これまで北は北海道、南は広島・山口あたりまでを飛び回り多くのセミナーや展示会に参加すると同時に大学も含めて講義・講演をしてきた。多摩美術大学や東北芸術工科大学での講演はいまだに記憶に残っているが、なんと今回小学6年生を前にして話しをすることになった…。
1月27日の昼過ぎ、私は都内のとある小学校の校門を潜った。98名の小学6年生に講義をするためだ。講義という表現はいささか固く子供たち相手には相応しくないと思うが、まあそうした心意気でその場に臨んだのである。

実はしばらく前の事だがiPhoneに非通知電話が入った。出て見るとOさんだったが電話をいただくのは初めてだった。
Oさんが小学校の先生をされていることはご家族から随分と以前に知らされていたが、このOさん…O先生と初めて出会ったのは2007年の春先だった…。そのときOさんは小学生で、広い公園に沢山のワンコたちに囲まれていた。
幸いなことにOさんのご家族が飼っていたワンコと私が飼っていたワンコは仲が良く、必然的に飼い主同士もお話しする機会が増え、現在でもOさんのお母様とは時々情報交換している仲となったのである。
いわばワンコが取り持つご縁だということになるか…。
電話でのご依頼は小学6年生98名に将来職業選択する際参考になるであろう私の経歴を話して貰えないだろうかということだった。
私の経歴がそのまま子供たちに役に立つとは思わなかったが、小学6年生の子供たちという点に興味を持った。個人的に私は現在の情勢は子供たちの将来にとって決して望ましい方向では無いと考えているし、ある意味でその将来を心配している一人でもある。
ともあれ役に立つかどうかは分からないものの私にとっても新しい挑戦になるに違いないとその場で快諾させていただいた。
しかし冷静に考えると大人に対してとは違った難しさを感じるし限られた45分間で多少なりとも心に残る話しができるだろうか…には些か自信が持てない。
ともかく早速Keynoteで簡単なプレゼン資料作りを始めた。言葉だけでなく多少でもビジュアルを見せた方が印象も深く飽きないだろうと考えたからだ。
問題は私のApple M1 MacBook Airにデータを作って持ち込んだとして、果たして教室・会場にある設備で間違いなく大型モニターとかプロジェクターに接続できるものかについては心配だった。M1 MacBook Airはご承知のように外部ポートはThunderbolt(Type-c)のポートしか無い。
ちなみに時代が違うとは言え私の現役時代はこの機材の合う合わない、あるいは足りないということでせっかく遠出してきた現地で思うようなプレゼンが出来なかったことが多々あった。事前にメモリは最低何メガ、カラーのグラフィックボードが必要、あるいはプロジェクターなどへの接続はこれこれこのようなポートを持つ変換アダプタが必要ですと電話し念のためFAXしておいたにも関わらず揃っていなかったり、そもそもSCSIやらADBポートと言っても相手に通じないこともしばしばだった。
そんな不安が頭をよぎったし一度は簡単な打ち合わせをとO先生とFaceTimeでお話しする機会をいただいた。しかし時代が変わったとはいえ、O先生はMacBook Airを所持しており私の持つ不安を払拭させてくれた。ありがたいことである。
話しをする当事者の不安は話しの内容ではなかった。限られた45分間に用意した内容をきちんと伝えることができ、最後の質問コーナーも含めて時間延長にならないようにと練習も繰り返した。
O先生に導かれて校舎に入ったが、当然のことながら先生であろう人々が行き交っていたし、入り口には事務室があり職員の方もいる。その姿を見て一瞬私はおかしな感覚に捕らわれた…。
私の記憶の底にあるこうした風景だと事務職の方はもとより教師らも皆オジサンやオバサンだった。しかし目の前にいらっしゃる方々は若く、私には一瞬子供のように見えたのだ(笑)。無論これは自身が爺さんになっていることを忘れているからなのだろうが楽しい違和感であった。
さて、五時間目の授業ということで広い教室に98名の生徒さんが床に膝を抱えるようにして集まり私の講義が始まった…。

テーマは3つに分けてある。ひとつは「なぜ私はパソコンのソフトウェア開発を仕事にしたのか」。二つ目は「パイオニアの心得」。そして「なぜ人は仕事をするのか」であり、これらはO先生からの指定であった。
私自身の話のやり方は事前にKeynoteで作ったスライドのみであり、別途レジュメとか話す内容が書かれたメモなどは一切用意しない。
事前に1枚のスライドにどの程度の時間をかけるか、どのような話しをするかについては練習と確認をしたが、後は現場の反応や雰囲気を感じながら話しの順番や詳細な部分は適宜変えていく。だからハンドマイクを持ちながらの話しはすべて生徒たちに視線を向けられる。

この辺は自分でいうのも烏滸がましいが、プレゼンとか説明に関しては用意周到な準備はするものの、本番は臨機応変でできる自負もあり、経験も豊富なので萎縮やあがるといったこともない。
子供たちの反応は思っていた以上に良かったように思う。生徒は話が終わった後下校だったが数人の男子女子が私の所に集まってくれて雑談になった。
「その眼鏡ってどこの眼鏡?」といった質問から「松田先生のiPhone、私と同じです」とか「また来ないの?」といった言葉も聞かれた。

そして帰りには副校長先生が校門まで送ってくださった。
まあまあ、結果としてO先生のご尽力のお陰で無事に役目を果たすことが出来たが、実は学校に向かうとき迷子になった事は…なかったことにしたい(笑)。
オトーサンには奇跡が起こったとしか思えなかった。足腰は立たず排泄もオムツに依存せざるを得なくなり、食べ物は受け付けず毎日点滴が命の糧となっていたラテが突然牛乳に浸したドッグフードを食べ始めたのだ…。
無論、だからといってこのままもとの元気なワンコになり、公園を駆けずり回れるとは思わなかったが一時は寝たまま…このまま最後を迎えるのでは無いかと覚悟もしていたのでオトーサンたちは驚喜したのだ。何よりもラテ自身、もっと生きたかったに違いない。

※自分のベットから掛けた毛布をそのままにリビングに顔を出した
やはり食欲は命にとって生命線であり、食べ始めてから1週間も経つと両目にも弱々しくも力がみなぎり、よたよたとしながらも自分の意志で移動できるようにまでなったのだ。そして笑顔を見せるようになったなっただけでなく、驚いたことにボール遊びまで始めた。
当然若い頃の動きは出来るはずも無いが、ボールを追ったり、ボールを咥えて楽しそうな表情を浮かべた。

※一時は簡単なボール遊びもするまでになった
ただしそのまま激寒の中、外に散歩へ行くには無理があった。いろいろと試行錯誤もしたが歩き回れないにしても外の空気は感じさせたかったしなによりもおかしな事にラテ自身、排泄はオムツで無く外でやりたいことは明白だった…。
まあ単に「綺麗好きワンコ」などということではなく、オムツをしたままの排泄は自身気持ちが悪かったに違いない。
その証拠というと大げさだが、散歩の時間でなくてもよたよたと立ち上がり、玄関まで進み、そこでしばし立ち止まる。そのサインを見逃さずにオトーサンが急遽支度し、ラテを引っ張り上げるようにして外に連れ出し急いでオムツを取り払うとそこで排泄をするのだ。
しかし間に合わなければ玄関のドアに頭をぶつけるようにして仕方なくオムツのままして「ピーピー」と鳴く。早く処置をしてくれという合図であり、出来ることなら外に出たいという欲求はひしひしと伝わってきた。

※ラテをカートに乗せて公園へ…
ということで排泄はともかく少しでも馴染みの公園の空気に触れさせたいとカートを買うことにした。大型犬用のカートだったが、これなら公園程度であれば比較的容易に行き来が出来る。公園に入ったらカートからラテを出してしばし地面の感覚をその四つ脚に味合わせたり、その場にいた馴染みの子供たちに撫でてもらったりも出来た。

※公園でKファミリーの皆さんにご挨拶できた
カートの中でも無論基本はオムツのままだが、ときに外すとテも嬉しそうだった。しかしオトーサン自身にも問題が生じた。
それは心房細動の疑いだ。ために女房が仕事を休みの時を狙い大学病院へ精密検査をしにいったりと心配は尽きなかった…。
2月に入るといまひとつラテに異変が起きた。若い時から右首に腺腫とよぶでき物があったが病理検査の結果良性だったこともあり、医者から「痛い思いをさせることはないので放置しておきましょう」とのアドバイスもありそのままとなっていた。
見ればかなり膨らみも大きくなっていたが触るとぶよぶよで呼吸などへの影響も無いとのことだったがある日女房が床などに血が落ちていることに気づいた。

※首に包帯を巻くはめになってしまった!
ただしずっと寝込んでいたため両腰に床擦れもできていたのでそのせいかと思ったが、よく見るとぷよぷよだった腺腫がパンパンに固くなり、きっと気になったラテが爪で引っ掻いたのか、腺腫が破裂しつつ合ったのだった。
というわけで嗚呼…一難去ってまた一難、腰にはオムツ、首には包帯というまあまあ酷い姿になってしまったのだった。
フランスのマルセイユで意欲的なアイウェアを作り続けるXIT eyewareの○□眼鏡フレーム(XIT C006 133)だが、やっとレンズが入り日常使用が出来るようになった。フレームを手に入れてから2週間ほど経ったが待望していただけに長く感じた…。
変わったもの好きの一人ではあるが、前回の記事に書いたようにこのメガネを掛けて人前に出るのは些か躊躇があったが、その壁は乗り越えた(笑)。
まあ、人前といっても日々のほとんどを室内で過ごしているのだからどうということはないのだが、それでも買い物や、時にZOOMは勿論リアルな打ち合わせやちょっとした会合にでかけることもあるので正直多少の勇気は必要だ…。

※度付きレンズが入ったXIT eyewareの○□眼鏡フレーム(XIT C006 133)
それでもそんな躊躇いを上回る喜びを感じさせるアイテムなので大切に使っていこうと思っている。
ちなみにこれまで何度、眼鏡のレンズを新調するために眼鏡屋で視力検査をしたことだろうか。その度にこのレンズ作りのための視力検査は意外と難しい事を感じてきた。
それは何種かの計測器で文字通りの視力や乱視の度合いなどを測るわけだが、それ自体はそれこそ機械的に行っていけば結果はでるに違いないし、よほど担当者の技量が劣っていなければ間違いはないだろう。ただし左右それぞれ計測し、それにしたがってレンズを作れば見やすく使いやすい眼鏡ができるわけではない。
特に私のように左右の度数に大きな違いがある場合にはなおさらのことだ。
左右の度数そのままレンズにしたのでは両眼ではまともに見えず、眼が疲れて使い物にならない。したがって妥協というか落とし所まで微調整する必要があるわけだ。しかし眼鏡店側はなんというか分からないが、個人的な経験からして「これでよし」として作ってもらった眼鏡が見にくいということが多々あるのである。
また視力は午前中と夕方以降はかなり視力に違いがある人がいるという。どうやら私もその一人のようで夜盲症ではないが夕方以降になるとメガネを掛けていても見づらくなってくる。
そんなこともあり、眼鏡作りは午前中にすべきという話しを聞くが、この話しはどこか「靴は夕方に買え」という言葉を思い出す。
靴はともかく、眼鏡作りは疲れて視力が落ちている夕方に検査して測ると過矯正気味になりコンタクトでも眼鏡でもキツい結果となるからだそうだ。
さて肝心のXIT eyewareの○□眼鏡フレームだが、最初どのような使い方をするかを決めていなかったこともありレンズは後で考えようとフレームのみ購入した。
しかしいざレンズを入れようとここのところ眼鏡作りをお願いしている眼鏡市場に相談してみると「当店ではできません」と言われてしまった…。どうやら一般的な眼鏡のようにフレームの溝にレンズのエッジをはめ込む方式とは違うらしいのだ。
これは眼鏡を見た時から薄々は感じていたが気軽に考えていたのがかえって手間となってしまった。
さてどうするか…と駅まで歩いてきたときその角に小さな眼鏡店があることに気づいた。まあダメ元だからと相談してみたがこちらも定員さんの態度から推察するにこの種の眼鏡は初めて見たようで「価格はいかほどのフレームですか」と聞く。私が購入価格を言うと「保証できないので当店では無理です」と一蹴された。やはり正規な取扱店でないと駄目なようなのだ。
ということで思い立った午前中に国立にあるXIT eyeware正規取扱店の「STRUT/ストラット」さんへ伺ってきた。ここはフレームを買ったお店なので間違いは無い…。

※国立にある「STRUT/ストラット」という眼鏡ショップ
店構えは町の眼鏡屋さんという風情で気負いなど感じられないお店だが、安心して入れる佇まいだ。
早速レンズをいれていただく為の検査をしていただく。
繰り返すがこれまで数十回、様々な眼鏡屋でこうした検査をしてきた経験から生意気な言い方だが出来る人か、そうでない人かは感覚的に分かってくる。
ともあれ検査は目立つような新しい機器がある分けでもなくオーソドックスな方法だったが結果を誘導していくというか、その話し方に好感が持てたしチェーン店との違いをひしひしと感じた。結果、総合的な判断は技術者(お店の人)の能力に依存することを改めて知った。
眼の良い方には分からないだろうが、物が…風景がきちんと見えることは素晴らしいことなのだ。勿論出来上がった○□眼鏡フレームは見やすくとてもクリアだった。
新年初の買い物のひとつはミニテーブルソーとなった。テーブルソーとは、テーブルの真ん中に丸鋸の刃が飛び出した状態で取り付けられている木工機械(鋸盤とも呼ばれている)だがミニテーブルソーは文字通りそれの小型版を言う。

※Huanyu 360W ミニテーブルソーとサイズ比較のために置いたiPhone 14 Pro
さて、レーザー加工機を思い通りに活用しようとすればするほどその素材、すなわち木材やアクリル板、あるいはアルミといった材料の形を整える必要がある。
勿論材木を例にすれば任意の形に切り抜くといったことは厚さの限界を考慮すればレーザー加工機で可能だし切断も出来る。しかし何からなにまでレーザー加工機で…というのも無理な話しだしxTool M1の庫内に入らない長さの材木はあらかじめ必要なサイズに整えておく必要がある。

※天板を外した様子
もともと私の場合は例えば本棚を作ったり…を目指すDIYではなくもっと細かな物作りにレーザー加工機やミニテーブルソーを生かそうと考えているわけで、材木にしてもアクリルにしてもまずは使いやすいサイズのものを購入する。
しかし、だとしても実際に細工を始める際には素材の寸法はあらかじめ整えたいし整えなければならない。そうした際に鋸やアクリルカッターなどをとなればなかなかに煩雑だし効率が悪い。そこでミニテーブルソーの出番ということになる。
なお、本格的な手持ちの丸鋸や、据え置き型のスライド丸鋸は材料に向かって歯を動かして切断するのに対し、テーブルソーは材料を刃に向かって動かし切断するという違いがある。いずれにしても便利な道具だが、テーブルソーは刃が高速回転した状態でテーブルに設置されているため、手や指が巻き込まれると大変な事故につながり最悪は指がなくなってしまうことも考えられる。したがって使い方を誤ったり、円盤型の刃の取り付けは正確確実に行わなければならないし、利用時にはゴーグルやマスクも不可欠だ。
ということで届いたミニテーブルソーだが、製品のサイズが24.5 x 13.5 x 20 cmとその小ささにまずは驚く…。なお重量は6.34 kgとのことだ。

※天板のレイアウト
天板はアルミニウム製で鋸刃は0~30mmの昇降可能。そしてマイターゲージーは0~90°調節可能で正確な多角度切断を実現する。さらに付属4枚の替え刃によって木材・金属・アクリル・基板・プラスチックなどの切断に対応しているだけでなく別途ドリルチャック機能を備えているので研磨やフレキシブルシャフトを使い穴開けやルーターにもなり小細工派にはもってこいの道具だ。


※フレキシブルシャフト使用例(上)と研磨用円盤型ヤスリを取り付けた例(下)
ただし小型だけに制約もある。
それば最大切削の厚さは20mmまで、最大切断幅は150mmまでとなっているのでまずはこれ以上負荷のかかる作業はやってはならない。
具体的には木材の他、10mmのアクリル板や3mmのアルミ板も切断出来るという。
早速セットアップし実際に10mmの桧の板を切断してみたが、実にスムーズに切断出来る。無論パワー以上に材料を押し込んだり無理な力を加えないことも大切だ…。

※実際に厚さ10mmの木材を切断してみたが実にスムーズだった
とはいえこの手のものは初めてなのでひとつ大きな勘違いがあった。それは電源は当然本体の中に収納逸れているものだと思い込んでいたがまるっきり外部電源であり、1977年に手に入れたワンボードマイコンを思い出した(笑)。
ともあれこうして見ると良い事尽くめのようだが、欠点というか問題もないわけではない…。それはやはり粉塵の問題だ。例えば現在愛用しているレーザー加工機は専用ダクトで粉塵や臭気も排気できるようにしてあるが、室内でこのミニテーブルソーを使う限り木屑などを完全に防御するには相応の設備が必要となり現実的で無い。
ということで取り急ぎ、掃除機を隣接して使っているが陽気がよくなったらベランダで作業するのが1番かも知れない。
■Huanyu 360W ミニテーブルソー


年が明けた…。しかしすでに一年近くにもなるのにオトーサンの気持ちは晴れない。まあ、無理に忘れようなどとは思っていないし無理な話だ。いまだに朝起きるとラテの遺影に「ラテ、おはよう。今日もよろしくな!」とまるでその場に蹲っているであろうラテに声をかける毎日なのだ。
思い起こせば昨年の正月もまったく正月気分はなくただひたすらラテの看護・看病をしていたという記憶しかない。
例年ならラテを連れ、家族ぐるみでお付き合いいただいているK家の皆さんと近隣の諏訪神社へ初詣をするのが楽しみのひとつだったしそれが唯一正月らしさの象徴でもあった。しかしラテは倒れ、初詣どころではなかったし、まさかラテを置いて我々夫婦だけで出向く気にもならず、結局Kさんに代理詣でをしていただいた。

※元旦早々にK家のオカーサンとNちゃんが見舞いに来て下さった
昨年の正月早々の記憶としてはラテへの点滴を医者にお願いするのでは無くオトーサン自身がやることになったことが忘れられない。
それはタイミング良く医者に往診してもらえるケースばかりではないし、費用もばかにならないからだ。そして医者から「ご家庭でやってみますか。費用も安くなるし…」と勧めてくれたのでオトーサンは決心した。

※不可欠の点滴もオトーサンが処置することになった…
しかし、正直皮下注射とはいえラテの首元に注射針を自身で刺すなんてことは夢にも思わなかったしとても嫌だったが、オトーサンの気持ち云々よりいまはとにかく点滴を続けなければならなかったのだから仕方がない。
なにしろ水はシリンジで飲ませていたがドッグフードなどの固形物はまったく受け付けないし、チュールやゼリー状のもの、あるいはヨーグルトといったものをシリンジで無理矢理喉に落とすといった毎日だったが、それもままならなかった。したがって点滴は不可欠だった。
それから大きな変化はオムツを始めたことだった。
この頃は床擦れが左右の腰辺りにできるほど寝たきりだったから、さすがに外に連れ出すわけには行かなかったのだ。しかしこれがなかなかフィットしないのだ…。

※オムツデビューのラテ
結局最初は当然ながらワンコ用のオムツを買っていたが、ネットの情報などを参考にして人間の赤ちゃん用のオムツにワンコの尻尾を出す切れ込みを入れ使うようになった。事実こちらの方がラテの腰回りに優しくフィットし、費用も多少人間用の方が安いことにも気がついた。ということで日々オトーサンはタイミングを見ながらオムツに尻尾用の穴を空け、そのエッジを養生テープでガードするという作業が続いた。
とにかく食事がまともにできなかったこともあり、ピーク時に21kgもあった体重が15kgほどになり見るからに痩せたのは当然としても、体を触ると肋骨や腰骨が浮き出るまでなっており、最後が近づいていることは明らかだった。そして医者からも「このまま回復するとは期待しないでください。心臓・腎臓が弱っているしその原因は老衰ですから」と釘を刺されていたのだった。

※本来は立てないラテにリハビリをするオトーサン
でもオトーサンは諦めたくはなかったし、単なるお前の希望だろうと笑われるかも知れないが、ラテの表情は「まだまだアタシ生きていたい」という意志が読み取れたような気がした。したがって折ある毎に歩けないまでも立てるようにとリハビリの真似事を続けたし、食べられないのは分かっていたが寝ているラテの口元に牛乳に10gのドッグフードを浸した容器を置くようにしていたが1月8日に奇跡がおこった!

※食べられないのを承知で置いていたドッグフード+牛乳をこの日初めて完食!
先月24日に倒れてから初めて10gとはいえドッグフードを完食したのである。オトーサンは驚喜し万歳したが、翌日も朝夕それぞれ10gとし、2日後の朝には20g、そして5日後には朝夕それぞれ25gのドッグフードを喜んで食べるまでになった。
やはり食事はパワーの源だ。ラテの両眼に精気が宿った!
手元にいま届いたばかりの “変わった” 眼鏡フレームがある。メーカーはXIT eyewerと言いフランスのマルセイユを拠点に活動しているメーカーだそうで特有の技術を活かし、進化させた眼鏡フレームのデザインを常に作り続けているという。ともかく一度見たら忘れられないインパクトのあるメガネフレームを作るメーカーである。

※フランス XIT eyewareの○□眼鏡
実は1年と少し前になるだろうか…。眼鏡を必要とする一人としてウェブ検索していたとき大変印象的なXIT eyewerの製品を見つけた。変わったもの好きの私は「いいなあ」と思ったが現実問題として、いくらもの好きでもこれは少々キツいかも…(笑)とそのときはそれだけで諦めたが、経済学者でイエール大学助教授の成田悠輔氏が愛用の眼鏡といえば「ああ…」とお分かりかも知れない。
したがって言い訳じみて聞こえるかも知れないが、私がXIT eyewerの○□眼鏡を知ったのは成田悠輔氏の存在を知る前だったのである。
そのXIT eyewerの当該眼鏡は片方が○で片方が□という変わった…という言葉だけでは言い尽くせない不思議な魅力を持ったフレームだ。
で、この度そのメガネフレームを手に入れたのだから私という人間もかなり変わった人間なのだろうか…。ともあれ私は興味の対象以外はTVは勿論YouTubeもほとんど見ないので成田悠輔氏の存在も知らず、露出が多くなられた最近になってやっとそのキャラクターを知ったわけだが、これだけの有名人が使っているのだから恥ずかしがらずに私も自分が気に入ったものを身に着けてみようと思った次第。

※確かに不思議な感覚を醸し出すデザインだ
まあ、そもそも私はすでにリタイヤした人間であり、新規得意先とやらと面談することもまずないから掛けているメガネで商談が破談になる心配もないし(笑)万一面と向かった相手が眉間に皺を寄せられても痛くも痒くもない…。
それはともかく、私は中学時代前半から眼鏡をかけるようになったから、眼鏡歴はすでに60年を越えることになる。
一時期コンタクトレンズを使ってはみたが性に合わず眼鏡に戻したが、思えば眼鏡のフレームはいつも似たり寄ったりになってしまって常々つまらないと思っていた。
勿論似合うとか似合わないという問題は無視出来ないが、例えば10年前でも一般の眼鏡屋に目を見張るような変わったフレームはなかった。ただ近年は視界を少しでも遮らないようにとフレームが細い物を選んできたし時には縁なし眼鏡も使ってみたこともあるが、せいぜいその程度が冒険の限界だった。
しかし寝るとき以外は外さないような眼鏡はいわばウェアラブルデバイスであり…近年眼鏡のことを「アイウェア」と呼ぶそうだが、よき命名だと思う。
ということでいま少し自分の意志・主張・好みを入れ込むというか、気概みたいなものを象徴するアイテムであるべきだと考えていた。だから今年9月に眼鏡を新調した際にははじめてこれまでは選ばなかったフレームを選んだ…。

※2022年9月に作った眼鏡
ともあれ、XITに限らず変わっているものだとしても本当に気にいった物を日常愛用することは生活のモチベーションを上げるだけでなく己のカンフル剤にもなるような気がするし新しいアプローチの原動力にもなるような気がするのだ。
今回手に入れた製品は "XIT C006 133" という型番ですでに2022年度をもって廃盤が決した製品だという。このいわゆる○□のフレームにしても新旧合わせると別途C006 134という型番もありカラーリングや材質も違いがあってそれぞれ数種類あるようだ。

※眼鏡のカラーリングに合わせてApple Watchも同色で飾って見た
そんな中で選んだ "XIT C006 133" はフロントのリムは一見鼈甲を思わせるブラウン色でブリッジと両テンプルはブルー、そして先セルがリムと同じくブラウン色というカラーリングだ。
ブラウンは一見伝統的なイメージを醸し出すが○と□のリムは既成の価値観と美意識を打ち壊すインパクトがあるし、ブリッジやテンプルのブルーは対照的にポップな雰囲気を醸し出す。
こう書くとアンバランスのように聞こえるかも知れないがそれが1個のメガネフレームとしてバランス良く構成され、見た目だけでなく実際に身に着けてみても軽くて具合がよろしい。

※まだダミーレンズなので反射しているが、20g強と非常に軽量でフィット感もよい
そう…今回この製品は取り寄せ品だったが STRUT/ストラットというショップに注文した。結果思っていたより早く1ヶ月弱で到着したがレンズを入れなければならず、実用は新年に持ち越すことになった。
ということで念願の○□眼鏡は手に入ったが、他人の目はともかく自身違和感なく愛用できるかどうかが問われるのでありましたとさ…(笑)。