ポップでモダンな伊勢木綿の「くびまき」のお話し
以前から気になり、ウェブのURLを記録しておいたサイトから伊勢木綿の「くびまき」を数種購入した。自分達用とちょっとした贈答用としてだ。なんともいえない素敵な染色およびデザインとその風合いの魅力に取り憑かれた感じで、タオルや化繊の感覚に慣れた肌に無類の優しさを感じる。
「伊勢木綿」とはその名の通り、伊勢神宮のみやげなどにも重宝されただけでなく伊勢地方名物の一つとして江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用された木綿なのである…。
伊勢神宮といえば昨年20年ぶりの式年遷宮で話題になったが、近年はご多分に漏れず化学繊維の台頭や生活文化の変化の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では臼井織布(株)という企業一社しか作り手がなくなった貴重なものであり、三重県の指定伝統工芸品であるという。

※「SOU・SOU KYOTO」のネットショップから購入した「短丈/五十鈴川(いすずがわ)「すずしろ草 大 濡羽色」「SO-SU-U とりどり 秋の収穫」の各くびまき
その特長は国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械を使って当時と変わらぬ製法から生まれるそれは、綿とは思えないほど暖かく、しわになりにくいという。
メーカーの臼井織布(株)のサイトを見て驚いたのはその製法だ。なぜなら伊勢木綿を織っているのが豊田式の自動織機だというのだ…。
豊田式自動織機といえば現トヨタグループの基礎を作った豊田佐吉(1867年3月19日~1930年10月30日)が発明開発した明治時代の自動織機である。ちなみに現在のトヨタ自動車は豊田自動織機の自動車部が独立したものだが、当時の織機を臼井織布の社長(5代目)自らがメンテナンスして使っているというのだから凄い...。
木綿の織機など、最新の機械を使えば効率もよいではないかと考えるのが常だろう。しかし伊勢木綿のそれは奇をてらってのことではなく、伊勢木綿は単糸という一番ベーシックな糸を使用していることから切れやすいので織るのが非常に難しい。したがってよい綿を使った単糸でないと織ることができないだけでなく最新の機械では糸が切れてしまうという…。
そのこだわりの単糸を使った伊勢木綿を織り上げるには、どうしても100年以上も前の豊田式織機でしかなし得ないらしい。そしてその貴重で珍しい自動織機が当時と変わらない風合いを生みし、綿とは思えない暖かさを生み出すのだ。さらに一般の綿は洗えば硬くなるのに対し、伊勢木綿は洗えば洗うほど風合いが出て柔らかくなるという。
ということで、伊勢木綿の秘密はその糸にある。強く撚りをかけず、綿(わた)に近い状態の糸を使うため。糸切り防止に天然のでんぷん糊で固めてゆっくりと織る。したがってでんぷん糊が落ちるまでは皺になりやすいが、洗っていくうちに糊が落ち糸が綿(わた)に戻ろうとするため、生地がふわっと柔らかくなっていく理屈だそうだ…。
さて、木綿織物の柄は基本的に産地による違いは少なく、今も昔も縞や格子柄を中心に作られている。しかし今般私が手に入れたのは「SOU・SOU KYOTO」というサイトで販売されているもので、「SOU・SOU」のオリジナルデザインである。それらは古典的な感性を残しながらもポップでモダンなデザインが溢れていているので気に入った次第…。

※こちらも普通丈のくびまき「まり」と「ささやき 夏」
「SOU・SOU KYOTO」では伊勢木綿を使ったいくつかの製品やテキスタイルデザインのiPhoneカバーなどが手に入れられるが、私が今回拘って選んだのは「くびまき」と名付けられた製品だ。
手に入れたのは5点ですべて「くびまき」だが、「短丈/五十鈴川(いすずがわ)」が35×120 cmと短めなのに対して「すずしろ草 大 濡羽色」「SO-SU-U とりどり 秋の収穫」「ささやき 夏」「まり」と名付けられた製品はすべて35×190 cmと長めだがこちらの方が普通丈だという。

※普通丈のくびまきには別途巾着袋が付いている製品がある
使い方は自在だが、サイトに掲載されているモデルさんが身につけた写真を見るとマフラーのようでもあり、またスカーフ的でもありなかなかお洒落で素敵である。

※「短丈/五十鈴川(いすずがわ)」の使用例
激寒の中では適さないだろうが、冬場でも暖かいそうだし、春先には最適かも知れない。あるいは夏でも冷房避けにもなるという。なによりもそのビジュアルと風合いが言葉では言い尽くせないほど美しくてユニークなのが気に入った。そして実際に手に入れたひとつを襟元にラフに巻きつけてみると…頭で考えていたよりずっと暖かく肌触りがよくて柔らかいのだ!!


※普通丈の「ささやき 夏」のデザイン拡大【クリックで拡大】(上)。そしてこれまたお気に入りの普通丈「まり」を巻き付けてみた例(下)
なによりも素材は綿だ…。場合によっては手を拭いてもよいだろうし(笑)、なに…汚れたらどしどし洗えばいいわけだ。
私自身は普通丈のモノを使いたいと思っているので巻き方は色々と工夫してみたいが、この際オヤジに似合うかどうかなどは度外視して伊勢木綿の「くびまき」を楽しんでみよう...。
■SOU・SOU KYOTO
■臼井織布 株式会社
「伊勢木綿」とはその名の通り、伊勢神宮のみやげなどにも重宝されただけでなく伊勢地方名物の一つとして江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用された木綿なのである…。
伊勢神宮といえば昨年20年ぶりの式年遷宮で話題になったが、近年はご多分に漏れず化学繊維の台頭や生活文化の変化の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では臼井織布(株)という企業一社しか作り手がなくなった貴重なものであり、三重県の指定伝統工芸品であるという。

※「SOU・SOU KYOTO」のネットショップから購入した「短丈/五十鈴川(いすずがわ)「すずしろ草 大 濡羽色」「SO-SU-U とりどり 秋の収穫」の各くびまき
その特長は国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械を使って当時と変わらぬ製法から生まれるそれは、綿とは思えないほど暖かく、しわになりにくいという。
メーカーの臼井織布(株)のサイトを見て驚いたのはその製法だ。なぜなら伊勢木綿を織っているのが豊田式の自動織機だというのだ…。
豊田式自動織機といえば現トヨタグループの基礎を作った豊田佐吉(1867年3月19日~1930年10月30日)が発明開発した明治時代の自動織機である。ちなみに現在のトヨタ自動車は豊田自動織機の自動車部が独立したものだが、当時の織機を臼井織布の社長(5代目)自らがメンテナンスして使っているというのだから凄い...。
木綿の織機など、最新の機械を使えば効率もよいではないかと考えるのが常だろう。しかし伊勢木綿のそれは奇をてらってのことではなく、伊勢木綿は単糸という一番ベーシックな糸を使用していることから切れやすいので織るのが非常に難しい。したがってよい綿を使った単糸でないと織ることができないだけでなく最新の機械では糸が切れてしまうという…。
そのこだわりの単糸を使った伊勢木綿を織り上げるには、どうしても100年以上も前の豊田式織機でしかなし得ないらしい。そしてその貴重で珍しい自動織機が当時と変わらない風合いを生みし、綿とは思えない暖かさを生み出すのだ。さらに一般の綿は洗えば硬くなるのに対し、伊勢木綿は洗えば洗うほど風合いが出て柔らかくなるという。
ということで、伊勢木綿の秘密はその糸にある。強く撚りをかけず、綿(わた)に近い状態の糸を使うため。糸切り防止に天然のでんぷん糊で固めてゆっくりと織る。したがってでんぷん糊が落ちるまでは皺になりやすいが、洗っていくうちに糊が落ち糸が綿(わた)に戻ろうとするため、生地がふわっと柔らかくなっていく理屈だそうだ…。
さて、木綿織物の柄は基本的に産地による違いは少なく、今も昔も縞や格子柄を中心に作られている。しかし今般私が手に入れたのは「SOU・SOU KYOTO」というサイトで販売されているもので、「SOU・SOU」のオリジナルデザインである。それらは古典的な感性を残しながらもポップでモダンなデザインが溢れていているので気に入った次第…。

※こちらも普通丈のくびまき「まり」と「ささやき 夏」
「SOU・SOU KYOTO」では伊勢木綿を使ったいくつかの製品やテキスタイルデザインのiPhoneカバーなどが手に入れられるが、私が今回拘って選んだのは「くびまき」と名付けられた製品だ。
手に入れたのは5点ですべて「くびまき」だが、「短丈/五十鈴川(いすずがわ)」が35×120 cmと短めなのに対して「すずしろ草 大 濡羽色」「SO-SU-U とりどり 秋の収穫」「ささやき 夏」「まり」と名付けられた製品はすべて35×190 cmと長めだがこちらの方が普通丈だという。

※普通丈のくびまきには別途巾着袋が付いている製品がある
使い方は自在だが、サイトに掲載されているモデルさんが身につけた写真を見るとマフラーのようでもあり、またスカーフ的でもありなかなかお洒落で素敵である。

※「短丈/五十鈴川(いすずがわ)」の使用例
激寒の中では適さないだろうが、冬場でも暖かいそうだし、春先には最適かも知れない。あるいは夏でも冷房避けにもなるという。なによりもそのビジュアルと風合いが言葉では言い尽くせないほど美しくてユニークなのが気に入った。そして実際に手に入れたひとつを襟元にラフに巻きつけてみると…頭で考えていたよりずっと暖かく肌触りがよくて柔らかいのだ!!


※普通丈の「ささやき 夏」のデザイン拡大【クリックで拡大】(上)。そしてこれまたお気に入りの普通丈「まり」を巻き付けてみた例(下)
なによりも素材は綿だ…。場合によっては手を拭いてもよいだろうし(笑)、なに…汚れたらどしどし洗えばいいわけだ。
私自身は普通丈のモノを使いたいと思っているので巻き方は色々と工夫してみたいが、この際オヤジに似合うかどうかなどは度外視して伊勢木綿の「くびまき」を楽しんでみよう...。
■SOU・SOU KYOTO
■臼井織布 株式会社
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