一枚の写真に命を吹き込むツール「Animix」とは?
過日、友人から質問というかヘルプのメールが届いた。目的はよく分からないものの「一枚の写真に写っている水たまりをそれらしく波打たせたい…」という。プレゼンなどで急遽そうした効果を使いたいらしい。本当なら適した動画を撮ればよい理屈だが、手元にあるのは写真だけだというし相変わらずだが時間がないという…(笑)。
一枚の写真の任意の部分を “動かす” というツールは探せば多々あるのかも知れない。とはいえMac用のアプリケーションでいまこのとき役に立つソフトウェアとなれば「Animix」という製品しか思いつかなかった。それでも友人は時間がないのでとにかくそれを手にしたいというのでApp Storeで買えることを教えると共に簡単な使い方を説明した。そのついでといっては語弊があるが、今回はその「Animix」による水面効果に特化した面白さをご紹介したいと思う。

※「Animix」アプリケーションアイコン
ただし最初にお断りしておくが、「Animix」はシンプルなツールであり、個人的には多用しているもののどういうわけか私の環境 (Mac OS X 10.8.5) では時にアプリケーションがクラッシュすることがある点をまず頭に入れておいていただきたい。とはいえソースの写真に特殊効果を与えた出来はときに大変素敵な映像になるし、なによりも製品は高価なものではないため手軽に手に入れていただけると思う。友人にも勧め、そして喜ばれたし彼の環境ではトラブルは起きないらしい…。
まず最初に取り急ぎソースの写真と後述するステップで水たまり部分を波打たせた結果をご覧頂きたい。こんな風に一枚の写真に命を吹き込むことができるのが「Animix」なのだ。

※今回サンプルとして使った写真(筆者撮影)
※前記写真を「Animix」で「Water surface」効果を加えた動画
では早速アプリケーションを起動してみよう。まずは起動したウィンドウ内にこれからエフェクト効果を加える写真(JPEGやTIFF)をドラッグ&ドロップする。


※アプリを起動し、そのメインウィンドウ(上)に加工する写真をドラッグ&ドロップする(下)
この「Animix」で写真に命を吹き込むというか…エフェクトを加える機能は8種ある。列記すると「Water surface」「Clouds」「Smoke & Haze」「Rain」「Snow」「Wave Motion」「Lens Flare」そして「Touch」だが、最後の「Touch」は写真に動きを加える機能ではなく「Monochrome」「Instant picture」「Lomography」および「Technicolor」という写真に変化を加えるための機能である。
さてインターフェースはシンプルだ。ドロップして表示させたビジュアルが左に、そして右には「New Layer」のタイトルバーとその下には「Main Scene」のタイトルバーが表示する。さらにメインウィンドウがアクティブであれば別途小さな「Photo Navigator」ウィンドウが表示されているはずだ。
まず「New Layer」はポップアップメニューから前記した8種の効果を選択することになるが、これらの効果は複数同時に機能させることも可能だ。ここでは友人からの問い合わせに従い、桜の花びらで囲まれた水たまりの写真を使い、先にご覧頂いたようなその水たまりの範囲…水面があたかも風で揺らいでいるような動画を作ってみることにする…。
早速「New Layer」のポップアップメニューから「Water surface」を選択する。そしてタイトルバー右にある鉛筆アイコンをクリックしてパラメータを表示させる。このときビジュアルは編集モードであることを示すハイライト表示になる。さらに「Photo Navigator」ウィンドウ下にも「Tools」の機能が表示されポインタはブラシモードになる。

※「New Layer」のポップアップメニューから「Water surface」を選択
ここで最初にやるべきことは「Water surface」の効果を与える範囲を決めることだ。無論写真全体であれば範囲指定する必要は無いわけだが、本例では水たまりのみ実際がそうであったように水面が揺らぐ効果を出したい…。したがってブラシ機能で「Water surface」効果が不要なエリア、すなわち水たまり以外のエリアを "消す" ことになる。
「Photo Navigator」ウィンドウ下の「Tools」のモードにはペンシルと消しゴムのアイコンが揃っているが、今回は消しゴムにしてからメインウィンドウのハイライトになっている写真の不要な箇所を消すことにする…。

※水面部分以外をエフェクト対象外として消しゴムツールで塗りつぶす
消すといっても実際にはハイライト部位はもとの写真の濃度に変わっていくわけだが、この塗った(消した)範囲は効果が及ばないエリアとなる。
その消しゴムで消す・塗る際に「Size」「Flow」「Alpha」が選択できるが、サイズはともかく写真によっては効果の部位と効果なしの部位の境界がアバウトである方がよい場合には「Flow」と「Alpha」の値を調節していわゆるぼかした消し・塗りも可能だ。
また、消すエリアを間違ったら「Tools」のモードをペンシルにして書き加えれば良い。
エリア指定ができたら「Water surface」のパラメータやパースペクティブを調整し、水面のゆらぎを作り出す。

※「Water surface」のパラメータを調節
パラメータが適切でなければ効果は現れないが、メインウィンドウのタイトルバー右にある「Preview」アイコンをクリックすれば現在のパラメータによる効果がリアルタイムにプレビューできるので何度でも試行錯誤が可能だ。
効果が思い通りにできたら次にデータを出力する…。

※「Preview」すればパラメータの効果をリアルタイムで確認できる
「Main Scene」タイトルバーをクリックし「Resolution」および「Camera」の設定を行う。「Resolution」は申し上げるまでもなく出力するデータの縦横サイズをピクセル単位で指定するが、一般的には「Automatic」ではなく「Manual」にして縦横サイズを指定しておくと良い。ここでは800×600で出力してみよう。
少々分かりにくいのが「Camera」の設定だが、これは動画形成時にカメラを動かす効果を生むためのものだが、今回のような目的には「Static」でよいし「Speed」も関係ない。
最後にメインウィンドウのタイトルバー左にある「Export」アイコンをクリックする。ここでは出力にあたりそのデータ形式を「Animix Saver Scene」「QuickTime Movie」そして「Image (or a sequence)」の3種から選択する。

※データ出力の形式を3種から選択。本例ではQuickTime Movieにする
ちなみに「Animix Saver Scene」はスクリーンセーバーのデータとして出力、「QuickTime Movie」は一般的な動画ファイルとしての出力、そして「Image (or a sequence)」は一枚のデータならびに指定するフレーム数をすべてのファイルとして出力することになるが、今回は「QuickTime Movie」を選択する。なおスクリーンセーバーとして使う場合は別途専用モジュールをダウンロードする必要がある(無料)。
続けて「QuickTime Movie」とする解像度やコーデックあるいはムービーの長さ(秒)とfpsを設定するが、先に「Resolution」設定を「Manual」指定した際にはその解像度がそのまま採用されるはずだ。
そして「OK」ボタンをクリックすればQuickTime Movieが出力される。

※最終的に解像度やムービー長などを指定の上で出力する
その出来を冒頭のムービーで再度確認していただきたいが、なかなかよく出来ているのではないだろうか。また前記したように「Animix」には他にもユニークな効果が用意されているが、今回は煩雑になるのであくまで「Water surface」エフェクトのみを解説させていただいた。
本稿の終わりとして同じ効果を用いた例をご紹介してみよう…。
これは河川の写真を使い、その水が流れている部分をこれまでに説明したと同じ手法でパラメータを指定し「Water surface」の効果を加えたものだ。

※河川の写真(上)を使い、同様に水が流れている部位を「Water surface」効果で処理した例(下)
オペレーションに慣れれば簡単にそれぞれの効果を使いこなせるに違いない。
■Animix
一枚の写真の任意の部分を “動かす” というツールは探せば多々あるのかも知れない。とはいえMac用のアプリケーションでいまこのとき役に立つソフトウェアとなれば「Animix」という製品しか思いつかなかった。それでも友人は時間がないのでとにかくそれを手にしたいというのでApp Storeで買えることを教えると共に簡単な使い方を説明した。そのついでといっては語弊があるが、今回はその「Animix」による水面効果に特化した面白さをご紹介したいと思う。

※「Animix」アプリケーションアイコン
ただし最初にお断りしておくが、「Animix」はシンプルなツールであり、個人的には多用しているもののどういうわけか私の環境 (Mac OS X 10.8.5) では時にアプリケーションがクラッシュすることがある点をまず頭に入れておいていただきたい。とはいえソースの写真に特殊効果を与えた出来はときに大変素敵な映像になるし、なによりも製品は高価なものではないため手軽に手に入れていただけると思う。友人にも勧め、そして喜ばれたし彼の環境ではトラブルは起きないらしい…。
まず最初に取り急ぎソースの写真と後述するステップで水たまり部分を波打たせた結果をご覧頂きたい。こんな風に一枚の写真に命を吹き込むことができるのが「Animix」なのだ。

※今回サンプルとして使った写真(筆者撮影)
※前記写真を「Animix」で「Water surface」効果を加えた動画
では早速アプリケーションを起動してみよう。まずは起動したウィンドウ内にこれからエフェクト効果を加える写真(JPEGやTIFF)をドラッグ&ドロップする。


※アプリを起動し、そのメインウィンドウ(上)に加工する写真をドラッグ&ドロップする(下)
この「Animix」で写真に命を吹き込むというか…エフェクトを加える機能は8種ある。列記すると「Water surface」「Clouds」「Smoke & Haze」「Rain」「Snow」「Wave Motion」「Lens Flare」そして「Touch」だが、最後の「Touch」は写真に動きを加える機能ではなく「Monochrome」「Instant picture」「Lomography」および「Technicolor」という写真に変化を加えるための機能である。
さてインターフェースはシンプルだ。ドロップして表示させたビジュアルが左に、そして右には「New Layer」のタイトルバーとその下には「Main Scene」のタイトルバーが表示する。さらにメインウィンドウがアクティブであれば別途小さな「Photo Navigator」ウィンドウが表示されているはずだ。
まず「New Layer」はポップアップメニューから前記した8種の効果を選択することになるが、これらの効果は複数同時に機能させることも可能だ。ここでは友人からの問い合わせに従い、桜の花びらで囲まれた水たまりの写真を使い、先にご覧頂いたようなその水たまりの範囲…水面があたかも風で揺らいでいるような動画を作ってみることにする…。
早速「New Layer」のポップアップメニューから「Water surface」を選択する。そしてタイトルバー右にある鉛筆アイコンをクリックしてパラメータを表示させる。このときビジュアルは編集モードであることを示すハイライト表示になる。さらに「Photo Navigator」ウィンドウ下にも「Tools」の機能が表示されポインタはブラシモードになる。

※「New Layer」のポップアップメニューから「Water surface」を選択
ここで最初にやるべきことは「Water surface」の効果を与える範囲を決めることだ。無論写真全体であれば範囲指定する必要は無いわけだが、本例では水たまりのみ実際がそうであったように水面が揺らぐ効果を出したい…。したがってブラシ機能で「Water surface」効果が不要なエリア、すなわち水たまり以外のエリアを "消す" ことになる。
「Photo Navigator」ウィンドウ下の「Tools」のモードにはペンシルと消しゴムのアイコンが揃っているが、今回は消しゴムにしてからメインウィンドウのハイライトになっている写真の不要な箇所を消すことにする…。

※水面部分以外をエフェクト対象外として消しゴムツールで塗りつぶす
消すといっても実際にはハイライト部位はもとの写真の濃度に変わっていくわけだが、この塗った(消した)範囲は効果が及ばないエリアとなる。
その消しゴムで消す・塗る際に「Size」「Flow」「Alpha」が選択できるが、サイズはともかく写真によっては効果の部位と効果なしの部位の境界がアバウトである方がよい場合には「Flow」と「Alpha」の値を調節していわゆるぼかした消し・塗りも可能だ。
また、消すエリアを間違ったら「Tools」のモードをペンシルにして書き加えれば良い。
エリア指定ができたら「Water surface」のパラメータやパースペクティブを調整し、水面のゆらぎを作り出す。

※「Water surface」のパラメータを調節
パラメータが適切でなければ効果は現れないが、メインウィンドウのタイトルバー右にある「Preview」アイコンをクリックすれば現在のパラメータによる効果がリアルタイムにプレビューできるので何度でも試行錯誤が可能だ。
効果が思い通りにできたら次にデータを出力する…。

※「Preview」すればパラメータの効果をリアルタイムで確認できる
「Main Scene」タイトルバーをクリックし「Resolution」および「Camera」の設定を行う。「Resolution」は申し上げるまでもなく出力するデータの縦横サイズをピクセル単位で指定するが、一般的には「Automatic」ではなく「Manual」にして縦横サイズを指定しておくと良い。ここでは800×600で出力してみよう。
少々分かりにくいのが「Camera」の設定だが、これは動画形成時にカメラを動かす効果を生むためのものだが、今回のような目的には「Static」でよいし「Speed」も関係ない。
最後にメインウィンドウのタイトルバー左にある「Export」アイコンをクリックする。ここでは出力にあたりそのデータ形式を「Animix Saver Scene」「QuickTime Movie」そして「Image (or a sequence)」の3種から選択する。

※データ出力の形式を3種から選択。本例ではQuickTime Movieにする
ちなみに「Animix Saver Scene」はスクリーンセーバーのデータとして出力、「QuickTime Movie」は一般的な動画ファイルとしての出力、そして「Image (or a sequence)」は一枚のデータならびに指定するフレーム数をすべてのファイルとして出力することになるが、今回は「QuickTime Movie」を選択する。なおスクリーンセーバーとして使う場合は別途専用モジュールをダウンロードする必要がある(無料)。
続けて「QuickTime Movie」とする解像度やコーデックあるいはムービーの長さ(秒)とfpsを設定するが、先に「Resolution」設定を「Manual」指定した際にはその解像度がそのまま採用されるはずだ。
そして「OK」ボタンをクリックすればQuickTime Movieが出力される。

※最終的に解像度やムービー長などを指定の上で出力する
その出来を冒頭のムービーで再度確認していただきたいが、なかなかよく出来ているのではないだろうか。また前記したように「Animix」には他にもユニークな効果が用意されているが、今回は煩雑になるのであくまで「Water surface」エフェクトのみを解説させていただいた。
本稿の終わりとして同じ効果を用いた例をご紹介してみよう…。
これは河川の写真を使い、その水が流れている部分をこれまでに説明したと同じ手法でパラメータを指定し「Water surface」の効果を加えたものだ。

※河川の写真(上)を使い、同様に水が流れている部位を「Water surface」効果で処理した例(下)
オペレーションに慣れれば簡単にそれぞれの効果を使いこなせるに違いない。
■Animix
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