「ATOK 2014 for Mac プレミアム」ファーストインプレッション
ATOKのユーザーって現在どれほどいるのだろうか…。私の回りを見渡すとMac標準装備の日本語変換システム “ことえり” で不自由してないと主張する人たちが目立ち、一頃のように変換効率云々といったあれこれに気を遣うユーザーはとても少なくなったように思える。
ともあれ私はずっとATOK派だ。Macの黎明期にはいくつかのFEP(フロントエンドプロセッサ)と呼ばれていた製品があり、それぞれが独自の特色を誇っていた。しかしATOKが頭1つ抜きんでていたと評価してずっとATOKを使ってきた。

※1985年9月、NEC PC-9801用の日本語ワープロとして初めて "一太郎" を購入
思えば…ATOKはそもそもMS-DOS時代にPC-9801用の ”一太郎” という日本語ワープロに組み込まれていたものが日本語変換部分だけ独立し提供するようになったものだった。したがって個人的には1985年からジャストシステム ”一太郎” のユーザーとなったわけで、途中からMac版のATOKに引き継がれたにしろすでに29年ものお付き合いとなる…。だからというわけではないが、私にとってATOKはすでに空気みたいな存在だ。その変換効率やショートカットキーの配列などほとんど意識せずに使っているわけで、文字通り身体に馴染んでいるため “ことえり” では格段にパワーが落ちるのである。

※「ATOK 2014 for Mac プレミアム」のパッケージ
さてそんなATOKではあるものの、これまで使ってきたATOKは2012年版だから新バージョンを手にするのは2年ぶりということになる。なぜ2013年度…昨年は新しいバージョンを購入しなかったかといえば2012年度版で不自由しなかったからだ(笑)。
ATOKユーザーの自虐ネタのようだが、アップデートのために使う金額を「お布施」と称する人たちもいる。それは高額なアップデート費用ではないものの、新しいバージョンにアップデートする行為は必要不可欠だからというより常に新しいバージョンを手にする安堵感と開発元であるジャストシステム社への敬意を表すため…といった感覚があるようだ。

※パッケージにはインストール用のUSBメモリ(左)が同梱されている。右はATOK 2012のときのUSBメモリ
今回私がアップデートしたのは「ATOK 2014 for Mac プレミアム」版である。プレミアムには「新明解国語辞典」「ジーニアス英和/和英辞典」が搭載されており、かつ「ATOKクラウドサービス」をサポートしている…。しかし搭載辞書や専用クラウドが新バージョンの購入動機になるほど目新しいかといえば申し訳ないがそれらが動機ではない。

※ATOKクラウドサービス選択ダイアログ
「ATOK 2014 for Mac」は動作環境としてOS X 10.6.8~10.9をサポートしているが、別途 “OS X Yosemite 対応保証” を謳っているからである。OS X Yosemite を見据えた早めのアップデートのつもりだった。
勿論、「ATOK 2014 for Mac」 の売り文句…注目すべき機能は今回も多々存在する。
新しい機能としては前記したATOK連携電子辞典として「新明解国語辞典 for ATOK」等の搭載、「最大40%の高速化を実現したアクセルモード」、「iPhoneともスマート連携」機能がある。また機能強化された点としては「かしこい日本語 ATOK」「うっかりミスも自動修正」「変換辞書・変換エンジンの強化・拡充」が謳われている。

※iPhoneとの連携も可能なスマート連携機能
ひとつひとつの例を挙げて記せば確かに前バージョンと比較して変換効率や入力支援の充実が見られることは確かである。しかし新しいOSにきちんと対応してくれるという点を別にすればこれまで「ATOK 2012」で日々多くの文章を書いてきたユーザーとして新機能らは正直強い購買動機に繋がるものではない…。
ある意味これまで目指してきた日本語変換システムとしてのATOKは行くつくところまで到達した感があり、すでに完成度の高い製品になっている。したがって昨年のバージョンと今年のバージョンに画期的な差が感じられないのである。このことは開発元であるジャストシステム社自身も当然認識しているはずだが、例えば「ATOK 2014 for Mac」の売りのひとつ「速い!アクセルモード搭載」にしてもユーザーの体感速度としてはほとんど目立たないのだ。
アクセルモード搭載とは「パソコンの性能に応じて、ATOKの設定を自動的に最適化する機能で、起動時や複数の辞書を大量に設定した環境で、最大40%(ATOK 2013と比較)の高速化が図られている」というものだ。無論解説の最後には「ご利用の環境によって結果は異なります」と明記されているが…。

※アクセルモード設定ウィンドウ
私のメインマシンは3.4 GHz Intel Core i7プロセッサの iMac 27インチであり、フィージョンドライブ、32GBメモリを搭載しているが毎日多量の文章入力をしているものの、ATOK 2012 の日本語変換が遅いと感じたことは一度もなかった。したがって喧嘩を売る訳ではないが(笑)、遅いと感じたことのない環境から変換スピードが40%あるいは50%速くなったとしても体感としてその有難味を感じることはできない理屈になる。
また入力支援がより強力になり、入力ミスを軽減してくれるという様々な機能も日々の活用時にほとんど必要がないというのが正直な気持ちなのだ。
なぜなら、私は文学を書いているわけではないし、通常は小難しい文章を考えながら…推敲入力しているわけではなく、表現したい内容をなるべく平坦な文章でとにかくスムーズにテキスト化していくのが目的なのだ。
確かに「同じ意味で別の言い回しはあるのだろうか?」といった推敲もゼロではないが、ビジネスの企画書、契約書類、ブログの原稿、メールなどといった類の文章作成時に私はほとんど入力支援機能には頼っていないのが現実なのだ。
変換効率の優れたATOKにしても長年の癖というか習慣で、一気に長い文章を入力変換するのではなく適切な文節毎にリズミカルな変換をしながら入力をするためATOKの入力支援機能のお世話になる間がないのである(笑)。短いセンテンス毎に確認しながら先に進むという作業のためせいぜいが同音異義語の間違いに注意を向けるぐらいだ。そうした意味からすればATOK 2014と2年前のATOK 2012の差は申し訳ないが限りなく差がないといえる。
とはいえ長い間の習慣に合ったツールを使い続けたいと考えるからこそATOKであり続ける…というのが本音である。そしてATOKの新機能はどうでも良いと言っているわけではない。繰り返すがすでにキーボードから日本語を入力するツールとしては数年前に完成の域に達していると考えているだけだ。それだけに毎年新機能を搭載し機能強化した新しいバージョンを商品化しなければならないとすれば…メーカーに同情する気持ちが強くなる…。
ATOKの心地よさは無くなっては困るし 近い将来 iOSにも最良の日本語入力システムを提供して欲しい。そしてOS Xにおいてもキーボードからの日本語入力だけでなく音声は勿論、まったく新しい日本語利用環境が生まれてくると信じている。そうした近未来においてもジャストシステムはMacユーザーに心地よい日本語利用環境を届けてくれるよう強く念願したい。その為なら喜んで毎年お布施…いや、アップデートをしたいと思う。
ということで取り急ぎ OS X 10.8.5 と10.9.3 の環境へ「ATOK 2014 for Mac プレミアム」をインストールし使い始めている。無論今のところ何の問題もなく快適である。続けて個人的にはATOKクラウドについてあれこれと勉強してみるつもりだが、別途気がついた点があればご報告したい。
変な?ファーストインプレッションとなったが、ATOK 2014 for Mac プレミアムを手にして正直な感想をまずはご紹介したつもりである…。
■(株)ジャストシステム/ATOK 2014 for Mac
ともあれ私はずっとATOK派だ。Macの黎明期にはいくつかのFEP(フロントエンドプロセッサ)と呼ばれていた製品があり、それぞれが独自の特色を誇っていた。しかしATOKが頭1つ抜きんでていたと評価してずっとATOKを使ってきた。

※1985年9月、NEC PC-9801用の日本語ワープロとして初めて "一太郎" を購入
思えば…ATOKはそもそもMS-DOS時代にPC-9801用の ”一太郎” という日本語ワープロに組み込まれていたものが日本語変換部分だけ独立し提供するようになったものだった。したがって個人的には1985年からジャストシステム ”一太郎” のユーザーとなったわけで、途中からMac版のATOKに引き継がれたにしろすでに29年ものお付き合いとなる…。だからというわけではないが、私にとってATOKはすでに空気みたいな存在だ。その変換効率やショートカットキーの配列などほとんど意識せずに使っているわけで、文字通り身体に馴染んでいるため “ことえり” では格段にパワーが落ちるのである。

※「ATOK 2014 for Mac プレミアム」のパッケージ
さてそんなATOKではあるものの、これまで使ってきたATOKは2012年版だから新バージョンを手にするのは2年ぶりということになる。なぜ2013年度…昨年は新しいバージョンを購入しなかったかといえば2012年度版で不自由しなかったからだ(笑)。
ATOKユーザーの自虐ネタのようだが、アップデートのために使う金額を「お布施」と称する人たちもいる。それは高額なアップデート費用ではないものの、新しいバージョンにアップデートする行為は必要不可欠だからというより常に新しいバージョンを手にする安堵感と開発元であるジャストシステム社への敬意を表すため…といった感覚があるようだ。

※パッケージにはインストール用のUSBメモリ(左)が同梱されている。右はATOK 2012のときのUSBメモリ
今回私がアップデートしたのは「ATOK 2014 for Mac プレミアム」版である。プレミアムには「新明解国語辞典」「ジーニアス英和/和英辞典」が搭載されており、かつ「ATOKクラウドサービス」をサポートしている…。しかし搭載辞書や専用クラウドが新バージョンの購入動機になるほど目新しいかといえば申し訳ないがそれらが動機ではない。

※ATOKクラウドサービス選択ダイアログ
「ATOK 2014 for Mac」は動作環境としてOS X 10.6.8~10.9をサポートしているが、別途 “OS X Yosemite 対応保証” を謳っているからである。OS X Yosemite を見据えた早めのアップデートのつもりだった。
勿論、「ATOK 2014 for Mac」 の売り文句…注目すべき機能は今回も多々存在する。
新しい機能としては前記したATOK連携電子辞典として「新明解国語辞典 for ATOK」等の搭載、「最大40%の高速化を実現したアクセルモード」、「iPhoneともスマート連携」機能がある。また機能強化された点としては「かしこい日本語 ATOK」「うっかりミスも自動修正」「変換辞書・変換エンジンの強化・拡充」が謳われている。

※iPhoneとの連携も可能なスマート連携機能
ひとつひとつの例を挙げて記せば確かに前バージョンと比較して変換効率や入力支援の充実が見られることは確かである。しかし新しいOSにきちんと対応してくれるという点を別にすればこれまで「ATOK 2012」で日々多くの文章を書いてきたユーザーとして新機能らは正直強い購買動機に繋がるものではない…。
ある意味これまで目指してきた日本語変換システムとしてのATOKは行くつくところまで到達した感があり、すでに完成度の高い製品になっている。したがって昨年のバージョンと今年のバージョンに画期的な差が感じられないのである。このことは開発元であるジャストシステム社自身も当然認識しているはずだが、例えば「ATOK 2014 for Mac」の売りのひとつ「速い!アクセルモード搭載」にしてもユーザーの体感速度としてはほとんど目立たないのだ。
アクセルモード搭載とは「パソコンの性能に応じて、ATOKの設定を自動的に最適化する機能で、起動時や複数の辞書を大量に設定した環境で、最大40%(ATOK 2013と比較)の高速化が図られている」というものだ。無論解説の最後には「ご利用の環境によって結果は異なります」と明記されているが…。

※アクセルモード設定ウィンドウ
私のメインマシンは3.4 GHz Intel Core i7プロセッサの iMac 27インチであり、フィージョンドライブ、32GBメモリを搭載しているが毎日多量の文章入力をしているものの、ATOK 2012 の日本語変換が遅いと感じたことは一度もなかった。したがって喧嘩を売る訳ではないが(笑)、遅いと感じたことのない環境から変換スピードが40%あるいは50%速くなったとしても体感としてその有難味を感じることはできない理屈になる。
また入力支援がより強力になり、入力ミスを軽減してくれるという様々な機能も日々の活用時にほとんど必要がないというのが正直な気持ちなのだ。
なぜなら、私は文学を書いているわけではないし、通常は小難しい文章を考えながら…推敲入力しているわけではなく、表現したい内容をなるべく平坦な文章でとにかくスムーズにテキスト化していくのが目的なのだ。
確かに「同じ意味で別の言い回しはあるのだろうか?」といった推敲もゼロではないが、ビジネスの企画書、契約書類、ブログの原稿、メールなどといった類の文章作成時に私はほとんど入力支援機能には頼っていないのが現実なのだ。
変換効率の優れたATOKにしても長年の癖というか習慣で、一気に長い文章を入力変換するのではなく適切な文節毎にリズミカルな変換をしながら入力をするためATOKの入力支援機能のお世話になる間がないのである(笑)。短いセンテンス毎に確認しながら先に進むという作業のためせいぜいが同音異義語の間違いに注意を向けるぐらいだ。そうした意味からすればATOK 2014と2年前のATOK 2012の差は申し訳ないが限りなく差がないといえる。
とはいえ長い間の習慣に合ったツールを使い続けたいと考えるからこそATOKであり続ける…というのが本音である。そしてATOKの新機能はどうでも良いと言っているわけではない。繰り返すがすでにキーボードから日本語を入力するツールとしては数年前に完成の域に達していると考えているだけだ。それだけに毎年新機能を搭載し機能強化した新しいバージョンを商品化しなければならないとすれば…メーカーに同情する気持ちが強くなる…。
ATOKの心地よさは無くなっては困るし 近い将来 iOSにも最良の日本語入力システムを提供して欲しい。そしてOS Xにおいてもキーボードからの日本語入力だけでなく音声は勿論、まったく新しい日本語利用環境が生まれてくると信じている。そうした近未来においてもジャストシステムはMacユーザーに心地よい日本語利用環境を届けてくれるよう強く念願したい。その為なら喜んで毎年お布施…いや、アップデートをしたいと思う。
ということで取り急ぎ OS X 10.8.5 と10.9.3 の環境へ「ATOK 2014 for Mac プレミアム」をインストールし使い始めている。無論今のところ何の問題もなく快適である。続けて個人的にはATOKクラウドについてあれこれと勉強してみるつもりだが、別途気がついた点があればご報告したい。
変な?ファーストインプレッションとなったが、ATOK 2014 for Mac プレミアムを手にして正直な感想をまずはご紹介したつもりである…。
■(株)ジャストシステム/ATOK 2014 for Mac
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