(株)技術少年出版 Legacy8080 体験デモルーム訪問記
本当はもっと早く訪問したかったが、予定が詰まっていたことと今回の大雪でそれらの予定が狂ってしまったため遅れたが、やっと念願だった技術少年出版の秘密基地を訪問してLegacy8080が体験できるデモルームを拝見できることになった。
Legacy8080に関してはこれまで何度かレポートをしてきたが、その1975年に発売された伝説のマイコン「Altair8800」、「IMSAI8080」と互換がある8bitマイクロコンピュータキットが今春にいよいよ発売開始となる…。
実機はすでに昨年11月に開催された「Maker Faire Tokyo 2013」で確認してきたが、当日は大勢の来場者がいて代表者の吉崎さんとも簡単なご挨拶しかできなかったので是非ゆっくりとLegacy8080が生まれた環境を拝見したいと考えていたわけなのだ。
その技術少年出版の秘密基地と称される場所だが、高尾山近くの高台にある。技術少年出版本社のガレージ工場であり、10年ほど放置されていた元書店の建物を再利用したものだという。
これまで吉崎さんとは多々メールで情報交換をさせていただき、その博識と経験の豊富さに頭が下がる思いだったが、それもそのはず…吉崎さんはかつてマイコン・パソコンの月刊誌の雄として知られていた「月刊ASCII」の編集長をされていた方でもある。


※高尾駅ホームに降り立つと大きな天狗の面の石像が迎えてくれる(上)。北口駅舎は社寺風のデザインだが、元々大正天皇の大喪列車の始発駅として新宿御苑に設置された仮設駅舎を移築したものだという
2月24日の月曜日、私はJR高尾駅北口で吉崎さんと待ち合わせて技術少年出版社に向かった。車で約15分程とお聞きしていたが、周りはまだまだ積雪が残っており、当地の積雪がかなり大変なものだったことを想像させられた。
さて当のデモルームは同社1階にあるが、普段このスペースはLegacy8080の組立と出荷前の動作テストを行う「組立工作室」だという。したがってこの体験デモルームは、常時開放されているわけではない。私などが申し上げるのは僭越だが、もし訪問されたい場合は必ず事前にメールで事前予約し、スケジュールを確認してから訪問していただきたい。
そういえばこの日はスティーブ・ジョブズの誕生日だったが、私は久しぶりに電車乗って初めてJR高尾駅に降り立った。幸い天気もよく気温もまずまずだった。そして吉崎さんと駅舎内にあるカフェでランチをご一緒してから技術少年出版の秘密基地へと向かった。
秘密基地は高尾駅北口からバスで15分ほどの場所だが、停留所を降りた向こう側に目的の場所があるのでとても分かりやすい。

※この停留所で下車すると道路向こうに技術少年出版の秘密基地がある
早速デモルームに案内していただいたが、室内に入ると日本でも1966年から1968年にかけTBS系列でTV放送されていた「宇宙家族ロビンソン(原題:Lost in space)」に登場したロボット「フライデー」(正式名称はB9モデル・マーク3型気圧観測ロボット)が迎えてくれた…。そして耐久テスト中だったLegacy8080のLEDが美しい点滅を続けていたのも印象的だった。


※Legacy8080とよくマッチングするロボット「フライデー」(上)とデモルーム(下)
私が今回同社を訪問したのは取材のためといった具体的な目的があったわけではない。まずはLegacy8080とそのターミナルとなるWindowsマシンが動いているところを確認したかったこと、そして何よりも吉崎さんとお話しがしたかったのだ。
とはいえ話の内容をそのままトレースするわけにもいかないので端折るが、いろいろとご説明いただいた後にLegacy8080とWindows搭載のノートパソコンをUSBケーブルで接続し、ノートパソコンをLegacy8080のターミナルとして動作させるデモを見せていただく…。

※Windows搭載のノートパソコンをUSBケーブルで接続し、ノートパソコンをLegacy8080のターミナルとして動作するデモを拝見
結果、CP/Mを起動しその上でMBASIC(BASIC-80)を走らせ、そのアプリケーションとしてスタートレック(STARTREK)ゲームを起動するという一連のオペレーションを拝見した。そしてシリアルプリンタからそのプログラムリストをプリントアウトもしていただいた。

※Legacy8080のターミナルとしてのWindowsマシンでスタートレックを起動。感動の一瞬!
そのスタートレックの画面は、現在のパソコンユーザーにとって多分無味乾燥なものかも知れないが、黎明期には大人気を博したゲームのひとつだったわけであり、そのWindowsの黒い液晶画面を眺めているとその奥に当時の自分が見えるような錯覚を覚えるほど懐かしかった。ふと横を見れば核となっているLegacy8080の美しい姿が現実に引き戻してくれる。

※Legacy8080のLEDは本当に見やすくて綺麗だ
ところで技術少年出版はその会社概要によれば、8ビットマイコンLegacy8080の開発および発売が主な事業となるわけだが、個人的にはその後に続く予定の同社事業内容にもワクワクものなのだ…。
無論今後もLegacy8080の販売とサポートが柱となるのだろうが、一方「マイクロコンピュータ同人誌の編集出版」や「マイクロコンピュータ博物館」そして「技術少年図書館」の運営など魅力的な事業内容が記されている。
かつて月刊ASCII の編集長をも務めていた吉崎さんだからして僭越ながらその編集および出版への拘りは期待できるしこれまでになかった魅力的な出版となるに違いないが、特に私がその実現を望んでいるのが「マイクロコンピュータ博物館」である。

※デモルームの一郭に置かれていた高速鑽孔テープ(紙テープ)読み取りおよび鑽孔機。すでに完動品は世界でも多くはないに違いない
申し上げるまでもなく1970年代から始まるマイクロコンピュータの歴史、そしてパーソナルコンピュータ黎明期に至るあれこれは当時の実機はもとよりだが、その時代的背景や携わったハッカー達といった情報の多くは忘れ去られつつある。関連資料にしても一次資料として残っているものも多くはないし今後ますます四散し、早急にきちんとした形で残しておかなければ後には幻となってしまうに違いない。
当然本場の米国にはコンピュータ博物館といった施設もあるし個人で多くの資料を所有している人たちもいるが、私が最も望みたいことは単に歴史的なマシンやソフトウェアを保存しておくということではなく、それらがどういった時代を背景にしてどんな環境、どんな必然性で生まれたのかという最も残し得ない情報を掘り出すことでもある。そしてそれらに携わった人たちの情熱とスピリットをなんとか次の若い方達に残せないかと思うのだ。
大変難しい事ではあるが、技術少年出版の「マイクロコンピュータ博物館 準備室の運営」がそうしたよすがになるのではないかと勝手な期待が膨らむ…。
実はお暇する間際に将来「マイクロコンピュータ博物館」や「技術少年図書館」のスペースになるであろう文字通り準備スペースに案内していただいた。
写真を撮らせていただくことは遠慮したが、一言でいえば貴重で凄い資料が山積みだった。そこにはタイガー計算機をはじめ一世を風靡した8bitマイコンの実機数種だけでなくこれまで見たこともないような大正時代からの科学・技術雑誌が大量に保管されていた…。他にも書き切れないほど貴重な製品群や資料があり、一般に見せるという意味においては未整理ながらすでにここは博物館なのだ!
結局それらの中から当時日本で実機を見ることがなかったAIM-65 (元箱入り)をデモルームに広げていただいたが、未使用だというそのボードはいま買ってきたばかりといっても良いほど綺麗で美しく光っていた。

※ロックウェル・インターナショナル社が1976年に発売した高機能のワンボードマイコン「AIM-65」未使用品
ちなみにAIM-65とはロックウェル・インターナショナル社が1976年に発売した高機能のワンボードマイコンであり、Apple IIと同じくMOS 6502 をいち早く搭載していた名機であり、文字通り博物館に展示すべき歴史的な製品なのである。
このAIM-65の存在が翌年に登場したApple II に大きな影響を与えたのではないかという吉崎さんのお話には説得力があった。
許されることならもう少し滞在したかったが、後ろ髪を引かれる思いで技術少年出版 秘密基地を後にした。
次にはいま少し明確な目的を持って再訪したいと考えている。
■株式会社 技術少年出版
Legacy8080に関してはこれまで何度かレポートをしてきたが、その1975年に発売された伝説のマイコン「Altair8800」、「IMSAI8080」と互換がある8bitマイクロコンピュータキットが今春にいよいよ発売開始となる…。
実機はすでに昨年11月に開催された「Maker Faire Tokyo 2013」で確認してきたが、当日は大勢の来場者がいて代表者の吉崎さんとも簡単なご挨拶しかできなかったので是非ゆっくりとLegacy8080が生まれた環境を拝見したいと考えていたわけなのだ。
その技術少年出版の秘密基地と称される場所だが、高尾山近くの高台にある。技術少年出版本社のガレージ工場であり、10年ほど放置されていた元書店の建物を再利用したものだという。
これまで吉崎さんとは多々メールで情報交換をさせていただき、その博識と経験の豊富さに頭が下がる思いだったが、それもそのはず…吉崎さんはかつてマイコン・パソコンの月刊誌の雄として知られていた「月刊ASCII」の編集長をされていた方でもある。


※高尾駅ホームに降り立つと大きな天狗の面の石像が迎えてくれる(上)。北口駅舎は社寺風のデザインだが、元々大正天皇の大喪列車の始発駅として新宿御苑に設置された仮設駅舎を移築したものだという
2月24日の月曜日、私はJR高尾駅北口で吉崎さんと待ち合わせて技術少年出版社に向かった。車で約15分程とお聞きしていたが、周りはまだまだ積雪が残っており、当地の積雪がかなり大変なものだったことを想像させられた。
さて当のデモルームは同社1階にあるが、普段このスペースはLegacy8080の組立と出荷前の動作テストを行う「組立工作室」だという。したがってこの体験デモルームは、常時開放されているわけではない。私などが申し上げるのは僭越だが、もし訪問されたい場合は必ず事前にメールで事前予約し、スケジュールを確認してから訪問していただきたい。
そういえばこの日はスティーブ・ジョブズの誕生日だったが、私は久しぶりに電車乗って初めてJR高尾駅に降り立った。幸い天気もよく気温もまずまずだった。そして吉崎さんと駅舎内にあるカフェでランチをご一緒してから技術少年出版の秘密基地へと向かった。
秘密基地は高尾駅北口からバスで15分ほどの場所だが、停留所を降りた向こう側に目的の場所があるのでとても分かりやすい。

※この停留所で下車すると道路向こうに技術少年出版の秘密基地がある
早速デモルームに案内していただいたが、室内に入ると日本でも1966年から1968年にかけTBS系列でTV放送されていた「宇宙家族ロビンソン(原題:Lost in space)」に登場したロボット「フライデー」(正式名称はB9モデル・マーク3型気圧観測ロボット)が迎えてくれた…。そして耐久テスト中だったLegacy8080のLEDが美しい点滅を続けていたのも印象的だった。


※Legacy8080とよくマッチングするロボット「フライデー」(上)とデモルーム(下)
私が今回同社を訪問したのは取材のためといった具体的な目的があったわけではない。まずはLegacy8080とそのターミナルとなるWindowsマシンが動いているところを確認したかったこと、そして何よりも吉崎さんとお話しがしたかったのだ。
とはいえ話の内容をそのままトレースするわけにもいかないので端折るが、いろいろとご説明いただいた後にLegacy8080とWindows搭載のノートパソコンをUSBケーブルで接続し、ノートパソコンをLegacy8080のターミナルとして動作させるデモを見せていただく…。

※Windows搭載のノートパソコンをUSBケーブルで接続し、ノートパソコンをLegacy8080のターミナルとして動作するデモを拝見
結果、CP/Mを起動しその上でMBASIC(BASIC-80)を走らせ、そのアプリケーションとしてスタートレック(STARTREK)ゲームを起動するという一連のオペレーションを拝見した。そしてシリアルプリンタからそのプログラムリストをプリントアウトもしていただいた。

※Legacy8080のターミナルとしてのWindowsマシンでスタートレックを起動。感動の一瞬!
そのスタートレックの画面は、現在のパソコンユーザーにとって多分無味乾燥なものかも知れないが、黎明期には大人気を博したゲームのひとつだったわけであり、そのWindowsの黒い液晶画面を眺めているとその奥に当時の自分が見えるような錯覚を覚えるほど懐かしかった。ふと横を見れば核となっているLegacy8080の美しい姿が現実に引き戻してくれる。

※Legacy8080のLEDは本当に見やすくて綺麗だ
ところで技術少年出版はその会社概要によれば、8ビットマイコンLegacy8080の開発および発売が主な事業となるわけだが、個人的にはその後に続く予定の同社事業内容にもワクワクものなのだ…。
無論今後もLegacy8080の販売とサポートが柱となるのだろうが、一方「マイクロコンピュータ同人誌の編集出版」や「マイクロコンピュータ博物館」そして「技術少年図書館」の運営など魅力的な事業内容が記されている。
かつて月刊ASCII の編集長をも務めていた吉崎さんだからして僭越ながらその編集および出版への拘りは期待できるしこれまでになかった魅力的な出版となるに違いないが、特に私がその実現を望んでいるのが「マイクロコンピュータ博物館」である。

※デモルームの一郭に置かれていた高速鑽孔テープ(紙テープ)読み取りおよび鑽孔機。すでに完動品は世界でも多くはないに違いない
申し上げるまでもなく1970年代から始まるマイクロコンピュータの歴史、そしてパーソナルコンピュータ黎明期に至るあれこれは当時の実機はもとよりだが、その時代的背景や携わったハッカー達といった情報の多くは忘れ去られつつある。関連資料にしても一次資料として残っているものも多くはないし今後ますます四散し、早急にきちんとした形で残しておかなければ後には幻となってしまうに違いない。
当然本場の米国にはコンピュータ博物館といった施設もあるし個人で多くの資料を所有している人たちもいるが、私が最も望みたいことは単に歴史的なマシンやソフトウェアを保存しておくということではなく、それらがどういった時代を背景にしてどんな環境、どんな必然性で生まれたのかという最も残し得ない情報を掘り出すことでもある。そしてそれらに携わった人たちの情熱とスピリットをなんとか次の若い方達に残せないかと思うのだ。
大変難しい事ではあるが、技術少年出版の「マイクロコンピュータ博物館 準備室の運営」がそうしたよすがになるのではないかと勝手な期待が膨らむ…。
実はお暇する間際に将来「マイクロコンピュータ博物館」や「技術少年図書館」のスペースになるであろう文字通り準備スペースに案内していただいた。
写真を撮らせていただくことは遠慮したが、一言でいえば貴重で凄い資料が山積みだった。そこにはタイガー計算機をはじめ一世を風靡した8bitマイコンの実機数種だけでなくこれまで見たこともないような大正時代からの科学・技術雑誌が大量に保管されていた…。他にも書き切れないほど貴重な製品群や資料があり、一般に見せるという意味においては未整理ながらすでにここは博物館なのだ!
結局それらの中から当時日本で実機を見ることがなかったAIM-65 (元箱入り)をデモルームに広げていただいたが、未使用だというそのボードはいま買ってきたばかりといっても良いほど綺麗で美しく光っていた。

※ロックウェル・インターナショナル社が1976年に発売した高機能のワンボードマイコン「AIM-65」未使用品
ちなみにAIM-65とはロックウェル・インターナショナル社が1976年に発売した高機能のワンボードマイコンであり、Apple IIと同じくMOS 6502 をいち早く搭載していた名機であり、文字通り博物館に展示すべき歴史的な製品なのである。
このAIM-65の存在が翌年に登場したApple II に大きな影響を与えたのではないかという吉崎さんのお話には説得力があった。
許されることならもう少し滞在したかったが、後ろ髪を引かれる思いで技術少年出版 秘密基地を後にした。
次にはいま少し明確な目的を持って再訪したいと考えている。
■株式会社 技術少年出版
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