CrazyTalk Animator2 Pro 覚書[1]
必要に迫られて…というと大げさだが、仕事にちょと色づけしたいことがあってアニメーションソフトを買った。前から少々気になっていた存在だったが、3Dアニメーションではなく基本は2Dアニメなのだ。ただし疑似的な3D効果も見せることが出来るユニークな製品、それがReallusion社の「CrazyTalk Animator2 Pro」である。
これから数回に分けてそのCrazyTalk Animator2 Pro(以下 CTA2 Pro)の機能紹介や使い方について自身の覚書という意味を含めて綴ってみたい。なおCTA2にはスタンダードとプロそしてパイプラインという3種があり、機能および価格に違いがあるが、私はCTA2 Proを手にしたので以後の解説はCTA2 Proで実現したもの…ということでご承知願いたい。また同製品はMac版とWindows版がそろっている。

※CrazyTalk Animator2 Proのアバウト画面
さてコンビューターによるアニメーションは大変魅力あるものだ。私がかつて経営していたMac専門のソフトウェア開発会社でもMoviePaintという手描きアニメーションソフトを開発し、アップルのPerformaシリーズにバンドルされたこともあって累計で45万本以上の出荷実績があった。
そのMoviePaintもそうだが、一般的な2Dアニメーションツールはパラパラマンガよろしく手作りの方法をシミュレートし、セルに相当する1枚1枚のエリアに少しずつ違う絵を描きそれを高速で連続表示することで動画として認識させるという手法だ。
そうした正攻法というか一般的なアニメーションと比較するとCTA2は発想がまったく違う…。まずアニメーションの主人公である人物や景色・背景といったものを基本部分はともかくコンテンツとして有償で提供する仕組みだ。無論ユーザーは何らかのグラフィックツールを使い、ゼロから自分で絵を描き、アニメーションに利用することも出来るが、基本はコンテンツマネージャーの中からドラッグ&ドロップでステージに人物や背景あるいは椅子や立木といったPropを配置し、それらにこれまた用意されているアニメーションやエフェクトのためのコンテンツをドロップすることで目的のストーリーを作り出そうとするものだ…。


※一つのキャラクタ(Actor)の衣装や顔を変えてバリエーション豊富なイメージができる(上)。動きもモーションファイルをドロップするだけ(下)
そのアニメーションコンテンツには歩く、走る、飛び上がるといった単純なものから「電話をかける」とか「珈琲をサーバーから注いで飲む」といった動作まで様々なものが用意されており、Actorすなわちキャラクタに複雑な動作を容易に指定できるのが特長だ。
そのActor…キャラクタもまともに工夫しようとすれば別途オプションデータを購入する必要がある。それらは表情や顔の形、ヘアスタイル、服の上下、靴といったアイテムを着せ替え人形のように変えて好みのキャラクタを作り出す。
またそれらのActorには2D版と3D版とがあるが、3D版のキャラクタはステージ上で常に正面を向いているだけのものではなく、45度ずつの角度から見たデータ、すなわち360度に8つの方向からのビジュアルを持っている。ためにその範囲内ではあるものの横を向いたりといった表現も可能だ。

※最新の3D Actorは360度8つのデータを持っている
これらのキャラクタはBone、すなわち骨格データを持っており、この機能が働くからこそ動きを与えても手足や頭が身体から離れず、手足や腰および首などをある程度自然に動かせるわけだ。そして表情も顔のパーツを変えたりサイズあるいはカラーを変えたりできるためバリエーションは豊富だ。ただしいくら豊富だといっても既製品の組み合わせであるからして限りはあるし、そうした中でユーザーが表現したいキャラクタが出来得ない場合はゼロから自分で作らなければならない。それに正直CTA2に揃っているコミック的キャラの多くは使えない…使いたくないものが多い(笑)。
というわけでCTA2ではユーザーが描く、または写真などによる人物像などを骨格の持ったActorとして作る方法が公開されているが、慣れていないこともあるものの正直安直に試して見ようとは思わない(笑)。実際なかなか面倒で神経を使う作業となる。
ただしActorとしてあるいは2Dの写真1枚の顔がアニメーションと共に喋るといった芸当もできるのは大きな魅力だ。これは以前ご紹介した「CrazyTalk7 Pro」という同じ会社のフェイスアニメーションソフトがあるが、その基本機能がCTA2にも含まれていることによる。そのスピーチも「マイクから録音」する、「別途AIFFでスピーチデータを作る」、あるいは「テキストを喋らせる」といった方法を採ることができる。
そのCTA2だが、初回は基本のActor…キャラクタを編集して今後いろいろなアニメーションの主人公になってもらうつもりのスティーブ・ジョブズ氏を作ってみたいと思う。なおひとつひとつの手順や利用するメニュー、コマンド類を記すのは煩雑なのであくまで概要紹介となることはご了解いただきたい。また使用するテンプレートおよびコンテンツの多くはCTA2本体とは別にオプションのいくつかを購入したものを使っているのでこれまたご承知願いたい。
さて、早速だがまずベースとなるキャラをステージに表示させるが、ちょうどどこか若かりし頃のスティーブ・ジョブズを彷彿とさせるキャラクターがあったのでそれを使うことにする。そしてActorのオブジェクトをアクティブにし、ステージ左のツール群の一番上にある Charactor Composer をクリック。これでステージはキャラクターに骨格(Bone)が表示される編集モードとなる。

※まずはベースとするActorを指定しアクティブにした上でCharactor Composer をクリックしキャラの編集モードに入る
まずは頭と顔を変えてみよう…。
右サイドのContent Managerのテンプレートより Head タブを開き そのテンプレートにあるコンテンツをあれこれと眺めたところ口ひげおよびあごひげがあるデータがあったのでそれをステージのキャラにドラッグする。

※顔を変えていく。まずはあごひげのあるヘッドに変更
同様にヘアスタイルも往年のスティーブ・ジョブズに似ているコンテンツを探して変更。続いて眼鏡を付けた鼻のコンテンツを採用…。

※ヘアスタイルの変更と共に眼鏡をかける
これでどこかジョブズに似た顔つきになったので続けて上着を黒い長袖のシャツと靴をスニーカーに変えてみた。ただしこのままでは頭髪と髭の色が茶色だからしてイメージが違う。
そこで頭髪と髭のカラーを白髪交じりということでグレーに変更してみることにしよう…。
ステージ左のツール群より Render Style (R)をクリックし、スタイル変更モードに入る。右サイドに表示するRender Style 表示欄外の Advance Settings ボタンをクリックするとRender Styleの下にコンテンツ各部位のリストと共にカラーや明るさなどを変更可能にするスライドバーが表示する。


※Render Styleモードに入り、頭髪と髭のカラーをグレーに変更する
それらの機能を使って頭髪と髭、そして眉毛のカラーを白髪交じりをイメージしたグレーに変更し、仕上げとして眼も変更した。
なおそのRender Styleでコンテンツの線描写の太さをスライドバーで指定できるが、今回は柔らかい表現のキャラを目指したのでそのアウトライン表示をOFFにすることにした。
変更が終わったら、ステージ左上のBack to Stageボタンをクリックの上で初期表示モードへと戻す。



Actorのアウトラインを太くした例(上)とアウトラインをOFFにした例(中)およびジョブズさん完成例(下)
こんな感じでオブジェクトを変更し思い通りのキャラクターや背景を組み立てていくが、CTA2のユニークな点はステージ上では二次元の平面的なグラフィックだが、それぞれのオブジェクトに奥行きすなわち距離間を指定できることだ。
例えばご覧いただく作例はジョブズが立っている背景に木々があり、その遠景には大きなビル群がそびえ立っているといった感じのものだ。そして前景にはベンチが置かれている…。

※ActorやPropを配置して都会の散歩道を作ってみた
しかしタイトルバー下にあるツール群の右端にある 3D View アイコンをクリックすると、ステージに並べた複数のオブジェクトが座標Z、すなわち奥行的にどのような位置関係になっているかを確認できるのだ。

※前記の作例を 3D View モードで確認するとその奥行き感がよくわかるはずだ
これを見ればオブジェクトの前後関係が一目瞭然なだけでなく、その奥行きは自由に変更できるため、例えばスティーブ・ジョブズを立木の後ろを歩かせる…あるいは前を歩かせるといったアニメーションも容易に可能となる。
※オブジェクトの前後関係をテストするために作成したアニメーション。ジョブズさんは最初木々の後ろを通り左側に歩くが、戻りは木々の前を通って歩く
以上、今回はCTA2の基本的な構造を中心に記してみたが、これらを踏まえて次回は実際にアニメーションの作成をやってみたい。
■CrazyTalk Animator2
これから数回に分けてそのCrazyTalk Animator2 Pro(以下 CTA2 Pro)の機能紹介や使い方について自身の覚書という意味を含めて綴ってみたい。なおCTA2にはスタンダードとプロそしてパイプラインという3種があり、機能および価格に違いがあるが、私はCTA2 Proを手にしたので以後の解説はCTA2 Proで実現したもの…ということでご承知願いたい。また同製品はMac版とWindows版がそろっている。

※CrazyTalk Animator2 Proのアバウト画面
さてコンビューターによるアニメーションは大変魅力あるものだ。私がかつて経営していたMac専門のソフトウェア開発会社でもMoviePaintという手描きアニメーションソフトを開発し、アップルのPerformaシリーズにバンドルされたこともあって累計で45万本以上の出荷実績があった。
そのMoviePaintもそうだが、一般的な2Dアニメーションツールはパラパラマンガよろしく手作りの方法をシミュレートし、セルに相当する1枚1枚のエリアに少しずつ違う絵を描きそれを高速で連続表示することで動画として認識させるという手法だ。
そうした正攻法というか一般的なアニメーションと比較するとCTA2は発想がまったく違う…。まずアニメーションの主人公である人物や景色・背景といったものを基本部分はともかくコンテンツとして有償で提供する仕組みだ。無論ユーザーは何らかのグラフィックツールを使い、ゼロから自分で絵を描き、アニメーションに利用することも出来るが、基本はコンテンツマネージャーの中からドラッグ&ドロップでステージに人物や背景あるいは椅子や立木といったPropを配置し、それらにこれまた用意されているアニメーションやエフェクトのためのコンテンツをドロップすることで目的のストーリーを作り出そうとするものだ…。


※一つのキャラクタ(Actor)の衣装や顔を変えてバリエーション豊富なイメージができる(上)。動きもモーションファイルをドロップするだけ(下)
そのアニメーションコンテンツには歩く、走る、飛び上がるといった単純なものから「電話をかける」とか「珈琲をサーバーから注いで飲む」といった動作まで様々なものが用意されており、Actorすなわちキャラクタに複雑な動作を容易に指定できるのが特長だ。
そのActor…キャラクタもまともに工夫しようとすれば別途オプションデータを購入する必要がある。それらは表情や顔の形、ヘアスタイル、服の上下、靴といったアイテムを着せ替え人形のように変えて好みのキャラクタを作り出す。
またそれらのActorには2D版と3D版とがあるが、3D版のキャラクタはステージ上で常に正面を向いているだけのものではなく、45度ずつの角度から見たデータ、すなわち360度に8つの方向からのビジュアルを持っている。ためにその範囲内ではあるものの横を向いたりといった表現も可能だ。

※最新の3D Actorは360度8つのデータを持っている
これらのキャラクタはBone、すなわち骨格データを持っており、この機能が働くからこそ動きを与えても手足や頭が身体から離れず、手足や腰および首などをある程度自然に動かせるわけだ。そして表情も顔のパーツを変えたりサイズあるいはカラーを変えたりできるためバリエーションは豊富だ。ただしいくら豊富だといっても既製品の組み合わせであるからして限りはあるし、そうした中でユーザーが表現したいキャラクタが出来得ない場合はゼロから自分で作らなければならない。それに正直CTA2に揃っているコミック的キャラの多くは使えない…使いたくないものが多い(笑)。
というわけでCTA2ではユーザーが描く、または写真などによる人物像などを骨格の持ったActorとして作る方法が公開されているが、慣れていないこともあるものの正直安直に試して見ようとは思わない(笑)。実際なかなか面倒で神経を使う作業となる。
ただしActorとしてあるいは2Dの写真1枚の顔がアニメーションと共に喋るといった芸当もできるのは大きな魅力だ。これは以前ご紹介した「CrazyTalk7 Pro」という同じ会社のフェイスアニメーションソフトがあるが、その基本機能がCTA2にも含まれていることによる。そのスピーチも「マイクから録音」する、「別途AIFFでスピーチデータを作る」、あるいは「テキストを喋らせる」といった方法を採ることができる。
そのCTA2だが、初回は基本のActor…キャラクタを編集して今後いろいろなアニメーションの主人公になってもらうつもりのスティーブ・ジョブズ氏を作ってみたいと思う。なおひとつひとつの手順や利用するメニュー、コマンド類を記すのは煩雑なのであくまで概要紹介となることはご了解いただきたい。また使用するテンプレートおよびコンテンツの多くはCTA2本体とは別にオプションのいくつかを購入したものを使っているのでこれまたご承知願いたい。
さて、早速だがまずベースとなるキャラをステージに表示させるが、ちょうどどこか若かりし頃のスティーブ・ジョブズを彷彿とさせるキャラクターがあったのでそれを使うことにする。そしてActorのオブジェクトをアクティブにし、ステージ左のツール群の一番上にある Charactor Composer をクリック。これでステージはキャラクターに骨格(Bone)が表示される編集モードとなる。

※まずはベースとするActorを指定しアクティブにした上でCharactor Composer をクリックしキャラの編集モードに入る
まずは頭と顔を変えてみよう…。
右サイドのContent Managerのテンプレートより Head タブを開き そのテンプレートにあるコンテンツをあれこれと眺めたところ口ひげおよびあごひげがあるデータがあったのでそれをステージのキャラにドラッグする。

※顔を変えていく。まずはあごひげのあるヘッドに変更
同様にヘアスタイルも往年のスティーブ・ジョブズに似ているコンテンツを探して変更。続いて眼鏡を付けた鼻のコンテンツを採用…。

※ヘアスタイルの変更と共に眼鏡をかける
これでどこかジョブズに似た顔つきになったので続けて上着を黒い長袖のシャツと靴をスニーカーに変えてみた。ただしこのままでは頭髪と髭の色が茶色だからしてイメージが違う。
そこで頭髪と髭のカラーを白髪交じりということでグレーに変更してみることにしよう…。
ステージ左のツール群より Render Style (R)をクリックし、スタイル変更モードに入る。右サイドに表示するRender Style 表示欄外の Advance Settings ボタンをクリックするとRender Styleの下にコンテンツ各部位のリストと共にカラーや明るさなどを変更可能にするスライドバーが表示する。


※Render Styleモードに入り、頭髪と髭のカラーをグレーに変更する
それらの機能を使って頭髪と髭、そして眉毛のカラーを白髪交じりをイメージしたグレーに変更し、仕上げとして眼も変更した。
なおそのRender Styleでコンテンツの線描写の太さをスライドバーで指定できるが、今回は柔らかい表現のキャラを目指したのでそのアウトライン表示をOFFにすることにした。
変更が終わったら、ステージ左上のBack to Stageボタンをクリックの上で初期表示モードへと戻す。



Actorのアウトラインを太くした例(上)とアウトラインをOFFにした例(中)およびジョブズさん完成例(下)
こんな感じでオブジェクトを変更し思い通りのキャラクターや背景を組み立てていくが、CTA2のユニークな点はステージ上では二次元の平面的なグラフィックだが、それぞれのオブジェクトに奥行きすなわち距離間を指定できることだ。
例えばご覧いただく作例はジョブズが立っている背景に木々があり、その遠景には大きなビル群がそびえ立っているといった感じのものだ。そして前景にはベンチが置かれている…。

※ActorやPropを配置して都会の散歩道を作ってみた
しかしタイトルバー下にあるツール群の右端にある 3D View アイコンをクリックすると、ステージに並べた複数のオブジェクトが座標Z、すなわち奥行的にどのような位置関係になっているかを確認できるのだ。

※前記の作例を 3D View モードで確認するとその奥行き感がよくわかるはずだ
これを見ればオブジェクトの前後関係が一目瞭然なだけでなく、その奥行きは自由に変更できるため、例えばスティーブ・ジョブズを立木の後ろを歩かせる…あるいは前を歩かせるといったアニメーションも容易に可能となる。
※オブジェクトの前後関係をテストするために作成したアニメーション。ジョブズさんは最初木々の後ろを通り左側に歩くが、戻りは木々の前を通って歩く
以上、今回はCTA2の基本的な構造を中心に記してみたが、これらを踏まえて次回は実際にアニメーションの作成をやってみたい。
■CrazyTalk Animator2
- 関連記事
-
- CrazyTalk Animator2 Pro 覚書[3] (2014/05/30)
- ScanSnap SV600専用 リバーシブル背景マット(PM-600)レポート (2014/05/19)
- CrazyTalk Animator2 Pro 覚書[2] (2014/05/14)
- アップデートされたNew MacBook Air 11インチが届いた! (2014/05/09)
- ノーラン・ブッシュネル著「ぼくがジョブズに教えたこと」読了の感想 (2014/05/07)
- CrazyTalk Animator2 Pro 覚書[1] (2014/05/05)
- 脅威の高倍率ズーム搭載 Canon PowerShot SX50HS レポート (2014/04/30)
- 脅威の高倍率ズーム搭載 Canon PowerShot SX50HS ファーストインプレッション (2014/04/23)
- 写真の切り抜きを簡単にするツール「PhotoScissors」とは? (2014/04/14)
- 一枚の写真に命を吹き込むツール「Animix」とは? (2014/04/07)
- Magic Mouseなどに対応したマウスパッド「Just Mobile HoverPad」レポート (2014/04/02)