1977年製 MOS Technology社製 MCS 6502 マイクロプロセッサ幻想

1977年に作られたひとつのマイクロプロセッサが手元に届いた。MOS Technology社製 MCS 6502 マイクロプロセッサであり、あのApple1の初期出荷バージョンに使われた類の白いセラミックでパッケージされたチップである。あちこち汚れや腐食が目立ついささかバッチイ感じのチップだが、これまた私にとっては大切な遺物となるに違いない。


実は1977年という年は私にとってなんとも不可思議で面白く、そしてすべてにおいて人生の転換期だったといえる。
1977年といえばApple Computer社が法人化しその4月にWCCFでApple II を華々しくお披露目した年だ。その同じ年の同じ頃、私は社長ひとり私1人というオモチャみたいな貿易会社に転職した。そしてその11月に結婚式を挙げたのである。
さらに縁といえばそれで終わってしまうが新婚旅行から戻り手持ちの資金をほとんど使い果たした翌12月にはどうかき集めたのかポケットに10万円をねじ込んで秋葉原に出向きワンボード・マイコン 富士通FACOM L-kit 8と電源を手に入れたのだった。
結果、1977年はそれ以前の私とは違う道を歩ませる分岐の年となったのだった…。

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※1977年製MOS Technology社製 MCS 6502 マイクロプロセッサ


先日その1977年に作られたひとつのマイクロプロセッサが手元に届いた。MOS Technology社製 MCS 6502 マイクロプロセッサでありあのApple1の初期出荷版に使われた類のチップである。
特に見るべき点はこれが白いセラミックでパッケージされ、チップのリード(足)は金メッキ処理されている。したがって一般的な黒いプラスチックパッケージのものより高価となることから珍重されるが MOS Technology社はパッケージ種別をプレフィックス2文字で区別し、セラミックパッケージが “MCS” 、プラスチックパッケージは “MPS” と表記している。ちなみに手元にあるMCS 6502 マイクロプロセッサは汚れて無惨な感じもするが幸いに完動品である。

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※銘板もかなり薄くなっているが完動品とのことだ


あまりにバッチイので無水エタノールとキムワイプを使い少し綺麗にしてやろうと思ったが、加減をしたつもりが汚れより先にもともとかなり薄かったプリント刻印の方が消えかかってしまった。まあ売り物にするわけではないのでかまわないのだが…。

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※無水エタノールとキムワイプを手に入れチップの汚れを落とそうとしたが銘板の名が消えかかってしまった(笑)


無論1977年製ということでもありこれは実際にApple1に用いられたものではないとは思うが、レプリカの組立パーツとして同梱されていた 6502 はRockwell 製のR6502Pだから、そのプラスチックパッケージより当時使われたMOS Technology社製 MCS 6502 …それもセラミックパッケージを乗せた方がリアリティが増し、それらしくて見栄えがすると考えている。

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※Apple1Replica kitに付属の6502はRockwell 製のR6502Pだった

なにしろこのマイクロプロセッサは正真正銘、Apple1が存在した当時のものだからである。
ともあれ、例えばこのチップ…完動品であることはもとよりとしても外観がより綺麗なものをeBayで検索してみると驚いたことに軒並み出品価格が10万円以上もの値がついているほど貴重なものになっている…。

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※ということで早速6502のソケットにはホワイトセラミックのMOS MCS 6502と交換した


私はそもそもこうしたマイクロプロセッサを蒐集するような趣味は持っていないが、Apple1を飾ったMCS 6502は特別であり、歴史的な逸品として大切にしたいと考えている。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員