ラテ飼育格闘日記(398)

この地に引っ越ししてから早くも9ヶ月ほどが過ぎた。以前の場所と遠くに離れたわけでもないが、日常のラテとの散歩エリアは変えざるを得なくなり、馴染みの公園へは距離もあることから時折しか足を運ばなくなった。しかし旧来のエリアを散歩すれば友達ワンコや馴染みの飼い主さんたちに会えるかも知れないし行き交う子供たちも知っている子が多いのだが…。


とはいえ散歩は毎日毎回のことだから、どこへ向かうかは天候にも左右される。この界隈ではいまだにラテの友達ワンコといえるのは柴犬のアンリちゃんしかいないし行き交う子供たちも当然のことながら知らない子供ばかりだ。したがって「ラテちゃん、可愛い!」などと近寄り頭を撫でてくれる子供もほとんどいないのはオトーサンとしても寂しい限りだ。それはラテにとっても同様だと思われる。
とはいってもこればかりは縁があってのことだし、無理して友達ワンコや知り合いが生まれるわけでもないから、日々黙々と散歩を続けるしかない…。

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※先日は珍しく旧知の公園に足を向けたら本当に久しぶりに友達ワンコのハリーちゃんとそのお兄ちゃんと遭遇。ラテはお兄ちゃんに抱擁されて至福のひとときを過ごした


しかし先日は面白いことがあった。面白いというか、子供の発想がとてつもなくユニークでオトーサンたちには予想もつかないことを思い知らされた出来事があった。
ここのところ1週間に2日ほど女房が朝外出するのでラテの気が乗れば駅近くまで一緒に向かうことにしている。そしてウィークディであること、そして時間帯が丁度通学の時間帯ということもあり小学生と中学生の姿が目立つのだ。

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※女房と会話中のラテ。実に表情豊かだ


ラテは知らない子供たちにも興味を持ちながら歩き、チャンスがあれば近づいて一緒に遊びたいと考えているようだ。すれ違う子供たちの顔を仰ぎ見て笑顔を振りまいたりもするが、皆が皆知らないワンコに声をかけてくれるはずもなく、反対に「でっかい!」とか「オオカミだ」などと離れていく子もいる。そんなときのラテはどこか寂しそうだ。
オトーサンにしても狭い歩道を子供たちと一緒に歩く際には最新の注意を払い、ラテのリードを短く持ち勝手な動きを封じるようにしている。やはりワンコが嫌い、あるいは怖いと思う子供もいるから気は抜けないのである。

とはいえ嬉しいことに中には「触っていいですか?」と声をかけてくれる女子たちもいるし、先日の朝は小学3年生くらいの男子が「何犬ですか?」とランドセルを揺らしながら近寄ってきた。ラテはそれだけで嬉しそうに尻尾を振り始めている。オトーサンが「雑種だよ」というとその男子は「仲良くできるかなあ」という。
周りに少しスペースがあったのでオトーサンはラテ用のオヤツを取りだして「このオヤツを食べさせてくれれば仲良くなれるよ」と笑うと「よし、やってみる」という。オトーサンは食べさせる前に「お座りとお手をさせてね」というと「OK」と男子は早速座り込んでラテの前に陣取った。

ほんの1分にも満たない時間だが、男子は「ありがとう、ワンちゃんまたね」と学校に向かって走り出したがラテも嬉しそうだった。
その数日後に同じ道を歩いていると先日の男子が「おはようございます。餌あげていいですか」と聞く。どうやら先日のようにラテにオヤツをあげたいということらしい。ラテは早くもその場にお座りして待っている(笑)。オトーサンは苦笑しながらも男子に指の爪程度のオヤツを「お願いします」と二つ渡した。

ラテはスムーズに男子のいう「お手」をクリアしてオヤツを貰っていたが、なんとも嬉しそうだ。とはいえ男子も登校途中だし前後には友達もいるようなので慌ただしく「バイバイ」と駆け始める。そんなことがあった数日後、今度は夕方の散歩でまったく別の場所でサッカーのユニフォームを着て自転車に乗った男の子が「あっ、ワンちゃんだ」と近づき「餌あげてもいいですか?」とオトーサンに声をかけた。
どこかで聞いた台詞だとよく見ると朝の登校時に会った男子でサッカーの練習の帰りだという。ともかくここでもラテはお座りとお手をさせられつつもオトーサンが渡したオヤツを男子からもらうことになった。

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※散歩の帰りに出会った男子からオヤツを貰うラテ


またまた数日後、夕方のこと雨上がりの少々ぬかるんだ住宅街の公園に入ったらあら不思議…家が近くにあるのだろうか…その男子が階段の上から「あっワンちゃんだ」と笑顔で近づいてきた。たぶん遊びに出てきたのだろう。ラテもすっかり覚えたようで初めて「ウォオオオオ〜ン」と歓喜の声を上げた。
そこではじめて「ワンちゃんの名前はなんていうんですか?」と聞かれたので「ラテっていうんだよ」と教えると「ラテラテ」と頭を撫で、いつものようにオトーサンから渡された小さなオヤツを嬉しそうにラテの前に差し出した。
登校時間に通る道ならいざ知らず、こうしたまったく別のエリアで出会うのも面白いものだがラテにとって知り合いの男子が1人できたことは嬉しいことだ。そして男子は別れ際に面白いことを言った…。

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※公園から戻ろうとしたときラテは抱っこを要求(上)。結局フィニッシュはオトーサンに抱っこなのだ(下)


そのときリードはオトーサンが持っていたわけだが、女房も一緒だった。万一雨に降られると困るからと傘を持って同行してくれたが、雨模様なのでいつものデジタルカメラは持参していなかった。
オトーサンたちの後からついてくる女房を見てその男子は「この人…なに?」と聞くのだ(笑)。その真意を推察するにリードを持っているわけでもなくただ一緒に歩いている女房を見て男子は「なんのために一緒にいるの?」と思ったのだろうか。女房は苦笑するしかない…(笑)。
こうした思いもよらない問いかけにオトーサンは一瞬どう答えたらよいのか考えてしまった。勿論相手は子供であり、他意もなければ悪意もないはずだ。思ったことを正直にストレートに口に出しただけなのだろうし、怒るわけにもいかない。

「この人はラテのオカーサンで一緒に散歩をしているんだよ」と言うと「ふーん」といいながら、まだラテに未練がある様子を見せながら離れていった。ラテもしばらくその男子の後を追いかけたい様子だったが、男子の後ろ姿が遠のくにつれ、素直にオトーサンと歩き始めた。
それぞれがほんの数分の出会いではあるが、ラテにとっては貴重な時間に違いない。それにしてもワンコと子供の取り合わせはいつでも絵になるものだ…。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員