アロハシャツの魅力
そろそろ日中は強い日射しが照す季節となってきたから着る物も考えなければならない。ところで話は飛ぶが、私はまだハワイに行ったことがない(^_^;)。十数年の間Macworld Expoに行くため米国本土に足を向けてきたものの、ハワイへは出向く機会がまったくなかった...。女房は私を置いて友達とハワイにいったけれど...(笑)。それはともかく、私がハワイを意識したのはやはり音楽からだった。
幼少のころからどういうわけか家にはウクレレがあった。したがって自然に手にすることとなり、いわゆるハワイアン音楽のいくつかを覚え現在に至っている。
「珊瑚礁の彼方」「南国の夜」「アロハ・オエ」などはいまでもたまにウクレレを片手に口ずさんでいる...。
そして確か1960年代に公開されたエルビス・プレスリー主演の映画「ブルー・ハワイ」は私のハワイに対するイメージを確立させた(笑)。
いまでは笑い話だろうが、私が少年の時代はハワイへ行くこと自体まだまだ大変なことであり、テレビのクイズ番組「アップダウンクイズ」などでは優勝者がハワイ旅行できるというだけで多くの応募者が殺到したものである。また同じ年代だっただろうか、美しい長い髪に真っ赤なハイビスカスの花をつけ「夏の日の思い出」や「南国の夜」などを歌った日野てる子の歌声に無垢な少年の心は否が応でも掻きたてられ、思いはハワイに向けられた(笑)。そしていまでもiTunesやiPhoneには彼女の甘い歌声が数曲入っている。

※大昔に買った日野てる子のCD
さてそんなわけで私のハワイに対するイメージは多くの人と同じく常夏の楽園であり、ある種の理想郷的イメージと重なっていった。
しかしサラリーマンとなった現実は毎日型にはまったスーツ姿を強要されることになった。とはいえいま思えば冷や汗ものだが、その頃は若さ故か怖いもの知らずであった…。
私はどこかのアンチャンまがいのホワイトスーツや太い縦縞の入ったスーツ、そしてピンク色のワイシャツなどを着て出社し人事部に呼び出され注意を受けたこともあった。まったく面目ないことである(笑)。
しかしいまでも思うが、男の服装は女のそれと比較するとデザインやカラーそして柄といったすべての部分において面白みが欠如していると思うのだ。だからというわけではないが、アウトドア派ではない私もアロハシャツは大好きである。勿論地味なものから派手なものまで多様な柄があるわけだが、どう見たって背広姿とは対局の世界であろう。
個人的には別にビンテージ物をコレクションするといった趣味はないが、たまたま行き交う店で気に入った柄があるとつい手にいれてしまうことになる。
26数年ほど前にサラリーマンでなくなった私としては他人の目を意識しなければ何を身につけても文句をいう人はいないはずだった(笑)。しかしビジネスマンのはしくれとなれば仕事でクライアントに会うときにまさかアロハシャツというわけにはいかない。やはり私のDNAは基本的に古いのかもしれない(笑)。
そんな反動からか普段着のシャツはけっこう派手な色柄が多いようだし赤系統が好きなのはどういうわけだろうか...。友人達には「還暦過ぎたから、いいんでない?!」といってからかわれるのだが…。ただし昨今はこれまで長い時間をかけた様々な取り組みを通して、アロハシャツはオフィシャルな場で着用されるだけでなく、本場では冠婚葬祭でも着用が許される男性の正装として認知されるようになったと聞いた。
そういえばアロハシャツという名は商標登録されている時代があったそうで通の人達は「ハワイアン・シャツ」と呼ぶ。そしてシャツそのものの原型はもともとあったものの、日系移民の人達が着物の生地をシャツに作り変えたことをヒントに生まれたとの説もあり、だからこそ私たち日本人の心にも響くものがあるのだろうか…。
ところでアメリカ合衆国は1898年ハワイ諸島を併合。1900年に準州に、1959年に50番目の州とした。そしてパール・ハーバーといった軍事と常夏のイメージによる観光の両面でアメリカ合衆国にとってハワイは重要なポジションとなっていく。特に観光化の波は著しく1960年には29万人だった観光客が1983年には437万人にも激増したというが、それにともないアロハシャツも他の物産と共にハワイの象徴として重要な土産品とされ今日に至っている。
もともとシャツの生地は絹や綿であり、いま多くのビンテージコレクターが血眼になっているというレーヨン製のものは最初はまだなかった。そのレーヨンが使われるようになったのはやはり戦後だった。レーヨンや後のポリエステル繊維の登場は素材の扱いやすさはもとより艶やかな染色やプリントにも向き、大変美しいデザインの製品が登場し始めたわけだ。
ただしポリエステルが台頭したため、結果としてレーヨン製の製品が作られた時期が10数年程度だったこともあり今となっては品数が少なく、だからこそのビンテージでもあるわけだ。そして我々の目に格好良く映ったアロハシャツだが、それは前記したプレスリーらが出演した多くのアメリカ映画に洗脳されたことも大きな理由であったろう。なにかアロハシャツは「自由」と「楽園」の象徴と写った感がある。
それから周知のことだろうが、アロハシャツもその柄によりいくつかの分類があるとのこと。例えば総柄ともいい、生地全体にパターンの繰り返しが使われているものをオーバーオール・パターン、前身頃は無地で背中に一枚絵のパターンがプリントされているようなものをバックパネル・パターン、そしてパターンが縦方向にボーダー状になっているものをボーダー・パターンと呼ばれている。その他まだまだ分類名があるという。
また凝ったコレクターたちはシャツのボタンにも注目している。事実アロハシャツに使われているボタンの素材はさまざまでありココナッツボタンの他に竹、アクリル樹脂、メタル、真珠貝、白蝶貝などなど多彩なものがあり楽しませてくれる。
繰り返すがシャツは自分で身につけてこそ価値が出るもの。だからビンテージを集めるのも楽しいだろうが着こなせなければねえ…と思う。
さて偉そうな物言いをしたものの言い訳めくが、ただただ好きなシャツを着つぶしてから新たに買うということを繰り返している私はコレクター諸氏のように高価なものを所有しているわけではない。だから自慢できるようなハワイアン・シャツをお見せできないのだが、まあここはただ単に気に入っているということでいま手元にあるシャツをいくつか挙げてみたい。
まずこの赤色のシャツはPapasブランドのものだが、まず気に入ったのはその赤を含む全体の色彩である。生地は麻でサンドウォッシュ後に色加工をしているとかで良い意味で均一性ではない点がナチュラルでよいと思っている。
柄はアロハ・シャツの定番ともいえるハイビスカスの花、椰子の木、鳥、パイナップルなどがあしらわれているオーバーオール・パターンタイプである。

続けての一着もPapasブランドだが、前記のものとは一変して落ち着いた色合いのものである。使われているカラーは濃いブルー、グリーン、若草色、黄、肌色、黄土色といった渋い色たちだ。そしてそれらのカラーで椰子の木をはじめ、緑と花々が豊かなリゾートの街並みをオーバーオール・パターンで描いている点が気に入っている。生地は麻。

次は紹介するのが恥ずかしいくらい安価な一着なのだがそのカラーリングとデザインが気に入って購入したもの。事実安っぽいのだが(笑)、レーヨン製のそれは意外と着やすくて軽く思わず身につけてしまう一着となった。柄は椰子の木がある島にフラダンスの女性、家、そして定番のハイビスカスの花というよくあるパターンだが全体のブルーが落ち着いた色合いなのがよい。

これまた安物である(笑)。昔東京ディズニーランドにいった時の土産品として買ったものだから当然のようにミッキーマウス、ミニマウスそしてドナルドダッグなどが描かれている。しかし全体的に落ち着いた地味な色合いなので普段着として惜しげがないところがよい。生地はレーヨンである。

さて最後の一着は小豆色の生地に缶詰の缶、ビン、紙製?のカップなどがオーバーオール・パターンで描かれている。生地はレーヨン製。

その他数着はタンスの中に無造作にしまわれているがスーツ姿の時には糊のついたピシッとしたワイシャツを着るひとりとして、アロハ・シャツの洗いざらし感や開放感が心を揺り動かすのかも知れない。
■エピローグ
ハワイが好きだといった。しかし暑いのは好きではない(笑)。でも是非お気に入りのアロハ・シャツを着てカメラとウクレレと犬と一緒にハワイで過ごしてみたいものだ。いや今となっては夢のまた夢であるが…(笑)。

そしてやはりアロハ・シャツにはウクレレがよく似合うしハーブ・オオタさんのウクレレ音楽を聞きながらオールドコナ(ハワイ産のコーヒー豆で古い豆はオールドコナと呼び酸味が穏やかになる)でも淹れてゆったりと口に含んでみようか…。
幼少のころからどういうわけか家にはウクレレがあった。したがって自然に手にすることとなり、いわゆるハワイアン音楽のいくつかを覚え現在に至っている。
「珊瑚礁の彼方」「南国の夜」「アロハ・オエ」などはいまでもたまにウクレレを片手に口ずさんでいる...。
そして確か1960年代に公開されたエルビス・プレスリー主演の映画「ブルー・ハワイ」は私のハワイに対するイメージを確立させた(笑)。
いまでは笑い話だろうが、私が少年の時代はハワイへ行くこと自体まだまだ大変なことであり、テレビのクイズ番組「アップダウンクイズ」などでは優勝者がハワイ旅行できるというだけで多くの応募者が殺到したものである。また同じ年代だっただろうか、美しい長い髪に真っ赤なハイビスカスの花をつけ「夏の日の思い出」や「南国の夜」などを歌った日野てる子の歌声に無垢な少年の心は否が応でも掻きたてられ、思いはハワイに向けられた(笑)。そしていまでもiTunesやiPhoneには彼女の甘い歌声が数曲入っている。

※大昔に買った日野てる子のCD
さてそんなわけで私のハワイに対するイメージは多くの人と同じく常夏の楽園であり、ある種の理想郷的イメージと重なっていった。
しかしサラリーマンとなった現実は毎日型にはまったスーツ姿を強要されることになった。とはいえいま思えば冷や汗ものだが、その頃は若さ故か怖いもの知らずであった…。
私はどこかのアンチャンまがいのホワイトスーツや太い縦縞の入ったスーツ、そしてピンク色のワイシャツなどを着て出社し人事部に呼び出され注意を受けたこともあった。まったく面目ないことである(笑)。
しかしいまでも思うが、男の服装は女のそれと比較するとデザインやカラーそして柄といったすべての部分において面白みが欠如していると思うのだ。だからというわけではないが、アウトドア派ではない私もアロハシャツは大好きである。勿論地味なものから派手なものまで多様な柄があるわけだが、どう見たって背広姿とは対局の世界であろう。
個人的には別にビンテージ物をコレクションするといった趣味はないが、たまたま行き交う店で気に入った柄があるとつい手にいれてしまうことになる。
26数年ほど前にサラリーマンでなくなった私としては他人の目を意識しなければ何を身につけても文句をいう人はいないはずだった(笑)。しかしビジネスマンのはしくれとなれば仕事でクライアントに会うときにまさかアロハシャツというわけにはいかない。やはり私のDNAは基本的に古いのかもしれない(笑)。
そんな反動からか普段着のシャツはけっこう派手な色柄が多いようだし赤系統が好きなのはどういうわけだろうか...。友人達には「還暦過ぎたから、いいんでない?!」といってからかわれるのだが…。ただし昨今はこれまで長い時間をかけた様々な取り組みを通して、アロハシャツはオフィシャルな場で着用されるだけでなく、本場では冠婚葬祭でも着用が許される男性の正装として認知されるようになったと聞いた。
そういえばアロハシャツという名は商標登録されている時代があったそうで通の人達は「ハワイアン・シャツ」と呼ぶ。そしてシャツそのものの原型はもともとあったものの、日系移民の人達が着物の生地をシャツに作り変えたことをヒントに生まれたとの説もあり、だからこそ私たち日本人の心にも響くものがあるのだろうか…。
ところでアメリカ合衆国は1898年ハワイ諸島を併合。1900年に準州に、1959年に50番目の州とした。そしてパール・ハーバーといった軍事と常夏のイメージによる観光の両面でアメリカ合衆国にとってハワイは重要なポジションとなっていく。特に観光化の波は著しく1960年には29万人だった観光客が1983年には437万人にも激増したというが、それにともないアロハシャツも他の物産と共にハワイの象徴として重要な土産品とされ今日に至っている。
もともとシャツの生地は絹や綿であり、いま多くのビンテージコレクターが血眼になっているというレーヨン製のものは最初はまだなかった。そのレーヨンが使われるようになったのはやはり戦後だった。レーヨンや後のポリエステル繊維の登場は素材の扱いやすさはもとより艶やかな染色やプリントにも向き、大変美しいデザインの製品が登場し始めたわけだ。
ただしポリエステルが台頭したため、結果としてレーヨン製の製品が作られた時期が10数年程度だったこともあり今となっては品数が少なく、だからこそのビンテージでもあるわけだ。そして我々の目に格好良く映ったアロハシャツだが、それは前記したプレスリーらが出演した多くのアメリカ映画に洗脳されたことも大きな理由であったろう。なにかアロハシャツは「自由」と「楽園」の象徴と写った感がある。
それから周知のことだろうが、アロハシャツもその柄によりいくつかの分類があるとのこと。例えば総柄ともいい、生地全体にパターンの繰り返しが使われているものをオーバーオール・パターン、前身頃は無地で背中に一枚絵のパターンがプリントされているようなものをバックパネル・パターン、そしてパターンが縦方向にボーダー状になっているものをボーダー・パターンと呼ばれている。その他まだまだ分類名があるという。
また凝ったコレクターたちはシャツのボタンにも注目している。事実アロハシャツに使われているボタンの素材はさまざまでありココナッツボタンの他に竹、アクリル樹脂、メタル、真珠貝、白蝶貝などなど多彩なものがあり楽しませてくれる。
繰り返すがシャツは自分で身につけてこそ価値が出るもの。だからビンテージを集めるのも楽しいだろうが着こなせなければねえ…と思う。
さて偉そうな物言いをしたものの言い訳めくが、ただただ好きなシャツを着つぶしてから新たに買うということを繰り返している私はコレクター諸氏のように高価なものを所有しているわけではない。だから自慢できるようなハワイアン・シャツをお見せできないのだが、まあここはただ単に気に入っているということでいま手元にあるシャツをいくつか挙げてみたい。
まずこの赤色のシャツはPapasブランドのものだが、まず気に入ったのはその赤を含む全体の色彩である。生地は麻でサンドウォッシュ後に色加工をしているとかで良い意味で均一性ではない点がナチュラルでよいと思っている。
柄はアロハ・シャツの定番ともいえるハイビスカスの花、椰子の木、鳥、パイナップルなどがあしらわれているオーバーオール・パターンタイプである。

続けての一着もPapasブランドだが、前記のものとは一変して落ち着いた色合いのものである。使われているカラーは濃いブルー、グリーン、若草色、黄、肌色、黄土色といった渋い色たちだ。そしてそれらのカラーで椰子の木をはじめ、緑と花々が豊かなリゾートの街並みをオーバーオール・パターンで描いている点が気に入っている。生地は麻。

次は紹介するのが恥ずかしいくらい安価な一着なのだがそのカラーリングとデザインが気に入って購入したもの。事実安っぽいのだが(笑)、レーヨン製のそれは意外と着やすくて軽く思わず身につけてしまう一着となった。柄は椰子の木がある島にフラダンスの女性、家、そして定番のハイビスカスの花というよくあるパターンだが全体のブルーが落ち着いた色合いなのがよい。

これまた安物である(笑)。昔東京ディズニーランドにいった時の土産品として買ったものだから当然のようにミッキーマウス、ミニマウスそしてドナルドダッグなどが描かれている。しかし全体的に落ち着いた地味な色合いなので普段着として惜しげがないところがよい。生地はレーヨンである。

さて最後の一着は小豆色の生地に缶詰の缶、ビン、紙製?のカップなどがオーバーオール・パターンで描かれている。生地はレーヨン製。

その他数着はタンスの中に無造作にしまわれているがスーツ姿の時には糊のついたピシッとしたワイシャツを着るひとりとして、アロハ・シャツの洗いざらし感や開放感が心を揺り動かすのかも知れない。
■エピローグ
ハワイが好きだといった。しかし暑いのは好きではない(笑)。でも是非お気に入りのアロハ・シャツを着てカメラとウクレレと犬と一緒にハワイで過ごしてみたいものだ。いや今となっては夢のまた夢であるが…(笑)。

そしてやはりアロハ・シャツにはウクレレがよく似合うしハーブ・オオタさんのウクレレ音楽を聞きながらオールドコナ(ハワイ産のコーヒー豆で古い豆はオールドコナと呼び酸味が穏やかになる)でも淹れてゆったりと口に含んでみようか…。
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