ラテ飼育格闘日記(381)

まだまだ朝夕の散歩はダウンジャケットを離せないが、確実に春の到来を感じさせる毎日だ。日は長くなり夕方6時近くになっても懐中電灯は不要なのは嬉しい。ただし着すぎれば汗をかくし、暖かいと薄着で散歩に出れば北風が強く身体が冷えるという調節が難しい季節でもある。


さて、この「ラテ飼育格闘日記」をお読みいただく方は、まさかワンコが嫌いという方たちではないと思うので存念を言わせていただくが、東京都の条例によればリードを離しての散歩は禁止されているし、馴染みの公園にはその旨の立て看板も立っている。したがってオトーサンはノーリードは禁止だということを十分理解している。そして詭弁ではなくラテのリードは離した事がない。また以前ノーリードのワンコにラテは前脚を噛まれて大怪我した事もあり、無条件のノーリードを良いことだとは決して思っていない。

しかし人が通らない時間帯や場所でしばしの間、リードを離して愛犬を訓練したり一緒に遊んだりすることは飼い主の1人として安全を見極めた条件付きでもいいから正式に許可して欲しいとも願う。
ドッグランに行けばよいという人もいるが、都合のよい場所に多々あるわけでもないし要は人とワンコが一体になって遊べる場所が欲しいのだ。
例えばドイツのベルリンでは、市内の森が犬のノーリードのために開放されているという。文化も歴史も違う国だからして短絡的に物事を比較できないが、ドイツにできて日本でできないはずもないと考えるのは甘いのだろうか…。
それにワンコにリードを付けなければならないとすれば、ハチ公や名犬ラッシーの物語など成り立たない(笑)。

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※ラテ最高の笑顔のひとつ。しかし鼻が曲がっている(笑)


ただし定まった公園の中といったエリアでのノーリードは個人的には認めて欲しいと思うが、一般道路などの散歩時に「私のワンコは大人しくて訓練されているので安全だ」と言わんばかりにワンコをノーリードで歩かせる輩は実に困ったものだと思うし迷惑だ。散歩の途中でリードをきちんと付けることは他者だけでなくそのワンコの安全にも通じることに違いない。ワンコを嫌いな人たちもいるわけだし、ラテもノーリードのワンコは遠目にも警戒する。

この丸7年間、ラテと共に毎日歩き続けて様々なワンコとその飼い主さんたちとすれ違い、時に意気投合して楽しい一時を過ごしてきた。そしてつくづく感じる事は連れているワンコたちが世間で言う訓練されているかどうかという以前に、魅力的な飼い主さんたちのワンコはこれまた素敵なワンコたちであり、そうそう問題を起こすことはないということを確信するようになった。

ところで、ニュースを見ると散歩中のワンコが付近にいた子供たちを襲い怪我をさせ、死に至らしめるという痛ましい事件が相次いだという…。当然そのことについて飼い主は全責任を取るべきであり、そんなことがあってはならない。ましてやそのほとんどのケースがそのときノーリードだったという事実を知ると1人の飼い主として当該ワンコの飼い主に対して無性に腹が立ってくる。

ワンコの飼い主であるなら…多くの方々が頷いていただけると思うが、ワンコが人を襲い怪我を負わせる、あるいは死に至らせるということは尋常ではない出来事であり、多くのワンコも同様だと思われるのは少々心外だ。
ただし実際に怖い目に合い、命を落とされた人たちがいることは事実であり、それを思うと胸が痛み 心よりご冥福を祈るばかりだし、被害にあった子供たちはさぞや怖かっただろうと思うとじっとしていられない気持ちになる。
例えばワンコが遊びに夢中になりボールの取り合い中に手を噛んだとか、何らかの原因でパニックになって人の足にかじりつくように歯を当てたというケースは様々見聞きしたし、我が娘ラテとオトーサンにもそうした時期があった。

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※誰も来ないなんて寂しいなあ...


ニュース報道も詳しい状況が見えないので判断のしようがないが、ワンコとしては遊びのつもりだったのか、はなから攻撃のつもりで飛びかかったのかも不明なものの、くどいようだがその際リードが飼い主の手にあれば最悪の結果にはならなかったはずだ。

ワンコそれぞれが個別の性格を持ち、いくつかの犬種は特に注意を要することも事実だ。また中には子犬時代からのトラウマを抱えているワンコも多いに違いない。しかし一般論だが、いわゆる闘犬の血を強く持っていたり精神異常のワンコは別にしてほとんどのワンコは本気で人を襲うことは通常考えられない。
とはいえそうした事実もまた多いことを考えると、その一番の要因は飼い主の飼い方、日常の接し方にあるとしか思えないし、一番の問題は飼い主の怠慢と過信ではないか…。

たまたま見かけるが、自分の飼い犬は安全だと思い込み、リードを意図的に付けないで散歩するなど言語道断である。
なぜ当該ワンコは子供たちを襲い大怪我をさせたり子供を死に至らせたのかはワンコに聞かなければ分からないが、何らかの原因や引き金はあるはずで、ワンコは時にとても危険な生き物に変貌する可能性があることを飼い主は常に自覚していなければならないと思う。例え小型犬でも本気になれば我々の手足の骨を砕くほどの強力な顎と歯を持っているからだ。

野村獣医科病院長の野村潤一郎氏はその著書「犬に関する100問100答」のなかで「正常な飼い主が連れているワンコは正常だと思っていい」と書いている。 無論人間は外観と中身が同じというような単純明快な生き物でないから、それこそ飼い主を見極めることは簡単ではないように思う。それでも野村先生のいうことはその通りだと思う。 
またあのシャーロック・ホームズも「這う男(人)」の篇でいみじくも言っている…。「犬というものはその家族の生活の鏡だ。陰気な家に陽気な犬なんかいないし、幸福な家に悲しそうな犬なんかいやしまい。どなりちらしている人間のところには吼えたてる犬が、危険な連中のところには危険な犬、というわけだ」と…。ホームズ物語の著者、コナン・ドイルは大の犬好きだったから経験上、そうしたことを注視していたのだろう。

それまで大人しかった(飼い主は必ずそういうものだが…)ワンコが人を襲って傷つけるということはよほどのストレスがワンコにあったに違いないし、ワンコ側に立つなら何らかの原因もあるのだろう...。
ともあれくどいようだが、オトーサンは事故や事件を正当化しようとするものではなく、問題があればその全責任は飼い主にあることは間違いないと考えるし、同時にこうした大きな事件を起こした当のワンコも多分に殺処分されるわけで、ある意味被害者だと思わざるを得ない…。

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※オカーサンの膝元に座り込み、食べ物を強請るラテ


ワンコが人を襲うというニュースに接すると、ワンコを飼ったことのない人たちにとって多くのワンコが同じレベルで危険な動物だと見られがちだ。勿論前記したようにその鋭い牙を持って攻撃されればワンコは非常に怖い存在だということは間違いない。しかし事故を引き起こしたワンコは持ち前の性格にも関係するのだろうが、よほどアブノーマルな飼い方…接し方をされてきたのではないかとオトーサンは考えるのだが…。

今週のある日、夕方の散歩からの帰り道で「あらっ…ラテちゃん!」と声をかけてくれた女子中学生がいた。最近ではなかなか会えないが、小学3年生のときからラテを可愛がってくれた女子だった。しゃがみ込んでくれた女子にラテは大きな身体をぶつけるようにして飛びつきその口元を舐め始めた。制服が汚れるからとオトーサンはリードを引こうとしたが女子は「大丈夫、いいんです」とラテを抱きしめてくれる。
子供たちと遊び親しむワンコの姿は本来1枚の絵になるほど素敵なシーンだが、そんなときタバコを咥えた老人がその場の空気など無関心にヨタヨタと近寄ってきた。オトーサンはそうした年寄りにラテが必ず吠えることを十分知っているので残念に思いながらもリードを引き、女子からラテを引き離した。唸り吠える過程で間違っても女子にとばっちりの怪我をさせないためである。

案の定、タバコは勿論、不用意に近づく年寄りが嫌いなラテは唸り吠え始めた(笑)。無論オトーサンがしっかりとリードを保持しているが老人はそんなことには気づかないというか惚けているのか、向こうにいくつもあるベンチではなく、ラテたちがいる脇のベンチに無警戒に腰掛ける(笑)。
仕方がなくオトーサンは女子に「ありがとうございます。気を付けてね」と別れて歩き始めたが、我々飼い主でもワンコがその瞬間瞬間なにを感じているかは分からないことも多い。したがって事故が起きてからでは遅いのだ。

繰り返すが管理者の手が行き届く限定された場所で、ワンコをノーリードで遊ばせることができたなら個人的に素敵なことだと思っているし何らかの条件付きでも是非正式に認められる世の中になって欲しいと願う反面、一般路の散歩はリードが不可欠なことは勿論、庭などからワンコが飛び出さないよう十分な管理をすることは飼い主が守らなければならない基本中の基本でもある。
勿論オトーサンの対応もすべてが理想通りとは思っていないが、これからも注意を怠らないよう日々務めたいと思う。




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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員