1996年の「AppleCup」資料を見てため息!
思えばアップルのデベロッパーという立場の方々はビジネスとはいえ随分とアップルに翻弄され続けてきたものだ。手元にある1996年に配られた「AppleCup~アップル法人ユーザー会・募集要項」というリーフレットを見るとあらためてその感を強くすると共に当時を思い出して目眩を感じため息が出てしまう。
現政府のやり方ではないが、いつの世もお題目ばかりでやることなすこと堂々巡りでとんと物事が前に進まないという事はあるものだ。さらに困ったことだが人が代わり組織が変わると昔のことはリセット...フォーマットされていかにも真新しいアイデアといった感じで同じようなものが再登場する。この業界に20年以上もいて、マイコン/パソコンのユーザー歴30年以上ともなればこうした滑稽な思い出も多い。
今般資料整理をしていた際に1996年に配られた「AppleCup~アップル法人ユーザー会・募集要項」というリーフレットを見つけたとき、昔の事とはいえ苦い思い出がわき上がってきた。
さて「AppleCup」とは “Apple Corporate User Party” の略だというが当時アップルコンピュータ社(現アップルジャパン)のオフィシャルな組織であり、独立した任意の非営利団体「Apple-CUP事務局」として運営されていた。
資料によればその目的は「法人ユーザーにおいて、Macintoshを中核とした情報システムの企画・構築・管理における共通の課題の解決(アップコンピュータ株式会社への提言とその協力活動を含む)と、先進システム構築のために必要な製品/技術/事例研究を主な目的とし、併せて会員相互の活発な交流と親睦を図るものとします。」とある。

※1996年に配布された「AppleCup~アップル法人ユーザー会・募集要項」の表紙
さて「AppleCup」の具体的な活動は「関連サポートプログラム」と「関連テクニカルプログラム」に分かれる。
まず「関連サポートプログラム」にはアップル製品全般の情報提供とテクニカルサポートに関するエンドユーザーからの問い合わせにフリーダイアルの電話とファクスで解答するという「カスタマーアシスタントセンター(CAC)」があった。そしてアップルの情報はもとよりサードパーティー各社の情報をファクスで提供する「FAXAID」、さらに現在も一部その名が残っている製品保守期間を過ぎても追加保証料を支払うことで無料修理をするという「AppleCare」というサービスである。
「関連テクニカルプログラム」にはアップル製品によるシステム設計、構築に必要な技術情報およびテクニカルサポートの提供を目指した「アップル・システムエンジニアリングプログラム」、Macintoshプログラミングの入門から応用、そしてドライバ開発など開発者向けトレーニングとして、広く一般の方々に受講を勧めるプログラミングスクールの「デベロッパユニバーシティ」があり、さらにMacintoshネットワーク環境を活用するための各種トレーニングを行う「Apple Traning for Network」というプログラムで構成されていた。
さらに「クロスプラットフォーム分科会」「ネットワークシステム分科会」などいくつかのテーマ別分科会活動計画や「ソリューションセミナー」と題して「OpenDoc」や「New Mac OS」などのセミナーを開催すること、インターネットでの専用フォーラム提供、幹事会の招集、そしてその他の予定として「国内研修セミナー」やMacworld Expo/SFへの「海外研修セミナー」と各種国内のビジネスイベントへの参加も謳われていたのである。
入会資格は基本的に法人ユーザーであるが活動に賛同する個人の入会も認めていた。そして年会費は会員一口(2名)で2万円だった。
なお入会手続きが完了すると「ウェルカムキット」というものが送付されてくる。それらは入会通知やらガイドラインそして年間スケジュール表だったが笑ってしまうのは「Apple-CUP ’95 CD-ROM」が同梱されその説明には「2万円相当」とあることだ(笑)。記憶がまったくないのだが2万円相当の貴重なゲームでも入っていたのだろうか...。
当時私自身もアップルのデベロッパーだったからアップルのサービス向上には人一倍注目し実現に期待をしていたが、この「AppleCup~アップル法人ユーザー会」が文字通り成功して本当の意味で我々の役にたってくれた記憶は...まったくない(笑)。事実当時の業界人に「AppleCupって覚えていますか?」と聞いたところでほとんど記憶にないだろうしご存じないだろう...当事者はともかく。
それどころかその前後の時代はアップルジャパンの社長が1年ごとに替わっただけでなく業績に大きな陰りがあった時代だったから、サービスどころではなかったのかも知れないし、ご承知のように同年暮れにAppleはNeXTを買収しスティーブ・ジョブズを顧問としてAppleに復帰させることを発表した。
こうした大きな変動の前にはあれほどきれい事をならべた「AppleCup」は自然消滅させるしかなかったのだろう。そして我々の記憶からも早々に消え去ったのである。
いまさらではあるが、あのOpenDocの消滅が象徴するように当時のデベロッパーは理由はともあれAppleに随分と翻弄され裏切られたものだ。
ともかく例えばAppleCareはサポート組織やサービス形態は当時と違うものの、現在も「AppleCare Protection Plan」として存在しているし「Apple Traning for Network」トレーニングはそれこそ現在のアップル技術者認定プログラムそのもののように思える。
問題は失敗や挫折を繰り返すほどに理想に近づいているのであれば良いがリセットとやり直しの連続では関係者たちはやりきれない...。
まあ一番の問題はアップルのデベロッパーに対する現サービスはこの時代から果たして大きく向上しているかどうかにある。しかし幾多のデベロッパーやディストリビュータあるいは開発者の方々からの話しを綜合するに私にはそう思えないことが残念である…。
現政府のやり方ではないが、いつの世もお題目ばかりでやることなすこと堂々巡りでとんと物事が前に進まないという事はあるものだ。さらに困ったことだが人が代わり組織が変わると昔のことはリセット...フォーマットされていかにも真新しいアイデアといった感じで同じようなものが再登場する。この業界に20年以上もいて、マイコン/パソコンのユーザー歴30年以上ともなればこうした滑稽な思い出も多い。
今般資料整理をしていた際に1996年に配られた「AppleCup~アップル法人ユーザー会・募集要項」というリーフレットを見つけたとき、昔の事とはいえ苦い思い出がわき上がってきた。
さて「AppleCup」とは “Apple Corporate User Party” の略だというが当時アップルコンピュータ社(現アップルジャパン)のオフィシャルな組織であり、独立した任意の非営利団体「Apple-CUP事務局」として運営されていた。
資料によればその目的は「法人ユーザーにおいて、Macintoshを中核とした情報システムの企画・構築・管理における共通の課題の解決(アップコンピュータ株式会社への提言とその協力活動を含む)と、先進システム構築のために必要な製品/技術/事例研究を主な目的とし、併せて会員相互の活発な交流と親睦を図るものとします。」とある。

※1996年に配布された「AppleCup~アップル法人ユーザー会・募集要項」の表紙
さて「AppleCup」の具体的な活動は「関連サポートプログラム」と「関連テクニカルプログラム」に分かれる。
まず「関連サポートプログラム」にはアップル製品全般の情報提供とテクニカルサポートに関するエンドユーザーからの問い合わせにフリーダイアルの電話とファクスで解答するという「カスタマーアシスタントセンター(CAC)」があった。そしてアップルの情報はもとよりサードパーティー各社の情報をファクスで提供する「FAXAID」、さらに現在も一部その名が残っている製品保守期間を過ぎても追加保証料を支払うことで無料修理をするという「AppleCare」というサービスである。
「関連テクニカルプログラム」にはアップル製品によるシステム設計、構築に必要な技術情報およびテクニカルサポートの提供を目指した「アップル・システムエンジニアリングプログラム」、Macintoshプログラミングの入門から応用、そしてドライバ開発など開発者向けトレーニングとして、広く一般の方々に受講を勧めるプログラミングスクールの「デベロッパユニバーシティ」があり、さらにMacintoshネットワーク環境を活用するための各種トレーニングを行う「Apple Traning for Network」というプログラムで構成されていた。
さらに「クロスプラットフォーム分科会」「ネットワークシステム分科会」などいくつかのテーマ別分科会活動計画や「ソリューションセミナー」と題して「OpenDoc」や「New Mac OS」などのセミナーを開催すること、インターネットでの専用フォーラム提供、幹事会の招集、そしてその他の予定として「国内研修セミナー」やMacworld Expo/SFへの「海外研修セミナー」と各種国内のビジネスイベントへの参加も謳われていたのである。
入会資格は基本的に法人ユーザーであるが活動に賛同する個人の入会も認めていた。そして年会費は会員一口(2名)で2万円だった。
なお入会手続きが完了すると「ウェルカムキット」というものが送付されてくる。それらは入会通知やらガイドラインそして年間スケジュール表だったが笑ってしまうのは「Apple-CUP ’95 CD-ROM」が同梱されその説明には「2万円相当」とあることだ(笑)。記憶がまったくないのだが2万円相当の貴重なゲームでも入っていたのだろうか...。
当時私自身もアップルのデベロッパーだったからアップルのサービス向上には人一倍注目し実現に期待をしていたが、この「AppleCup~アップル法人ユーザー会」が文字通り成功して本当の意味で我々の役にたってくれた記憶は...まったくない(笑)。事実当時の業界人に「AppleCupって覚えていますか?」と聞いたところでほとんど記憶にないだろうしご存じないだろう...当事者はともかく。
それどころかその前後の時代はアップルジャパンの社長が1年ごとに替わっただけでなく業績に大きな陰りがあった時代だったから、サービスどころではなかったのかも知れないし、ご承知のように同年暮れにAppleはNeXTを買収しスティーブ・ジョブズを顧問としてAppleに復帰させることを発表した。
こうした大きな変動の前にはあれほどきれい事をならべた「AppleCup」は自然消滅させるしかなかったのだろう。そして我々の記憶からも早々に消え去ったのである。
いまさらではあるが、あのOpenDocの消滅が象徴するように当時のデベロッパーは理由はともあれAppleに随分と翻弄され裏切られたものだ。
ともかく例えばAppleCareはサポート組織やサービス形態は当時と違うものの、現在も「AppleCare Protection Plan」として存在しているし「Apple Traning for Network」トレーニングはそれこそ現在のアップル技術者認定プログラムそのもののように思える。
問題は失敗や挫折を繰り返すほどに理想に近づいているのであれば良いがリセットとやり直しの連続では関係者たちはやりきれない...。
まあ一番の問題はアップルのデベロッパーに対する現サービスはこの時代から果たして大きく向上しているかどうかにある。しかし幾多のデベロッパーやディストリビュータあるいは開発者の方々からの話しを綜合するに私にはそう思えないことが残念である…。
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