ボストンコンピュータクラブがまとめたPDS再考
いつか時間が取れたら分かりやすい形に整理したいと思っている資料のひとつにBoston Computer Societyが残した大量のシェアウェアがある。すでにひとつひとつのソフトウェアの詳しい内容は忘れてしまっても黎明期からのマックユーザーなら懐かしい名前のいくつかに思い当たることだろう…。
Boston Computer Societyといってもご存じの方はすでに限られた人たちに違いない。
Boston Computer Society(以下BCS)とはMacの黎明期に設立されアメリカ2大Macユーザーズグループのひとつだった。
マサチューセッツ州ボストンに本拠地を置き、PDSの配布やハイパーカードのスタックを開発するなど積極的な活動を行っていたが1996年10月にその役割を終え閉鎖された…。
ちなみに “PDS” とは “Public Domain Software” のことで直訳すれば公共財産のソフトウェアという意味で配布および利用が自由なソフトウェアを意味する。
近年PDSという言葉はほとんど使われなくなり、フリーウェアとかシェアウェアという言葉が広く使われてきた。
フリーウェアとかシェアウェアもPDSに包括される場合もあるようだが、厳密には著作権まで完全に放棄されたソフトウェアのみがPDSだと考えた方がよい。ただしPDSという物言いは後に様々な条件を含んだ製品も多々登場し、煩雑で誤解も生じることもあってかBCSの資料でも後年は “shareware” と称されるようになっていく…。
実は私の手元にそのBCSがまとめた膨大な“shareware” をアーカイブしたCDとその内訳を示すリーフレットが存在するのだ。

※BCSがまとめた膨大なシェアウェアリストとそのアーカイブCD
これらはBCSのサイトが存在した1900年代後半まではサイトから自由にダウンロードできたものであり、それぞれ基本的には400KBのフロッピーディスクに起動システム共に収録されるという形式を保っていた。
それがアーカイブのままで1枚のCDに収まっているのだから、たぶんに私自身が記録保存のためにとすべてをダウンロードしてまとめたものだと思うが…経緯はすでに忘れてしまった(笑)。
さて、そもそも最初のホビーコンピュータとして登場したAltair 8800を契機に設立され、パーソナルコンピュータの歴史に多大な貢献を残したホームブリューコンピュータクラブではいわゆるハッカー精神とでも言ったらよいのだろうか…当時マイコンに関するあらゆる新しい情報…無論プログラムも含め、クラブの会員により持ち込まれたものは皆共有物と考えられた。
彼らは他者のために自分たちの才能をふるい、誰にでも使えるコンピュータの実現という共通の夢を分かち合うため、プログラムを販売しビジネスの糧とすることなど考えもしなかったしそうした行為はハッカー精神に反するものと軽蔑していた。パソコン黎明期に多く登場したPDSもそうした名残かも知れない。
しかしそうした時代にソフトウェアの開発および販売をビジネスチャンスとして捉えたのはあのビル・ゲイツとポールアレンたちだった…。
ともかく1984年に登場したMacのソフトウェアにしても、製品として出回るソフトウェア以上に我々ユーザーが驚喜して飛びついたのはこれら多くのPDSだったのである。なにしろ市販されたハードディスクを購入するとその中に膨大なPDSがインストールされているという時代でもあった。
それらはゲーム、ユーティリティ、デスクアクセサリやグラフィック関連、教育、開発者向け、通信、フォント、音楽などなど多彩な分野に広がっていたし、中には商品として流通しても恥ずかしくない素晴らしいものも多かった。

※カテゴリー別に膨大なソフトウェアがアーカイブされている
ここで私自身も使った記憶のあるソフトウェアの名をいくつか挙げてみるが、ご覧の方々の中にもご記憶されているソフト名が多々おありになるに違いない。
例えばユーティリティ類としてはResEditを筆頭にSpeed Check、FontDoubler、FKEY Installer、Menu Clock、MinIFinder、Cheap Talk、Password、MacsBug、Servant、SuperCopy、MacProject、ICONstructorなどなど。
ゲーム類としてはBackgammon、MazeWars、Solitaire、MacConcentration、The Adventures of Snake、Star Trek triviaなど。
デスクアクセサリー類としてBigBen、Calendar、IconMaker、World Clock、Disk Labeler、F/DA Mover、ScreenDump、MaclnTalk、Talking Mooseなどなど。
エデュケーションではMusic Paint、Anatomiserなど。
グラフィックス関連ではScreen Maker、Draw Paint、PaintMover、CalendarMaker、MacBIIIboard、Slideshowなどなどだが、きりがないのでこの辺で止めることにする。
機能やパワーは現在と全く違うものの、パソコンで当時どのようなことをやらかそうとしていたのかの一端が分かるし、それらは現在の指向とあまり違っていないこともお分かりだと思う。

※ボストンコンピュータクラブのPDSリストイメージ(部分)
そうした有用なソフトウェア類も現在では当時のマシンを所有していたとしても遊び程度にしか活用できないに違いない。しかしソフトウェアの歴史…といえば大風呂敷に聞こえるかも知れないが、直接間接はともかくこうした幾多のソフトウェアの存在をヒントに現在のアプリケーション類が存在していることもまた確かなことに違いない。
無論このBCSがまとめたPDSが全てではなく他にも膨大なソフトウェアが存在したが、個人的にはこれらソフトウェアの存在を忘れたくないし、僭越ながらそれらを開発した多くのプログラマたちの努力と情熱を次の時代に渡していければ嬉しい。
Boston Computer Societyといってもご存じの方はすでに限られた人たちに違いない。
Boston Computer Society(以下BCS)とはMacの黎明期に設立されアメリカ2大Macユーザーズグループのひとつだった。
マサチューセッツ州ボストンに本拠地を置き、PDSの配布やハイパーカードのスタックを開発するなど積極的な活動を行っていたが1996年10月にその役割を終え閉鎖された…。
ちなみに “PDS” とは “Public Domain Software” のことで直訳すれば公共財産のソフトウェアという意味で配布および利用が自由なソフトウェアを意味する。
近年PDSという言葉はほとんど使われなくなり、フリーウェアとかシェアウェアという言葉が広く使われてきた。
フリーウェアとかシェアウェアもPDSに包括される場合もあるようだが、厳密には著作権まで完全に放棄されたソフトウェアのみがPDSだと考えた方がよい。ただしPDSという物言いは後に様々な条件を含んだ製品も多々登場し、煩雑で誤解も生じることもあってかBCSの資料でも後年は “shareware” と称されるようになっていく…。
実は私の手元にそのBCSがまとめた膨大な“shareware” をアーカイブしたCDとその内訳を示すリーフレットが存在するのだ。

※BCSがまとめた膨大なシェアウェアリストとそのアーカイブCD
これらはBCSのサイトが存在した1900年代後半まではサイトから自由にダウンロードできたものであり、それぞれ基本的には400KBのフロッピーディスクに起動システム共に収録されるという形式を保っていた。
それがアーカイブのままで1枚のCDに収まっているのだから、たぶんに私自身が記録保存のためにとすべてをダウンロードしてまとめたものだと思うが…経緯はすでに忘れてしまった(笑)。
さて、そもそも最初のホビーコンピュータとして登場したAltair 8800を契機に設立され、パーソナルコンピュータの歴史に多大な貢献を残したホームブリューコンピュータクラブではいわゆるハッカー精神とでも言ったらよいのだろうか…当時マイコンに関するあらゆる新しい情報…無論プログラムも含め、クラブの会員により持ち込まれたものは皆共有物と考えられた。
彼らは他者のために自分たちの才能をふるい、誰にでも使えるコンピュータの実現という共通の夢を分かち合うため、プログラムを販売しビジネスの糧とすることなど考えもしなかったしそうした行為はハッカー精神に反するものと軽蔑していた。パソコン黎明期に多く登場したPDSもそうした名残かも知れない。
しかしそうした時代にソフトウェアの開発および販売をビジネスチャンスとして捉えたのはあのビル・ゲイツとポールアレンたちだった…。
ともかく1984年に登場したMacのソフトウェアにしても、製品として出回るソフトウェア以上に我々ユーザーが驚喜して飛びついたのはこれら多くのPDSだったのである。なにしろ市販されたハードディスクを購入するとその中に膨大なPDSがインストールされているという時代でもあった。
それらはゲーム、ユーティリティ、デスクアクセサリやグラフィック関連、教育、開発者向け、通信、フォント、音楽などなど多彩な分野に広がっていたし、中には商品として流通しても恥ずかしくない素晴らしいものも多かった。

※カテゴリー別に膨大なソフトウェアがアーカイブされている
ここで私自身も使った記憶のあるソフトウェアの名をいくつか挙げてみるが、ご覧の方々の中にもご記憶されているソフト名が多々おありになるに違いない。
例えばユーティリティ類としてはResEditを筆頭にSpeed Check、FontDoubler、FKEY Installer、Menu Clock、MinIFinder、Cheap Talk、Password、MacsBug、Servant、SuperCopy、MacProject、ICONstructorなどなど。
ゲーム類としてはBackgammon、MazeWars、Solitaire、MacConcentration、The Adventures of Snake、Star Trek triviaなど。
デスクアクセサリー類としてBigBen、Calendar、IconMaker、World Clock、Disk Labeler、F/DA Mover、ScreenDump、MaclnTalk、Talking Mooseなどなど。
エデュケーションではMusic Paint、Anatomiserなど。
グラフィックス関連ではScreen Maker、Draw Paint、PaintMover、CalendarMaker、MacBIIIboard、Slideshowなどなどだが、きりがないのでこの辺で止めることにする。
機能やパワーは現在と全く違うものの、パソコンで当時どのようなことをやらかそうとしていたのかの一端が分かるし、それらは現在の指向とあまり違っていないこともお分かりだと思う。

※ボストンコンピュータクラブのPDSリストイメージ(部分)
そうした有用なソフトウェア類も現在では当時のマシンを所有していたとしても遊び程度にしか活用できないに違いない。しかしソフトウェアの歴史…といえば大風呂敷に聞こえるかも知れないが、直接間接はともかくこうした幾多のソフトウェアの存在をヒントに現在のアプリケーション類が存在していることもまた確かなことに違いない。
無論このBCSがまとめたPDSが全てではなく他にも膨大なソフトウェアが存在したが、個人的にはこれらソフトウェアの存在を忘れたくないし、僭越ながらそれらを開発した多くのプログラマたちの努力と情熱を次の時代に渡していければ嬉しい。
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