ドラマ 陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜の "おこん" さんに惚れる
旧作ながらNHKオンデマンドによる時代劇ドラマ「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」を何気なく見たが…はまってしまった。原作はご承知のように時代小説の売れっ子、佐伯泰英であり、あの「酔いどれ小籐次」の作者でもある。とはいえ、はまったというのは主人公にではなく両替商「今津屋」の奥向きをあずかっている女中頭の “おこん(中越典子)” があまりにも素敵だったからだ…。
この時代小説は佐伯泰英による日本の時代小説シリーズであり、2002年(平成14年)の刊行以来、すでに45巻を重ね、累計1,700万部を突破したという平成の大ベストセラーシリーズだという。

※「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」第1および第2シリーズのDVD
「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」はそれをドラマ化したシリーズで、第1シリーズは 2007年7月から11回、第2シリーズは、2008年9月6日から12回、そして第3シリーズは、2009年4月18日から14回を重ね、さらに「正月スペシャルドラマ」として2009年と2010年にそれぞれ1作品ずつが放映された。

※今回新たに「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」第3シリーズのDVDを購入した
私がNHKオンデマンドで第1シリーズを見たのは正直単なる暇つぶしであり、「酔いどれ小籐次」と同じ原作者のドラマだったから…というだけの理由だった…。
またファンの方には申し訳ないが、主人公である山本耕史演じる坂崎磐音という人物に惹かれたわけでもなく、時々ではあるが居合いの真似事を楽しんでいる私としては彼の得意とする居眠り剣法は当然のことながらフィクション…エンターテインメントであり、真剣をあんな風に振り回せるはずもないからして特に興味を持ったわけでもなかった。
磐音の差し料は備前包平(びぜんかねひら)のようだが、いくら日本一の刀だとしても、そして腕の立つ磐音の腕でもあれほど刀と刀を合わせては保たない…。刃こぼれし曲がり、時には折れるかも知れない。
ただし当時の稽古は現在の剣道のようにルールといった制約がほとんどなかったから、体当たり、足蹴り、足かけはもとより投げ飛ばしたりといった実践さながらのものだったようで佐々木道場で雑賀衆のくノ一だった霧子と磐音の稽古ぶりなどはデフォルメされているものの確かに面白い…。さらにそのストーリーも今津屋の人たちの描写は好きだが、これまで多くの時代劇を見てきた一人として特に熱中する内容でもなかった。

※私の愛刀(模造刀)。本差しを抜く体力がないときにはこの脇差しで居合いの稽古をする :-P
ちなみに私は原作の小説をまだ1冊も読んでいないのでこうした感想はあくまでドラマに対しての感想である…。
しかし第1シリーズを見ているうちに中越典子演じる "おこん" という女性に妙に惹きつけられたのだ。ちなみにTVドラマや映画をほとんど見ない私は女優としての中越典子はまったく知らない…。ただし2000年前後だったか土曜日の朝、女房がチャンネルを合わせていたTBS系情報ワイド・バラエティ番組「王様のブランチ」でその存在を記憶していたという程度である。
ともあれ江戸深川で父親が差配をしている長屋に生まれ、江戸で1,2を争うという両替商「今津屋」の奥向き女中頭だという江戸っ子ぶりの娘に江戸っ子のオヤジ(私)がまいってしまったのだ(笑)。
まあまあ…気が強く、しっかりとした自分というものを持っているが泣き虫。なによりも超美人ではないが実に愛くるしい。
実はNHKオンデマンドでは第1シリーズしか放映していなかったため、当初この全11篇で完結したドラマかと思っていたが、その後に第3シリーズまで続いていたことを知り、会員になっているTUTAYAからDVDをレンタルして楽しみ始めた。
しかしはまってしまった一人としては1,2度ストーリーを追っただけでは満足できず、"おこん" さんに会いたい一心で第1シリーズから第3シリーズまでのDVDを買ってしまった(笑)。まあ一部は中古だが…。
で、第3シリーズまでを見た上での話だが…大変気に入り、文字通り何度も何度も繰り返して眺めたシーンが3つある。少々ネタバレになるが、それらのうち1つは第1シリーズで後の2つは第2シリーズである。
まずは第1シリーズ最終回「いつの日か」だが、磐音が外から戻り夕餉をかっこむ後ろで "おこん" が目を潤ませながらが「いいな…坂崎さんて…いいな…」と呟くシーン。ここは絶品である(笑)。
次は第2シリーズの第8回「雷鳴」での話だが、3年ぶりに坂崎磐音の父(豊後関前藩の中老)が船で江戸にやってくると聞き、磐音の求めに応じて "おこん" が佃島まで同行した際のシーンである。
平泉成演じる父、坂崎正睦が長旅で伸びた髭面のまま船から下り、前方に息子らの姿を認めた後の歩き方だけで父親の思いが伝わってくる…。無論演出の妙なのだろうが、俳優とはすばらしいなあと思う一瞬でもあった。
ゆっくりと陸に上がった正睦が次第にその歩みの速度を上げて息子磐音たちの前に至るシーンは実に感動ものだった。
3つ目のお気に入りのシーンも坂崎正睦が登場する第9回「決断」に納められた話しだが、船の中で鰻を前にしたシーンが最高なのだ。
正睦の呼びかけに応じた "おこん" とその父親の金兵衛(小松政夫)を前にした坂崎正睦が、息子磐音の心中を察して金兵衛に「おこんさんを息子の嫁にもらい受けたい」というシーンだ。
正睦の木訥とした物言いと根っからの江戸っ子金兵衛の絶妙なやりとりも面白いが、やはり "おこん" が感極まって泣き出すシーンは最高だった。
その場を取り仕切った鰻屋「宮戸川」の主人鉄五郎も含め、心を通わせた5人が至福の一時を過ごすこの場面はそれぞれの人物の気持ちが手に取るようにわかって忘れられないシーンとなった。

※第3シリーズのDVDに含まれているブックレット。ここでも "おこん" さんの笑顔が素敵
ただひとつ大いに気になったのは第3シリーズの出来だ。ストーリーがどうの…といったことはともかく、終盤最強の敵となる雑賀衆の頭領、竹内力演じる雑賀泰造のキャラはまったくもっていただけない。
彼の登場で第3シリーズにおける殺陣シーンの多くはドタバタの三流時代劇と化してしまった感がある。いま少しリアルな敵であった方が危機感が増して良かったと思うのだが、まあ済んでしまったのだから詮無きことだ(笑)。
第3シリーズのDVDにはワンセグ放送向けに制作された磐音の友、川村陽介演じる品川柳次郎主演のサイドストーリー「プチかげ」が収録されているが、このコミカルな寸劇の方が雑賀衆との戦いよりよほど面白い…。
それにしても全編を眺めて記憶に残ったことは "おこん" さんの笑顔であった。一連のシリーズ物のDVDを手元に置き、これからもいつでも"おこん"に会えるのが嬉しい…。
それにしてもこれで佐伯泰英の作品中に登場する2人の女性にまいってしまったことになる(笑)。1人は無論 "おこん" だが、いまひとりは「酔いどれ小籐次」に登場する “北村おりょう” であるが、そのうち原作の "おこん" さんにも会ってみようと思っている。
この時代小説は佐伯泰英による日本の時代小説シリーズであり、2002年(平成14年)の刊行以来、すでに45巻を重ね、累計1,700万部を突破したという平成の大ベストセラーシリーズだという。

※「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」第1および第2シリーズのDVD
「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」はそれをドラマ化したシリーズで、第1シリーズは 2007年7月から11回、第2シリーズは、2008年9月6日から12回、そして第3シリーズは、2009年4月18日から14回を重ね、さらに「正月スペシャルドラマ」として2009年と2010年にそれぞれ1作品ずつが放映された。

※今回新たに「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」第3シリーズのDVDを購入した
私がNHKオンデマンドで第1シリーズを見たのは正直単なる暇つぶしであり、「酔いどれ小籐次」と同じ原作者のドラマだったから…というだけの理由だった…。
またファンの方には申し訳ないが、主人公である山本耕史演じる坂崎磐音という人物に惹かれたわけでもなく、時々ではあるが居合いの真似事を楽しんでいる私としては彼の得意とする居眠り剣法は当然のことながらフィクション…エンターテインメントであり、真剣をあんな風に振り回せるはずもないからして特に興味を持ったわけでもなかった。
磐音の差し料は備前包平(びぜんかねひら)のようだが、いくら日本一の刀だとしても、そして腕の立つ磐音の腕でもあれほど刀と刀を合わせては保たない…。刃こぼれし曲がり、時には折れるかも知れない。
ただし当時の稽古は現在の剣道のようにルールといった制約がほとんどなかったから、体当たり、足蹴り、足かけはもとより投げ飛ばしたりといった実践さながらのものだったようで佐々木道場で雑賀衆のくノ一だった霧子と磐音の稽古ぶりなどはデフォルメされているものの確かに面白い…。さらにそのストーリーも今津屋の人たちの描写は好きだが、これまで多くの時代劇を見てきた一人として特に熱中する内容でもなかった。

※私の愛刀(模造刀)。本差しを抜く体力がないときにはこの脇差しで居合いの稽古をする :-P
ちなみに私は原作の小説をまだ1冊も読んでいないのでこうした感想はあくまでドラマに対しての感想である…。
しかし第1シリーズを見ているうちに中越典子演じる "おこん" という女性に妙に惹きつけられたのだ。ちなみにTVドラマや映画をほとんど見ない私は女優としての中越典子はまったく知らない…。ただし2000年前後だったか土曜日の朝、女房がチャンネルを合わせていたTBS系情報ワイド・バラエティ番組「王様のブランチ」でその存在を記憶していたという程度である。
ともあれ江戸深川で父親が差配をしている長屋に生まれ、江戸で1,2を争うという両替商「今津屋」の奥向き女中頭だという江戸っ子ぶりの娘に江戸っ子のオヤジ(私)がまいってしまったのだ(笑)。
まあまあ…気が強く、しっかりとした自分というものを持っているが泣き虫。なによりも超美人ではないが実に愛くるしい。
実はNHKオンデマンドでは第1シリーズしか放映していなかったため、当初この全11篇で完結したドラマかと思っていたが、その後に第3シリーズまで続いていたことを知り、会員になっているTUTAYAからDVDをレンタルして楽しみ始めた。
しかしはまってしまった一人としては1,2度ストーリーを追っただけでは満足できず、"おこん" さんに会いたい一心で第1シリーズから第3シリーズまでのDVDを買ってしまった(笑)。まあ一部は中古だが…。
で、第3シリーズまでを見た上での話だが…大変気に入り、文字通り何度も何度も繰り返して眺めたシーンが3つある。少々ネタバレになるが、それらのうち1つは第1シリーズで後の2つは第2シリーズである。
まずは第1シリーズ最終回「いつの日か」だが、磐音が外から戻り夕餉をかっこむ後ろで "おこん" が目を潤ませながらが「いいな…坂崎さんて…いいな…」と呟くシーン。ここは絶品である(笑)。
次は第2シリーズの第8回「雷鳴」での話だが、3年ぶりに坂崎磐音の父(豊後関前藩の中老)が船で江戸にやってくると聞き、磐音の求めに応じて "おこん" が佃島まで同行した際のシーンである。
平泉成演じる父、坂崎正睦が長旅で伸びた髭面のまま船から下り、前方に息子らの姿を認めた後の歩き方だけで父親の思いが伝わってくる…。無論演出の妙なのだろうが、俳優とはすばらしいなあと思う一瞬でもあった。
ゆっくりと陸に上がった正睦が次第にその歩みの速度を上げて息子磐音たちの前に至るシーンは実に感動ものだった。
3つ目のお気に入りのシーンも坂崎正睦が登場する第9回「決断」に納められた話しだが、船の中で鰻を前にしたシーンが最高なのだ。
正睦の呼びかけに応じた "おこん" とその父親の金兵衛(小松政夫)を前にした坂崎正睦が、息子磐音の心中を察して金兵衛に「おこんさんを息子の嫁にもらい受けたい」というシーンだ。
正睦の木訥とした物言いと根っからの江戸っ子金兵衛の絶妙なやりとりも面白いが、やはり "おこん" が感極まって泣き出すシーンは最高だった。
その場を取り仕切った鰻屋「宮戸川」の主人鉄五郎も含め、心を通わせた5人が至福の一時を過ごすこの場面はそれぞれの人物の気持ちが手に取るようにわかって忘れられないシーンとなった。

※第3シリーズのDVDに含まれているブックレット。ここでも "おこん" さんの笑顔が素敵
ただひとつ大いに気になったのは第3シリーズの出来だ。ストーリーがどうの…といったことはともかく、終盤最強の敵となる雑賀衆の頭領、竹内力演じる雑賀泰造のキャラはまったくもっていただけない。
彼の登場で第3シリーズにおける殺陣シーンの多くはドタバタの三流時代劇と化してしまった感がある。いま少しリアルな敵であった方が危機感が増して良かったと思うのだが、まあ済んでしまったのだから詮無きことだ(笑)。
第3シリーズのDVDにはワンセグ放送向けに制作された磐音の友、川村陽介演じる品川柳次郎主演のサイドストーリー「プチかげ」が収録されているが、このコミカルな寸劇の方が雑賀衆との戦いよりよほど面白い…。
それにしても全編を眺めて記憶に残ったことは "おこん" さんの笑顔であった。一連のシリーズ物のDVDを手元に置き、これからもいつでも"おこん"に会えるのが嬉しい…。
それにしてもこれで佐伯泰英の作品中に登場する2人の女性にまいってしまったことになる(笑)。1人は無論 "おこん" だが、いまひとりは「酔いどれ小籐次」に登場する “北村おりょう” であるが、そのうち原作の "おこん" さんにも会ってみようと思っている。
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