保護を受け、裁判沙汰となりようやく養育費を支払うことや医療保険を与えることなどに合意したものの、当の子供に会うことを拒絶し続け父親であることを認めなかった。ちなみにその後認知し和解しているが...。

また有名な話のひとつにApple社のストックオプションの話題がある。すでにジョブズはAppleが株式公開を果たしたことでアメリカ有数の金持ちになっていたが、自身の力を見せつけるためか創業期から苦楽を共にしてきた社員たちの多くがジョブズのひとことでストックオプションを与えられなかった。新たに入社した社員たちには与えたにもかかわらず...である。

なにしろ従業員第一号だったビル・フェルナンデスにも恩恵はなかったというのだから酷い話だ。
見るに見かねたスティーブ・ウォズニアックは「ウォズプラン」と名付けたプランを実施する。それは自分の持ち株の1/3ほどをストックオプションを受けて当然だがもらえなかった人たちに与えるというものだった。

1980年にジョブズにとって初の大きな挫折が待っていた。それは「宇宙をへこましてやる」と豪語までして開発を進めていたLisaプロジェクトから外されたことだ。この決定は社長のマイク・スコットによるものだが、マイク・マークラらも賛同していたという。
会長というポジションに祭り上げられたジョブズだったが目標を失っていたものの、翌年ジェフ・ラスキンが細々と進めていたMacintoshプロジェクトに目をつける。そしてCPUをモトローラの68000にするよう圧力をかけるなど大幅な路線変更を命じ、様々な口出しをするようになるがジェフ・ラスキンはなすすべもなかった。

結局ラスキンはジョブズと小競り合いを繰り返しながらもAppleを去らねばならなかった。
後年ジョブズは自分が苦境に立ったとき、愚痴のはけ口だったのかそのラスキンに自ら電話をしたという。彼には負い目や過去というものはないのだ(笑)。

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※Appleが1983年に制作したプロモーションビデオに出演した当時のスティーブ・ジョブズ


Macintoshの開発中にもスタッフらのガールフレンドや妻たちを酷評することは日常だったという。誰だって自分の彼女や女房の悪口など他者から言われたくはないがジョブズは他人の思いなどに気持ちが向く人間ではなかったようだ。そして開発スタッフらと外食に行けばスタッフらはジョブズの態度に目を伏せ恥ずかしさに震えなければならなかったという。

なぜならジョブズには出てきた料理を突き返すという癖というか習慣があったからだ。
自分の権力を見せつけようとするかのようになんだかんだと難癖をつけて料理を突き返す。間違った料理が運ばれてきたわけでもないのに...である。マナーも思いやりも彼にはないようだった。
さらに大金持ちなのに払い汚いことでも知られていたという。アンディ・ハーツフェルド曰く、支払いの段になって度々自分が支払わされたと発言している。もうメチャクチャである。

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※上記プロモーションビデオに出演しているアンディ・ハーツフェルド


「金持ちとゴミは溜まるほど汚い」というが金持ちの中にはどういうわけかドケチが多い。しかしどんな金持ちも一日に食べる量には限りがあるし、どのような高級服だって1度に一着しか着られないのに自身の財布から金が出ていくのを嫌うものらしい(笑)。
こうした悪ガキのような態度はビジネス上でも珍しくはなかった。それも社内だけでなく他社との折衝時、相手の話が始まった途端に「もっとましな話はないのか」と怒鳴って席を立つことも多々あった。

1996年、ギル・アメリオがAppleのCEOだったとき、そのアメリオの英断でスティーブ・ジョブズの会社NeXT社はAppleに買収されジョブズ自身もAppleに返り咲くことになる。
前後の事情はいろいろとあったがジョブズにとってAppleへの復帰は望むべきチャンスに違いなかったろう。しかし彼はそれをひた隠しにし、自分には大切な家庭やピクサー社もあるからと、あくまで顧問...アドバイザーとしてのポジションに徹するというポーズをとり続けながら裏に回ればしっかりとアメリオ追い落としの根回しを続ける。そしてそれらが功を奏し1997年7月、Appleの取締役会はギル・アメリオを退任に追い込むことに動く。

ジョブズにとってギル・アメリオはAppleに呼び戻してくれた恩人に違いなかったはずだが、その恩人すらジョブズは平気な顔で裏切る...。
ある意味アメリオの決断は、行き先のなかったNeXT社を救ってくれ、買収により自分をさらに金持ちにしてくれ、なによりもAppleの経営に携わるチャンスを与えてくれたはずなのに謀略により放り出すのがジョブズなのだ。

さらに今度は自分を推してくれたその取締役会メンバーの大半も辞任に追い込む。何しろあの創業以来の古参マイク・マークラでさえもその例外ではなかった。まさしくそれはクーデターと呼ぶべきできごとだった。
とにかくAppleの体制を立て直し業績を上げるという目的のためには恐怖政治さながらの雰囲気を社内に作ったことでも知られている。

よく話題になることだが、この頃Apple社内ではジョブズとエレベータに乗り合わせるのを怖がり階段を利用する社員たちが目立ったという。それはエレベータが目的の階に着くその間にクビになることがあったからだという。

さてAppleに復帰しAppleを盤石の体制にした功績は間違いなく彼にあるし最近ではジョブズも丸くなったという説もある。しかし自分自身を振り返るまでもなく、そしてビジネスにおいても多くの人たちと接してきた経験から私は「人の性根は年月が経っても根本的に変わらない」と考えている。

確かに歳を取り、残された時間が短くなり体力的にもかつてより劣ったと自覚をせざるを得ないとなれば人との接し方も違ってくるかも知れない...。とはいえ人間という生き物は...特に悪癖というべきものこそ捨て去ることは難しいようだ。

私は「Apple嫌いのプロダクト好き」と公言してはばからない1人だが、これまで長い間ユーザーとしてデベロッパーとしてAppleに接してきた経験からスティーブ・ジョブズという人物を優れた実業家として認めることは勿論だが、1人の人間として信頼に値する人物とは考えられない。ましてや尊敬に値する人物とは到底思えない。
彼の成功談、日の当たる面だけしか知らない方々は彼を一流の人物、尊敬に値する人物と見る傾向もあるが、そうした方々は彼と...Appleとガチンコのビジネスをやった経験のない幸せな方たちなのだとしか思えない(笑)。

無論私はいたずらにスティーブ・ジョブズを悪人に仕立て上げようとしているわけでは決してないし、ご紹介した一連のあれこれも古参のMacintoshユーザーなら1度は耳にしたことのある周知の情報である。そして彼だって多くの長所もあるに違いないしそもそも人の上に立つ人物は基本的にいつも孤独でありビジネスは過酷なものであるからして時には憎まれざるを得ない決断を余儀なくされることもあるだろう...。しかしそうしたこととこれまでご紹介したあれこれは次元の違うものだ。

まあ、こんな憎まれ口をたたいても何の得もないわけだが、世間にはAppleの躍進を追い風にし諸手を挙げてスティーブ・ジョブズを素晴らしい人物と評価する傾向があるのが些か気になるのだ。
確かにビジネスで成功することや金持ちになる...有名になるということが人生の目標であってもそれが悪いわけではない。そしてAppleという企業や魅力的なプロダクトも無くなっては困るわけだがスティーブ・ジョブズという人物は正当な理由も無く、理不尽きわまりないことで立場の弱い人はもとより、信頼すべき周りの多くの人たちを不快にし傷つけてきた男であることも忘れてはならない。

いずれにしても理由はどうあれ、他人を貶めてまで自分を正当化することなど誰であっても許されることではない。ともあれ私は以前スティーブ・ジョブズに直接苦情の手紙を書いたことはあるが間違っても本人とは直接関わりたくない。無論向こうは鼻も引っかけてくれないわけだが(笑)。

【主な参考資料】
・東洋経済新報社刊「スティーブ・ジョブズ-偶像復活


ラテ飼育格闘日記(176)

いつもラテと行く大きな公園の中に立った無粋な立て看板については当コーナーの「ワンコの”ラテ” 飼育格闘日記(158)」にご紹介した。その看板が立ってから早くも四ヶ月となるが我々飼い主はバカバカしいと思いながらも半ば看板の存在をあきらめていた。しかし先日の夕方、どうした風の吹き回しかその看板が無くなっていたのである。

 

その「禁止 犬の放し飼い ノーリード」という立て看板は前日の夕方まで間違いなくあったから、取り去ったのはその日の夜遅くか当日の午前中から昼までの間ということになる。
ともかく最初看板がないことに気がついたとき頭に浮かんだのは誰か個人が壊したのではないか...といことだった。無論看板の好き嫌いは別にして市が公的に設置したものを壊せば器物損壊となり罪になるわけだが、あり得ないことではない(笑)。
その確認の意味も含め看板のあった場所に近づいて確認したが、コンクリートが埋め込んであった部位そのものの根底から取り去られている。これは誰かがいたずらに壊したというレベルではなく正規に取り去ったのだろうと思われる。

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※久しぶりに滑り台でオトーサンと一緒に遊ぶ


まあどうでも良いことだが好奇心旺盛のオトーサンとしては「なぜ今になって取り外したのか」が気になるところであり、是非理由を知りたい。
当該看板が立ったとき、少なからずワンコの飼い主さんたちは苦情を申し入れたはずだが効果はなかったわけだが、それが今更撤去するとはどうしたことなのだろうか...不思議でならない。
もしかしたらこれまた危惧していたことだが公園で球技などしている子供たちがこの看板に接触して怪我でもしたのかもしれないと思ったが、そうした情報は耳に入ってこない。しかしこんなちゃちな看板でもまさか市の職員自身がここに足を運び、当人がコンクリートの地固めをしたりという作業をするわけもないだろうから、出入りの業者に依頼したならそれを立てるのは勿論撤去するにも費用がかかるはずだ。無論それは税金だ...。

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※あたし...ちょっと疲れちゃった(笑)


当日そこに集まった数人の飼い主さんらと「無くなってよかったねぇ」などと話しながら「明日になるともっと大きなのが立てられたりして...」などと笑い合ったが、とにかく撤去にはそれ相応の理由があるはずだ。
ある方は「(看板を立てた)相応の効果があったからですかねえ」とおっしゃる。確かに我々ワンコ連れとしては眉をひそめる対象だったが、そのアホらしさにこの公園に足を向けなくなった飼い主さんも実際にいたわけで、効果があったといえばあったのだろう。

しかしこの種のものは期間限定であるべきではない(笑)。一定の効果があったから撤去し、またしばらくしてから再度取り付ける...といった類のものではないはずだ。
例えば市が撤去を決断するに値する有力者の鶴の一声があったのかも知れないが、これまた万一そうだとしても褒められた話ではない。
そんなあれこれを考えていたオトーサンにフト思いついたことがある。
そういえばこの地域はその週末の日曜日、市長選挙ならびに市議会議員補欠選挙があったのだ...。
面白いことに(面白くないが)、この選挙運動期間中にはラテと散歩しているところに寄ってきてビラを渡そうとしたり、中には「可愛いねぇ」などとラテに世辞をいう選挙運動員もいるが無論ラテはそうした見え透いた奴らには良く吠える(爆)。

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※オトーサンに背を向けて寝ているラテ


だからオトーサンは一種の選挙対策か?と疑ったが、いくら何でもそんな個人的なことでこんなつまらないことを決めるはずもないと自身で打ち消してみたものの案外当たらずとも遠からずといったことなのかも知れない(笑)。
問題はこの立て看板消滅問題はこのままフェードアウトするのかどうだが、美観のためにも立てるなら公園の入り口などにしてもらいたいものだ。

さて、その公園に行こうとしていたある日曜日の朝、前を歩いていたワンコと飼い主さんの足が止まった...。それと同時にラテの動作が変わったことに気がついたオトーサンだが、最初は前のワンコを意識したからかだと思ったもののどうもそうではなさそうで落ち着かない様子。
ふと見ると我々が歩いている左脇に並んでいる金属製のフェンスの上をハクビシン(白鼻芯)が悠然と歩いているのだ!
大きさは一般的なネコより一回り大きい感じでなによりも太い尻尾が印象的である。
このジャコウネコ科の動物にはこれまで2度遭遇したが、これほど近くに寄ったことはなかった。

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※ハクビシンを激写!


ラテのリードが一瞬緩んだかと思ったら...何とオトーサンにしがみついてきた(笑)。その20キロもの重いラテを抱きかかえたが、ラテは抱かれたままで盛んに吠え立てる。
オトーサンは一緒にいた女房に「写真巧く撮って!」「激写!」などと叫ぶが女房は怖いらしく足が止まっている。
というわけで何とかその様子がまともに写っていたのはたった一枚だけだったが、どうやらこのエリアが住処のようで数匹いるようだ。
そして桜も葉桜になったこの時期、今年初めて「ホーホケキョ!」の声を聞いた。
間違いなく...春なのだ。

海外から購入したiPadを使うと電波法違反になるのか?

Appleの米国外への販売が1ヶ月延びたことでもあり、ヤフオクやeBayでiPadの出品がより活発化しているようだ。私も人の子(笑)、こうなりゃ適当なものを選んで直接購入してやるか...と思ったこともしばしばだが、問題はそのWi-Fiを使うことは電波法違反になるらしい...。気になることは2次情報ではなく自身で確認すべしと関東総合通信局の技適マークのQ&A担当部署に電話をしてみた。

 

最初にお断りしておくが、電波法違反...違反と何やらiPadの入手が出来ないからと嫌みったらしくいち早く手に入れた方々にプレッシャーをかけようとしているわけでは決してない(笑)。自分自身の問題なのである。
ともかく関東総合通信局のウェブページの技適マークQ&Aコーナーを確認してもそこには「...違反となる場合があります」と曖昧な物言いでしかない。出来ることなら自分自身は後ろ指を指されたくないと常々考えている一人として海外からのiPad購入は適法なのかあるいは本当に電波法違反なのかを知りたいと考えたわけである。

総務省管轄、関東総合通信局の技適マークのQ&A担当部署に電話をしたところ課長職の男性が丁寧に教えてくれたので私の方もざっくばらんに聞きたいことを聞いてみた。
具体的にApple iPadという製品名を出し「海外から直接購入を考えているが」という前提で質問をしてみた。
最初に「ウェブの表記では...違反となる場合があります...と曖昧だが実際はどうなんですか?」の問いには苦笑しながらも「明らかに電波法違反ですね」との回答。
ただしiPadに限らず製品の売買に電波法は及ばないので販売や購入などといった流通は取り締まり対象ではなく適法とのことだった。

ではそもそもなぜ現時点で海外から入手したiPadのWi-Fi利用が電波法違反なのか...。
具体的には「技適マーク」の取得がなされていないからということで、いわゆる日本国内での利用許可を受けていないわけだ。

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※技適マーク


ちなみに手元のiPhone 3GSを確認してみると本体裏面には確かにその技適マークがあるし、電源をONにして「設定」/「一般」/「情報」から「認証」を確認しても技適マークが明記されている。これがいわゆる日本国内における正規品の印である。

総務省の電波利用ホームページによれば「電波波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない重要なものですが、電波は有限希少ですので効率的に使って頂くために、使用するチャンネルや送信出力、無線機の技術基準など様々なルールが設けられています。技適マークが付いていない無線機の多くは、これらのルールに従っていません。このような無線機を使用すると、知らずに他人の通信を妨害したり、ひいては社会生活に混乱を来すことになりかねません。」とある。

正直あまりぴんと来ないというか現実的とは思えない表現だ。しかしきれい事になるもののソクラテスではないが万一それが悪法だとしても法であることには違いない。それにこの種の規制はわが国だけのものでなく前記した「認証」部位にもあるとおり、各国それぞれが法律に基づいて認可制をとっている。

Appleはまず米国内での販売からスタートしたわけで当然当該製品に技適マークがついているはずはないが5月下旬から販売されるというiPadには間違いなく技適マークは取得しているはずだ。したがって問題なのは現行でヤフオクやeBayなどのオークション、あるいは友人知人たちに依頼して国内に持ち込んだiPadだ。ただし繰り返すが購入自体は何の問題もなく注意すべきはWi-Fiの利用なのである。

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※初代iPad(上)。背面には確かに技適マークはなかった(下)。当時クライアントから開発支援の仕事のためにいち早く供給された品


とはいえWi-Fiの活用無くしてiPadの妙も体現できないわけだからと電話口で正面切って聞いてみた。
「もし私がそうした違法製品を購入してWi-Fiを使ったらどうなるのか」と...。その答えだが、現実的に個人が手に入れたiPadのWi-Fi利用を監視あるいは違反の特定をできるはずもないので、実際には指導の範囲を超えた行為は出来ないとのことだった。

しかし注意しなければならないことはある。それはオークションなどのグレーマーケットでは詐欺まがいな扱いをされる可能性があることは別としても、入手後例えばUstreamなどであからさまにiPadのWi-FI利用のあれこれをアピールするといったことは止めた方がよいだろう(笑)。
一応罰則もあり1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となるらしい。

そういえば先ほどヤフオクにアクセスしてみたが予想通り1ヶ月延期のニュースでヒートアップしているようだ。とあるiPad 32GBをウォッチしてみたら国内予想価格の倍近くまで価格が高騰している。それ自体入札者も納得ずくなのだからトラブルなく取引が成立するなら第三者が文句をいう筋合いではないが...酷すぎる...。

私はといえば1ヶ月入手が遅れることで仕事に支障がないかといえばゼロではないものの、今のところ大きな問題にはならないと思うので立場上個人用は正規なものを入手することに腹を決めた。
それにしても人騒がせのバカヤローはAppleである。報道発表の最後に「iPadの発売を待ち望まれていた米国外の多くのお客様には、このニュースに失望されることと思いますが、iPadがかくも米国で大成功を収めているという発売延期の理由を聞いてご了解いただけることを希望いたします。」とある。
...んなこと了解するお人好しなど、どこにいるんだろうか...アホらしい(笑)。せめて5月下旬の発売日には潤沢に供給してもらいたいものである。

【追記情報】
この技適マークは本来「見やすい箇所に付す」ことが義務づけられていたわけで一般的には機器の背面などに明示されていたが、近年「電磁的方法により記録し、当該端末機器の映像面に直ちに明瞭な状態で表示することができるようにする方法」が承認された。
すなわち液晶ディスプレイに表示する方法でもOKとなったのである。したがって今回のiOS 4.2 アップデートに伴う技適マーク表示の追加は間違いなく合法的なものであり、これで私の手元にある最初期のiPadも大手を振って活用できることになったわけだ。

総務省電波利用ホームページ/技適マーク、無線機の購入・使用に関すること




iPad と Lisa に共通するアップルイズムとは?

何とも挑発的なタイトルである(笑)。現在世界中で大きな話題となっているAppleのiPadと27年も前に生まれた Lisaとどのような...それも親密な関係があるというのか...。無理矢理話題性を演出しているのでは...。そう思われるのも無理はないが私はいたってまじめである(笑)。

 
とはいえ、LisaとiPadは似ている...といった暴論を吐くわけではないが面白いことにその根底に流れているアップルイズムとでもいうべきコンセプトに文字通り共通項を感じるからである。
それを説明するためにまずは先日4月8日のスペシャルイベントで元気な姿を見せたスティーブ・ジョブズのスピーチを思い出していただきたい。その冒頭で大変印象深いシーンがあったのだ。
それは登壇した後、iPadやアプリケーションの出荷台数ならびに販売数などの報告をした後、「それ以上に大切なこと」とジョブズ自身が断った上でApple直営店で撮ったという写真を見せ、ジョブズはユーザーがこの製品を気に入ってもらえることが重要なのだと発言した。
記憶に残っている方も多くいらっしゃるのではないだろうか。

その写真には女の子がiPadの箱を開け、その箱を嬉しそうに頭上にあげ、本体を抱きしめて喜びを体全体で表している3つのシーンがあった。
おそらくAppleファンの親に連れられてApple Storeに来店した子供なのだろうがその嬉しさは演技ではなく本物だと言うことがひしひしと伝わってくる。
この種の写真をこうしたイベントで紹介した例はあまり記憶がないが、ジョブズ自身にとってもアピールするに足りる写真だったからに違いない。

iPadforSE.jpg

※2010年4月8日に開催されたAppleスペシャルイベントの印象的なシーン


パーソナルコンピュータといった製品に限らず、自分が本当に欲しいものを手にしたとき我々は真から喜びを感じるものだし私自身これまでApple IIや幾多のMacの新製品を手にしたとき驚喜したものだが、この類の高揚は身近の友人知人たちを見回してもWindowsユーザーにはあまり見られない。
とはいえ1980年代前半にApple IIを、そして1984年にMacintoshを手にした当時のユーザーが感じたワクワク感と2010年4月にiPadを手にしたユーザーのワクワク感がまったく同じだとはいわないが、こうしたコンピュータ端末を手にして技術者ではない一般の人たちが無類の喜びを感じるそのことこそAppleブランド特有のものでありアップルイズムなのだ。

なぜなら、Appleが...というよりスティーブ・ウォズニアックが最初に製品化したApple Iはそもそもが売る目的というより、自分の楽しみのためでありコンピュータグループ仲間に自慢し喜んでもらうという一番の原動力があった。そしてApple IIで文字通り大成功を収めたAppleはスティーブ・ジョブズ主導でLisaというコードネームを持った新しいパーソナルコンピュータ開発を発案するがその進むべき方向をゼロックス社のパロアルト研究所(PARC)を訪問した際にAltoならびにSmalltalkで構成される暫定ダイナブックのデモ、特にそのGUIに見出すことになる。
PARC訪問から一ヶ月そこらでLisaの設計者たちが作った設計要綱はそれまでにないものであり、それこそアラン・ケイやラリー・テスラーらが持っていた精神的な部分の開花ともいえる内容を含んでいたという。
なぜならそれには「Lisaは使って楽しくなければならない」と書かれ「このシステムは仕事だからとか上司がやれというから」使うシステムにはしない。Lisaを使うことそのものが報酬となって、仕事が充実するよう、ユーザーとの相互作用における友好性と機微には特に注意を払わなければならない」とあったという。
無論コンピュータの歴史の中で本来無機質な機械の設計にそんなことを考えて開発しようとした製品などなかった...。
しかしその感覚こそまさしく私たちが黎明期よりずっとApple製品に抱いてきた思いそのものである。

例えば朝起きてMacintoshの姿を眺めて電源を入れる...。その「ポーン」という起動音を聞くと何か今日も楽しいことが起こるような気がして嬉しくなる。思わずその筐体を軽くたたいて「今日もよろしくな!」とつぶやく(笑)。
それは現在、私の机上にあるLisa 2/10 をしても同じであり、いまだに頬ずりしたくなるほど愛しい(笑)。

Lisa210.jpg

※筆者所有のLisa


こうした経験をしてきたMacintoshユーザーは多いに違いないがWindowsマシンに対して同様な思い入れはほとんど聞いたことがない。あくまで実用的なマシンといった位置づけなのだ。
この「Lisaは使って楽しくなければならない」というアップルイズムはその後のApple製品のいくつかにも強く感じられる。
Macintosh 128Kは勿論、PowerBook 100、Newton、初代iMacなどなどであり近年iPod、iPhoneはもとよりこの度のiPadでその血脈は開花したように私には感じられるのである。

無論一方(Lisa)は当時10,000ドルもしたビジネス指向のマシン、他方(iPad)は499ドルから購入できるコンシューマ向けの製品といった大きな違いがあるが、アラン・ケイらが思い描いたあのダイナブックは子供が楽しんで使えるマシンでもあった。そして冒頭に紹介した女の子の写真が物語るように、子供が胸に抱きしめるマシンが存在しているという事実はAppleの血脈、アップルイズムが健在である証拠だと確信し、古くからのAppleフリークとしては嬉しくて仕方がないのである。

【主な参考資料】
・Michael Hiltzik著「未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明」毎日コミュニケーションズ刊
・斎藤由多加著「マッキントッシュ伝説」アスキー出版局

ラテ飼育格闘日記(175)

天候が不順というか、雨が多い気がする昨今だが天気が良くても散歩で友達ワンコに会える機会はそんなに多くない。だから気が合うワンコに会えた時には帰り道、ラテの表情もいささか嬉しそうだし相応に動いたときには満足感もあるらしく態度が違うのが面白い。ただし、いまラテは肉球の傷が治らず痛々しいのが難点なのだ...。

 

ワンコが自身の体を舐めたり掻いたりするのはごく普通の行為だが、これが病的な頻度となると困ったことになる。場合によっては皮膚が炎症を起こしそこから細菌などに感染することもあるという。
ラテはこれまで肉球に外傷を負ったことはあっても比較的早く回復したし、その後に傷口を舐め続けたりということはなかったように思う。それが今回はいまのところ大した傷ではないと思うがなかなか直らないのである。
それはやっと良くなってきたかな...というときにまた傷口を前歯などでガシガシとやり、ペロペロが続くからだ。
見ているとそれが病的に夢中な感じになるときがありオトーサンは思わず「ダメ!」とラテの足を握ってしまうほどなのだ。とはいえ24時間ラテの隣で足を握っているわけにもいかないわけで、オトーサンの目の届かない時にガシガシは続いているようなのだ。

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※オトーサンが巻いた包帯をそのままにしているラテ


そんなわけだから散歩の時にも足を引きずって歩く場合もありオトーサンとしては痛々しいだけでなく心配で散歩から帰ると足を洗った後に消毒することにしている。
消毒は動物病院でもらったイソジンを使うが、これなら舐めても問題はないということなので安心して使えるわけだ。
オトーサンはそのイソジンの小さな瓶と綿棒数本、それにティッシュなどを持ってラテのいるリビングに入っていくが面白いのはラテの反応である。
このオトーサンの行為は治療であるからして少なからずラテも痛い思いをするはめになる。なぜなら綿棒が傷口に当たるとき、場合によっては「キャン」と小さな叫び声をあげることもあるわけだ。
しかしオトーサンがその治療セットを見せながら近づくとラテは逃げるどころか自分から近づき、お手をする...(笑)。

まさか「治療してちょうだい」というのではなく困ったことにイソジンを舐めるのが好きなようなのである。治療が嫌で逃げ回るのも困るが、向こうから近づきお手されるのも何か変である(笑)。
ともかく綿棒にイソジンをしみ込ませて患部に塗るわけだが気をつけないと塗る側から舐められてしまうし、塗ろうとする綿棒を直接舐めようと長い舌を振り回すのだから困った奴である。ともかくせっかく患部にイソジンをつけた後に即舐めてしまわないようにとガーゼをあてオトーサンがその前足を軽く握っているしかない...。
まあ2,3分握っていて手を離すとペロペロとされてしまうが、まあやらないよりは良いと思って続けているが結果はあまり芳しくない。

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※久しぶりのツーショットだ(笑)


そんなときオロナイン軟膏が効くという話をお聞きし早速小さなチューブのやつを買ってみた。
そういえばこのオロナイン軟膏は子供頃には万能薬みたいに傷口や小さなやけど、しもやけなどに多々お世話になった塗り薬だが無論ワンコ用ではない。
問題はイソジンと違い舐めて良いはずはないことだが、もしかしたらラテも不味いものなら舐めないかも知れないし患部に薄く塗る程度だから万一舐めてもそんなに悪影響はないのではないかと素人判断でやってみることにした。

いやはやラテはまことに困ったワンコである。イソジン同様オトーサンの指先に塗ったオロナインを舐めようと攻撃を開始するのである。無論オトーサンの防御は堅くラテの前足の患部に指先に塗ったオロナインを押し込んでなるべく優しく触れるように塗るがラテは痛いのか「ビクッ」と足を引っ込めようとする。
そうしたあれこれに気を取られていたらこの娘は何としたことか、そばに置いたオロナイン軟膏のチューブを口に咥えようとするのである。そうした攻防戦を制したオトーサンは小さなガーゼを包帯代わりにと前足に巻き、軽く結んでしばらくは直接舐められないように工夫した。しかしこんなものはラテがその気になればあっという間に咥えて引きちぎられてしまうことは百も承知の上だが、ともかく短い間でも患部に薬が塗られた状態で置いときたかったからだ。

ただし今回はオトーサンが側にいるので遠慮したのか包帯を気にして少し舐めるが外そうとしないで静かにしている。オトーサンもそれを意識してしばらくラテの元に留まり体を撫でていたがいつまでもこのままでいるわけにもいかないと薬など一式を持ってラテの側を離れた。そしてゴミなどを処理し、のどが渇いたからとペットボトルのお茶を飲むなどしてからまたラテの元に戻った。
この間、10分程度だと思うが驚いたことにラテの左前足にはさっきのまま...オトーサンが巻いた包帯がそのままにされていたのである。
嫌がってオトーサンの姿が見えなくなれば即邪魔な包帯を取ってしまうものと考えていたオトーサンはちょっと感激!
ま、偶然なのかあるいは多少でもこのままの方が楽だったのかは分からないがオトーサンが嫌なことをしたといった単純な思考ではなく自分の痛いところを対処してくれたことは理解しているようにも思う。

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※ちょっと足をかばいながらも嬉しそうに遊ぶラテとボーちゃん


さて話題を変えるが先日、いつもの公園に入ると馴染みのワンコは誰もいなかった...。仕方がないので公園の脇でしばらく遊ばせてから戻ると久しぶりに柴犬のクロちゃんの姿が見えた。
近づいて飼い主さんに挨拶しているところに女性が歩いてくる。
それはいつも黒いラプラドールを連れていた方だったが、ワンコを連れていない...そして見るからに寂しそうなそのお顔を拝見してオトーサンは「これは...」と直感したのであった。
それはその黒ラブちゃんが少し前、確かヘルニアの手術を受けたとかで腰の部分を飼い主さんが持ち、吊った状態で歩いているところに遭遇したことがあったからだ。お聞きしてみると手術後のリハビリだということだったが、大型犬だからして細身の女性では大変だなあと思いつつ「お大事に!」と分かれたことがあった。そしていつもその方とお会いするときにはワンコが一緒だったことでもあり、今回みたいに飼い主さんだけで公園に来られるといったことはこれまで一度もなかったはずだ。
それにラテがその雌の黒ラブちゃんに対して吠えるので近づいてお話しする機会もなかなかなかったが、この時なにか悪い予感がしたのである。

お聞きしてみると黒ラブちゃんは急死したとのこと...。
ヘルニアの手術とは関係ないようだが、様態が悪くなり食欲があるにもかかわらず激やせしはじめたとのこと。飼い主さんのお話だと癌だったようだ。
これまでプライベートなお話を伺ったことはなかったが学生時代に大学の先生から子犬を譲り受け9年間ずっと一緒だったこと。ワンコを快適に飼うことを優先に考え、専用のマンションに移ってこられたとのことなどをポツリポツリと話される...。その心情は察するにあまりある...。
命に限りがあることは誰でも理解していることだが、愛する者を失う悲しさ寂しさは理屈ではない。

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※この時期ラテとの散歩道はレッドカーペットならぬ桜の花びらで敷き詰められる...


部屋に入ると愛犬のいない空間が寂しく、思わず散歩に出ていたこの公園に来てみたという。
これまで吠えるので近づいたことがほとんどなかったラテを撫でながら「妬いてくれるワンコがいなくなって寂しい」とこれまたポツリ。オトーサンは思わず心の中でもらい泣きしてしまった。
そういえば、初めて触れてくれたその飼い主さんにラテは吠えたり嫌がったりすることなく大人しくされるままにしている。
なにか相手の悲しみを分かっているような気がしてオトーサンはその姿を半ば呆然と眺めていた。

ラテ飼育格闘日記(174)

雨の日の散歩はオトーサンも辛いがラテ自身気が乗らないようで可愛そうだが、こればかりは仕方がない。しかし雨であろうと風が強かろうとラテと散歩に出るときにはひとつでも新しい発見が出来るようにと意識的に心がけている。それがオトーサンの楽しみでもありエネルギーにもなっているのだ。

 

雨の続いたある日のウィークディ...。夕方の散歩に出ようとラテにレインコートを着せるがいつものように体が硬直して何だかロボットに着せているようで可笑しい...。それでも外に連れだし散歩を始めたが、どうもラテの様子が違うようなのだ...。
もともと雨の日はいつもの散歩コースとは違い、近間で用を済ませて帰りたがるラテなのだがその日もスタートは同じだったものの途中で遊歩道の方へリードを引く。まあ、雨の日は公園に行ったところで友達のワンコもそして小学生の女の子たちもいないだろうから多少は自由にさせてやろうとラテが引くに任せてオトーサンも歩くことにした。

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※大あくびのラテ(笑)


ラテがレインコートを邪魔そうに時々「ブルブル」しながら通常とは逆方向に遊歩道を進む。そのまま川の方へ直進するのかと思ったが、急に国道の方へ左折...。まったく何を考えているのか分からないままオトーサンも面白がってラテのリードのままに歩く。
国道沿いの信号を渡りたいという意志のようでしばし信号が青になるのを待つが、この辺はそもそも通常の散歩コースには入っていないのである。

ともかく信号を渡り終えて歩道を右折し、しばらく歩くと電車の高架下にある小さな公園に入っていく。
場所が場所だから、雨に濡れていない場所もあってラテはその乾いた土と砂の感触を楽しんでいるようだが、ここに立ち入ったのは初めてなのだ。
雨の日の行きがかりといえばそれまでだが無論ラテ自身もこの初めての場所を目当てにリードを引いてきたのではないだろう。オトーサンは面白いというよりラテの行動に興味を持ったので危ないエリアは避けるとしても行きたがる方向へ歩くことにしてみた。
やはりラテにとっても道は濡れていない方が好みなようで、乾いた場所を選びつつひとときをその公園で遊んでいたが10分ほどで飽きたようだ(笑)。

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※仲良しのビーグル犬ハリーちゃん、ボーダーコリーのボーちゃんと。ラテはいい顔しています


愉快だったのはその公園を横断して再び国道に沿った歩道に出た。そして今度は元来た方向に戻る形でスタスタと歩く...。勿論まだ雨は降っているのでオトーサンは傘を差し、レインコートで覆っていないラテの頭部分はかなり濡れている状態だが雨が入らないようにと耳を後ろに倒し目を細めてスタスタと歩く。
「おいおい...ラテ、どこに行きたいの?」とオトーサンは思わず声をかけるが、ラテはチラッとこちらを見上げただけで黙々と歩道を歩く...。
ほんの数分歩いたときにラテは急に右折しそこでピタっと止まった。
オトーサンが傘をあげて見ると何ということか...そこは馴染みのコンビニであり、ラテはその店頭にある電話ボックスの前に座り込み、オトーサンを見上げて「ペロリ」と舌なめずりをしているではないか(笑)。

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※大好きなマキちゃんとラブラブチューです


オトーサンは思わず「くくくくっ...」と声を出して笑ってしまう。そういえばかなり前にラテを連れてこのコンビニに通った時期があった。
電話ボックスのポールにラテのリードをつないでオトーサンが買い物をする間ラテを待たせるわけだが、ラテはよく吠えるのだ。
そこにワンコがつながれているから犬好きの人はほほえんだり、時には手を出して撫でようとするらしく、その度にラテは「ウォーオオオオン!」と吠え威嚇する。
まあまあこのワンコは一見の大人には厳しいのである。
あまりに激しく吠えるので買い物の途中のオトーサンも心配になり一端外に出て様子を見なければならずオチオチと買い物をしていられないため、この小一年ラテを連れてのコンビニ行きは避けていたのだった...。

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※素晴らしい夕焼けを眺めながらラテと歩くのは楽しい!


しかしそのコンビニの電話ボックスの前に座り込み、舌なめずりするというその意図は無論知れているではないか。
偶然にその場所に行き会い、思い出したのかも知れないし、何らか食品の臭いがしたのだろうか。そしてこの場所は待っているとオトーサンが何らしか美味しいものを持って出てくるところで、自分にもそのお裾分けがあるということを記憶しているとしか思えない。
仕方がないというか、そうまでして期待されてはそれに応えなければならないとオトーサンはラテを希望通り?電話ボックスのポールにつなぎ店内に入った。
途端にラテは誰かに向かって吠えている(笑)。
ともかくラテのオヤツとオトーサンの飲み物などを買って外に出るとラテは口を開け、期待度100%で尻尾だけでなくお尻ごと振っている(爆)。
オトーサンは傘を差しながらもオヤツの一袋を開け、そこからひとつをつまみ出してラテに与えた。

その後は出だしにあれほどリードを引いたラテだったのに面白いほどにオトーサンにきちんとついて歩くのだから可笑しい。
横断歩道を戻る形で渡り直進し、すぐに遊歩道脇を右に折れれば自宅が見えるわけだが、ラテは満足したのかまだまだ雨が降り止まない道を素直についてくる。
こうして雨の日の夕方の散歩は無事に終わった。正直天気の悪い日の散歩はおっくうなものだが、こうした小さな出来事のひとつひとつにオトーサンの気分も晴れるのである。

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
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